タイトル通り。沖ノブ流行れ。

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やっぱり沖田さんかわいいね♡♡♡♡オラっ! ノッブとレズセしろ!!!!!!

 日本の夏は絶頂期を迎え、炎天の空は燦々(さんさん)と下々を照りつけている。陽光の降り注ぐ海面は多面鏡の如く白金の光を反射し、波に沿う様に広がる砂浜は、火にかけられたフライパンのように海水浴に来た人々の素足を焼かんばかりであった。

 201X年、某月某日の事である。

 

 カルデアの各々は正真正銘、何の偽りもなく、何処ぞの無人島に漂流するということもメソポタミアの女神がレースゲームを開催するということもなく、単なる夏季休暇の一環として日本のとある海水浴場にレイシフトしていた。そこに国連及び魔術協会直属の立場としての目的はない。ただただ度重なる重労働の日々への鬱憤晴らしのためだけに使われた霊子ダイブであった。無論、この事が公に知られれば厳重な処罰は免れない。けれどもカルデアの現最高責任者の「バレなければ問題ではない」という鶴の一声に従い、帰還後にレイシフト記録さえ完全に抹消してしまえばいい。それが彼らの主張であり、人理焼却事件を解決しても、上からは賞賛どころか犯罪者扱いさえされかけた彼らのささやかな反抗心の表れでもあった。

 

 閑話休題。

 

 さて、カルデアに召喚された剣士(セイバー)のクラスのサーヴァント、沖田総司はこの海水浴を心待ちにしていた者の一人であった。というのも、彼女曰く腐れ縁、傍目から見ればつうと言えばかあの関係であるサーヴァント・織田信長に毎年毎年この時期になると、事あるごとに己の水着姿を自慢されていたのである。信長はとある年に行われたレースゲームの際に、装いを新たに霊基を改変する事で水着を手に入れた。生前から新しい物好きとして有名であった織田信長だからこそ、彼女曰く腐れ縁、傍目から見ればかあと言えばつうの関係である沖田に自慢せずにはいられなかったらしい。それは長年連れ添った仲の沖田にも理解していたことであるし、当時もそうなるだろうと予測していたのは違いない。だがそれはそれとして自慢されたからには自分だってああいう格好をしてみたいと羨む心があったことは否定できなかったし、出来るはずもなかった。彼女が死した後の世において、何故か男として伝えられていた沖田とて、事実として女である。自分だってお洒落をして、着飾ったりしたいと思わなくもなかったということだ。

 

「じゃーん!  どうですかノッブ。私だって水着になれるんですからね!」

「それはいいが、お主また星5か沖田ァ!」

 

 沖田は誇らしげに自らの肢体を信長に見せつけた。しつこいくらいに自慢されていたので、余程彼女に見せつけたかったらしい。しかしノッブこと信長には沖田の水着よりも『星の数』の方が重要だったようで、反射的に中指を立てて激怒していた。

 

「どう考えても普段星5なんじゃから4でいいじゃろ! お主は囲いをATMにする姫か!」

 

 酷い言われようである。人斬りサークルの姫だのなんだの普段から信長にからかわれている沖田も黙っちゃいられないと反射的に言い返した。

 

「そんなの知りませんよ! 勝手に星5にされてたんですから! 私だって配布で財布に優しい沖田さんで大勝利させていきたい所存だったんですぅ〜!」

「なーにが財布に優しい沖田さんじゃ。お主の場合普段の時点で中々ピックアップされないからいざピックアップされたらばちこり貢がれてがっぽがっぽで大勝利の間違いじゃろ」

「なにを〜!?」

 

 ギャーギャーと喚く二人は、普通の観光客が見れば気まずそうに通り過ぎていきそうな光景だったが、カルデアの面々にとってはああ、いつものか、というものであった。とりあえず相方に会ったら初手で喧嘩売っとけ、が彼女らの馴れ合いの基本であった。

 言い合いにひと段落ついた沖田はため息をついた。

 

「ああもう、本当にノッブは相変わらずですね……。せっかく私が皆さん待望の水着姿を着てるというのに、何とも思わないんですか」

「いや、せやかて沖田」

 

 そう言ってようやく信長は沖田をまじまじと見た。沖田の姿は彼女とは違ってビキニタイプの水着ではなかった。首からゴーグルを下げ、布地が肩から四肢の付け根までを覆っている。日焼けはしたくないのか、新撰組の羽織りを腕を通さずそのまま両肩にかけている。どちらかと言えばこの服装は海というよりプール向きである。

 要するにそれは、

 

「競泳水着とかまたニッチな性癖の囲いを生み出す気しかないとしか思えないんじゃが」

「……? そうですか? ダ・ヴィンチさんに泳ぎやすいやつお願いしますって頼んで作ってもらったものそのまま着たのであんまりわからないんですけど」

「まさかの無自覚じゃったか。尚更タチ悪いなお主。さすが人斬りきたない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏天の太陽は真上に到達し、さらさらとしていながらも、裸足にべったりと吸い付く砂浜は、サーモグラフィーで見ると赤を通り越して見た目同様真っ白に染まるほどの熱さになっていた。反対に、透き通った海は波音と共にそんな砂浜の酷暑を飲み込み、波打ち際から熱という熱を奪い去っていった。猛暑であればあるほど、むしろ海の冷たさは際立つようで、浮き輪に身体を任せ漂うだけでも身体から余分な熱が散っていくような感覚を覚える者もいた。

 

 けれども砂浜の熱などものともしない猛者もいるわけで。

 

「そこッ!!」

 

 そこは正しく戦場であった。

 浅葱色の風は竜巻を巻き起こすが如く疾走し、弾丸のように球を撃ち出した。球は疾風に乗ったかのように加速していき、一瞬でも気を抜けばその瞬間には文字通り地面を抉り取らんとしている。

 

「甘いわッ! 茶々ァ!」

「ほいきた伯母上!」

 

 しかしそれを座して待つ信長ではない。彼女こそは戦国時代の顔たる織田信長。持ち前の筋力を駆使して跳躍する。同時に彼女の姪にあたる茶々は、「やぁーっ!」という掛け声と共に打ち出されたボールをトス。先程までの爆発的な速度を失い、ボールはふわりとネット上にまで浮き上がった。

 

「死ぬがよい!」

 

 そんな宣言と共に、猩々緋(しょうじょうひ)の閃光が迸る。彼女の背にはいつのまにか焔の骸骨が顕現していた。沖田を旋風とするならば、さしずめ信長は爆炎である。沖田が瞬間的な速度を持った一撃で必殺を狙うに対して、信長は爆発的な威力を持って相手諸共吹き飛ばさんとする。

 ダイナマイトのような一撃のスマッシュ。その瞬間ボールは燃え盛るような、否、本当に炎を纏って沖田たちに迫らんとしている。

 

「うっはっはっはっは! これで人斬りサークルも本能寺ENDで是非もなし、じゃ!」

「ま、宝具使ってるから反則だけどネ!」

「反則なんぞ犬にでも食わせておけい! 勝てばよかろうなのじゃ!「————では、こちらも反則を使ってもいいということですね?」————何!?」

 

 ハッとして敵陣を見やる信長。彼女の眼に映ったのは、口角を上げている沖田と、パートナーの土方歳三が血気迫る形相で火炎の魔球に踊りかからんとしている瞬間だった。

 

「おおおおおおおおうああああああアアアアアアアッッッ!!!!!!!」

 

 獣の如き咆哮と共に、土方は信長の撃ち放ったボールににアッパーパンチを見舞う。

 途端、拮抗する男の拳と炎の剛球。容易く触れれば最期、骨まで死灰にしてしまうのは想像に難くなく、常人であればたちまち逃げ帰るようなそれを、躊躇いなく殴りつけるのは土方が狂戦士(バーサーカー)のサーヴァントたる由縁か、或いは肉体の損傷を一時的に無効化する宝具「不滅の誠(しんせんぐみ)」が発動された証拠か。

 

 だがその答えがどうこうということなどはもはやこの戦場において意味はない。あるのは信長の会心の一撃を、土方の鉄拳が空高く打ち上げた。その決定的な事実だけだった。

 

「なんじゃと!?」

「うっそぉ!?」

 

 驚く信長と茶々を他所に土方は沖田に向かって叫ぶ。

 

「俺がここまでしたんだ、ここで血ィ吐いてヘマやらかせば腹ァ切れよ沖田ァ!!」

「お任せください! あっちが反則してくるならこっちも最大限に反則していきますとも!」

 

 

 ————ここに、『誠』の旗を立てる。

 

 

 その一言と共に、沖田は一振りの旗を砂浜に突き刺した。

 刹那。ビーチバレーのコートの半面が浅葱色に染められた。宝具『誠の旗』。新撰組隊士の生きた証たるダンダラ模様に『誠』の一文字が刻まれたそれは、新撰組一番隊隊長である彼女の切り札である。

 

 浅葱色の正体は、彼女の良く見知った者たちであった。近藤勇、永倉新八、斎藤一、原田左之助、芹沢鴨といった、新撰組隊士達のサーヴァントの一斉召喚。『誠の旗』の能力である。

 ……座から召喚要請を受けて一斉召喚されてみれば、同僚の沖田と土方がビーチバレーで勝つためだけに自分たちを召喚したという事実に、彼らは複雑な心持ちなのでは、と思わないでもないが、そこは沖田総司である。まあ、沖田さんのことだし、というそれでいいのかと言わんばかりの一言で彼らは一瞬で納得していた。是非もないネ。

 

「さあ行きますよ皆さん! ノッブのヤロウに目に物みせてやりましょう! ————新撰組、前進ッ!」

『————————————————ッッ!!」

 

 沖田の号令と共に、誠の剣客集団は勝鬨を上げ、土方によって打ち上げられたボールに向かって一斉に跳躍した。

 沖田によって召喚された新撰組隊士たちはその一人一人がサーヴァントである。即ち彼らの身体能力は生前のそれではなく、ボールは空中でトスを受け、またさらに高く跳んだ隊士によって更にトス。それが幾たびも繰り返している内に、ボールは凡そ50mの高さにまで打ち上げられた。

 

「これで、終わりです!」

 

 一歩音越え、二歩無間————

 

 沖田が跳躍する。否、跳躍ではない。彼女の持つスキル「縮地」による瞬間的な《縦方向への移動》である。通常ならば横方向に移動し奇襲するのが沖田のやり方であるが、遥か上空にまで移動できるのは、敏捷ステータスの高い彼女が即席で生み出した、天才剣士としての技術であった。

 

 とうとう沖田は空中のボールにまで届き、そのまま刀を持つが如く、「平晴眼」の構えを排球に向ける。

 そして次の瞬間。

 

「三歩絶『球』! 無明三段突き————!」

 

 三度の突きが全く同時に放たれる対人魔剣の技巧が、刀からでは無く沖田自身の平手から放たれた。

 彼女の一撃を受けた排球に加えられた力は、サーヴァントの力にも耐えられる材質でなければ跡形もなく消失するほどであったが、ボールはそれを耐え抜き、かつそのまま信長と茶々のコートを一本の槍のように直進した。

 

「今回の勝負は私たちの勝利です! さあ、覚悟してください!」

 

 沖田は勝利を確信したかのように声を上げる。それは事実である。ボールは瞬く間に地面を抉り取ろうとする。地に立つ二人は成す術なく、どうあがいても、どんな奇跡を手繰り寄せようとも、どれだけの幸運を使い果たそうとも、二人の敗北は火を見るよりも明らかであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ————それが、織田信長でなければの話だが。

 

 

 

 

 

 

 

 「————うつけが。儂を誰だと心得る。儂は第六天魔王、織田信長よ。人斬りの一撃なんぞ、赤子の手を捻るよりも容易いわ……!!」

 

 宝具開帳。『第六天魔王波旬〜夏盛〜(ノブナガ・THE・ロックンロール)』。

 信長の背から顕現していた獄炎の骸骨は、より力を与えられたかのように巨大化していた。神仏を滅ぼす第六天魔王。神性や神秘を持つ者に対して絶大な力を振り落とす固有結界『第六天魔王波旬』の限定解放と共に放出される魔力が更に膨大になった証拠であった。

 ここで記述しておくが、現在の信長のクラスは狂戦士である。即ちその霊基は魔王として恐れられていた織田信長を意味している。要するに、現在の信長はアーチャーの霊基よりも危険な状態であり、その力の片鱗が今、沖田を迎え撃とうとしていた。

 

『はあああああああああああああッッ!!』

 

 第六天魔王、織田信長。新撰組一番隊隊長、沖田総司。二人の戦いの決着ははたして————!

 

 

 

 

 

 

 

 □

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「のうおき太ー。やっぱりあれはわしの勝ちだったと思うんじゃが」

「いやいや、どう考えても沖田さん大勝利のムーブだったじゃないですか」

 

 夕暮れ時の浜辺で座り込み、軽口を叩く少女が二人。少し前まではまばらにいた観光客も近くの宿に帰り、辺りにいる人間は彼女たちだけだった。

 空の真上で白く輝いていた太陽は、橙色のアクリル絵の具を塗られたあと、グロスバーニッシュで仕上げられたかのような光を海原との接着点で、水平線と並行して撒き散らしている。海面の上に照らされているのは一筋だけで、陽光の当たらない部分の淡い仄暗さは、太陽と海を繋ぐ一直線の道を形作るようなコントラストを生んでいた。

 

 砂浜を見ると波打ち際で誰かが残した砂色の城が、夜が近づくにつれて、文字通り砂上の楼閣の如く崩れかかっている。日中はどこもかしこも誰かの足跡を誰かの足が踏みしめていたが、その跡すらも波が連れてきた海中の土に埋められていた。まるで、一日中描き続けた絵を、何の感慨もなく捨てて、また新たなキャンバスをイーゼルに立て掛けるかのように。

 まだ少し、ほんの少しだけ明るい黄昏のビーチは、たった二人の少女を引き立てるかのように、海辺のキャンバスの絵の一部となっていた。

 

「まさか球が破裂するとはのう。間抜けな音が鳴った時は拍子抜けしたわ。そういうのは火縄銃ぶっ刺さりしてた長篠だけでいいんじゃが」

「まあ、私の技とノッブの宝具がぶつかったら、如何にダ・ヴィンチさん印のボールでも破裂しますよね流石に。もうちょっと空気読んで破裂してほしかったとは思いますけど」

「それなー」

 

 二人の会話は他愛ない、昼間の出来事のことだった。突如始まったビーチバレー勝負の結果は、沖田の三段突きと信長の宝具の衝撃に耐えきれなくなったボールの破裂による引き分けという、なんというか、彼女ららしいぐだぐだした幕切れで終わった。当事者たる沖田も信長も、間の抜けた顔を浮かべて硬直していたのがお互いの目に映ったのが記憶に印象付けていた。

 

「どうするんです? 勝った方は負けた方に対する一回絶対命令権ゲットーってやつ」

「あー、そういやそんなんあったのう。忘れとったわ」

「もう。それ言い出したのノッブじゃないですか。あそこで私が勝ってたら忘れたーとかいってはぐらかすつもりだったでしょ」

「なんじゃ。おき太にはわしがそんなつまらん人間に見えるのか?」

「……そう言われたら見えませんけど。でもそれはそれとしてなんだかちょっと不完全燃焼って感じですよね」

「わしだけに?」

「上手いこと言ったつもりですか」

 

 はあぁぁぁぁぁ。と、暮れの浜辺の雰囲気に呑まれたかのような、重いため息を吐く沖田。目線の先はざざーん、と寝息のような波音を立てて、眠りにつくような静けさの海の向こう。郷愁的な真夏の夕暮れは、沖田に1日の呆気ない終わりに対するつまらなさを感じさせていた。

 ノスタルジックな沖田の横顔を、信長は物珍しく眺めていた。

 

(————なんじゃ。沖田の奴、こんな顔もするのか)

 

 沖田と信長の付き合いは長い。勿論、英霊となってからであるが、度々同じ所に召喚され、その度につるんでいる記憶が彼女らにあったからである。お互いがお互いを腐れ縁、などとは言っているが、お互いの考えていることもなんとなくわかる、そのくらいの仲でもあった。けれども、今の沖田の顔は、長年付き合ってきたような仲の信長の前でも見せないような珍しい表情であった。

 

(……そうやって黙っていればまあ、悪くはない女なんじゃがな)

 

 そう思考を巡らせ、漸く信長は沖田の全体像を見た。すすきのようにしなやかで、月の光のように透明な姿だった。

 濡れた水着がべったりと付く肌は、生前病弱であったこともあり、雪のように真っ白だ。全体的に黒いハイレグ型に水着は、そんな彼女の肌やなよやかな体の線をかえって目立たせる役割を持った。若々しい肉体は、割られた果実のように瑞々しく感じられた。眩しいばかりに白く研ぎ澄まされた女体である。胸は馬鹿の一つ覚えのような大きさでもなく、かといって涙を唆るほど発育の乏しいわけでもない、けれどもそのほっそりとした身体と比べると、驚くほど生命力に溢れ、美しく、清潔な豊かさがあった。

 

「あー! ノッブ、今私の体見てたでしょう! ついに沖田さんのパーフェクトボディに気がついたんですね!」

 

 声に気づいて目線を上げると、先程の表情から一転、ニヨニヨ、あるいはニヤニヤといったオノマトペが付きそうな笑みを浮かべている沖田の姿があった。

 信長はハン、と鼻で笑うかのような態度で言う。

 

阿呆(アホウ)、如何にも人斬りサークルで囲いを生み出しまくってそうな胸してんなって思っただけじゃ」

「とか言っておいてー? 本当は沖田さんに見惚れてたんでしょう? もー、ノッブったら素直じゃないですねー♪」

「…………」

 

 沖田は揶揄う口実が出来たと言いたいのか、ここぞとばかりに信長をおちょくった。反対に、信長の方は先刻とは打って変わって黙りこくっている。沖田は図星と思ったのか、さらに揶揄おうとし、

 

「ほらほらー、正直になったらどうですー? もっと見ても——」

「……ほう?」

 

 信長は底冷えするような低い声を出すと共に、勢いよく沖田に迫り、押し倒すかのように彼女に覆いかぶさった。信長のされるがままのように後ろに倒れ込み、信長はその様子を見て今度はこっちの番とばかりにニヤリと嗤った。

 

「————……ふぇっ?」

「何を呆けておる。お主が正直になれと言うたからこうしたまでじゃ。不満か?」

 

 突然のことに理解が追いついていないとばかりにきょとんとした顔を浮かべ、上擦った声を上げた沖田だったが、信長の手が次第に臀部に近づき、彼女の指と布地が触れた所で、ようやく沖田も事の状況を理解したようで、

 

「……冗談ですよね?」

「儂がここまでして冗談に聞こえるとは、沖田は真性の阿呆らしいな?」

「……誰かが来ても知りませんよ」

「知ったことか」

「……じゃあ私も知りません。勝手にしたらどうですか」

 

 他人事のようなこと言って、体をうつ伏せにして腕を組み、顔をうずめる。そんな彼女を見て、信長はふっ、と笑った。やがてそのまま沖田の耳に顔を近づけると、

 

「……こっちを向け」

「……いーやーでーすー」

「いいからこっちに向け沖田。さっきの勝負の続きにもならんじゃろうが」

「……勝負? って————ぁ」

 

 思わず、沖田が振り向く。途端、声は途切れ、影が重なる。

 暮れの浜辺で響く水音。密着する少女たちは、お互いがお互いの身体の感触を確かめ合おうとするかのように、艶やかしく舌を絡ませあい、次第に息遣いが荒くなる。

 

「んっ…………っはぁ、ぁん………ぁ」

 

 頬は赤く染まり、唇の隙間を埋めあうかのように塞ぎ合う。熱くなった唾液と唾液が混ざり、どちらのものかなど最初からわからなくなる。こうなれば沖田も信長を求めるように腕を彼女の背中に回し、信長も沖田の体を抱き締めるような体勢となり、動きにより一層激しさを増していく。

 

 結局、彼女らが宿に帰ってきたのは、誰もが寝静まった後であった。そして二人の夜は何処までも続いて————————。

 

 

 

 

 

 




沖ノブのえっちなやつ増えて……(とどかぬおもひ)

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