少し時間が経って、木場は玄関の掃き掃除をしていた。玄関と言うより門前の掃き掃除で、夜中に少し風が吹いていたからか箒で掃くと少し砂埃が舞う。以前は掃除などあまり熱心にやって来なかったが、改めてやってみるとどんどん綺麗になっていく様子が気持ちいい。そんな奥深さの片鱗に触れた木場は掃き掃除をひたすら頑張っていた。
「…あの、蘭ちゃんはどこに居ますか?」
「蘭ちゃんの友達かな?待ってて、今呼んでくるから」
声が聴こえた所に顔を向けると、4人の少女達が並んでいた。ほぼ確実に蘭の友人だろう。そう考えた木場は壁に箒を立て掛けて家の中に入る。
「蘭ちゃん、友達が迎えに来てくれたよ。しかも4人、良い友達だね」
「…今行く」
ドアを開けて出て来た蘭。一瞬見えた机の上にはヘッドホンが乗っていて、木場は音楽が好きなのだろうと思う。かつての友人もギターを弾いたものだ、と懐かしむ間もなく木場は台所へと向かう。蘭の母が作った弁当を取りに行く為だ。
弁当が置いてある机には何枚かの風呂敷が置いてあり、恐らくこれで弁当を包めという事だと木場は理解する。黒、赤、緑、青、ピンク。木場は数瞬思考を巡らせると、女の子だからピンクで良いのではないだろうか?という安易な考えに従ってピンクの風呂敷で弁当を包んだ。
「はい、お弁当」
「ん、ありがと。行ってきます」
「行ってらっしゃい。皆と仲良くね」
木場は弁当を渡し、しっかりと見送ると再び門の掃除に移るのだった。
「ら〜ん、あの人は誰〜?」
幼馴染の疑問は、青葉モカのその一言で堰を切った様に溢れ出た。
「そうだよ!蘭にはお兄ちゃんとか居ないし、まさか彼氏!?」
「まさか。あの蘭だぞ?天地が引っ繰り返るくらいしないと無いだろ」
「巴ちゃん、流石にそれは言い過ぎだと思うよ…」
「…巴、後で覚えといて」
「悪かったって。で、あの人は誰なんだ?」
蘭は溜め息をつき、気怠げに答える。
「勇治は――」
「――名前呼び!?しかも下の名前で!?ウソ、ホントにそうなの!?」
「……木場は!ただの居候なの!それ以外に何も無いからか、勘違いしないで!」
「木場勇治って名前なのか、その人。でも居候ったってどうしてそんな事になったんだ?」
「蘭のお父さんの知り合いとか〜?」
「ま、そんなとこ。最近まではずっと世界を旅してたらしいよ」
「へぇ〜、今度お話聴けないかな?」
「別に良いんじゃない?最近は家事手伝いやってるし、多分大丈夫だと思うけど」
「にしても、蘭が男を下の名前でなぁ…」
「別に、そういうのじゃないし。名字でも名前でも良いって言ってたし、別に良いじゃん」
「あーあ、蘭が拗ねちゃった〜」
「どうすんだ、ひまり」
「えぇ!?私のせいなの!?」
「…それよりも皆、早く学校行かない?そろそろペース上げないと遅刻かも知れないよ」
「じゃあひまり、購買で奢りね」
「今月ピンチなのに〜!!」
「……冗談だよ。早く行こ」
そんな会話を交わしつつ、5人は学校へと向かう。因みに、しっかりと時間は間に合ったらしい。その代わり、蘭は授業を
(毎回戦う訳では)ないです。