夕焼けに灰の怪物を   作:たぴぃ

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 なんかガルパのタイトル画面がアフロになってたので記念に投稿。2章が来るまで全話解放いけるかな…因みに今は13話だか14話です。


9話

 羽沢つぐみは真面目で頑張り屋である。それは生来の性質であり、4人の幼馴染と自分を比べてしまう悪癖から来るもので、どうしようもない性分だ。

 美竹蘭はぶっきらぼうだが優しく、そして何だかんだと言いながらもやる事をやる万能人。青葉モカはマイペースだが、そのマイペースさでいつも和ませてくれる。上原ひまりはいつも明るく元気で、みんなにイジられる事もあるが4人を纏める良きリーダーだ。宇田川巴は姉御肌で、相談事には乗るし解決する時も誰より先に協力してくれる優しさを持つ。

 だが、日本人とは自分の短所は自覚出来ても長所を言えない人が多いと言う。その点で羽沢つぐみは典型的な日本人の性格をしていると言えるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はぁ…疲れたなぁ。でも、もっともっと頑張らなきゃ」

 

 つぐみは屋上に居た。あまり居てはいけないのだが、この夕焼けの景色を眺めるのがつぐみは好きだった。これからバンドの練習だ、そう予定を確認したつぐみはCIRCLEに向かおうと踵を返した。

 

 「…っ!!」

 「つ、つぐみちゃん…」

 

 そこには、クラスメイトの男子が居た。以前告白されたが、断った男子だった。だが、その返答を認めたくない彼はずっとつぐみに付き纏っていた。ついさっきまでは生徒会長と共に生徒会の仕事をしていたし、その前は幼馴染達が一緒に居た。だからこそ彼は近付けなかった。だが、今は違う。少なくともこの場に限り、今は彼とつぐみの2人きりだった。

 

 「やっと2人きりになれた…ま、前の時は恥ずかしかったんだよね?分かってる、僕は分かってる。だから今回は素直でい、良いんだ。さ、僕と付き合ってくれ」

 「待て。あれ程言われておいて、何故君は何故羽沢さんに付き纏う?」

 

 そうは問屋が許さない。屋上の扉を蹴破る勢いで現れたのは生徒会長だった。

 

 「う、うるさいなぁ!お前らみたいなヤツが居るからつぐみちゃんが恥ずかしがって…相思相愛の僕達を邪魔して、嫉妬か!?」

 「…羽沢さんは君の事を好きだと言ってないらしいね。それに、前の告白の時は2人きりだったんだろう?」

 「あの幼馴染ぶってるのが何かを吹き込んだに決まってる!あ、あの優しさつぐみちゃんが断るなんて、何かあったに決まってるだろ!!」

 

 つぐみは怖かった。何を言っても通じない彼が、別世界の人に思えて仕方無かった。その間にも口論はヒートアップしていく。

 

 「羽沢さんの顔を見てみろ。怯えているじゃないか」

 「お前のせいだろ!!お前みたいな野蛮なヤツが居るから!」

 「…別に、自分が高尚な人間とは言わないが君より上だと思ってるよ。そんなに怒鳴ってはいないし」

 「…!っ、良いから出てけよ!僕はつぐみちゃんと付き合うんだ!」

 「だからその本人が嫌がってると何度――」

 「っさいんだよォォォォ!!!」

 「会長っ!!」

 

 彼は生徒会長に殴り掛かる。彼は体格が大きく―言ってしまえば太っている―華奢な会長が殴られては怪我をしてしまう。そう思ったつぐみは会長と呼んだが、彼の様子がおかしい。不自然に立ち止まり、殴り掛かる姿勢のまま動かない。そして、背中から何かが飛び出ている。ソレの先端はまるで、人の指の様だった。

 

 「――ったく、ウゼェ男だな」

 「…か、会長?」

 「…あぁ、羽沢さん。大丈夫だったかい?」

 

 会長が彼の身体に触れると、その身体は灰になって崩れた。風に乗って飛んでいく灰に、つぐみはゾッとした。そして理解したのだ。目の前の男は、人間ではないのだと。

 

 「ほら、手を――」

 「ひっ…!!」

 「………まさか、知ってるのか。あぁクソ、それは残念だ」

 

 ソレは今まで通りなら考えられない悪態を吐くと、掛けていた眼鏡を外して頭をガシガシと掻き毟る。その様はいつもの会長から想像できる姿からかけ離れており、つぐみは更なる恐怖に襲われる。

 

 「クソ、このまま付き合って()()()になったらしようと思ってたのに。あのブサイクのせいで…」

 「か、会長…?」

 「怖かったよね、羽沢さん。大丈夫、もう怖くないよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 直後、会長の姿が変わって灰色の化け物に変貌する。彼はオルフェノクだったのだ。気付くべきだった。告白してきた彼が灰になった時点で、つぐみは即座に逃げるべきだったのだ。だが彼女は信じていたかった。あの優しかった会長が化け物(オルフェノク)である訳が無いと、彼女は信じていたかったのだ。

 

 「う、嘘ですよね会長…そんな、会長がオルフェノクなんて…」

 「いいや、嘘じゃないよ。大丈夫、羽沢さんもきっと成れるよ」

 

 地面に伸びる長い影が、薄緑がかった会長の人の姿を写し言葉を発する。ゆっくりと歩み寄るオルフェノクに、その後ろには校舎内に繋がる扉。通常なら詰みのこの場面。それを打開できる者が、しっかりとここに居た。

 

 「殺させない。お前達に、俺の目が届く所で殺させはしない」

 「き、木場さん!?」

 「一目見た時、怪しいと思った。とても自然に4人と一緒につぐみちゃんを守っていると聞いて、俺は確信した。お前の獲物はつぐみちゃんだって事に」

 「…随分と詳しいな。誰だ、君は?」

 

 問われた木場はオーガフォンを開き、0を3回入力してENTERキーに指を掛ける。

 

 『STANDING BY』

 「オーガ、それ以外の何者でもないさ。変身」

 『COMPLETE』

 

 オメガストリームが木場の身体に沿って展開され、黒き鎧を纏う。眩い金光が止んだ後にそこに居るのは木場勇治ではなく、帝王(オーガ)だった。

 

 「な、オーガだと!?」

 「一緒に…墜ちろ!!」

 

 屋上では狭過ぎる。そうなればつぐみと木場が隠れてくれと頼んだ彼女達に危害が及ぶだろう。故に木場はパンダオルフェノクの顔面を掴むと校庭に向かって飛び降りた。

 地面が陥没する程の勢いでオルフェノクを叩き付ける。それでは終わらず、拳を振り下ろすがそれは地面を転がって回避される。ならばとオーガは腰のオーガストランザーをパンダオルフェノクに向け、光弾を放つ。ミッションメモリーを入れなければ短剣型の武器だが、光弾を放つ事も出来るのだ。

 それに当たりながらも突き進んでくるパンダオルフェノクは両腕に生えた爪を突き出す。流石に不味いと感じた木場は爪を躱し、短剣を振るが爪に阻まれる。かなり堅牢な爪らしく、ヒビすら入らない。

 

 (部活の子達が居ないのは僥倖…だけど、人質を取られればこっちが不利だ。やるべきは、短期決戦!)

 

 左の拳を突き出す。するとパンダオルフェノクは爪でガードする。開いた右手の爪でオーガを斬ろうとするが、オーガは敢えてこの一撃を肩で受け止める。火花が散り、衝撃がオーガを襲うが歯を食い縛って耐え、オーガフォンを開いてENTERキーを押す。

 

 『EXCEED CHARGE』

 

 腕のオメガストリームを経由し、短剣にフォトンブラッドが充填される。その瞬間にトリガーを引き、光弾を発射する。その光弾に秘められたエネルギーは角錐状に広がり、パンダオルフェノクをほぼ完全に拘束した。

 

 「ハァァァァァァァ!!!」

 

 オーガは片足を突き出してその光の中に飛び込む。角錐状のエネルギーはドリルの様にパンダオルフェノクの身体の中にめり込むとその直後、ワープした様にオーガがオルフェノクの背後に現れる。これがオーガの持つ蹴り技【帝王の処刑(エンペラーパニッシュ)】だ。

 残心を取るオーガ。そしてパンダオルフェノクは致命的な弱点を大量に送り込まれた事により、蒼い焔を上げて灰になり崩れ去る。そこには墓標の様に【Ω】の文字が浮かんでいた。

 

 「つぐ!?」

 「ひまり、救急車だ!」

 「え、あ…」

 「早くッ!!」

 「う、うん!!」

 

 オーガが屋上に跳んで戻った時、つぐみは倒れていた。木場の背筋に、波乱の予感が伝って落ちた。




 オーガのライダーキックの名前はオリジナルです。実際の必殺技はオーガストラッシュしか無いし、そもそもライダーキックが有るかすらも分からないのがオーガです。
 因みに色を技名に使わなかった理由ですが、確か小説版でオーガギアとサイガギアはデルタギアを利用して造られたとあるので、デルタの【ルシファーズハンマー】みたいな感じにしたかったからです。
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