もしもカズマさんがメイドを雇ってそれが完全で瀟洒なメイド長(仮)だったら   作:ツーと言えばカーな私

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メイド長として日々を終え、万屋を営み続けました。

 

 始まりはなんだったか……もうどんな姿をしていたか微塵も覚えていないが、誰かから好きな容姿と能力をもらって…この世界にやってきた事を覚えている。

 

 その結果がこれだったのだろうか?

 

 

 私はいつのまにか意思ある傀儡と化してしまった。

 機械と例えてもいいかもしれない。

 

 決められた言葉を話し、特定の時間にてその場にあった最善の行動をし、夜には自分の主人と交わり、悦ばせる為に演技をする。そして、部下が失敗を犯せば私の責任だと罵られ、暴力を振るわれる。……もう何も感じなくなって久しい。

 

 理不尽だと思ったことは一度とて思ったことはない。全ては主人たちの為だったのだ。

 

 主人のメイド長をする影で何でも屋の万屋の仕事も営んでいた。

 自分が仕えている主人を殺す様に依頼された時もあった。それだけではない、見知らぬ誰かを沢山殺した。初めてこの世界にやってきた白い手はドス黒い赤で染まって泥濘みに嵌り…最後には抵抗すらせず溶けてしまった。

 

 

 でも……本当に…本当に久しぶりに、ほんの僅かな間だけだが安息を手に入れられた。

 少しだけだが、メイド長(Doll)としての役割を休められるのだ。万屋(使命)としての仕事も…。

 ここでまた…私の中の鍵が狂ったんだろう。我ながら300年以上生きて脆い鍵だと思う。

 

 今もまだ働き続けているメイド達には悪いが少しの間だけ頑張ってもらおう。

 今から行くのはアルカンレティアという温泉街だ。

 湯治の場としても有名でこの世界では有数の天然浴場が多い場所だ。これ程の適任はないだろう。

 さあ…200年ぶりの休暇だ羽目を外そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうやって、心を穏やかに…何も動じない植物かのようにただ流されるままだったら…どれほど良かったんだろうか。

 

 

 私はアルカンレティアに来てから早々に(悪評で)有名なアクシズ教に入信した。と言っても信仰心というのはない。あくまで飾りだけの信仰だ。

 何故そうしたのか…それはただ単純にアクシズ教徒のセクハラと勧誘が度を越えてしつこかったから。

 歩きながら胸を何度も触ってくる教団とは…流石の私も主人以外で触られるのは忌避感がある。

 エリス教と比べ入信希望者が圧倒的に少ないからと言って、嘘を吐いて信者を増やすのはどうかとも思う。

 だから私はアクシズ教を崇める気は全く持ってない。

 

 

 

 

 

 話が少し逸れてしまった。

 私は宿を予約しこの街の唯一の美点である温泉に入り浸り、後は寝るだけだった。

 しかし私は滅多にない休暇だからこそ、安心しきっていたんだろう。暗殺者の側面もありながら失格だと思う。

 真夜中の間、自分の命を狙った刺客が来ることには気づかなかった。

 その時には運良く助かった。相手が急所を外したのだ。

 

 まだ相手の凶器が体に刺さったまま。これでは能力を使ってもさらに面倒になるだけ。

 

 そう判断し、直ぐに相手を窺う。相手はフードを深く被り驚いた様子を見せていた。

 随分とお粗末な暗殺者だと思う。この程度で私が死んだと思っていたのだろうか。

 ナイフを引き抜き相手投げる。

 もう数百年もの間私が使ってきた得物だ、見事に相手の脳天を捉え、血が吹き出た。

 そのままナイフを引き抜きもう一度喉元に刺す。

 最後に『グエッ』と音を出したので完全に絶命しただろう。

 誰もいない事を確認し、時計のスイッチを押す。

 ()()の時を戻した。痛みが完全に消え、さっき溜まっていた自分の血がベットにはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は今まで数えきれないほどの人々を殺してきた。

 中には間違って殺した善良な者もいただろう。

 その中で恨まれるのは仕方ないと考えている。

 だから、私の番が来たのだろう。

 

 私は罪を償う気はない。償える方法が分からないから。

 いや、もっと正確に言ってしまえば、忘れてしまった。

 

 襲撃のあった後、すぐに私は街から出て行った。なるべく私という痕跡を残さないように。

 

 そこから野宿生活が続き、影でまた依頼を受ける日々が続いた。前の主人のところに置いて来たメイド達が心配だが、代わりのメイド長がいるだろう。

 

 もうその人に頼るしかないが、私は裏の生活を送るのだろうか。

 今まで表では、貴族のメイド長として生活していたが、裏では暗殺や普通に近所で起こりそうなカラス退治や猫探し、冒険者ギルドで受注する様な依頼をこなしたり経済的な会議に代理として出席したりして、お金を稼いでいた。

 

 

 依頼の日々…また、ループするのだろうか…人形の如く、決められた動きをする。そんな動きが決められるのか。そんな日々を送り…すでに景色が28回も変わったかと思った頃……。

 

 

 私には、人生を変える一通の依頼の手紙が届いた。

 

 

 差出人:佐藤カズマ

 

  俺の専属メイドになって欲しい!

 

 宛先 銀の万屋

 

 

 こんな短い依頼文は初めて見た。

 銀の万屋とは私が万屋で働く時のネームだ。

 なんともネームセンスがないがいいだろう。

 今はこの依頼書だ。

 自分の欲望に充実なのかと思えるほどの短文。

 基本差出人の名前はコードネーム的な何か工夫を加えた名前なのだが、この差出人はそのままの名前を使っていると思われる。

 

 

 しかし、メイド……久し振りだわ。

 

 私は転生直後の時の十六夜咲夜としてのメイド服を着ることにした。

 

 

 

 

 

 




少し説明しますが、オリ主についてです。


『全ての時を操れる能力』
うん、完全上位互換ですね……(能力だけなら)(精神性は本家咲夜さんの方が勝ってる)
既に数百年の時を生きています。

転生前と直後はただの東方オタクの高校生。
十六夜咲夜が特に好きなキャラだったので、本人と一緒の能力と容姿を手に入れたが、その時担当していたアクアが、調子乗って本人よりハイスペックな能力を手に入れた。


2021年2月26日 各所修正致しました。
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