ロックマンゼロ ~紅き英雄の帰還と再び動き出す因縁~ 作:M・M
前々からゼロとシエルのお話を書きたいと言っていましたが、とりあえず番外編という事で書きました。と言ってもただほのぼのしていて、ほんのり甘めの2人です。
2章と3章の幕間という事で後1話書くかも知れないですが、それはともかく先にこれまでの設定集を書く予定です、強引に進み過ぎた為か説明不足な所があると思うので。
では、どうぞ。
皆が揃ってから次の日の朝、ゼロはシエルの部屋に呼び出されていた。
シエル「新しいフォームはどうだった?」
ゼロ「イカロスフォームの事か。俺にとっては全く経験の無い戦闘スタイルになったが……使いやすかったぞ」
シエル「ごめんなさい。本番で初めて使うなんて事になってしまったのは私のせいだわ」
ゼロ「気にするな。時間が十分に無い状態で無理を言っている事は俺も分かっている……作ってくれただけでも凄く感謝している。実際アレがあったお陰で勝つ事が出来たからな」
シエル「でも、もしも不備があってゼロが危険な目に遭ったりしたら……」
ゼロ「その時は俺が何とかしてみせるさ」
シエル「もう……答えになってないわ」
ゼロ「……お前の作る物にそんな事は無いと俺は信じている。もっと自分に自信を持て、シエル」
シエル「!」
ドクン、と心が跳ね上がったのはまた別のお話。
シエル「……分かったわ」
ゼロ「それで、俺に何か用があったんだろう?」
シエル「えぇ。早速だけど、新しいフォームをもう1つ既に開発済みよ」
ゼロ「……速いな」
ゼロは驚いていた。
シエル「恐らくだけど……次にゼロ達が行く海底基地はまた激戦になる可能性が高いわ」
ゼロ「あぁ。俺もそう思っている」
シエル「だから少しでも楽をさせられる様に皆の装備を開発してるの」
ゼロ「無理してないか?」
シエル「大丈夫よ。それに私達よりもゼロ達の方が余っ程大変な思いをしているじゃない」
ゼロ「それが俺達の任務……いや、使命だ」
シエル「使命?」
ゼロ「ヴァン達は世界を守る為に戦っている。勿論俺もその思いは同じだ……だが俺は、俺がこの世界に再び生き返った理由はきっとバイルを止める為だと思っている」
シエル「ゼロ……」
ゼロ「それが、俺の宿命……この世界での因縁という事だろう」
シエル「抱えん込んじゃダメよ、貴方は1人じゃないんだから」
ゼロ「あぁ。皆を頼りにしている」
シエル(ゼロ……良い感じに丸くなったわね。クールな所は変わってないけど、皆を信頼している想いが伝わってくるわ)
いや、昔の彼もクールの中で彼なりの優しさを出していた。元々は優しい性格なのだ。
そして先程自分を信じていると言った時や皆を頼りにしていると言った時に出した微笑み。
シエル(普段がクールなだけに、ドキドキしちゃうのよね///)
ゼロ「ん?シエル……顔が赤いぞ?」
シエル「な、何でもないわ///」
そしてコホンと咳払いして、
シエル「話が逸れたわね。長々と説明するのもアレだから簡単に説明するわ」
そして彼女は1つのデータメモリを取り出した。
シエル「この赤いメモリがタイタスフォーム。近接戦特化なのは変わりないけど、セイバーメインじゃ無くてゼロナックルとゼロレガースでの格闘戦がメインとなるわ」
ゼロ「殴りと蹴りが基本か……」
シエル「アーマーがそれなりに重くなっていて回避性能はあまり良くないの。だから貴方にとっては少し使いにくいフォームになるけど……その代わり防御力はかなり高くて、エネルギーを使う事で特殊な防御壁を張る事も出来るの」
ゼロ「なるほど」
シエル「勿論セイバーも使えるわ。ただ通常状態の様な片手剣じゃなくて、大型のセイバーになっているけど、攻撃力は中々よ」
ゼロ「あくまで付属品だな」
シエル「えぇ。基本は大型になるナックルとレガースでの戦闘が基本となるから」
ゼロ「使う場面があるかは分からんが……防御面に関しては使う時があるだろうと思う」
シエル「それなら良かった。まぁ細かい事は実際に使ってみると良いわ」
ゼロ「あぁ。そうさせて貰う」
そう言ってゼロが部屋を出ようとすると、
シエル「あ、ゼロ」
ゼロ「ん?」
シエル「これからすぐに訓練に行くの?」
ゼロ「何も無ければそうしようと思っているが」
シエル「そ、そう……頑張って」
ゼロ「……お前こそ、早速開発に勤しむのか?」
シエル「まぁ、そうなると思うけど」
ゼロ「………シエル、時間が無いのは分かっている。だが、今日位は休んでみないか」
シエル「え?」
ゼロ「カンナに行こう」
シエル「え……?」
ゼロ「お前も忙しいし俺も色々と考えたい事があるが、時には気晴らしも大事だろう」
まさかの。失礼だが昔の彼なら絶対こんな事は言わないであろう外へのお誘い。
決して浮いた話等では無いが、彼がこんな事を言ってくれた事に関してシエルはまだ理解が追いついていなかった。
シエル(ゼロが?私を?)
ゼロ「……無理なら、無理だと言ってくれ」
呆然としている私を心配に思ったのかゼロが少し不安げにそう言った。
シエル「い、いや……」
ゼロ「嫌か」
シエル「その嫌じゃ無くて……その、良いの?」
ゼロ「あぁ。お前の都合が良いのなら」
シエル「分かったわ。行きましょう」
ゼロ「すまん。誘ったのは良いが何をするか等は一切決めてない」
シエルは思わず吹き出してしまった。
シエル「じゃあ、今が9時だから……1時間後に出発しましょうか」
ゼロ「了解だ」
そう言って彼とは別れ、艦内を歩いていると廊下でエールとアッシュに会った。
エール「ん?シエルさんどうしたんですか?」
シエル「え?」
アッシュ「凄く嬉しそうだけど」
シエル「嬉しそう?私が?」
アッシュ「女の顔してる」
シエル「お、女って///」
エール「でも、実際嬉しそうと言うか、凄くニヤニヤしてますよ?」
シエル「ニヤニヤなんて……」
ここでエールが手鏡を見せた。
シエル「……してるわね」
どう見てもニヤニヤしていた。
アッシュ「白状したらどう?」
エール「アッシュ……」
休憩室にて、プレリーも混ぜて続き。
3人「ゼロ(さん)からお誘い~!?!?」
シエル「声が大きい!///」
プレリー「お姉ちゃんデートだよ!」
シエル「そ、そんなんじゃ無いわ///」
アッシュ「ゼロさんってそういう事には全く興味ないねって感じだけど……」
エール「意外と抜け目ないね」
シエル「単に出掛けるだけだから……色々と買いたい物もあったし」
アッシュ(やっぱりゼロさんってシエルさんに気があるわよね)
エール(やっぱりずっと昔から相思相愛だったんだね……何だかロマンチック)
何だか妙な勘違いをしている2人はともかく、
プレリー(良いなぁ)
羨ましがるのも居たり。
シエル(大体話の流れからして次に来るのは!)
アッシュ「シエルさんってゼロさんの事が」
シエル「もう約束の時間だから行くわね!」
まだ予定の10時より15分位早いが誤魔化して行く事に。このままだと自分にとって少々危険(笑)な展開になりかねない。
アッシュ「あ~あ、逃げられちゃった」
エール「また今度話を聞いた時には逃がさない様に部屋の施錠とかしてれば良いんだよ」
プレリー「え、エール……そんな真顔で凄い事言っちゃダメよ」
アッシュ(何だかんだでこの中で1番ヤバいのはエールなのかも知れない……)
ガーディアンベースの入口で待ち合わせだったが、アッシュ達に捕まったせいで結局準備をしていなかったので5分遅れてしまった。
入口で待っているゼロを見付けて、
シエル「ご、ごめんなさい……」
ゼロ「構わない。それより随分息を切らせているが何かあったのか?」
シエル「ちょ、ちょっとね……」
ゼロ「まぁ、そういう所は詮索しない方が良いな。アッシュが良く言うデリカシーと言う物か」
シエル(あ、アッシュ……)
ゼロが知らない内に色んな事を吹き込まれている。デリカシーについては正しいが、変な事は吹き込まないで欲しいものだ。
シエル「とりあえず、行きましょうか」
ゼロ「あぁ」
買い物があるのも事実ではあるが、思えばこんな風に普通に出掛けるのは久し振りだ。
シエル(よりによって相手はゼロ、しかも2人きり。これがまだ女同士とかだったら良いんだけど……うぅ、緊張する///)
ゼロ(……俺と2人ならまだ楽に話せると思ったんだが、シエルはまだ硬いな)
逆効果な事を全く知らないゼロ。
着いたらまずはシエルの買い物に付き合う。どうやら沢山買う物があるみたいだ。
ゼロ「工具だとか、ジャンクパーツだとか……沢山あるんだな」
シエル「えぇ。装備を作るとなるとやっぱり膨大な数の資材が必要となるから」
ゼロだからこんな買い物が出来る。ヴァンとグレイに頼むと喜んで付き合ってくれそうだが何か悪いし、エールとアッシュからは絶対に「女性がこんな物買ってたらダメでしょ!」って言われそうだし。彼はまぁ固定概念という物が存在してないから付き合ってくれるだけなのだろうけど……それでも嬉しかった。
ゼロ「……そう言えば」
ジャンクパーツを手に取って見ていた時にふと彼がそう言った。
シエル「どうしたの?」
ゼロ「シエル、今日は見た事の無い服装だな」
シエル「え?私?」
ゼロ「俺が知っているのは昔のピンクの服装と今の普段ガーディアンの制服だとか白衣位しか知らないからな」
シエル「ま、まぁ……」
何だかんだでデートという言葉を意識してしまったのもあり、桃色の長袖ロングのカジュアルワンピースという服装である。
シエル「変、かしら?」
ゼロ「悪い、ヴァン達なら良いコメントが出て来そうだが俺は良く分からん。ただ……」
シエル「ただ?」
ゼロ「お前には、昔の服装もそうだったがピンクが似合っていると思う」
シエル「!!!」
心拍数が急速に上がり、顔が紅潮するのを感じた。本当に彼の言葉は良い意味で心臓に悪い。
シエル「ありがとう///」
まぁこんなやり取りをジャンクパーツ店でやっていてもロマンチックの欠片すら無いが。
ひとまず目的の買い物は済んだ。これで後はフリーになるが……
ゼロ「先に食事にしたらどうだ」
シエル「もう昼ね。そうするわ」
どうやらシエルは何処に行くのかは決めていたらしく、ゼロの前をスイスイと歩いて行く。
歩く事数分後、気が付くとかなり高い所におり随分歩いたなと実感した。
高台にある喫茶店に入ると、シエルはテラスの方に出た。都市を一望出来るとても見晴らしの良い場所で、シエルはこれが目当てだったらしい。
シエル「良い場所でしょう?」
ゼロ「なるほど……確かに良い景色だ」
都市の中心部よりかは離れているがどうやらこの景色目当てに沢山の客が訪れていた。
ここカンナの良い所はこんな公共の場にゼロみたいなレプリロイドが普通に居ても何もおかしく無くてゼロにとっても居心地が良い。
シエルも食事を楽しんでいる様で、彼女のとびっきりの笑顔を拝む事が出来た。
ふとゼロを見ると自分を見て微笑んでいるのが分かった。何というか……
シエル(反則///)
ゼロが昔と随分変わったと言えば変わったけど、本質的な所は変わっていないし前々から思うのは……昔みたいにただ戦うしかなかったあの時よりも、どちらかと言うと今の彼が「彼自身」を出している感じがする。
クールだけど熱いハートを持っていて、不器用でもとても優しくて、今回外に誘ってくれたのも彼なりの優しさだったのかも知れない。
何よりとても仲間思いであり、それは普段のヴァン達とのやり取りで分かる。
シエル「ごちそうさまでした」
ふとゼロをまた見ると、都市の方を見つめていた。何やら考え込んでいる模様。
シエル「ゼロ……?」
ゼロ「ん?どうした?」
シエル「……何、考えてたの?」
ゼロ「……カンナも、俺が行ったハンターベースでもそうだったが、ヒトビトはそれぞれ悩み事も大変な事も抱えながらも今を生きている」
シエル「えぇ。誰もが皆普通に生きているわ」
ゼロ「普通か。普通、という言葉がどういう事を指すのかは分からない。ただその普通の中にある当たり前の幸せという物を守りたい」
シエル「当たり前の様に今を生きているけど、それが無くなった時にその当たり前がどれだけ幸せだったかって気付くのよね」
ゼロ「その普通を壊そうとするバイルは許せん」
シエル「私も、同じ気持ちよ」
強く、彼女はそう言った。
ゼロ「戦うしか無い俺がこんな事を言うのも変だと思うが……」
シエル「そんな事無いわ。その気持ちがあるなら貴方は戦うだけの存在なんかじゃ無い」
ゼロ「シエル……」
シエル「その力を、破壊じゃ無くて何かを守る事に使いましょう」
ゼロ「……あぁ」
彼の心境にも変化が現れていた。彼が今の世界を見て何を思っているのかは分からない。けれど、彼なら……私達なら、世界をきっと変えられると信じているから。
~ガーディアンベース 休憩室 ~
アッシュ「で?その後は?」
シエル「また知らない場所を巡ったりしたわ。随分色んな物を買っちゃったからゼロの荷物を随分重たくしてしまったのよ……」
当の本人は「構わない」と沢山の荷物を持ってくれていたが、罪悪感を抱いてしまう。
エール「良いなぁ、私もまだまだカンナには行きたい所があるんだ」
アッシュ「私も~」
プレリー「またいつか、楽しく皆で行ける日が来れば良いわね……ゼロ達には悪いけど女子だけで行ってみたいわ」
シエル「そうね……」
アッシュ「流石にムフフな展開は無かったか」
シエルが飲んでいたお茶を吹き出しそうになってそれを抑えた為に咳き込んでいる。
シエル「アッシュ、そういう事を言わないの///」
アッシュ「でもゼロさんも中々やるねぇ」
エール「何というか、天然キラーだよね」
プレリー「お姉ちゃんだけじゃなくてアレが自然に出てるのも中々にタチ悪いわ」
シエル(ゼロ……)
色々と複雑だったシエルであった。
一方ゼロの私室。
ヴァン「カンナに行ったんですよね。良いなぁ、俺も無理してでも外に出ておけば良かった」
ゼロ「ヴァン達は何をしていたんだ?」
ヴァン「少し訓練したら、全員何か眠気が襲ってきて数時間位寝てしまったんです」
ゼロ「お前達は人間なんだからちゃんと睡眠を取らないと駄目だ。取れる時に取っておかないと大変な事になるぞ」
ヴァン「はい……」
ここでグレイが言った。
グレイ「ついでに僕もカンナに行ってましたよ」
ゼロ「そうなのか?」
グレイ「はい。僕も適当に色んな所行っていただけですけどね」
それでも楽しかったです、とグレイは続けた。
ゼロ「1つ、思った事があった」
グレイ「どうしたんですか?」
ゼロ「俺達は、世界中に居る無数のヒトビトの願いを背負っているのだと」
ヴァン「無数の願い……」
ゼロ「残念ながら、ナンバーズや四天王ともなると戦闘レプリロイドでも手も足も出ないだろう」
グレイ「……そうですね」
ゼロ「シエルにも話したんだが、俺はそういうヒトビトの当たり前を守りたい」
ヴァン「当たり前、か」
ヴァンはとある少女の事を思い出していた。
グレイ「頑張らないといけないですね、他のガーディアンの皆も必死に戦っているのだから」
ゼロ「……お前達は良く頑張っているさ。戦いから逃げずに、現実をちゃんと見ている」
ヴァン「この力を持っている事以上、俺にも世界を守る責任がありますから。と言っても、責任があるから戦っている訳じゃありません」
ゼロ「自分の守りたい物の為に、か」
ヴァン「はい」
グレイ(2人とも凄いなぁ、それに対して僕は……僕にとって守りたい物、戦う意味は……)
それぞれ色々と思う中、世界が破滅するカウントダウンは刻々と進んでいた……。
もう気が付けば10月の後半、自分の誕生日がもうすぐで妙に嬉しいなっと。
アッシュ「自語はしなくて良いから」
M・M「……酷いや」
グレイ「容赦無いな……」
アッシュとグレイをゲストに迎えて少なめですが後書きを。
アッシュ「今回は少なめだったわよね」
M・M「確かに6000ちょいだから少なめか」
グレイ「まぁ番外編だから……」
M・M「そうだよ(便乗)」
アッシュ「ゼロさんとシエルさんの関係がもどかしいなぁ~」
グレイ「シエルさんには幸せになって欲しいよね、随分ハードな人生送ってるみたいだし」
M・M(グレイもそうじゃないか……良い子な彼の後の展開にもご期待下さい)
アッシュ「第3章はどんな感じ?」
グレイ「直球だな……」
M・M「今まで何とか頑張って来たけど、ここから結構暗い展開になっていく予定」
アッシュ「……聞かなきゃ良かった」
グレイ「やれやれ……」
M・M「まぁ次の予定は上述した通りにやりますので宜しくお願いします。それでは皆様次のお話でお会いしましょう(*・‐・*)/」
コメント・アドバイス是非ともお願いします。