紅魔館にて、ヴアル大図書館がある地下深くに存在していた。
今もなお、底深き奥には誰もその膨大な知識を有する者が居なかったのが、正解だろう。
でも、今では…その膨大な知識を持っているたった一人の魔術師が居る。
「パチュリー・ノーレッジ。彼女は、紅魔館きっての魔術師であり幻想卿の大図書館の支配人でもある。」
そんなところに、ある少女が訪ねて来た。
その少女こそが、幻想卿一の魔術を七色に輝かせる唯一無二の人形師。
其の名も、アリス・マーガトロイド。
「まさに、世紀の魔術師が二人も居るのは、奇跡と言うほか無いですね。密着取材、宜しくお願いします。」
そう、今回の取材を敢行するのは、文々。新聞の清く正しい射命丸文が担当することになった。
だが、其処にはもう一人の取材をする人物も居た。
姫海ドウはたてもその一人でもある。
「今回は、宜しくお願いします。お二人の魔術というのを霧雨魔理沙氏から取材して欲しいと依頼が来まして。」
はたては、取材の依頼内容が誰から受けたのかを魔術に長けた二人から聞くことにした。
文もまた、はたてとは違いマスメディア(新聞記事)としての取材なため言葉を続ける。
「アリスさんとぱっちぇさんは、魔術を巧みに使いますが…お二人の使い方の違いを教えてくれませんか?」
アリスは、パチュリーの方を見やって魔法の知識だけでもはたてと文に白いボードを見せて軽く教えようとする。
白いボードが出てきたのは、幻想卿に流れ着いた漂流物だというのは、違うときに話すことにする。
「まずは、魔法と魔術の違いを教えてあげないとダメね。基本的には、魔法は妖術や気の流れとは大きく違うのよ。」
「そうね、魔法は、自然からの力を取り込む。気や妖術は、体内からの力を解放する。そんな感じね。」
アリスとパチュリーの簡単で分かり易い魔法と魔術の講義を聴くはたてと文。
興味津々なのは、其処にいるもう一人の魔法少女である霧雨魔理沙もまたその勉強を一から知ろうとしていた。
魔理沙から、一つ質問があるのか手を挙げてアリスとパチュリーの二人に聞こうとする。
「はい、先生。魔法と魔術もまたその力を出すのは別だと言うことですか?」
魔理沙の疑問を解消するのは、アリスに任せることになった。
当然のごとく、文やはたてもまたその違いや区別が分かっていないのも事実なのでアリスがまとめて教える。
「魔法は、主に魔法陣と言った媒介する物によって使い分けるわ。んーと、そうね。結界とかも魔法の一部よね。」
「でも、魔術は、魔法の高等技術によって編み出したものなのよ。いわば、上位互換というものね。」
補足として話すパチュリーの魔術と基本となる魔法の話をするアリスは、まるでその道を辿った先輩。
言ってしまえば、魔法に関してはアリスが得意分野であり、魔術に関してはパチュリーが得意分野なのだろう。
「魔法の中には、マナやマゴイと言う魔法の力によって色んな使い方が出来るのよ。私の人形は、魔法によって作ったものだからね。」
「そして、魔術に関してだと…いわば、本やスクロールに魔力を込めるのが基本なのよ。魔理沙が勉強しているのは、魔術の類ね。」
魔理沙やはたてや文は、魔法と魔術の話をしっかりと聞くとメモをする手が何故か動き止まらない。
魔法の仕組みや魔術の技術は、人間がどれほどの時間を掛けて編み出されたのかが幻想卿に来てもう一回理解することになった。
魔理沙は、そんな二人の話を聞いて気になった質問をしてみることにした。
「でもさ、魔術が魔法の上位互換なのが分かったけどさ?魔法と魔術のデメリットってのが、いまいち分からないんだぜ。」
文とはたても同じように考えていたのか、頷く。
だが、アリスとパチュリーは、含み笑いを浮かべる。
そう、人間の知識では限界があるのだから当然だと言うが如くデメリットの話を分かり易く教えることにした。
「そうね、魔理沙の言うとおり…魔法と魔術のデメリットは、"魔法や魔術を取得するには、長い月日が必要"なのよ。」
「だから、私たちは…ある物を求めたのよ。いや、むしろ…そうする他がないと踏んで"不老不死"に身を落としたの。分かるかしら?」
二人の話を聞いて疑問に思う魔理沙とはたてと文の三人。
言うに事足りず、その先を続けるアリス。
「不老不死は、魔法や魔術の最大のテーマであり課題なのよ。魔法の真髄こそ"死を偽る生き方"を学ばなきゃいけないの。」
「魔術も同じくよ。生きていては、いずれ限界が来るのが"人間の命"なのよ。まぁ、魔理沙には、分からない概念よね。」
二人のかみ合っているようで話の意図が分からないような解説をしている様に聞こえる。
文とはたては、妖怪として生きてきた寿命は、幻想卿に来てからとっくに捨ててあるので分かっている。
だが、魔理沙だけは、理解不能な疑問符が浮かんでいるようで。
「つまりは、アリスさんとパチュリーさんは…生きることを捨てた理由は、魔法や魔術のその先を見据えて居たわけですね?」
はたての解釈で間違いないと頷くアリスとパチュリー。
でも、まだアリスが人形師となった理由は、別にあるのではと魔理沙が聞こうとした瞬間、アリスが自ら話してくれた。
「私は、元々…魔法界から追放させられた身よ。魔法の力を持つことになったのは、その後の話。この話、長いけど聞くかしら?」
魔理沙とパチュリー、はたてと文…そして、レミリアとフランもまた参加するようにソファや椅子に座って話を聞くことにした。
紅茶を用意する十六夜咲夜と小悪魔達もまた、アリスの人形師になろうと思った話を聞くことに。
「実は、人形師になろうと思ったのは…誰かの真似をしてみたいなんて理由じゃなかったわ。私には、憧れる人も居なかったのよ。
でも、幻想卿に始めて来た時…ある人に出会って話をしたのがきっかけで人形を作ることにしたのよ。私にとってみれば、恩師ね。
みんなも知っている、八雲紫。あの人に会わなかったら、今の私が生まれなかったわ。この話は、本人から聞いた方が早いわね。」
「えぇ、まぁ、そうね。賢者としてのアドバイスってところかしらね。」
紫の神出鬼没の賢者が、スキマを通して出現した。
みんなの目の前で姿を現している紫は、みんなの驚いた表情を見て少し笑みを浮かべて気持ちよさが表情に出ていた。
きもいが、彼女は話を続ける。
「金色の少女は、障気の森で彷徨っていたのを見つけた。魔法世界から門を通ったら此処に流れ着いていたのよ。
でも、その少女の瞳からは、光を失っていなかったのを見た。私からある言葉をその少女に話してあげたわ。
"人の子よ、幼き瞳の七色に輝く様に…魂を物に宿せば良かろう。少女の名は、こう名乗るが良い。七色に光るアリスと。"」
「まぁ、そんな感じね。賢者からの言葉を信じて見たら今の私が生まれたのよ。
七色に光る人形師と呼ばれるようになったのは、異変後だけどね。」
そんな話を聞いていた賢者以外のみんなは、その目に涙を浮かべていた。
人形師になった理由の中に、魔法の孤独と戦い続けた少女の奮闘に垣間見えた努力によって培ってきた道を。
魔理沙は、そんなアリスの両手を握って大粒の涙を見せながらはっきりと言葉にした。
「アリスぅ、私は…頑張ってきたアリスの魔法を教えてくれてありがとうなんだぜ!!これからも、この魔法を大切にしていくのぜ!!」
「アリスの過去を知れて再確認出来たわ。この私も、魔法の大事さをアリスを通して思い知らされたわ。本当に、長い間…お疲れ様。」
魔理沙とパチュリーの言葉に少し感動をしてしまったアリスとフランとレミリア。
そして、その光景を文とはたては、新聞の記事としても小説のネタとしても大々的にアリスの人形師に命を捧げた内容をピックアップした。
賢者である紫は、アリスの小さい頃からの勉強熱心なところをずっと見守ってきた親心をもう一度、知ることになった。
「今回は、アリスさんの話をもう少し他の人からも取材をしていこうかなと思います。文、分かってるわよね?」
「あやややや、すみません。感涙しちゃっていました。そうですね、はたて…パチュリーさんには、悪いですが…そうしましょう。」
はたてと文は、パチュリーの目に涙が流れているのを眺めて紅魔館を後にするように、咲夜に言付けをして去って行った。
アリスは、パチュリーとの間で確かな思いを繋いだ。
それは、人形師と魔術師の行き着く先が、果たせ得なかったはずの友情が…行き着いたのだから。
「でさ、アリスは、何で人形を作ることにしたの?」
フランがアリスにこそっと聞いた。
人形師になった理由(いきさつ)は、分かったのだが…人形師になる理由(その気になったこと)は、言わなかったのだ。
「それは、魔法による錬成術の中に人形と魔糸の仕組みに興味があったからなのよ。」
アリスあっての人形は、もしかしたら…人形師としてフランにこっそりと継ぎ答えるのであった。
フランもまた、人形魔法に興味を持ったというのは後日の話。
前回の作品から少し紅魔館に関する話をしてみましたよ。実はと言うと、次回作に関する話を伏線としているわけでありますよ。まぁ、それは、後日に話すことにしましょうか。
ということで、人形師のお話を書いてみました。ある程度は知っている方もいるでしょう。人形は、そもそも外の世界で言うとフランスが発生とも言われているのはご存知でしょうか?芸術家の街とも言われているイタリアとフランス。それに対して、美術家の街と言われているのは、ギリシャとイギリスなのですよ。ヨーロッパの人たちは、歴史を伝統として作って来たそうです。なかでも偉人たちの生まれ故郷だとも言われています。アリスもまた、その容姿を想像するにフランスの人間みたいに芸術家の血筋を受け継いでいるかのように人形に魂を売ったような魔法使いなので当時は、こう呼ばれていたんじゃないでしょうか?“七色糸の人形師”や“七大罪の道化師”だと呼ばれている魔女の特徴は、魔導書を持ちいつも人形を抱き抱えて何百年を生きた人ならざる者だと。
皆さんも、そんなアリスさんのことをもっと知って興味を持ってくれたらもしかしたら、嬉しいかもしれませんね♪まぁ、気に入られた人間は、糸に絡まれた人形のように操られないように気を付けてくださいね♪
それでは、アディオス!!(またね!!)