今日中に全部投稿してやろうか!
「これが貴様の狙いか…」
場所は穂群原学園。
ダーニックが教師を務める学校。
そこに英雄王とキャスターのマスターとサーヴァントをどちらも担うダーニックが睨み合っていた。
「さて、なんのことやら。英雄王殿はきっと勘違いをしているのです。私は貴方の思うような悪党では…」
「ほざけ、穢れめ。自身の同盟相手を各個サーヴァントに当て、援軍を呼ばせぬつもりだろう。我の対策をして、この場所で戦うつもりだろう。この学舎全域に貴様の魔力が漂っておるわ」
「それでもこの場所に来てくださった理由は?」
「この場所ごと、貴様を無に帰してやろう」
「という事はあれをお出しになられるのですかな?」
「本来であれば、星の侵略者を我が宝物の最高にして最強の剣で斬り殺すが……貴様は信じられん。まるで我にエアを使わせようとしている。しかし、星の侵略者を殺す宝具など、我の宝物庫にはゴロゴロしておるわ!」
開戦の合図など無い。
槍が飛来する。
戦う前に作ってきた盾が簡単に破壊される。
盾のお陰で出来た一瞬の時間で避ける。
「本来は有り得んが……魔術師の真似事をしてやろう」
「それは予想外っ!」
黄金の波紋から魔術の杖や魔術の触媒が出てくる。
光線や炎、風となりダーニックを襲う。
ダーニックは膝をつき、身体はボロボロだ。
慢心は王の特権だが、星の裁定者としての彼なら慢心など無い。
害虫の駆除。
その仕事を一心にやり遂げる。
エアを使わず、この男を殺す。
それだけを……
………?
「なぜ我はエアを使わずに…?あのゴミが何かを誘って……なぜ?我ならその思惑さえも破壊してやれるというのに………」
「最初から乖離剣を抜かれていれば勝ち目はございませんでした。これにて王手とさせていただきます」
ダーニックはスクリと立ち上がる。
左手には魔導書を開いて持ち、右手にはユグトミレニア長の証ともいえる杖を持つ。
そしてその顔は………分からなかった。
先程までそこに存在していた顔。
しかし、今は真っ黒に塗りつぶされているかのようなそんな顔をしている。
顔に穴でも空いて、それはどこまでも黒く、まるで吸い込まれそうな顔。
顔が何も無い……無貌。
そこに異界の神を見た。
「…っ!?貴様ァ!!!」
ギルガメッシュは宝物庫からエアを取り出そうとする。
「……っ!……?」
しかし、それは予想外の場所から出、予想外の事態となった。
右手を出してエアを持とうとした。
だが、エアはギルガメッシュの背から出現し、そのまま身体を貫いた。
ギルガメッシュは何が起きたのか分からず、自身の腹から出ているエアの刀身を眺めている。
「こちらも誓いましょう。私、ユグドミレニア初代、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアは遠坂時臣並びに遠坂葵、遠坂凛、間桐桜を対象とした殺害、障害の意図、並びに行為を禁足とする。そしてその条件残りの令呪全てを持って、アーチャーに自害を命じること。誓いは果たされました」
先程まで手に持っていた杖を腰にしまい、ある1枚の紙を持っていた。
それはセルフギアススクロール。
魔術師の世界において、決して違約不可能な取り決めをする時にのみ使用される、最も容赦のない呪術契約。
自らの魔術刻印の機能を用いて術者本人に掛けられる強制の呪いは、如何なる手段を用いても解除不可能である。
たとえ命を差し出したとしても、次代に継承された魔術刻印がある限り、死後の魂すらも束縛される。
この証文を用いての交渉は魔術師にとって最大限の譲歩を意味し、魔術師の間では滅多に見ることのできない代物である。
それを用いてダーニックは時臣と契約した。
折角戦いに巻き込まれるからと遠ざけられたというのに、最中に襲撃され、幽閉されていた。
魔術の根源に至れないなら勝つ意味は無い。
令呪を持っての自害など、英雄王に効きはしない。
契約しなければ最愛の妻と子ども達は死に絶える。
ここまでの条件が揃えば、遠坂時臣も懐柔されても仕様のない話だが……
それをやられたギルガメッシュは溜まったものでは無いだろう。
「時臣ィッーーー!!!」
エアが抜かれる。
腹に穴が空き、だくだくと血が流れ落ちる。
しかし、それに対して傷の手当をしようとしない。
「令呪かぁ……このような
2画程度ならここまで苦しみは無かったろう。
しかし、今回使用された令呪は10画生半可なものでは無い。
さすがの英雄王も運が悪かった。
令呪10画という膨大な封印術式。
命じられる寸前に起きた精神的ショック。
理性は保ったが、油断を巻き起こした。
そしてそれを気づかせない為の妨害の魔術。
この学校はダーニックの魔術工房と同等。
そしてその妨害は全てギルガメッシュへと繋がっている。
この場所以外からの策略に気づかせない為のものだ。
そしてダーニックは自害と言ったが詳しくは違う。
ギアススクロールに書いてあるのは『ギルガメッシュは乖離剣エアを持って自害せよ。そしてその傷に対して治療はせず、乖離剣エアを宝物庫にしまえ』だ。
事細かに命じてはあるが些か長い。
令呪10画もなければ絶対に無理だったであろう。
このままギルガメッシュが座に帰るのも時間の問題だろう。
せめて、ダーニックを消そうと見ると隣の空間から何か巨大な人形の化け物が召喚されていた。
皮膚は垂れ、濁った小さな目がある皺だらけの頭部、手が長く鉤爪を持った真っ黒な見た目をしていた。
「あとは貴方が死ぬまで攻撃し続けるだけです。空鬼達よ、敵は目前だ」
化け物はギルガメッシュに襲いかかる。
真っ直ぐ向かっていくものもおれば、空間を飛び越え、襲いかかるものもいる。
その度に魔力を使い、宝物を使い、倒す。
しかし、化け物が倒されればその分新たな化け物を召喚している。
単独行動のスキルがあるといえど、ダーニックを殺すために宝物を使い、自害とはいえエアを使い、身体を貫かれ、また化け物を殺すために宝庫を使う。
魔力の消費は激しい。
終わりに時間はかからなかった。
空鬼は駆逐された。
ダーニックの魔力も尽きかけ。
しかし、前半温存していたダーニックに軍杯が上がった。
「この……我がぁ…!名は覚えたぞ……必ず我が殺す……ダーニッ…クっ!!………」
光の塵へと返り、座へと戻って行った。
「……はぁ!死ぬかと思った!!」
地面に倒れ込み、安心させる。
「臓硯さんに頼んで家にあった令呪いっぱい使ったし、タイミングズレたら危なかったし、最初の時点で賭けだったし………一般人には辛いなー、もう」
人避けをしており、他に誰もいないと分かっているからこそのこの言葉だ。
今まで作り上げたイメージを全て壊す物言いに合わせ、足をバタバタさせている。
「後は聖杯を片付けるだけかぁ。汚染の除去とかいう針を縫うような作業をしなくていいのは楽だなぁ」
昨日にキャスターから話しかけられるような感触があり、対話を試みると聖杯の汚染を除去せずとも聖杯ごと本に入れれば封印できるとのこと。
そして願いのリソースは残っているので本を除去すればダーニックの願いは完遂する。
そう思い、喜んでいた。
「流石にそれは世界が許さないさ」
声が聞こえる。
「誰だ!?」
立ち上がり、声の主を見る。
「今更繕っても意味無いよ」
そこには少年がいた。
学校というこの場所には合うその姿。
少し服装は古いがそこは気にするポイントではない。
酷く無機質なのだ。
表情を言っているのではない。
存在が、だ。
気配からサーヴァントだというのは理解できる。
しかし、それにしても無機質だ。
まるで人では無いような…
いや、人では無いのだろう。
何らかの概念が、英霊となったのだろう。
「一応自己紹介だね。僕は抑止力のキャスター。この聖杯戦争を元の歴史に戻しに来たよ」
できる気がしねぇ