ロックマンゼロ ~紅き英雄の帰還と再び動き出す因縁~   作:M・M

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どうも、またお久しぶりです(;´Д`)
最近超亀更新になってて申し訳ないです。

現状等をここに長々書いてもアレなので詳細は後書きの方で。

タイトル通り今回は懐かしいあの人が登場します。タイトルで察する方もおられるのではないでしょうか。

では、どうぞ。

※追記 設定集のエールの内容を追記。現状の性格や口調に移った成り行き等(原作のエールはもっと明るく口調も違うので)を追記。

追加 ゼロのトリプルロッドとチェーンロッドの説明を加え忘れていたので追加。


-紅き英雄と懐かしき軍人-

あの巨大兵器の事件から2日。ガーディアンベースはそのままシロツメに駐在し復旧作業を行っていた。ヴァンとグレイは艦の中に、エールとアッシュはプレリーと共外に出ていた。

ゼロは1人艦長室に残っており、どうするか悩んでいた。

 

 

ゼロ「……さて、どうしたものか」

プレリー達が何処に行ったかは聞いていないが、自分1人だけのんびりしておくのも気が引けた。それに……

 

ゼロ「とりあえず外に出るか……」

 

 

 

先日の騒動による被害はゼロ達の活躍により壊滅的な物にはならなかったものの酷い事には変わりなかった。

 

ゼロ(あの巨大兵器……名前はイプシロン、だったか。前のリヴァイアサンといいデカければ良いと思ってるだろ)

 

この件をシエルに連絡した所、何とシエルはこのイプシロンの開発に関わっていたらしい。

 

~昨日の夜~

 

ゼロ「イプシロン?」

シエル「元々の案は災害等の時の救助用マシンだったのだけど……それがまさかああなるなんて」

ゼロ「当初のイメージ通りなのか?」

シエル「写真見せて貰ったけど……原型も無いわ」

ゼロ「じゃあ何で分かったんだ?」

シエル「送られてきたデータの中にそれぞれのパーツのデータがあったの。そのパーツの型式番号がかつての制作図と一致してるのよ」

ゼロ「なるほど」

シエル「前のリヴァイアサンもそうだった……バイルの手で凶悪な機械へと変わってしまう」

 

声越しで分かる程、彼女は悲しそうだった。

ゼロ「……あぁ」

 

シエル「向こう側にイプシロンがあったとなると、技術をそのまま別の事に使っている可能性が高いわね」

ゼロ「まさかあんな風の機械がまた出て来るのか?」

シエル「複製も……考えられない訳じゃないわ」

ゼロ「……勘弁願いたいものだな」

シエル「えぇ……ガーディアンの皆も、かなり疲れてきているもの」

ゼロ「お前の方は大丈夫なのか?」

シエル「大丈夫。まだ辛うじてローレルは一番被害を受けていないし安全よ……今は、まだ」

ゼロ「いつ奴等の魔の手が来てもおかしくないからな……」

シエル「それよりゼロ達こそ大丈夫なの?」

ゼロ「大丈夫……とは言い難いな」

シエル「皆かなり……戦意が失われつつあるわね」

ゼロ「アイツ等には休めと言っておいた。無茶はしないとは思うが」

シエル「ゼロも、無理しちゃダメよ」

ゼロ「善処はする……だが、可能性は低いだろうな」

シエル「ゼロ……」

ゼロ「安心しろ、何とかする」

 

 

 

という会話をしたのを思い出した。

 

ゼロ「さて……」

やって来たのは一番被害が酷かった中心部。見るも無残に破壊し尽くされており、先日の戦いの激しさを思い出させる。

 

ゼロは避難民用のシェルターを探していた。というのも、ヴァンに人探しを頼まれたからだった。

 

ゼロ「まずシェルターが見つからん……」

 

 

だが少し都市内を移動すれば見つかった。人だかりを見付けて行ってみれば辿り着く事が出来た。

 

シェルター内部はごった返しになっていたものの想像していた程悪い環境では無かった。

ゼロ(もっとこう……失礼だがスラムの様なイメージだったが普通みたいだな)

 

だが普通と言っても決して良いものでは無く、衛生環境等も良いとは言えず病気に掛かる者も現れている。

ゼロ(辛く、ずっしりとした空気がこのシェルター内を包み込んでいるかの様だ……)

 

受付をしていたのはガーディアンだった。

受付隊員「あっゼロさん」

ビシッと敬礼する隊員に対して「敬礼はいらん」と答えて、

ゼロ「少しここに居る者達のリストを見せてくれないか」

受付隊員「了解しました。少々お待ち下さい……」

 

少し待って、受付から渡されたデータを見る。名前順や所属等でソート出来て中々便利だ。

 

ゼロ(……リン、だったか)

ヴァンから頼まれた人探し。それと同時にこの都市で出会った少女リンとの話も聞いた。

 

ゼロ(ヴァンが万全の状態じゃなくともイプシロンとの戦いに行きたがったのはそういう理由からだったのか……)

 

そんな事を考えながらリストを閲覧していく。このシェルターに居る全員のリストであり、数が多過ぎるのでソートを使って名前順にしている。

 

ゼロ「リ、リ……ん、あった。3人も居るな」

ただリストにリンとだけ登録されているのが3人。この3人の内にヴァンが探すリンは居るのだろうか。それとも……

 

ゼロ(……ヴァン、酷な事だが最悪の場合(・・・・・)を考えておいた方が良いと思うぞ)

 

3人のデータの中の顔写真付きとヴァンの教えてくれた容貌と一致するか確かめる。

 

 

ゼロは実際最悪の場合というのを考えていたが、幸いな事に恐らくヴァンの言うリンであろうデータが見つかった。容貌も年齢も一致している。

 

 

早速会いにいく事にした。

 

 

~数分後~

 

ゼロ(……あの少女か)

ヴァンは母親の事も心配していたが、彼女は母親であろう女性と共に居た。

 

ゼロ「すまない、少し良いだろうか」

リン母「何でしょうか……?」

 

 

まずは自分がガーディアンである事を話して、ヴァンの事を伝えると2人が知っている事からして本人達である事が確認出来た。

 

あの戦いの時、彼女達の家はイプシロンによって完全に破壊された区域だったが、偶然にも2人して出掛けていた為に助かったらしい。

 

ゼロ「大変……だったんだな」

リン母「……ですが、この子も私も生きています。それだけでも幸運でした」

リン「赤いお兄ちゃんはヴァンお兄ちゃんのお友達なの?」

ゼロ「ん……友達、か」

 

友達。自分にとっての友達とは……

 

考え込む自分に、首を傾げるリン。ハッとして現実に戻る。

 

ゼロ「あぁ、そうだ」

 

きっと、そうでありたい。

 

ゼロ(……そうだ)

どうやら何か思い付いた模様のゼロさん。

 

まだ少し慣れない手つきでGATを操作する。するとゼロはGATをリンに手渡した。

 

リン「???」

ゼロ「電話と同じ感じにしてくれれば良い」

リン「電話?」

 

すると、

ヴァン「もしもし?ゼロさん?」

リン「ヴァンお兄ちゃん!」

ヴァン「へ?その声……リンか!?」

リン「そうだよ!」

ヴァン「えっ、でもゼロさんから掛かってきたのに何でリンが……?」

リン「赤いお兄ちゃんから代わってもらったの」

ヴァン「赤いお兄ちゃん……ゼロさん、探し出してくれたんだ」

 

 

それからリンとヴァンの楽しそうな会話を横目に微笑むゼロ。

リン母「わざわざありがとうございます」

ゼロ「気にする事はない」

 

 

しばらくして。

 

ゼロ(出来る事ならこのまま話させてあげたいが、他の場所も確認しておきたい)

「すまない、そろそろ良いだろうか」

 

リン「うん、ありがとう!」

リン母「本当にありがとうございます」

 

ゼロ「……また、ヴァンも会いに来るだろう」

 

そう言ってGATを返して貰い、

ゼロ「良かったな、ヴァン」

ヴァン「……はい。本当に、良かった」

ゼロ「怪我が治ったら会いに行ってやれ」

ヴァン「勿論です……ゼロさん、俺のわがままを聞いてくれてありがとうございます」

ゼロ「……問題ない」

 

そう少しぶっきらぼうに返す彼、だが言葉の端々には優しさを感じられた。

 

 

ヴァンとの通話を切り、再び破壊された都市部を歩く。歩きながら色々と考えさせられた。

 

ゼロ(あの場所で生活せざるを得なくなった彼等でさえ、希望を失わずに毎日に負けない様に生きている……俺達の責任だ、と罵られてもおかしくは無かったのだが)

 

実際それ位の覚悟は出来ていた。

 

ゼロ「強いな、今を生きるヒトビトは」

 

 

その時、

「ゼロさーーん!」

 

ゼロ「ん?」

確かに自分を呼ぶ声がした。声がした方向に振り向くと、少し前のビルの頂上からアッシュが両手を振っているのが見えた。

 

ゼロ「アッシュにエールか」

 

軽々と壁蹴りで上まで昇る。

 

ゼロ「2人とも、ここに居たか」

エール「何かあったんですか?」

ゼロ「いや、そういう訳じゃないが」

アッシュ「ゼロさんもジッとしてられないタイプなんですね~?」

ゼロ「……まぁ、否定はしない」

 

 

シェルターの事を話し、エールとアッシュ達からも別のシェルターの話を聞いた。

 

ゼロ「そうか、頑張っているんだな」

エール「……実は、シェルターに居た方々に自分達がガーディアンである事を明かしたんです」

ゼロ「……大丈夫だったのか?」

エール「正直、怖かったです」

アッシュ「アタシも、ヒヤヒヤしたよ」

 

エール「皆さん、多分心の中ではきっと色々言いたい事があったのだと思う。だけど、そこに居た皆さんは何も言わずに私達の方も大変だったねって労ってくれました」

 

ゼロ「俺も同じだ。流れ的にガーディアンである事を明かしたが、罵られる覚悟でいたからな」

 

アッシュ「……優しかったよね、凄く」

エール「……うん。嬉しかった、その心遣いが」

 

ゼロ「何だか2人ともスッキリした顔をしているな。特にエール」

エール「私、そんなに暗い感じでしたか?」

ゼロの言葉に思わず自分の顔を触って赤面するエール。そこにアッシュも「間違いない」と笑って付け加えた。

 

エール「……罪悪感、でしょうか」

ゼロ「罪悪感?」

エール「前に話したかと思いますが、私は今までに沢山の大切な人やモノを失ってきました。それによる罪悪感で戦っていたのかも知れません」

ゼロ「まるで戦う事が償いかの様だな」

エール「そう、心の何処かで思っていたのでしょうね」

アッシュ「けど、違ったんでしょ」

エール「えぇ。そんな罪滅ぼしの様な戦いをしていればいつか心を壊して、また大切な何かを失うって思う」

ゼロ「……ふむ」

エール「変わらなきゃいけないんです、私も、ヴァンも」

 

ゼロ「変われるさ、お前達なら」

エール「良いパワーを貰えましたね、ゼロさんの言う通り何だかスッキリ出来た気がします」

アッシュ「良い話してる所悪いけどさ、そろそろ帰らないと艦長(プレリー)に怒られるわよ」

 

エール「そうね、帰ろう」

ゼロ「あぁ」

 

だが、その刹那。

何かとは説明しにくい直感的なものを感じた。

 

ゼロ(何だ……この凄まじく嫌な感じは)

 

エール「ゼロさん?」

エールとアッシュが心配そうに見ている。

 

ゼロ「……すまん、先に帰っていてくれ。それとプレリーに野暮用が出来たから遅くなると伝えておいて欲しい」

 

アッシュ「野暮用って?」

 

アッシュの問いかけに答える事なくゼロは走り去って行った。

 

アッシュ「あっ……もう行っちゃった」

エール「何なんだろう……けどゼロさんの事だからすぐ帰ってくるでしょ」

アッシュ「しょうがない、私達は帰ろっか」

 

ゼロの言葉通りエールとアッシュは一足先にガーディアンベースに帰る事にした。

 

 

 

 

あれから走って、今日訪れたシェルターの近くまで戻ってきた。

 

先程のは何だったのかは分からない。ただ一つ分かる事は、先程の嫌な感じは気の所為だった……なんて事は無く逆に鋭く、ゼロの体に突き刺さるかの様に強まっていた。

 

 

ゼロ(……気の所為であって欲しかったんだが)

 

もし戦闘になるのならばかなり場が悪い。沢山のヒトビトが近くに居る状況でまともに戦えるとは思わない。

 

 

 

それでも、現実はそう優しくは無かった。

 

ゼロ「ッ!」

何処からともなく飛来してきた斬撃を回避する。

 

その斬撃は、何か分からない筈なのに何処か懐かしいものだった。

 

ゼロ「誰だ!」

???「……私だ」

 

ザッ、ザッ、と砂利の上を歩く音を立てながらゆらりと現れたその人物。

 

 

ゼロ「!!!」

 

黒く尖った軍帽、そして黒い軍服のアーマー。そして自分のセイバーとは違い棒状の長いセイバーを片手に携えた、いかにも軍人という表現が正しいであろう。

 

ゼロ「お、お前は……うっ!」

ズキリと頭が傷んだ。それと同時に失っていた自分の記憶が流れ込んだ。

 

 

ゼロ「カー……ネル」

カーネル「……覚えていたか、いや思い出したと言うべきか」

 

ゼロ「お前は確か、俺が倒した筈だ」

カーネル「そうだな」

ゼロ「なのに、何故今になって……」

カーネル「ただ一つ、世界を変える為だ」

ゼロ「世界を、変えるだと……?」

 

カーネル「貴様に敗れてこの命を散らした筈だったが、どうやら私は新たに生まれ変わったらしい……全てはこの世界を変えるべく」

 

ゼロ「まさかお前は、バイルに……」

 

カーネル「あの男が何の目的で私を蘇らせたのかは分からん。奴に従うつもりは無いしメリットは皆無だというのに私を強くした」

 

ゼロ「……そうか。なら聞こう、何の用だ」

 

 

 

カーネル「貴様を破壊する事だ、ゼロ」

 

その瞬間にカーネルは加速しその剣を振りかざす。不意打ちにも近いこの一撃を何とか受け止め、鍔迫り合いをしながら話し掛ける。

 

ゼロ「何故だ……お前と戦う理由は無い筈だ!」

カーネル「貴様には無くとも私にはある!」

 

1度飛び退き斬撃を無数に飛ばしてくる。

ゼロ「クッ……」

 

避けながらバスターを撃つ。だがバスターの弾は易々と弾かれた。

 

カーネル「今のレプリフォースは私の望んだ物では無い……変わってしまった」

ゼロ「だからそれをお前が変えると言うのか!」

カーネル「そうだ!そして、まずは世界を管理しているガーディアンを潰す事……何よりもそのガーディアンに入っている貴様を破壊する事!それが私の成すべき事だ!」

 

ゼロ「違う!お前は深く勘違いし過ぎだ!」

 

 

カーネル「そんな言葉が通じると思っているのか!貴様や貴様の友人もそうだった……私がずっと持ち続けてきたプライドを軽々とへし折っていった……それが、それが許せなかった!」

 

ゼロ「だからそれが思い違いだって事に気付け!お前はまた間違えるつもりか!」

 

カーネル「バイルとやらには感謝している。奴の思想等に全く興味は無いが……こうして自分の成すべき事を成す為の力を与えてくれた!」

 

ゼロ「……あの時よりも強く言ってやる、見損なったぞカーネル!」

カーネル「黙れ!貴様は……貴様だけはこの手で破壊する!」

 

もう話し合いは無駄だと諦め戦う。

 

全ては思い出せていない。だが先程の頭痛、その時に過去にあった事を幾分か思い出したのだった。自分や親友エックス、かつてのカーネル、そして……自分が破壊したカーネルの妹アイリス。

 

 

気が付けば自分はイカロスフォームになっており、激しい高速戦闘を繰り広げていた。

 

だが、相手は強かった。イカロスフォームの自分と同等のスピード、なのに凄まじいパワー。一撃でも被弾は許されないという状態でゼットセイバーとカーネルのビームソードが何度も交わった。

 

 

 

数分後。

 

カーネル「……弱くなったな。かつての貴様の面影も無い」

ゼロ「……」

 

どうだろうか。かつての自分と今の自分はどちらが強かったのかは分からない。

 

剣を地面に突き刺して肩で息をするゼロ。それに対し余裕そうなカーネル。数分の間の戦いの中で両者の力をぶつけ合った結果がこれだった。

 

カーネル「何とか言ったらどうだ」

ゼロ「……それで、満足か?」

カーネル「何だと?」

ゼロ「誰かに改造されて強くなった力で俺を倒して、それで満足か?」

カーネル「ッ……」

ゼロ「お前自身の力で倒したとは言えんな」

カーネル「……黙れ、例えいかなる方法だったとしても私は貴様を倒す為にもう一度この世に生き返ったのだと信じている」

 

ゼロ「……俺に対する復讐か」

カーネル「そうだ」

淡々と答えるカーネルに非常に腹が立った。

ゼロ「そんな事をして何になる!アイリスがそれで報われるとでも思っているのか!」

 

カーネル「……アイリス?何の事だ?」

 

 

ゼロ「ッ……!!!!!」

 

まさか忘れているとは思わなかった。まさか最愛の妹事さえも忘れていた……いや、これはバイルが抜き取ったのだろう。

冗談で言っている様にも見えない、恐らくこれは本気で忘れているのだろう。

 

ゼロ「…………」

思わず言葉を失ってしまった。項垂れる自分に対しカーネルは訳分からずという感じであった。

 

カーネル「貴様が何を言っているのかは分からんが、アイリス。その言葉は何故か私を非常に不愉快にする……」

 

 

こればかりはバイルが悪いが、この男に非がない訳では無い。

ゼロ「カーネル……」

少し哀れんだ様な目で見るゼロにカーネルは激昂(げっこう)した。

 

カーネル「貴様にその様な哀れみを受ける様な覚えは無い!」

ゼロ「もう、お前は昔とは何もかも違うんだな」

 

話し合いは無駄だと思っていたが心の何処かで信じたかったのかも知れない。もしかしたら操られているだけだとか、アイリスの事を言えば何か考えてくれるのかも知れない、と。

 

だが自らの意思でこの場所に居て、アイリスの事さえも忘れてしまっているカーネルに、ゼロの中でまた違った意味での「諦め」がついた。

 

せめて自分に出来る事は……負の感情に取り憑かれた復讐者(イレギュラー)を破壊する事だ。

 

 

とは言えど、状況が状況だけにゼロは……

 

ゼロ(……やってみるか)

何かを思い付いた様である。

ゼロはイカロスフォームから通常のフォームに戻り、ゼットセイバーを再び構えた。

 

カーネル「まだやるつもりか……」

ゼロ「行くぞカーネル……!」

 

先程の戦いでゼロはそこそこ疲労しており、ましてやイカロスフォームじゃないゼロのスピード等恐るに足らず、とでも思い余裕そうな笑みを浮かべるカーネル。

 

だが、違った。

 

気が付けばゼロが視界から居なかった。

カーネル「ッ!?」

 

呆けていた訳では無い。だが確かに一瞬の内にゼロが消えたのだった。

 

その時。

カーネル(右!)

確かに右から飛んできた攻撃を受け止めた、と思ったが。何と受け止めたそれがセイバーに巻き付いた。強い力で引っ張られ身動きが取れない。

 

ゼロ「囮だ」

カーネル「何だと!?」

 

そっと近くの瓦礫の山から姿を現したゼロがそう言った。そう、実際にこの巻き付いている何かを使っているのはゼロでは無く……

 

ゼロ「お前が非常に優秀なCPUを搭載している事は知っている。そしてそれもアップグレードしたとなると反射神経、状況判断能力は凄まじい数値になっているだろう」

 

だが、とゼロは続けた。

 

ゼロ「優秀過ぎるのが逆に仇となったな」

 

ゼロは自分の隣にある瓦礫の山を崩して種明かしをした。と言っても、とあるビルの取っ掛かりにチェーンロッドを巻き付けてそれをカーネルのセイバーに絡めただけであるが。

 

カーネルの高過ぎる反応速度は如何なる攻撃をも見切り対処が出来るが、カーネルは剣で受け止める事が多い事をゼロは知っていた。だからチェーンロッドを絡める方法を選んだのだ。

 

 

だがカーネルには腑に落ちない点があった。

カーネル「……確かに中々強力な力だが、この程度なら私が本気を出せば引き抜ける事を分かっているだろう?通用すると思ったか!」

 

ゼロ「分かっている。だがお前がそれを引き抜くとどうなるかは分かっているか?」

カーネル「何……?」

 

一瞬戸惑ったが、考えてみれば簡単な事。

カーネル「貴様の後ろにあるビルが崩壊するだろうな。逆に貴様が危ないというのに何故そんな事を聞く?」

 

ゼロ「……それと同時にこの地面にあるシェルターに避難しているレプリフォースの大量のヒトビトが死に至るだろうな」

 

カーネル「……!!!」

ゼロ「お前も数日前にここであった事件の事を知っているだろう?シェルターの存在も。何故ならここのシェルターはあの頃のまま変わっていないらしいからな」

 

カーネル「ッ……」

ゼロ「図星の様だな」

 

ゼロを破壊するという目的があれど元々レプリフォースの変革を求めるカーネルにとってレプリフォースのヒトビトは大事であろう。

 

ゼロ「民が居なければそもそも国というのは成り立たない……お前なら分かっているだろう?」

カーネル「クッ……」

 

ゼロが取った方法はある意味人質だ。良くない方法だとは良く理解しているが、

 

ゼロ「お前と決着を付けるのは別に構わん。だが時と場所という物があるだろう。ここは退け……すぐ近くに避難民が居る以上戦いたくは無い」

 

 

 

カーネルはしばし悩んだ後、

カーネル「分かった。ここは退く」

ゼロ「本当だな?」

カーネル「私とて軍人だ。二言は無い」

ゼロ「……」

 

ゼロは警戒しながらもそっとカーネルのセイバーに絡まったチェーンロッドを解いた。

 

するとカーネルはゼロに背を向けて歩き出した。だが一度立ちどまりこちらを振り向き、

 

カーネル「ここは退くが、ゼロ……貴様だけはこの私が必ず破壊する。覚えておけ」

ゼロ「…………」

 

カーネルは別に非人道的な行いがしたい訳では無いし、何よりもかなり過去とはいえレプリフォースの軍人である以上ヒトビトを無意味に死に至らしめる事はしたくなかったのであろう。

 

 

カーネルが視界から居なくなった後、ゼロはひとまず安堵の息をついた。

ゼロ「カーネル……まさかお前までもが」

 

アイリスに言われて悩んだ所もあったのだろうが、カーネルは最後まで兄ではなく軍人として誇りを貫き自分達と戦った。

勝負は自分が勝ち、アイリスの事を託された。

 

……結局兄弟共に自分が葬る事になってしまったが、あの時もう少し何とか出来なかったのかと深く後悔したのを思い出した。

 

ゼロ「……帰るか」

この場所にもう用は無い。何とか戦わずに済んだ、それだけでラッキーだと思うべきであろう。

 

ゼロ(……そのまま戦っていても、恐らくは)

 

いや、今は考えないでおこう。結果として自分は生きている。

 

 

色々と疲れた。ガーディアンベースに帰ろう、そう思った瞬間。

 

ゼロ「!!!」

巨大な轟音が聞こえた。

 

ゼロ(場所からして……アッシュとエールが行っていたもう1つのシェルターか!)

考えると同時に走り出した。

 

 

場所がそれ程離れていた訳では無かったのが幸いして、すぐ現場に駆け付ける事が出来た。

 

ゼロ「アレは!?」

犬の様な、狼の様な。巨大な四足歩行の、見た所無人兵器が彷徨いていた。

 

何かあると思ったらその場を両手で叩き付け破壊している。何かを探しているのだろうか……?

 

ゼロ(間違いないな……こっち側のシェルターを探している)

 

見た所手当り次第に破壊していっている。正確な場所は分かっていないみたいだがあの調子だと見つかるのも時間の問題だろう。

 

 

ゼロ(……やるしか、ない)

セイバーを片手に飛び出そうとしたが、一旦自分を抑えてGATを手に取る。

 

屈んで連絡をしたのはエールにだった。

エール「もしもし?ゼロさん、まだ帰ってないみたいですけど……?」

ゼロ「すまない、色々あってな……それよりも悪いが救援を頼む」

エール「どうかしたんですか!?」

ゼロ「俺は現在今日お前とアッシュが行ったシェルター付近に居るんだが、犬の様な四足歩行兵器が彷徨いている。狙いはほぼシェルターで間違いないだろう」

 

エール「ッ……」

ゼロ「俺は今から仕掛ける。このまま見とく訳にもいかんからな」

エール「分かりました、アッシュを連れてすぐ向かいます!無理だけはしないで下さいね!」

ゼロ「あぁ」

 

 

さて、といった感じでゼロは立ち上がってバスターを手に取り、目標に向けて撃った。

 

バスターは当たり、コチラをしっかりと察知した相手。狙いは自分に変わった様だ。

 

ゼロ「無理はするな、か」

正直言うと厳しいかも知れない。

 

ゼロ(善処はしよう、それが出来るのならだが)

 

 

 

相手は想像通り俊敏な機動型兵器。巨大なボディに似合わない素早い動きで翻弄し、そして鋭い爪が生えた両手で斬り刻む。

 

ゼロ(確かに速いが、この程度なら!)

相手の突進をギリギリで避けて腰部分に一太刀入れて、離脱しながらバスターで牽制。

 

あのまま攻めても良かったが、まずは相手をシェルターから離したかった。エールやアッシュの事もあるが彼女達なら自分の意図に気付くであろうと思っての行動だった。

 

狙い通り相手は自分を追いかけて来た。

ゼロ(よし……)

 

シェルターからそれなりに離れた場所で立ち止まり、セイバーを構える。

追いついて来た相手はコチラをジッと見据えている。学習能力はあるらしく、先程の単なる突進をゼロが避けた事から無闇に動く事は止めた様だ。

ゼロ(単純な脳筋なら良かったが、思ったより面倒な相手になりそうだな……)

 

それに、

ゼロ(思ったよりかカーネルからのダメージが響いてるな……動きが鈍いのが自分でも分かる)

 

まさかこんな事態になるとは流石に想像していなかった。

ゼロ「それでも……退けない理由がある!」

 

 

今度は自分から飛び出す。真正面から全速力で突撃し、懐に潜り込もうとする……が。

 

ゼロ「ッ!」

相手がブレスを吐く動作が見えたのですぐに中断して横に転がる。次の瞬間に自分が居た斜線上に激しい炎が突き抜けた。

 

ゼロ(近距離だけだったら良かったが、流石にそう甘くは無いか……)

 

今自分が戦っている場は周りに瓦礫の山や遮蔽物が沢山ある。それで先程のブレスが防げるとは思わないが少なくとも隠れる事位は出来るだろう。

相手の動きは速いが、小回りが利く自分の方が立ち回り的には有利だ。

 

ゼロ(だがそれもコイツが手当たり次第に破壊していくのなら別だ……早い内に何とかしないと)

 

相手が幾ら高機動といえ、ダメージを負っているとはいえ速さで遅れを取るつもりは無い。

 

 

ゼロ「そちらが来ないなら仕掛けるまでだ!」

瓦礫の山を次々飛び越えて細かい動きをしながら近付く。当然相手も動くが、

 

小回りではやはりゼロの方が上。周りを動き回っていたゼロが突然飛び込んで来た事に反応は出来ずにゼロが懐に入る。

ゼロ(狙うは……足!)

 

チャージバスターを顔面に撃ち込んだ後、近付いてセイバーを相手の前左足に突き刺す。

予めサンダーチップを付与しており、突き刺すと同時に相手の体内に激しい電流を流し込む。

 

咆哮を上げて暴れる相手。すぐにその場から飛び退きゼロは一息ついた。

 

だが当然まだこの程度では倒れず、何とか持ち直した相手は完全に怒りモードになったのか少し様子見だった先程までの体勢から1点、我を忘れ突撃してきた。

 

ゼロ(よし……まだコチラの方が対処しやすい)

 

猛突進してくる相手を避けては攻撃を入れる、の繰り返し。

 

 

丁度同時刻、最初にゼロが居た場所付近にてエールとアッシュが到着していた。

 

エール「ゼロさん、居ないわね……」

アッシュ「……」

エール「アッシュ?」

アッシュ「流石にここら辺で戦ったらシェルターの皆に被害が及ぶかも知れないってゼロさんは思ったんじゃない?」

エール「そうか、じゃあ相手をここから離す為に移動した可能性が高いね」

 

アッシュ「と言うかもうそうでしょ。見て、この跡……巨大な足型」

エール「これを辿って行けば……」

アッシュ「急ごう、ゼロさんなら大丈夫だと思うけど……あの人ついつい無理をしたがるから」

エール「言えてる」

 

そう言って2人は足跡を辿り駆け出した。

 

 

 

このまるで闘牛士の様な戦い方を始めて少し時間が経ったが、中々相手のタフさにゼロは苦しめられていた。

 

ゼロ(もっと早く倒れて欲しかったものだが……集中力が切れてきたな。一瞬のミスは死に繋がる、ここはもう一気にケリをつけるしかない)

 

とは言えそんな都合良くいくとは思えない。やはり多少の犠牲は覚悟しないと……そう思っていたが、そこでシエル達の言葉をふと思い出した。

 

「無理はしないで」

 

ゼロ(……やるだけは、やってみるさ)

 

 

相手が突進して来るのを見て、コチラも走り出した。何とゼロも真正面から挑んで行った。

 

ゼロ(悪い、やっぱりかなり無茶なやり方になってしまった)

心の中でシエル達に謝る。

 

ゼロ(だが勝算は……ある!)

 

真正面からのクローを、ギリギリで華麗なフットワークで回避。そして一か八か、

 

ゼロ「セットアップ、タイタス!」

 

懐に潜り込んだ所でタイタスフォームになり、

ゼロ「ここだ……ギガントフック!!!」

 

丁度相手の心臓部分を殴り付けた。今ある力を振り絞った一撃の破壊力は凄まじく、相手は1歩2歩下がったと思うと頭から地面に崩れ動かなくなった。見た感じ動力を停止させた様だ。

 

ゼロ「……割と危険な賭けだったが何とかなったか。まだ力が残っていて良かった」

 

 

疲れからか、その場に自分も崩れ落ちそうになるがセイバーで支える。

ゼロ「とは言え……やはり無理し過ぎたか」

 

そこへグッドタイミングでエールとアッシュがやって来た。

 

エール「ゼロさん!」

アッシュ「うわぁ、また何か大きいの居る……」

ゼロ「2人とも、わざわざ悪いな」

エール「それは良いですから、早くガーディアンベースに戻って治療しないと!アッシュ、そっちの肩支えて!」

アッシュ「はいはい、ちょっと待って」

 

 

 

数分後、エールとアッシュに連れられてガーディアンベースに戻って来たゼロ。かなりボロボロだったのでヴァンとプレリーの悲痛そうな顔が良く頭に残っている。

 

艦長室にて。

 

眠る前にゼロから聞いた話をプレリーに話すと、

プレリー「カーネル……四足歩行兵器……」

 

何やら考えている様だ。

 

プレリー「……ともかく2人ともお疲れ様。今日はもう休んで」

 

2人は頷くと艦長室を出て行った。

 

プレリー(過去に一体何があったのかしら)

 

それを知るのはゼロ本人のみ。例えそれが辛い事だとしてもやはり話して貰うしかないだろう。

 

 

シエルに先程連絡した所恐ろしい剣幕でゼロは大丈夫かと聞いてきた。とりあえずは大丈夫だと答えておいたが、彼女もすぐに帰ってくるらしい。

 

プレリー「ゼロが明日目覚めてくれれば良いけど。皆に重要な事を話さなければいけないわね」

 

そう、このまま何か手を打たないと世界が終わってしまう。なので幾度と話し合った結果、ガーディアンはとある手に出る事にしたのだった。

 

プレリー(成功すればきっと大きな1歩を踏み出せるけど、皆をまたとんでもない危険に晒してしまう……悲しいけど、私情を入れて良い訳が無い。私はガーディアンの艦長なのだから)

 

艦長室で、1人考えるプレリーであった。

 

 

 




また1ヶ月ちょい空いての遅過ぎる投稿になってしまって申し訳ないです_(。。)_
前から言っていた長期休暇という物にようやく入れたので、所々忙しい時もあるけど少しでも投稿ペースは速くする様に努力します。

今回はXシリーズの方から、4に出てきたカーネルさんが登場しました。先に言っておくと今の所アイリスさんは残念ながら登場予定は無いです。

ゼロさんが頑張った話でしたが、沢山戦闘を行った訳でも無いので色んな意味で頑張ったって感じですかね。
カーネルがこの先どう関わってゼロとの因縁がどんな結末を迎えるのかにも注目です。

今まで暗めな感じではありましたが次回からはほんの少し反撃ターン(上手くいくとは言っていない)になります。

では次の話でお会いしましょう(・ω・)ノ
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