夕焼けに灰の怪物を   作:たぴぃ

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 流石にAfter glowのシナリオくらいは知っとかないと、と思いガルパ始めました。チュウニズムと同じ感覚でやれるかと思ってたら全然違いますね。フリック苦手です。今日で一応バンドストーリーの10話までは解放しました。先は長い…


8話

 「あれ、これって…」

 

 朝、食器を洗い終えた木場が見つけたのは赤い布に包まれた箱――蘭の弁当だった。持ってみるとまだご飯は温かく、今日は特に行事があるという事は聞いてないので十中八九忘れていったのだろう、と木場は思う。

 蘭の母に弁当を届けてくるという旨を伝え、蘭の弁当を持ち、ショルダーバッグを背負うと門を開けて外に出る。蝉の鳴き声がどこからか聞こえてくる季節故に暑い。木場は小遣い代わりに蘭の弁当を包む風呂敷に1000円突っ込む。

 木場がこの世界に迷い込んだ際持っていた通帳には、とんでもない量の金が振り込まれていた。当分遊んで暮らせる程の金はあるが、それに頼るのは嫌だと木場のプライドが許さず、殆ど手つかずのままなのだ。先日蘭にスマホを買えと言われたのでこの通帳の預金を使って購入したが、やはり大して減っていない。追って振り込まれる事は無いが、これで更に振り込まれたら流石に不味い(と言うより通帳は木場が持っているので預金が増えたら単純に怖い)。そういう事で、預金は滅多に使わない。

 

 「どうかしました?」

 「あ、いえ〜。娘がお弁当忘れてっちゃって。でも仕事なので、届けられないなぁ〜と」

 「じゃあ俺が届けますよ。俺も今から忘れていった弁当を届けに、羽丘学園に向かう所だったので」

 「そんな、悪いですよ」

 「困った時は助け合いだと、昔の人は言ったものです。任せて下さい」

 「…じゃあ、お願いします〜」

 「娘さんのお名前は?」

 「青葉モカ、って言います。可愛い子ですよ〜」

 「あぁ、モカちゃんの!道理で一瞬見覚えがあると思った訳です。遅れました、美竹蘭ちゃんの家に住ませて貰っています、木場勇治です」

 「蘭ちゃんの〜、確かにモカが言ってましたねー。それなら安心です、お願いしますね〜」

 

 そう言ってモカの母は弁当を木場に預けると鞄を持って小走りでどこかへ向かう。会社に行かねば、と言っていたので会社に向かったのだろう。そう結論付けた木場は弁当を2つ持ち、羽丘学園へと歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (流石に授業中だよな、今は。まずは事務室に行かなきゃ。不審者扱いは流石に嫌だし)

 

 校内に入り、事務室へと向かう。その途中に視線を感じ、感じた方向に目線を動かすと見覚えのある少女が木場を見下ろしていた。その直後、ポケットのスマホが震えてメッセージアプリにメッセージが入った事を伝える。パスコードを解除し、アプリを立ち上げるとそこには簡潔にたった一言。

 

 『屋上に居るから屋上来て』

 

 とだけ書いてあった。名前を見れば一目瞭然だが、それ以前にそのアプリに登録してある人は1人しか居ない。彼は溜め息を1つ吐くと、事務員に話し掛け来校許可証を発行して貰うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、お弁当。ありがとね」

 「別にそれは良いんだけど、サボりかい?」

 「自主休講だし」

 「大して意味は変わんないからね、それ」

 

 蘭に弁当を手渡す。

 

 「モカちゃんはどこに居る…って、授業受けてるよね」

 「なんでモカ?」

 「モカちゃんのお母さんに弁当を届けてくれって言われてね。取り敢えずここで待ってれば来るかな?」

 「…まぁ、来るとは思うけど」

 「それより、そのノートは?勉強用じゃないよね」

 「作曲用のノート。…見てみる?」

 

 木場はそのノートの内容に興味を抱いた。あの中にはきっと自分が知らない曲の、肉付けされる前のその姿が在るのだろうと。だから、彼は答えた。

 

 「いや、遠慮しておくよ。俺は1人のファンとしてAfter glowの曲を聴いていたい。だから、遠慮しておく。ごめんね、見せてくれるって言ったのに」

 「…まぁ、良いけど」

 

 木場は空を見上げる。嫌になる程に太陽の光はサンサンと世界を照らし、昨日は雨が降った事もあり蒸し暑くなっている。蘭も日陰に居るとは言え流石に気温には勝てないのか、たまに襟を広げて手扇で風を送ったりして涼を取ろうとしている。木場はショルダーバッグからハンディタイプの扇風機を取り出すと蘭の方向へ向ける。突然吹いてきた風に驚いたのか、蘭は木場の方向に勢い良く振り向いた。

 

 「…どうしたの、そんな驚いて」

 「そりゃ突然風が吹いてきたらビビるでしょ…それにしても、随分と準備が良いんだね。そんなの、持ってる方が珍しいし」

 「何かと有った方が便利かなって思ってね。現に、今役に立ってるでしょ」

 「まぁ、そうだけど」

 

 実は、これはAfter glowを含めたガールズバンドの為に買ったのだ。まりなからガールズバンドのメンバーは5人だと聞いた木場はショッピングモールでハンディ扇風機を5つ購入、いつでも使える様にショルダーバッグに入れている。因みにそれなりに大きいショルダーバッグの中にはオーガギアとオーガストランザー、他にはモバイルバッテリーやハンディ扇風機が入っている。

 自分が元いた世界より暑い気がする。そう思いながら木場は隣でまた作詞に勤しむ蘭を見た。その瞬間、チャイムが鳴り響く。その数分後、屋上の扉が開いた。

 

 「あ〜、やっぱりここに居た〜」

 「あれ、木場さん?どうしてここに」

 「いや、忘れ物を届けに来たんだ。はい、モカちゃん」

 「あたしのお弁当…なんで木場さんが〜?」

 「途中、モカちゃんのお母さんに会ってね。モカちゃんも弁当を忘れてったって言ってたから、俺が請け負ったんだ」

 「ありがとね木場さん〜。モカちゃん、今月ピンチだったから木場さん神様だよ〜」

 「どういたしまして。はいみんな、扇風機でも…って、つぐみちゃんは?」

 「つぐなら…あ、ここから見えるよ!あそこあそこ!」

 

 ひまりが指を指す方向を見る。その延長線上の窓につぐみは居た。先輩らしき男の後を着いていっている。木場だからこそ見えるが、その顔には疲労が表れていた。

 

 「生徒会長じゃないか?あの人」

 「つぐは生徒会メンバーだから、いつも頑張ってるんですよ!」

 「へぇ、生徒会…凄いな」

 「…ひまり、()()()が居る気がするんだが…」

 「…うわ、ホントだ」

 「アイツ?」

 

 木場のその問いに、巴は嫌悪感を丸出しにして答えた。

 

 「1回つぐに告って、断られたヤツだよ。それが受け入れられなくて、ずっとつぐに付き纏ってるんだ。最近はアタシ達と会長が協力して追い払ってるんだけど、しつこいヤツだな」

 「…そっか。それは不味いね」

 

 木場はその男を、鋭い目付きで睨んでいた。そして何より、つぐみの事を案じていた。




 因みに星4は1人も居ません(ガチギレ)。
 あ、そうだ。この小説の羽丘女子学園は共学になっていて、なので名前は羽丘学園です。
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