【完結】The elder scrolls V’ skyrim ハウリングソウル 作:cadet
オリジナル小説書籍化により、そちらの執筆を優先していますが、休憩の合間にちょこちょこ書いていたものを投下します。
玄室手前の階段では、塞がってしまった通路を前に、カシトとフリアが大声を張り上げていた。
「ケント、ケント!」
「くっ、完全に塞がっているわ!」
二人は崩れた瓦礫を必死に退かし、何とか通れる穴を作ろうと試みている。
だが、そんな彼らの努力をあざ笑うかのように、立て続けに轟音が響いた。通路全体が震え、パラパラと石の欠片が降り注ぐ。
「これは、まずいな。遺跡全体が持たんぞ」
次の瞬間、幾重もの灼熱の光線が崩れた瓦礫上部を吹き飛ばしながら、通路の天井を貫通していった。
元々経年劣化で脆弱になっていた遺跡の通路に、致命的な損傷が刻まれる。
辛うじて天井を支えていた石材がまとめて抉られて崩落し、瞬く間に土砂が通路になだれ込み始める。
「これって……」
「遺跡の崩壊が始まったのだ! このままでは生き埋めにされる、逃げるぞ!」
サースタンが踵を返して駆け出す。
一瞬迷ったカシトとフリアだが、滝のように落ちてくる土砂を前に、仕方なくサースタンの後を追って駆け出した。
致死の気配を帯びた紅い閃光が迫る。狙いは頭。
反射的に反らした顔の傍を光の砲撃が通り抜け、焼けた産毛の臭いに、健人は顔を引きつらせた。
「オオオオオオ!」
続けさまに放たれる三発目。咄嗟に横っ飛びで射線から外れる。空を切った光線は内に秘めた強烈な熱で、三度、墳墓の壁に穴を穿つ。
「なんだ、この威力! 普通じゃないぞ!」
岩を一瞬で融解させる程の熱量。異常な威力の魔法に、健人は思わず毒づく。
魔法の分類としては、間違いなく炎系の破壊魔法。
おそらくは生み出した魔法を収束させることで威力を高めているのだろうが、その収束率が異常だ。
本来なら火炎放射器のように吐き出されるか、球形の塊として弾丸のように打ち出されるそれは、まるでSFのビーム砲かレーザーのような形へと変貌している。
「撃ってきたのはどの階位の魔法だ!? ファイアボール? エクスプロージョン? まさか素人クラスの火炎ってことはないよな!?」
ヴァーロックが右手を突き出し、広げられた三本の指から、続けざまに三本のレーザーが放たれる。
人の指ほどに細い光線が、一直線に健人の同時を穿たんと迫ってきた。
「くっ!」
健人は上体を仰け反らせることで、迫りくるレーザーを何とか躱す。
細く絞りこめられた指ほどの太さの紅い光が、彼の背後の壁面に三本の筋を刻む。
あまりにも早い魔法展開。ヴァーロックもまた、ミラークと同じように詠唱をしている形跡はない。ミラークも行っていた、無詠唱による魔法展開だろう。
このまま相手に攻撃され続けるのは拙い。
そう判断した健人は、腹に力を込めて、練り上げたスゥームを全力で解き放つ。
「ファス、ロゥ、ダ――――!」
揺るぎ無き力のスゥームが放たれ、衝撃波が宙に浮かぶヴァーロックに迫る。
さらに健人は、シャウトを放つと同時に腰の黒檀のブレイズソードを引き抜く。
この程度で相手を仕留められるとは思っていないが、攻勢の勢いを寸断できれば、踏み込む隙も生じるだろう。
放った”揺るぎ無き力”がファーロックの体を捉える瞬間、健人は足に力を込めて床を蹴る。
「ターロディス、ロトムラーグ。ファー、ドロク!(危険な力だ。だが、主の為に!)」
ヴァーロックが左手を突き出すと、間髪入れずに、宙に浮かぶミイラの前面に透明なシールドが形成された。
ミラークも使っていたシールド系魔法の“魔力の砦”が、健人が放った揺るぎ無き力を受け止める。
さらにヴァーロックは健人の揺るぎ無き力を無力化しながら、空いていた右手を突き出した。
その掌には、先ほど墳墓の入口を崩落させた砲撃と同じ炎の球体が、耳障りな音を響かせながら収束されていく。
「くっ、早い!」
健人は咄嗟に横に跳び、砲撃の射線から逃れる。
直後に、炎の球体が轟音を立てながら射出され、一筋の閃光となって健人の肩を掠めていった。
焦げ臭い匂いが、健人の鼻を刺激する。
よく見れば、ドラゴンスケールの鎧を構成している肩の装甲の一部が焼け、消失していた。
ドラゴンスケールの鎧は、強固なドラゴンの鱗を削り出して作られた装具。並の魔法や武器では傷一つ付けることが出来ない程の強度を誇る鎧。
それが、まるで熱したナイフでバターを切るように抉られている。その光景に、健人は冷や汗を浮かべた。
「ミラーク、コス、ウルド、ボヴール!(ミラークよ、随分と逃げ足が速くなったな!)」
「くそ! この距離はまずい。完全に相手の間合いだ!」
ドラゴンスケールの鎧を一瞬で溶解する威力だ。健人の拙いシールド魔法など意味はない。
秒単位で放たれる超高威力の砲撃とレーザー。健人の“揺ぎ無き力”のシャウトを正面から受け止められる強固なシールド魔法。さらには、それ程の魔法を、同時に難なく使いこなす技量。明らかに、遠距離戦では相手に分がある状況だった。
「だが、ミラークよりは幾分マシだ」
ミラークとの戦いの時と似た状況ではあるが、ヴァーロックは接近戦を行えるような武器は持っていない。接近戦なら、健人に分があるのは明白だった。
であるならば、0.1秒でも早く、相手の間合いを詰めなくてはならない。
健人は迷わず、切り札の一つを切る。
「ムゥル、クァ、ディヴ!」
ドラゴンアスペクト。己の内にあるドラゴンの魂を隆起させ、能力を劇的に高めるスゥーム。シャウトによって隆起したドラゴンソウルが体からあふれ、光の鎧を構築し、彼のあらゆる能力を爆発的に高める。
健人は激増した身体能力で一気に距離を詰めようと踏み込み……。
「うわ!?」
直後、ガコンと床板が沈む音と共に、足元から噴出した炎に足を止められた。
吹きあがった炎が健人の体を包み、視界を塞ぐ。
健人は炎に視界を塞がれる中、反射的に床に体を投げ出す。直後、ヴァーロックの砲撃が噴き出た炎を切り裂いた。
床から噴き出たのは、この玄室のあちこちに仕掛けられていたトラップ。健人は踏み込もうとした際に、罠の仕掛けられていた床石を踏んでしまったのだ。
幸い、ドラゴンアスペクトの耐火能力によって火傷を負うことはなかったが、足元から突如として噴き出す炎は、戦闘の集中力を削ぐには十分な上、視界も塞いでしまう。
「くそ、下手に踏み込めないってことかよ!」
「ミラーク、ドゥー、ナーク、ドロク、ニヴァーリン。クロン、ラ゛ーズ、ズー、ディロン、ラ゛ーネイ!(裏切り者、ミラークよ。今度こそ、我が存在にかけて、その命を頂く!)」
「確かに、アイツは俺と一緒にいるが、俺はミラークじゃないぞ!」
一方的な宣言を述べながら、ヴァーロックは両手で魔法を展開する。
右手には絶大な貫通力を誇る砲撃魔法を収束させ、左手の五本の指からレーザー光線を放つ。
五つのレーザーが健人の逃走経路を塞ぐように全方向から迫り、更に強力無比な砲撃が、逃げ場を潰された健人を貫かんと正面から最短距離を駆ける。
「ファイム!」
だが、高速で襲い掛かった砲撃とレーザーは、健人の“霊体化”のシャウトに無力化された。
単音節のシャウトが数秒の間、健人の体を現世からズラし、まるで霧のように霞んだ体を、炎の交戦と砲撃が透過していく。
「ウルド、ナー、ケスト!」
さらに健人は、立て続けにシャウトを放つ。
ドラゴンアスペクトが齎すシャウト能力の向上。展開するのは、旋風の疾走だ。
旋風の疾走は、直線にしか動けないという制限はあるものの、瞬間移動したのではと思えるほどの加速を可能とするシャウト。
さらに、地面に足を付かずに高速移動が可能なため、床に接地された火炎トラップに引っ掛かる事もない。
ズバン! と空気が爆発したような炸裂音と共に、霊体化している健人の体が急激に加速され、宙を浮かぶヴァーロックに迫る。
「もらった!」
ヴァーロックの眼前まで一気に距離を詰めた健人が、霊体化を解き、腰から引き抜いた黒檀のブレイズソードを一閃させる。
雪を散りばめたような刀身が閃き、ヴァーロックの首を断ち切らんと迫る。
「ミラーク、デズ、ホロコン。ヴァダーミン、ズー、スレイグ?(ミラーク、我が宿敵よ。我が力を忘れたか?)」
「なっ!?」
だが次の瞬間、まるで陽炎のような紫色の炎が、ヴァーロックの体を包みこんだ。薙ぎ払った健人の刀は、霧を切ったかのようにすり抜ける。
一体何が起きたのか。
空中で体が慣性で前へと流れる中、振り向いた健人の目に、玄室の反対側に出現したヴァーロックの姿が映る。
その両手には、既に収束した炎塊が握られている。
「転移魔法……」
健人は己の失策に気づいた。発動時の様子は違っていたが、転移魔法はミラークも使っていた。ヴァーロックが使えてもおかしくはない。
今の健人は、空中に身を投げ出した状態で、完全に無防備だった。ヴァーロックが炎塊を握りしめていた腕を突き出し、砲撃を放つ。
「ぐぅ!」
旋風の疾走に慣性で前に流れていた勢いのまま、健人は空中で体を捻る。腕を振り、足を入れ替え、ヴァーロックの砲撃から無理矢理自分の体を逸らす。
直後、健人の眼前を、ヴァーロックの砲撃が掠めながら突き抜けた。
ドラゴンスケールの鎧の胸元が、砲撃の余波で黒く焼ける。
某機動戦士に出てくる主人公機を彷彿とさせる回避行動だが、実際に砲撃に晒されている健人としては堪ったものではない。
更に連続しては放たれる砲撃とレーザーを、健人は駆け、跳び、捻りながら紙一重で回避していく。
だが、一度の攻めを失敗したからといって、このまま砲撃に晒され続けるだけの健人ではない。
「ティード、クロ゛、ウル゛!」
時間減速。
時間、砂、永遠の言葉で構築された、自分の時間を周囲と乖離させるシャウト。
加速する時間の中で、健人は迫る砲撃群の隙間を見抜き、ドラゴンアスペクトのシャウト能力向上の恩恵によって、続けざまに旋風の疾走を唱える。
「ウルド、ナー、ケスト!」
三節の旋風の疾走が、健人の体を定めた進路の圧し進める。砲撃の隙間を駆け抜け、再び間合いを詰めてヴァーロックに斬りかかる。
「ヴォー、ドレ、メイズ(無駄だ……)」
ヴァーロックもまた、再び転移魔法を行使し、健人の刃圏から退避する。
そして、再び健人と広間の中央を挟んだ対角線上の壁端に転移すると、再び砲撃を開始しようとする。
「ぐう!」
だが、健人もヴァーロックの動きは見抜いている。
ヴァーロックの転移魔法は発動後、出現する位置に紫色の炎が立ち上る。転移後に位置を特定することは難しくない。
健人は旋風の疾走の慣性を、ドラゴンアスペクトによって強化された強靭な脚力で無理矢理殺す。
打ち込まれた足が床を陥没させ、床石が弾け飛ぶ。舞い散る砕けた石材を視界の端に映しながら、再び旋風の疾走を唱えた。
「ウルド、ナー、ケスト!」
ヴァーロックが砲撃を放つ前に、健人の旋風の疾走が発動。
一瞬でドラゴンプリーストの懐に飛び込み、黒檀のブレイズソードで痩せこけた胴を薙ぎ払おうとする。
ヴァーロックの伽藍洞な瞳に灯る蒼い炎が、動揺で大きく揺れた。間違いなく、このような速度で健人が反撃できると思っていなかったのだ。
(獲った!)
いくら無詠唱とはいえ、魔法の発動には秒単位の隙が存在する。
そして、既にヴァーロックにはその数秒の余裕すらない。健人の薙ぎ払いは、一秒足らずでヴァーロックの胴体を両断する。
……そのはずだった。
「なっ!?」
再びヴァーロックの体を包み込んだ紫炎の渦。本来発動するはずのない速度で展開された転移魔法に、健人の口から驚きの声が漏れる。
だが、動揺に耽溺している暇はなかった。
広間の端に三度転移したヴァーロックが、砲撃を再開する。
「くそ、これでもまだ足りないのか!」
迫る幾条ものレーザーを避けながら、健人は思わず毒づいた。
あれで終わるはずだった。あれほどの攻撃力と詠唱速度だ。普通に考えて、一流の戦士ですら、接近することも難しい。
その難度故に、ヴァーロックの不意を突ける可能性があったのだが、ヴァーロックの予想以上の魔法展開速度により、結果は不発に終わってしまった。
(ただの無詠唱じゃない。恐らく、何らかの別の方法で転移魔法を発動させている……)
だが同時に、その事実は、健人にある可能性を想像させる。つまり、ヴァーロックは無詠唱以外の魔法技術を習得している可能性だった。
「うわ!」
だが、立て続けに迫る砲撃と足元から吹き上がる炎が、健人に思考を纏めることを許さない。このままではじり貧だ。彼がそう思った時、健人の脳裏にある単語が思い浮かぶ。
「スペル、ストック?」
聞いたことのない単語に、健人が戸惑いの声を漏らす。
それは、ミラークが持つ知識がもたらした天啓。
同時に、健人の脳裏にある光景が蘇る。それは熾烈を極めたミラークとの戦い。その最後、己の剣を砕かれたミラークは、あらかじめ待機させていた転移魔法で、逃走を図った。
健人はその時、ミラークは無詠唱で転移魔法を発動させたのかと思っていたが、それこそがヴァーロックが使っている力と同質のものだと、ミラークの知識が語り掛けてくる。
スペルストック。
脳内で予め術式を展開しておき、任意のタイミングで発動する魔法技術。無詠唱と並ぶ……いや、それ以上の、超高位スキルである。
同時にその事実は、健人に絶望的な現実を叩きつける。
例えスペルストックで待機させていた転移魔法を使わせても、その後に距離を取られれば、どうしても無詠唱で術式を展開させる時間を与えてしまう。
そうなれば、ヴァーロックは絶対にスペルストックを使い、退避のための転移魔法を用意するだろう。
更には、ヴァーロックが転移魔法を複数、スペルストックで用意している可能性もあると、ミラークの知識は語っていた。そして、それは数千年の研鑽を積んだミラークでもできなかったと。
いくらドラゴンアスペクトによって強化した身体能力とシャウト能力をもってしても、相手に秒単位も時間を与えないことは不可能だ。
「ぐう……!」
ヴァーロックの十の指先から、紅の光が放たれる。クラゲの触手を思わせるレーザーの群れが、逃げ回る健人を囲むように迫って来た。
健人はレーザーの隙間に無理矢理体を滑り込ませる。背中に背負っていたドラゴンスケールの盾が留め具ごと斬り裂かれ、床に転がる。
そこに向けて撃ちこまれる砲撃。咄嗟に両手に力を籠め、跳ねるように跳んで砲撃を回避する。
度重なる砲撃とレーザー攻撃に、玄室の天井からパラパラと崩れた石材のかけらが降り注ぎ始める。
「まずい、長引くと玄室が崩れる!」
「ディル、ミラーク! フェン、コス、ディロン、コプラーン、ヴォス、ズゥー。ファー、ウル、エヴギル、ドヴ、ヴォス、ジョール!(ミラークよ、今度こそ終わりだ。ここでお前は、私と共に永遠の眠りにつくのだ。主と人々の時代の為に!)」
「ぐう! おまけに心中すら想定内かよ!」
再びレーザーの群れが健人に迫る。
雨のごとく叩きつけられるヴァーロックの攻撃が、健人の虹鱗の鎧を削り、消耗させていく。
そもそも、一撃被弾しただけで致命傷を負うことは間違いない威力を秘めている。
「やるしかない、か……」
どうしようもないジリ貧状態。そしてその事実が、健人に最後の切り札を切らせることを決めさせた。
「……ミラーク、箍を外せ」
直後、迫るレーザーの群れを、健人の体から噴き出した虹色の光の奔流が消し飛ばした。
ヴァーロック
かつてのミラークのライバルにして監視者。炎系の魔法を得意とし、ミラークとの戦いは、かつて陸続きだったタムリエルとソルスセイム島を切り離したと言われている。
死後もミラークを監視するためにソルスセイムに留まり続け、そしてミラークの魂を持った健人がニルンに帰還したことで目覚めた。
ミラーク同様、作者による強化が施されている。
具体的な強化
一、魔法の無詠唱、高威力化。
ミラーク同様、魔法の発動に詠唱を必要としない。おまけに魔法の集束率が異常なため、威力がとんでもない事になっている。
具体的には熟練者クラスのファイアボールは完全にビーム砲撃、素人クラスの火炎はレーザーと化している。
二、スペルストック
魔法保存能力。本小説オリジナルの魔法スキルの一つ。
あらかじめ脳内で展開していた魔法を待機させ、任意のタイミングで発動する能力。実は、魔法一つだけならミラークも使える。
ただ、ヴァーロックのスペルストックは、ミラークよりも精度が高く、複数の魔法をストックしておくことができる。
これにより、転移魔法を連続で発動し、相手を翻弄しながら超高威力の炎系魔法を叩き込むことができる。
使い方によっては万単位の軍も翻弄、殲滅できる能力。一人で機動砲撃が可能な火砲とか、タムリエルはおろか現代地球でも明らかなオーバースペックだわ……。
お、ま、け
アルゴニアンの侍女第三巻構想その2
ありきたりだった前回と比べ、今回は少し捻りを加えてみた。
すこし捻りすぎたかもしれんが、まあいいだろう。というわけで、また備忘録としてこの一文を残しておく。
「奥様、参りました、ご用は何でしょうか」
「来たのね。今少し、書類を片付けているの。手伝ってもらうわ」
「承りました。私は何をすればよろしいのでしょうか?」
「手紙を書くのに使っていたペンを折ってしまったの。あの人の事を想っていたからかしら」
「お心、お察しします」
「それで、新しいペンが必要なの。インクはいっぱいあるのだけれど、ペンが無くては話にならないわ。貴方のペン、貸してもらえない?」
「奥様、私にはペンなど持っておりませんが……」
「あら、あるじゃない。あの人がとても整っていたと言っていたペンが」
「奥様、私のペンは奥様のインク壺には似合わないかと思いますが……」
「大丈夫よ。太さも長さも申し分ないわ。私のインク壺にピッタリよ。でも、貴方のインクで、あの人に手紙を書くのも一興ね。あら、インク壺も中々可愛いいこと……」
「奥様、そのように使われては、壺から私のインクが零れてしまいます!」
「安心していいわ。紙はいっぱいあるから、いくら零れても大丈夫。あの人が帰ってきたら、彼のインク壺も使ってみたいわね。もちろん、あの人のインクを使う時も、貴方のペンを借りるわ」
「あら、貴方のインク、思っていた以上に粘りがあるのね」
「私のインクでは、手紙を書くには向かないのでは……」
「私のインクを混ぜればちょうどいいわ。さあ、ちょっとペンを借りるわよ」
まあまあ、か。ペン、インク壺、インクと、捻りは十分だが、今一淫靡さが足りんような気がする。取りあえずこれも残しておき、もう少し思案してみよう。
というわけで、おまけのアルゴニアンの侍女第三巻構想その2でした。
色々とアウトになりそうな表現満載。大丈夫か、これ?
オリジナル小説書籍化により、そっちに集中していますが、こちらも少しづつでも書けたらと思います。