東方project 《幻想書籍異変》   作:東方にわか作者

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《不可視の世界には灰色にしか見えない》 前編

古明地こいしは、無意識の世界に存在する妖怪。

このことを知っている人たちは、地霊殿へと赴く妖怪しか居ない。

だけど、一番に苦しんでいた妖怪がこいしだけだった。

 

「…あんなことが無ければ…私は、変わってたかもしれない。」

 

よくたまにだけど、こいしの話は聞いたことが無かった小傘。

そう、この話はこいしが親友にしか話すことは無かったのだろう。

この話をするのは、あの時以来かもしれなかった。

そう、博麗霊夢に退治されてから数週間後の出来事だった。

 

「こいしちゃん。どうしたの?私、怖い話は無理だけど聴くよ?」

 

小傘は、こいしから悩みを打ち明けて欲しいあまりに話し掛けた。

こいしは言うも、多くは語りたくない苦痛だと感じて心を閉ざそうとする。

小傘にとっては、親友になれるチャンスを失いたくない必死に目を向ける。

まっすぐな瞳を見るこいしは、少し寂しいそうな表情をしていた。

 

「あのね、小傘ちゃん。友達だから言っておくね。後悔、しないでね?」

 

後悔は先に立たない。

そういう慣用句や諺があるようにこいしは、小傘に釘を刺した。

なぜ、こんなことを言うのかは小傘にとって大きな決断をする事だと知らされた。

 

こいしが心を閉ざした大きな理由は、二つあった。

 

「一つ目は、お姉ちゃんの能力のために押さえ込める方法だったからなの。」

 

これは、こいしにとって周りから悟られたくない人間たちの具現化だったのだ。

こいしのサードアイは、いわば…人間たちの欲望を見るための瞳だった。

さとりという姉の能力は、悟ることが出来る。

それに対して具現化することが出来る妹の能力。

これらは、どちらかの瞳を閉じないと異変対象として霊夢に退治されかねなかった。

 

「二つ目は、非常事態…もしくは、それに準ずる異変に対応するために封印したの。」

 

こいしの能力を欲する妖怪や悪霊がその封印を簡単に解かないようにしたのは、霊夢。

だが、霊夢の封印能力だとしても恐れている紫は、上書き封印するためにさとりに頼んだ。

それが、地霊殿の意地でもあり姉としての務めとしてある封印方法をしたのが。

 

“博麗式・夢双封印”と“地霊符・不可視結界”だった。

 

博麗の巫女が施した封印は、成功することに出来たのだが問題が起こったのは地霊符の方。

そう、地霊符の副作用でこいしの能力自体に無意識へと追いやる効果が付いてきたのだ。

 

「私にとっては、その方が良いかなって思ったんだけどね。お姉ちゃんは、悲しんじゃった。」

 

それもそうだろう。

妹の可愛い姿を姉でさえも見えなくなってしまうのだ。

いつもの笑顔を見せていた妹の表情を。

いつも心配そうに話し掛けてくれた妹の言葉を。

 

「お姉ちゃんは、あの頃は、随分と落ち込んでしまっているんだ。私がこうなったことに。」

 

姉に伝えたかった思いを今では、無意識をコントロール出来るようになって見せるようになった。

だが、普段から無意識の状態を常に出しているので何処に居るのかが解ってない様で。

そんな姉の姿を見たくないかのように心を閉ざしていたのだと小傘に伝えた。

 

「………。」

 

だが、小傘の返事は無かった。

どうしたのだろうかとこいしは、小傘の顔を覗き見る。

なんと、友達のために涙を流してくれていた。

 

「どうして…こいしちゃん…どうして、私に…そんな話を?」

 

小傘は、こいしを強く抱きしめた。

涙を流してくれている友達が目の前でこいしを抱きしめてくれている。

こんなに親身になって話を聞いてくれた妖怪は、小傘だけだった。

誰かのために涙を流してくれたことは、何時以来だろうかとこいしは思った。

 

「ごめんね…小傘ちゃん、私…本当は…本当は、辛かったんだぁ。」

 

「もう良いよ…こいしちゃん。私は…辛くないよ。だから…いつもの笑顔、見せてよ。」

 

小傘も誰かに見せる涙とは違って、人を笑顔にすることは何時以来だったのかと思っていた。

大事な友達は、いつも身近に居るんだと二人はそれを確かめ合うように抱き合って泣いていた。

忘れることの無いその温もりをこいしは、いつまでも小傘の心に感じて居たかったのだろう。

 

「…こいしちゃんには、私が居るよ。こいしちゃんの優しさを持っているって信じているから。」

 

こいしは、ずっと叫びたがっていたんだ。

 

『辛いよ。』

 

こしいは、いつも苦しんでたんだ。

 

『痛いよ。』

 

こいしは、いつまでも思っていたんだ。

 

『助けて。』

 

誰かが手を差し伸ばしてくれなかったら心を何時までも閉ざし続けていたのかもしれない。

それは、八雲紫でさえも博麗霊夢でさえも解決し得なかったこいしの苦痛を。

 

たった一人の妖怪によって異変の変動もあったのかもしれないこいしの悩み。

それは、小傘にとっても人事には思えなかったのだろう。

 

何故なら、小傘もまた孤独の戦いを続けていた妖怪の一人だった。

自分もいつかこいしに話そうと思っていた。

 

 

多々良小傘の境遇した古明地こいしと似た物語を…。




今回は、前編と後編に分けてあるわけですが。内容は、こいしと小傘の過去の話でございまーす。当然、幻想入り前と幻想入り後の話でもあるわけですよ。

私にとってみれば、涙腺崩壊の待ったなしな話を作るのは初めてなのでしっかりと出来ているのか不安で仕方がありませんわ。

前編では、こいしの話となっていますが当然、二次創作なのでにわか作者のご都合的な解釈でしか書いておりません。そして、原作とかけ離れている場合もあるんでそこのところをご理解のほどよろしくお願いしますね。

次回の作品は、小傘編をお送りしますのでお楽しみくださいね。ハンカチかティッシュを用意しておくと良いかもしれませんよ。涙腺崩壊するとしたら、次回の方かもしれませんので。

それでは、アディオス!!(またね!!)
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