世界観設定、キャラクターの性格等は完全に作者の妄想です。
内容は遊戯王OCGルールを基にしたデュエル小説(?)となっております。
また、リミットレギュレーションは2018年7月1日に施行されたものに準拠しております。
完全にデュエルが遊戯王OCGに準拠しております故、実際の遊戯王OCGのルールをある程度把握している方が望ましいです。
というか実際のOCGプレイヤー向けです、推薦です。
以上のやたら多い注意点をお読みいただいた上、それでもいいよ、という心の広いお方はありがとうございます。
拙い文章ではありますが、最後までお読みいただければ幸いです。
短めの一本ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
朝の通学路。
さしたる変化もない、日常風景。
蒸し暑い気温をまだまだ上げようとする太陽を見ないようにしながら、とぼとぼと私は歩く。
夏がこんなに暑いのは、誰の仕業かしら。
…太陽ももうちょっと遠慮して、夏の間だけ離れててくれればいいのに…。
周りには、私と同じ制服を着た生徒たちがやはり暑そうに歩いている。
少なくとも、暑いのが好ましくないのは学生共通の認識らしい。
自転車で登校する生徒が、スーッと横切っていく。
涼しそう…とも一瞬思ったが、こんな生温い風を切ってもあまり気持ちよくはなさそうだ。
たったったっ…!
後ろから、元気な足音。
暑いのによくもまぁ、そんなに勢いよく走れるものだ。
学生の共通認識が通じない生徒も、どうやらいるらしい。
「おーい、レイちゃーん!」
「…おはよ」
「ん、おはよっ♪」
後ろからだくだく汗を流しつつ、彼女は私と並ぶように立ち止まった。
暑いのにわざわざ走るから、そんな汗をかくのだ。
…私は、
ごく普通の高校に通う、ごく普通の高校生だ。
成績も一般的、生活態度も一般的。
要するに一般人だ。
…ある一点を、除けば。
「んもー、相変わらずクールなんだから!レイちゃんは可愛いんだからもっとスマイルした方がいいよ!ほら、すまいるすまいるっ!」
「…もう、やめてよ、朝から騒がしい…」
「これもレイちゃんのため…!私はレイちゃんのためならいくらでも騒がしくなれるの!」
「静かにして」
「…はぁい…」
そしてさっきからうるさいこの子は、春崎うらら。
私の大切な友人だ。
広いおでこを見せつけるように髪を上げた、元気な印象の女の子。
自然と彼女の明るい性格に惹かれるのか、彼女の友人は数多い。
ちょっと頭は弱いけど…。
とても、いい子だ。
「ほらー、もうすぐ夏休みじゃん?はしゃぎたくもなるよぉ」
「…あのねぇ、タダでさえ暑いんだから…」
「あ、入道雲!ちょーでかい!」
「…ハァ…」
名は体を表す…とは何のことやら。
『春麗』の本来の意味の、おっとり柔らかいイメージは彼女に一切ない。
むしろ真逆、元気で騒がしい事この上ない。
しかし、彼女は。
私のこういう冷たい態度や、私の
私はいつも、心の中で感謝している。
朝の通学路を進むと、気怠い学校が見えてくる。
相も変わらず綺麗な白い校舎は、陽の光を反射してとても眩しい。
「…ゲッ、閃刀だ…」
「バカお前、余計なこと言うな。行くぞ…」
私の姿を見て、遠ざかる男子たち。
彼らは…見覚えがある。
クラスメイトの男子だ。
「…あ、あの、レイちゃん…」
「気にしないで、うらら。もう慣れたもの」
…私の事を見ると、逃げる。
これはもはや私にとっては見慣れた光景だった。
だからこそ…うららに声をかけられたときは心底驚いたものだ。
『ねぇ、一緒に帰らない?私も家、あっちなんだぁー』
今でも印象に残っている、彼女のセリフ。
おそらく…一生、忘れることのない言葉と声。
「…んもぅ、あの男子たちもわかんないよね!レイちゃんはこんなにも可愛いしおっぱいも大きいのに!」
「ああーもう暑い!引っ付くの禁止!」
「ああん、いけずぅ」
茶化しながらも抱き着いてくるうららを引きはがしつつ…彼女の思いやりを感謝する。
私は………。
閃刀グループ。
私と同じ苗字を冠するこのグループは、いくつもの企業やブランドを掲げる巨大グループだ。
…つまり私は、そんなグループの会長の一人娘。
グループの大切な令嬢なのだ。
そんな肩書なら聞こえはいいが…実際は、そんなに華やかなものではない。
閃刀グループは…各国で起こる紛争をターゲットとし、重火器を主とした銃器・戦闘兵器を量産し海外へ販売することで巨大化した。
いわば、ほぼ真っ黒、マフィアに近いグループ。
こんなことは当然公にはされないが…やはり、世間は知っているも同然のこと。
私はヤクザのトップの一人娘のような、危険視される存在であった。
当然この学校も閃刀グループが携わっている。
私はこんな自分が…この、『閃刀』という名字が、大嫌いだった…。
…昼休み。
うららと昼食を食べる。
うららが他の友人の誘いを断りつつ、私の机に弁当箱を広げる。
私を見て、うららの友人がヒソヒソ話ながら遠ざかっていく。
いつもと変わらない日常。
そんなものは、ある日突然。
壊されるのが定石である。
ズガァァァァァァァァァァン!!!!
巨大な音。
伝わる振動。
生徒たちが、窓際に集まる。
校庭を挟んだ、学校の裏山のほう。
煙が上がっている。
うららが立ち上がる。
私も立ち上がる。
…そして、目にしてしまう。
裏山の上空に浮かぶ、巨大な………。
「なに、あれ……?」
巨大な、穴。
……事態は、突然緊迫したものとなった。
叫ぶ生徒、取り乱す生徒。
逃げる生徒、震えてうずくまる生徒。
吠える教師、どこかに電話する校長。
…目の前にいる、気色の悪い、生物。
「…………シュルルルるぅぅ………」
あかい、生物。
たくさんの、あかい生物。
人型をしているが、頭や四肢はヒトのそれとは程遠い。
頭は空洞になっている、失敗したパンみたいな。
手足は…クラゲのように細く、長い…触手。
「あ…い、いやぁぁぁぁぁ!!!」
一人の生徒が駆け出した。
この場から逃げるべく、走る彼女は…。
「しゅるるるゥ!!」
あかい生物の伸ばした触手にとらわれてしまう。
「いやぁぁぁ!は、はなして…!」
彼女の体を抱えたあかい生物は…そのまま割れた窓から飛び立ち。
空にぽっかり空いた穴の中へ、行ってしまう…。
「つれ…さった……?」
「う、うあああああ!!」
「きゃぁぁぁぁぁ!」
「にげろぉぉぉ!」
それを見届けた瞬間から、教室内は阿鼻叫喚となった。
叫び声に混じって、あのあかい生物の気色の悪い声も聞こえる。
「……うららっ!」
「う、うんっ!」
私もうららの手を取り、一目散に逃げだした……。
「うわぁぁあぁぁ!」
「はなせ、はなせぇっ!」
「お前だけでもにげろ、はやく!」
「いやぁぁぁぁ!あなたぁぁぁ!」
まさに、一瞬で地獄と化した、昼下がり。
私たちは…町とは逆方向の、寂れた商店街のほうへ向かっていた。
「はぁっ、はぁっ…!」
「れ、レイちゃん!どこに向かってるの?お母さんやお父さんに会わなきゃ…!」
「はぁっ、うらら、覚えてる?昔よく使った、秘密基地っ…!」
「あ、あそこ!?あそこじゃ電波が…!」
「今は逃げよう…っ!町の方は、父さんが何とかするはず…っ!」
こんな時に頼りになるのは癪だが、父さんのグループは戦闘兵器すら取り扱うグループだ。
町の方には、父さんのビルがある。
あそこ付近なら、被害が出ないはず…!
今は父さんたちのグループの力を信じて、逃げるしかない…!
…寂れた商店街の、奥の奥。
住む人などいなくなった廃墟群のうちの、大きめの廃マンションの地下。
そこが、私たちの…小さいころの秘密基地であった。
「…とりあえず、ここでしばらく隠れて…様子を見ましょう」
「そ、そう…だね…」
うららが震えながら、広げたブルーシートに座り込む。
…今にも泣きだしそうな顔を、俯かせている。
「お、おとうさん…おかあさん…!」
「………大丈夫、よ。あそこには戦闘用ヘリすらあるんだもん。父さんたちが何とかしてくれるまで、待ちましょう?」
「レイちゃん……」
うららが、顔を上げる。
もはや流れる涙を、隠す気すら無いようだった。
「レイちゃんは、怖くないの…!?」
「…うらら」
「連れ去られちゃった人は、どうなるの!?なんで急にあんな気持ち悪いのが…!!」
「うらら、落ち着いて」
「なんでレイちゃんはそんなに冷静でいられるの!?おかしい…!おかしいよ…!!」
…私だって、内心焦っていた。
はずだった。
でも、うららの手を握って走っているときに、私の心は落ち着いてしまったのだ。
この子を守るために、私は冷静でいなくてはならない。
「ねぇうらら、落ち着いてよ…」
「…………っ!!」
うららが、すっ、と立ち上がる。
「…うらら…?」
「私、町に行ってくる…!」
「そんな、危険だわ!」
「お父さんとお母さんがどうなってるかもわかんないのに、ジッとなんてしてられないよ!」
「ちょっと、うら…!」
走り出す、うららを。
私は呆然と見送って。
そして跳ねるように、私も彼女の後を追った。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
地下室から地上まで伸びる、階段。
そのすぐ上で、うららの悲鳴が上がった。
「うらら!?」
階段を、全力で駆け上がる。
地下と比べて明るい外に目を眩ませながら…。
最初に見えたものは、不気味な…黄色い、化け物だった。
「………なんだ、薄汚いセイクリッドの因子を辿ってきてみれば、こんなゴミしかないじゃないか」
「……ひっ…!」
巨大な黄色が、うららを見下す。
うららは…腰が抜けて立てないのか、その場でへたり込んでしまっている。
「……もう一匹、ゴミが出てきたな。もはや連れ去る価値もない。一発でカードにしてやろう…」
巨大な黄色が、四本もある巨大な腕をゆっくりとこちらに向ける。
…こいつ、さっきの赤いやつとは違って…人語を理解している…!?
「…まずは、貴様だ」
「……あ………!!」
その腕が。
ゆっくりと、私に向く。
体が動かない。
足が震えて、もう…使い物にもならない。
し、死ぬ…?
ここで、うららと一緒に…?
もう、憎たらしい父さんにも、優しい母さんにも会えない…?
「い…いや…!」
「さらばだ、チキュウの虫けらよ」
キュウィィィィ……!!
白く、黄色い化け物の腕が発光する。
何か、発射される…。
エネルギー弾か、はたまた謎の光線か。
どちらにせよ、私は…!
パシュゥゥゥゥ…!!
光弾が、奴の腕から発射された。
そして、その弾丸は…!
「レイちゃん…!」
私の前に飛び出した、うららに。
当たって、光が、弾けた。
ひら、ひら…。
目の前に、紙切れが、ふわりふわりと落ちてきた。
拾うと、そこには。
桜の樹の前で不敵に舌を出して笑う。
うららの、姿だった。
「……え…?」
その紙切れは、もはや。
この世にうららが存在しない、証明であった。
「…う、らら……?」
私はもはや。
正気など、保っていなかった。
黄色い化け物は、哄笑を上げながら私に近づく。
「グハハ…!攻撃力0とは!ゴミらしい、つまらんカードになったものだな!」
私は。
「さぁ、友情ごっこなど見ていられぬ」
もう、このまま。
「貴様も、送ってやろう」
彼女と同じ姿になることさえ、望んだ…。
パシュゥゥゥゥ……!!
「…………ん…?」
私は、目を覚ます。
覚めるはずもないと思ったこの世界を。
夢だと、思いたかった。
「……ここ、は……」
この場所を、知っている。
ここは、商店街の端にある。
今は誰も経営していない駄菓子屋の店内だ。
その地べたに、私は寝かされていた。
「…目覚めたようだね」
「……?」
起き上がると…私を見守っていた、何者かと目が合った。
そいつは…。
「…ひっ!」
人の形をしている、化け物。
先程の赤いやつ程ではないが、やはり人間離れしすぎている。
まるで機械の玩具のような、金色の体。
鋭くとがった頭部は、もはや武器になるのではないかと疑うレベル。
頭部らしきものには、鋭い目以外の…鼻や口といった器官が見当たらない。
「…だ、誰…?私をどうしようっていうの…!?」
「取り乱さないでくれ、僕は味方だ。僕はセイクリッド・ハワー。奴ら…ワームの侵略を止めに来たんだ」
「………?」
なにを、言っているのか。
さっぱり訳が分からなかった。
そしてなにより…そんなことは、どうでもよかった。
「…ねぇ、うららを…戻してよ」
「それは…できない」
「どうして!?あの化け物を倒しに来たんでしょ!?なら、うららを元の姿に戻す方法も…!!」
私はうららだった紙切れを、彼に突き付けた。
彼…ハワー、と名乗った金色の生物は、首を横に振る。
「元に戻すことは…今は、できない」
「今は…?」
「僕は元々、もっと強大な悪意に対して戦う存在なんだ。ワームの侵略程度では、全ての機能を参照することは出来ない」
あれが。
クラスのみんなを、先生を、町を、うららを…。
容赦も慈悲もなく踏みにじったあいつらが強大な悪意ではない…?
「そんな…!あなたはそもそも、何者なの…!?」
「僕は、セイクリッド・ハワー。もっと後の世界で、強大な悪意であるヴェルズに対抗するための存在だ」
「何よ…何を、言っているの…!?」
彼の話す言葉が、何一つわからなかった。
もはや、彼を信用することも、利用する価値も、私の中では消えてしまう。
「…じゃあ、せめて、あいつらを倒しに来たなら…さっさと倒して、帰って…!!」
「それも、できないんだ」
「………っっ!!」
目の前が歪む。
もはや、こいつは…!
「じゃあ何をしに来たっていうのよ!私を…うららを、侮辱するために来たっていうの!?」
「ちがう。僕は、この世界に…戦い方を、教えに来たんだ」
…た、戦い方…?
頭がどうにかなりそうだった。
話の整合性も、論理も、何もかも…!
「この世界の武器や兵器では、奴らに傷1つ付けることは出来ないだろう。だから、僕が…奴らとの戦い方を、今から君に教える」
「な…は、はぁ!?」
「さぁ、いくよ…」
彼は右手を差し出すと…私の頭に、優しく触れた。
冷たい、機械質な腕だった。
ああ、やはり人ではないんだな…と。
そんな世にもつまらない感想を抱いた次の瞬間。
頭の中に、急速に。
『情報が、流れ込む…!!』
攻撃力
戦闘破壊
メインフェイズ
相手モンスターを対象にとる効果
ダメージステップ
同名カードは3枚まで
チェーンブロック
ライフポイント
起動効果
ペンデュラムモンスター
手札誘発
『遊戯王』
「――――っっっっっ」
はッ、と、目が覚めるような感覚。
ハワーは私から手を離すと、満足げに頷いた。
「さぁ、これで僕の役目はあと1つ。さようなら、チキュウの子。あとは、君次第さ…」
きら…きら…。
彼の体は、光の粒に包まれ…。
パッ、と、消えてしまった。
膨大な情報を私に注ぎ込み。
何をすべきか、していいかすらわからない。
唯一無二の親友を失った、私を置いて。
『さぁ、これを、この世界に渡そう』
『これが僕にできる、異世界を侵略してしまった彼らに対する』
『最悪なはずの、ペナルティだ』
『閃刀会長、これは…』
『なんだ、今化け物の対応で忙しいんだ!後にしてくれ!』
『いえ、会長!これを見てください!』
『………なんだ、このデータは…』
「……見つけたぞ、ゴミムシ」
金色の怪物が、目の前に迫っている。
私は『戦い方』を教えてもらっても、『デッキ』をそもそも持っていない。
私は…結局、逃げ回ることも戦うこともできなかった。
道路にポツン、と立つ私を。
金色の化け物は、ただ見下す。
「セイクリッドは、どこへ消えた」
「……どっか、行っちゃったわ」
「…ふん、そうか。確かにもう残滓も感じぬ」
金色の怪物は、もはやこの場に興味を失ったようだった。
「では…貴様もカードにして、戻るとしよう」
私だけを、殺して。
世界は無慈悲だった。
唯一彼らに対抗できる知識を持つ私は、ここで消されてしまう。
うららも、『カード』から『紙切れ』になってしまう。
もう、地球は終わりなのだ。
ずいぶんあっさりとし幕引きを、私は見据えた。
……最期くらい、父さんと母さんに…
「……あいたかったなぁ…」
『レイ、聞こえるか!』
バララララララ………!!
上から、激しい音がした。
見上げると、父さん専用の小型ヘリコプターが…空中でホバリングしている。
父さんが拡声器を使って、上空から直接話しかけてくれている。
『レイ!こいつを使え!』
何かが、上空から放り投げられる。
…私が愛用していた、ポシェットだ。
ぽす、と私の傍に力なく落ちてきたそれを拾い上げると…。
中には、『カード』が入っていた。
「…なっ!」
『いつの間にかうちのデータベースに混入していたものを、先ほど発見した!データ通りに作った、お前専用の紙束だそうだ!俺はそいつを、レイに賭ける!頼んだ…!!』
ガシャァン!
父さんのヘリコプターは…。
言いたいことを言い切ったあたりで、赤い化け物の集団に。
ヘリコプターごと、連れ去られて行ってしまう。
「…ハワーってやつも父さんも、みんな勝手なんだから…」
これはおそらく、ハワーの仕業だろう。
カードの束を見ると、明らかに私をモチーフにしたカードたちだった。
こんな悪趣味なデッキで、戦えってのね…!
「…貴様、下等生物の癖に『デュエル』出来るというのか」
「ええ。たった今から、初デュエルだけど。あなたを倒すわ」
「グハハ……!!片腹痛いわ!この『ワーム・キング』様を倒すなど、バカも休み休み言うがいい…!」
私は嗤う金色を無視して、懐からうららを…。
『灰流うらら』を、手にする。
「…うらら、ごめんね。あの時私がもっとしっかりするべきだったよね」
「さぁ!始めるぞ!」
「……うらら、行こう」
一歩。
踏み出す。
方法は、決闘による勝利。
報酬は…うららと父さん、みんなの、弔い。
十分なミッションね。
「私の
【SYSTEM RUN START】
【ACCESS………COMPLETE】
【TARGET……『閃刀レイ』……COMPLETE】
【START SYSTEM 『000 ENGAGE』】
【SYSTEM ALL GREEN】
【BATTLE SYSTEM 『閃刀姫』】
「「デュエル!!」」
WORM KING LP8000
VS
RAY LP8000
「俺様から行かせてもらおう!」
キングがデュエルを先攻する。
私は手札を確認し…。
(こ…効果が何一つわからない…!)
…そう。
ハワーのおかげでルールは万全だが…。
カードの知識は、一切なかった。
(相手どころか自分すらわからないなんて…!)
「俺様は手札から、モンスターをセット」
ぶぅん…。
カードの裏面が、路上に横向きで現れた。
…ヴィジョンのような技術なのか、しかし私はその光景を受け入れてしまう。
(モンスターが、裏守備で…)
「更にカードを2枚セットし、ターンエンドだ」
…でかい態度の割に、随分と小さな動きである。
しかし
WORM KING LP8000
HAND 5→2
FIELD
MONSTER SET1
BACK SET2
RAY LP8000
HAND 5→6
FIELD
NO CARD
「わ、私のターン!ドロー!」
とりあえず、ドローしたカードを確認してみる。
(…て、テキストを読んで…)
確認しながら…とにかく、動いてみなくちゃ!
「メインフェイズ!私は手札から、『閃刀起動-エンゲージ』を発動!」
閃刀起動-エンゲージ
通常魔法
(1):自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合に発動できる。
デッキから「閃刀起動-エンゲージ」以外の「閃刀」カード1枚を手札に加える。
その後、自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、
自分はデッキから1枚ドローできる。
「この効果により、デッキから『閃刀姫―レイ』を手札に加えて、そのまま通常召喚!」
閃刀姫―レイ
効果モンスター
星4/闇属性/戦士族/攻1500/守1500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードをリリースして発動できる。
EXデッキから「閃刀姫」モンスター1体をEXモンスターゾーンに特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):このカードが墓地に存在する状態で、
自分フィールドの表側表示の「閃刀姫」リンクモンスターが相手の効果でフィールドから離れた場合、
または戦闘で破壊された場合に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
フィールドに、私そっくりの容姿の…。
物騒な赤い刀を持った女の子が、降り立った。
その瞳は、キングを睨みつけて動かない…。
「よし、バトルよ!レイでセットモンスターに攻撃!」
たったった…!
私そっくりの少女が、セットモンスターに向かって駆けていき…。
手に持つ赤い刃を、突き立てる…!!
「かかりおったな!リバースオープン!『ワーム・カルタロス!』」
「………!?」
ワーム・カルタロス
効果モンスター
星4/光属性/爬虫類族/攻1200/守 500
リバース:デッキからレベル4以下の「ワーム」と名のついた
爬虫類族モンスター1体を手札に加える。
何やら気色の悪いモンスターが、裏返った。
ステータスは大したことないけど…。
「その効果により、俺様はデッキからレベル4以下のワームモンスターを1体手札に加える!こい!『ワーム・ゼクス』!」
「リバース効果モンスター…!!」
ワーム・ゼクス
効果モンスター
星4/光属性/爬虫類族/攻1800/守1000
このカードが召喚に成功した時、
デッキから「ワーム」と名のついた爬虫類族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。
自分フィールド上に「ワーム・ヤガン」が存在する場合、
このカードは戦闘では破壊されない。
…油断した…!
リバース効果モンスターは、裏側から表側になることで初めて効果が発動するカード群。
あいつのデッキは、はなから裏側で戦うデッキ…!
少女の刃は相手モンスターを貫き…。
ワームは無残に、光を放って消滅する。
「…っく!まだよ!レイの効果を発動!この子は自由にいつでも、装甲を纏うことができる!現れよ、『閃刀姫―カガリ』!!」
閃刀姫―カガリ
リンク・効果モンスター
リンク1/炎属性/機械族/攻1500
【リンクマーカー:左上】
炎属性以外の「閃刀姫」モンスター1体
自分は「閃刀姫-カガリ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の「閃刀」魔法カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
(2):このカードの攻撃力は自分の墓地の魔法カードの数×100アップする。
【SYSTEM 『X-003』】
【BATTLE SUIT OF FIRE】
【AFRAID…AFRAID…】
ボゥッ!と空気が、熱で揺らめく。
レイが、紅蓮の装甲を光に包まれながら装着する。
物騒な刀も、赤く、大きく、揺らめいていく。
『閃滅』装甲、カガリ。
カガリの登場により、俄かに周囲の気温が上がった気がした。
装甲を纏うレイは…まさしく『戦闘機』である。
閃刀姫の真の戦い方は、身にまとう装甲と武装を駆使して戦う…!
だんだんと、掴めてきた!
「カガリの効果!さっき発動した墓地のエンゲージを手札に加えるわ。そしてそのままバトル続行!カガリでダイレクトアタック!」
「ぬぅっ……!」
WORM KING
LP 8000→6500
「…よし!このままメインフェイズ2よ!」
ダメージを与え、少なくともライフレースでも手札・フィールドの枚数でもこっちに利がある。
このまま…押し切る!
「さっき手札に戻ってきたエンゲージを、再び発動!」
エンゲージは、デッキのあらゆる閃刀カードを手札に加えることが出来る。
この効果で、状況に応じて戦う…。
おそらく、この柔軟に状況に対応する戦い方が『閃刀姫』というデッキの戦い方。
「…効果で、デッキから『閃刀術式-ジャミングウェーブ』を手札に加えるわ」
閃刀術式-ジャミングウェーブ
通常魔法
(1):自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、
フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
その後、自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、
フィールドのモンスター1体を選んで破壊できる。
「そして、そのまま発動!あなたのセットカードを対象にとって、破壊する!対象は…あなたのデッキ側のセットカード!」
「…ほう。ならばチェーン発動。『バースト・リバース』」
「………っ!」
バースト・リバース
通常罠
(1):2000LPを払い、自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを裏側守備表示で特殊召喚する。
「その効果により、俺様の墓地のカルタロスが裏側で蘇生する!」
WORM KING
LP 6500→4500
これじゃあ、実質ジャミングウェーブは実質不発…!
しかも、向こうには倒したモンスターが復活してしまった。
「…で、でもあなたのライフはもう半分程度だわ!このままじゃキツイんじゃない?」
「グハハハ!能天気な奴よ!そう思うなら次のターンにでも決着をつけてみるんだな!」
「…っち、私はカードを4枚セット」
手札にある、罠カードと閃刀魔法…その中でも、相手ターンでも発動できる速攻魔法をセットする。
…いや、ジャミングウェーブを外したところで、この沢山のセットカードとカガリを超えるのは難しいはず…。
まだ、私が有利…!
「このままターンエンド…」
「いや、まだ終わらせん。俺様はもう1枚のセットカードをエンドフェイズに発動する!」
え、エンドフェイズ…!?
まだ何か、あるっていうの!?
「罠カード、『W星雲隕石』発動!」
W星雲隕石
通常罠
フィールド上に裏側表示で存在するモンスターを全て表側守備表示にする。
このターンのエンドフェイズ時に自分フィールド上に表側表示で存在する
爬虫類族・光属性のモンスターを全て裏側守備表示にし、
その枚数分だけ自分のデッキからカードをドローする。
その後、自分のデッキからレベル7以上の
爬虫類族・光属性モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
「この効果で、まずカルタロスを再びリバース!」
「…また、サーチ…!」
「カルタロスの効果!デッキから『ワーム・ヤガン』を手札に加える!」
ワーム・ヤガン
効果モンスター
星4/光属性/爬虫類族/攻1000/守1800
自分フィールド上のモンスターが「ワーム・ゼクス」1体のみの場合、
このカードを墓地から裏側守備表示で特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したこのカードは、
フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。
このカードがリバースした時、相手フィールド上に表側表示で存在する
モンスター1体を選択して持ち主の手札に戻す。
ま、また増えた…!
私のターンだって言うのに、好き勝手に…!
「W星雲隕石の効果はまだ終わっていないぞ!」
「な…!」
「エンドフェイズの処理で、更にカルタロスを裏に戻す!」
パタリ…。
カルタロスがまたも、裏側に。
これじゃあ、またキングのターンでサーチされてしまう。
あいつ…見た目の気持ち悪さだけじゃなく、ちゃんと強い…!
「そして裏になった枚数分ドローし、更にその後デッキからレベル7以上の光属性・爬虫類族のモンスターを特殊召喚する!」
「な…なによ、その効果!1枚でどんだけやるのよ!インチキだわ!」
「グァハハハハハハ!これぞ我が『ワーム』軍の究極兵器!俺様を含め、限られた軍の精鋭にしか扱えぬ最強のカード!」
どんどん相手のカードが増えていく…!
このままじゃ、ライフ差3500なんてすぐにひっくり返されちゃう。
でも…私のエンドフェイズだから、何もできない…。
「1枚ドローし、デッキから『ワーム・クィーン』を特殊召喚!」
ワーム・クィーン
効果モンスター
星8/光属性/爬虫類族/攻2700/守1100
このカードは「ワーム」と名のついた爬虫類族モンスター1体を
リリースして表側攻撃表示でアドバンス召喚できる。
また、1ターンに1度、自分フィールド上の「ワーム」と名のついた
爬虫類族モンスター1体をリリースする事で、
リリースしたモンスターのレベル以下の「ワーム」と名のついた
爬虫類族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。
相手の場に…。
巨大な、白いワームが現れる…!
明らかに今までのヤツとは違う、強烈な威圧感を感じる。
こんなのを、1枚でデッキから特殊召喚するなんて!
「さぁ、貴様のターンのエンドフェイズだぞ?」
「…た、ターンエンド…」
RAY LP8000
HAND 6→1
FIELD
MONSTER 『カガリ』
BACK SET4
WORM KING LP4500
HAND 2→6
FIELD
MONSTER SET1『カルタロス』、『クィーン』
BACK NO CARD
「グハハ、では俺様のターン!ドロー!」
キングの手札は、今のドローで6枚もある。
しかもフィールドのカルタロスがリバースすればさらに1枚。
バカみたいなカードアドバンテージだわ…。
「メインフェイズ!…貴様も、運の尽きだったな」
「な、何よ。まだ私のライフは万全だし、セットが4枚もあるわ。勝った気になるのは…」
「フ…では、これを喰らっても同じことが言えるかな?…手札から、『ハーピィの羽根帚』を発動!」
ハーピィの羽根帚
通常魔法(制限カード)
(1):相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。
「……え…?」
単純なテキストを見て、絶句した。
なに…これ…?
「お前のその伏せカードを…すべて、破壊だ!」
「うそっ!?」
バリィィィィン!
私のセットされたカードが、音を立てて破壊されていく。
このままじゃ…やられ損だわ。
一応、
「…っく、チェーン発動!ウィドウアンカー、ホーネットビット、イーグルブースター!」
閃刀機-ウィドウアンカー
速攻魔法
(1):自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、
フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
その後、自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、
そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る事ができる。
閃刀機-ホーネットビット
速攻魔法(制限カード)
(1):自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合に発動できる。
自分フィールドに「閃刀姫トークン」(戦士族・闇・星1・攻/守0)
1体を守備表示で特殊召喚する。
このトークンはリリースできない。
自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、
そのトークンの攻撃力・守備力は1500になる。
閃刀機-イーグルブースター
速攻魔法
(1):自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、
フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
このターン、その表側表示モンスターは自身以外のカードの効果を受けない。
自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、
さらにこのターン、そのモンスターは戦闘では破壊されない。
「ふん、無駄な抵抗を」
「ウィドウアンカーはクィーンを対象に、イーグルブースターはカガリを対象にするわ」
「好きにするがよい」
…よし、何とか被害は最小限にできた…。
全ての処理が完了する。
カガリがあらゆる効果を受けなくなり。
レイによく似たトークンの映像がフィールドに映写され。
ウィドウアンカーにより、クィーンが無力化され。
…そして。
「だが、残りの伏せカードは破壊だ!」
「……ええ、構わないわ」
ハーピィの羽根箒により、最後の一枚が破壊される。
神の通告
カウンター罠(準制限カード)
(1):1500LPを払って以下の効果を発動できる。
●モンスターの効果が発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを特殊召喚する際に発動できる。
その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する。
「ふむ、随分強いカードを仕込んでいたようだな?」
「早く、続きをしなさいよ…」
「グハハ、良かろう」
キングの戯言を払って、デュエルに集中する。
…残りの手札一枚は、アフターバーナー…。
閃刀術式-アフターバーナー
通常魔法
(1):自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、
フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
その後、自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、
フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊できる。
一応、こちらのターンでモンスター一体は何とかなるけど…。
正直、厳しいかもしれない…。
「俺様はカルタロスを反転召喚!効果により、俺様自身…『ワーム・キング』を手札に加える!」
「…やっぱりあんたも、モンスターなわけね…」
ワーム・キング
効果モンスター
星8/光属性/爬虫類族/攻2700/守1100
このカードは「ワーム」と名のついた爬虫類族モンスター1体を
リリースして表側攻撃表示でアドバンス召喚できる。
また、自分フィールド上の「ワーム」と名のついた
爬虫類族モンスター1体をリリースする事で、
相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。
「そして、カルタロスをリリースし、そのままアドバンス召喚!」
カルタロスの姿が、光に霧散し…。
ズォォォ……、と。
巨大な金の影が、現れる…。
当然、アイツと同じ姿の…気色悪い、巨大な化け物。
「グハハハ!貴様にもう勝ち目はない!クィーンをリリースし、俺様の効果発動!貴様のトークンを破壊する!」
「うぐ…!」
ぱしゅっぅぅぅぅぅぅ!!
『ワーム・キング』の手から放たれた光弾が、レイそっくりのホログラムに直撃する。
その衝撃で…トークンの姿は霧散してしまう。
「…で、でも、これであんたもモンスター一体ね。大したことないじゃない…」
これなら、こっちのターンにアフターバーナーであいつを焼けば…。
「甘いわ、これで終わりと思ったか!手札から『ヴァイパー・リボーン』を発動!」
ヴァイパー・リボーン
通常魔法
自分の墓地のモンスターが爬虫類族モンスターのみの場合に、
チューナー以外の自分の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターンのエンドフェイズ時に破壊される。
「この効果で、墓地のクィーンを蘇生する!」
リリースされたクィーンが…!
しかも、ウィドウアンカーで無効にしたはずの効果も戻っている。
「そのままクィーンの効果!自身をリリースすることで、デッキから再びクィーンを特殊召喚!」
「………?」
「そして、さらにこのクィーンもリリース!三枚目のクィーンも特殊召喚する!」
…何?
何を、しているの…?
これじゃ、デッキのクィーンを墓地に2枚送っただけじゃない…?
「さぁ、最後のクィーンの効果だ!効果で、デッキから『ワーム・ヴィクトリー』を特殊召喚!」
ワーム・ヴィクトリー
効果モンスター
星7/光属性/爬虫類族/攻 0/守2500
リバース:「ワーム」と名のついた爬虫類族モンスター以外の、
フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。
また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
このカードの攻撃力は、自分の墓地の
「ワーム」と名のついた爬虫類族モンスターの数×500ポイントアップする。
三度目の変身。
今度は、クィーンの姿がぐにゃり、と歪み…。
また新しい、紅く大きなワームがフィールドに現れる。
こいつは…何…?
明らかに、キングともクィーンとも違う…!
「こいつは墓地のワームの数×500、攻撃力が上昇する!」
墓地のワームの数…ってことは!
「今の攻撃力は…」
「カルタロス、クィーン三枚!攻撃力2000だ!」
…この為に、わざわざデッキからクィーンを三枚も使ったのね…。
でも、別に2000なら、クィーンより弱くなってるし…?
「そして、手札から魔法カード『スネーク・レイン』を発動する!」
スネーク・レイン
通常魔法
手札を1枚捨てて発動できる。
デッキから爬虫類族モンスター4体を墓地へ送る。
「この効果により、手札のヤガンを捨てて、デッキからワームを四体墓地へ送る!」
「四体ですって!?」
これじゃあ、ヴィクトリーの攻撃力は…!
「俺様はデッキから、ヤガン二体、ゼクス、カルタロスを送る!」
「これで…墓地の、ワームは…?」
「グハハ、9体だ!よってヴィクトリーの攻撃力は4500!」
4500…!?
そんなの、滅茶苦茶じゃない…!
「バトルフェイズだ!ヴィクトリーで貴様のモンスターに攻撃!」
「うっ…か、カガリの効果でカガリも墓地の魔法カード一枚につき攻撃力が100上がっているわ!」
「だからどうした!戦闘破壊!」
カガリの攻撃力は…1900。
とても耐えられる攻撃力じゃない…!
「きゃぁぁぁぁ!!」
RAY
LP 8000→5400
ヴィクトリーの放つ腕撃が、カガリを殴り飛ばす!
そしてその衝撃が私にまでダメージを与えた。
「……ぅぅ…」
「ぐはは、どうした!威勢がいいの最初だけだったようだな!俺様でさらに攻撃…」
「……ぅ、ま、まだよ…。墓地のレイの効果、レイを守備表示で特殊召喚…」
装甲の外れたレイが、フィールドに舞い戻った。
…でも、この子も…!
「グハハ、無駄な足掻きよ!キングで攻撃だ!」
「く…!」
守備表示で構えていたレイも、キングの光弾に消し飛ばされてしまう。
ダメージは来ないが…もう、すでに私のフィールドにカードはない。
「…ふん、命拾いしたな。俺様は手札を一枚セットしターンエンドだ」
「うぅ…わ、私のターン…!」
RAY LP5400
HAND 1→2
FIELD
NO CARD
WORM KING LP4500
HAND 6→1
FIELD
MONSTER 『ヴィクトリー』、『キング』
BACK SET1
このままじゃ…負ける…。
私じゃ、やっぱり…勝てない、のかな…。
「ドローフェイズ、ドロー……」
もはや、半分諦めていた。
私じゃ、ダメだったのかな…。
地球も、家族も、親友も守れない。
私には、ちょっと荷が重すぎたのかな…。
「……スタンバイフェイズ、メインフェイズ。私は手札から、アフターバーナーを発動する。対象はヴィクトリー…!」
「…ふん、構わん」
「墓地の魔法カードが三枚以上あるとき、あんたのセットカードもまとめて破壊するわ」
幻影のカガリが、炎を纏った攻撃でヴィクトリーを蹴散らす。
その炎撃は、衝撃波でキングのセットも吹き飛ばしてしまう。
「っち、二枚目の星雲隕石も割られたか…」
「……………」
…それでも。
勝てないことは明白、だった。
「…わたしは、これで、ターンエンド…」
「…ぐは」
キングは心から楽しそうに、哄笑を上げる。
「グッハハハハハハ!!傑作だ!俺様に強気に勝負を挑んで、その結果がこれよ!無様だ、滑稽だ、なんと無謀だ!」
「………ぅ……」
「チキュウ人のゴミよ、ここまで抵抗したことは誉めてやろう!だがな、所詮はお遊び!俺様の戯れ、暇つぶしにす過ぎぬのだ!」
グハ、グハハハ!!
嫌というほど聞いた、その特徴的な笑い方が。
私を心から…絶望に叩き落とす。
「せめてもの慈悲だ!一撃で、この勝負を終わらせてくれる!俺様のターン、ドロー!!」
RAY LP5400
HAND 2→1
FIELD
NO CARD
WORM KING LP4500
HAND 1→2
FIELD
MONSTER 『キング』
BACK NO CARD
キングの、ターン。
アイツの手札は確か、攻撃力1800のワーム・ゼクス。
下手な蘇生カードや展開カードを引かなければ私のライフは、残るはずだった。
そんな、悲しい運任せの希望でしか…今の私を、繋ぎとめない。
「スタンバイ、メイン!終わりだ!俺様は手札からゼクスを召喚、効果でデッキから3枚目のカルタロスを墓地へ!」
ここまでは、想定通り。
このまま、バトルに入って…!
「……グハ。グハハハ!!終わりだ、と言ったはずだぞ、チキュウ人!俺様は2枚目のヴァイパー・リボーンを発動!」
「…ぁ…」
蘇生、魔法……。
「効果で墓地のクィーンを特殊召喚だ!」
これで、5度目。
もはや見飽きた、白い巨体がよみがえる。
…これで、終わり。
終わり。
「あ……ぅ…」
「どうした、今更命乞いか?」
…終わり。
その意味を、頭が理解してくれない。
体だけが、ガタガタ、震え続けている。
「グハハハハハハ!!そうだ、無駄だった!貴様の無為で無謀な!努力も!足掻きも!この星も!何もかも、無駄だった!」
ぐは、ぐはは。
哄笑を上げる、金色の化け物。
やっぱり…。
無駄、だったのかな…。
勇んでも、力んでも。
あの時飛び出したうららを、止められなかったように。
私には、足りなかった…。
『―――負けないで、レイちゃん―――』
「………!!」
意識が、戻る。
「…うらら……」
声が、聞こえた。
私の世界を守ってくれた、優しい声が。
涙が、滲む。
「うらら……!」
ごめん、ごめんね…!
私じゃ、守ってあげられなかったよ…!
守ってもらってばかりだった私は、何も返せない…返せないよ…。
「もはや絶望して、言葉も出ぬか。トドメはくらいは、一撃で終わらせてやろう。そうも、俺様は言ったからな!」
キングは、まだ何かするみたいだ。
でも私は、それを見ていることしか出来ない。
…うらら、ごめん……。
謝っても、謝り足りないけど。
もう、遅いよね…。
『ううん、まだだよ、レイちゃん!』
「!?」
また、聞こえた。
今度はハッキリと。
頭に、世界に、響くように。
「クィーンの効果を発動!クィーンをリリースし、デッキから攻撃力が5500となったヴィクトリーを特殊召喚だ!」
『今だよ!』
「あ………!」
世界が。
華を取り戻すように。
色を取り戻すように。
歩くように。
飛ぶように。
そのすべてを、取り戻す――!!
「私は、手札から!『灰流うらら』の効果を、発動するっっ!!!」
灰流うらら
チューナー・効果モンスター(準制限カード)
星3/炎属性/アンデット族/攻 0/守1800
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、
このカードを手札から捨てて発動できる。
その効果を無効にする。
●デッキからカードを手札に加える効果
●デッキからモンスターを特殊召喚する効果
●デッキからカードを墓地へ送る効果
「な…!?」
「この効果で、クィーンの効果は無効!リクルートは出来ない!!」
ぱしゅぅぅぅ……。
変形することを忘れたクィーンは、そのまま溶けてフィールドから消えてしまう。
そして、フィールドには…キングとゼクスだけが残った。
「ぐ…貴様…!」
「驕って、ミスしたわね。そのまま攻撃したら、勝ってたのに」
「ええい、黙れ!少し余命が伸びた所で無駄な足掻きだ!バトルフェイズ!ゼクスと俺様で、ダイレクトアタック!!」
「…………」
RAY
LP 5400→900
体を貫く衝撃。
不思議と、痛くもなんともなかった。
「それで、終わりかしら?」
「…ッチ、俺様はターンエンドだ…」
もう、迷わない。
最後まで、見ててね、うらら。
あなたに見ていてもらえるなら。
あなたに、これまでのありったけの恩を、少しでも返せるなら。
地球なんて、一瞬で救って見せる。
RAY LP900
HAND 0→1
FIELD
NO CARD
WORM KING LP4500
HAND 2→0
FIELD
MONSTER 『キング』、『ゼクス』
BACK NO CARD
心を、落ち着ける。
頭をすっきりさせて、目の前のデッキを見る。
…いける。
そんな確信が、何故か頭にあった。
「私のターン、ドロー」
引いた、カードは…!
「……ふふ」
「どうした、とうとう絶望で気が触れたか?」
「『ワーム・キング』。さっきのターンのミスを、地獄で一生悔やみなさい。」
私は。
勝利を、見ていた。
「スタンバイ、メインフェイズ!私は手札から2枚目のエンゲージを発動!」
閃刀起動。
文字通り、私の
「デッキから2枚目のレイを手札に加え、その後1枚ドロー!」
またも、デッキからドローする。
何を引くかなんて、わからないはずなのに。
私はやはり、確信して引いていた。
「私の引いたカードは、アフターバーナー!!フィールドのゼクスを破壊!」
「ぐっ……!!」
燃え尽きる、一閃――!!
幻影のカガリが放つ炎撃は、先程とは打って変わって。
希望に満ち溢れた、煌く一撃!
「そして手札からレイを召喚!」
燃え尽きた大地に、再び
その瞳は、閃々と光を放ち。
その得物は、幾悪も逃さぬ正義の刀。
「さぁ、リンク召喚よ!私は再びカガリをフィールドに特殊召喚!」
燃え尽きた大地が悲鳴を上げるように。
大気の温度が上昇し、視界を紅く、染め上げる。
紅い装甲を纏うレイ。
その迫力は、先程とは比べ物にならない。
「効果で墓地からウィドウアンカーを手札に、そのまま発動!!」
シュルルル!
紅い装甲から、幾重ものアンカーが飛び出す。
そのアンカーはキングを取り巻き、拘束し。
こちらのフィールドに、捕縛する。
「その効果で、『ワーム・キング』のコントロールを得るわ」
「俺様の…!」
…正に、一瞬だった。
戦況が一瞬で覆る。
本当に一瞬だけど。
『閃刀姫』の真の力の一部を、垣間見た気がした。
「バトルフェイズ!」
「ま…待て!」
「キングでダイレクトアタック!」
「ガァァァァ!!」
WORM KING
LP 4500→1800
「現在のカガリの攻撃力は、墓地の魔法カードが7枚。2200よ」
「グ…!」
キングの顔が、苦しげに、歪む。
後悔は、いつだってもう遅いときに来るものだ。
「さぁ。終わりましょう」
「お…俺様を倒したところで!無駄だ、全てはもう遅い!」
「そうかもしれない。でも、少なくとも…」
うらら。
「私の親友を奪った罪は、この地球の存在より重いわ」
WORM KING
LP 1800→0
……すべてが、終わった。
目の前にいたはずの金色の化け物は、幻であったかのように消え去った。
死体すら残らないなんて、つくづく不思議なものだ、と。
そんな味気ない感想を思い浮かべて。
「……うらら…」
次にもう浮かんだのは、親友の顔だった。
デッキから、『灰流うらら』のカードを取り出す。
もう、謝ることも。
話すことさえできない、親友。
「うららぁ…!」
『はいはーい』
「ふぁっ!!??」
心底!
驚いた!
どこからか、というか目の前のカードから、うららの声が聞こえたのだ!
「え?え!うらら!?そこに、いるの!?幻聴!?」
『あはは、レイちゃんったらー。いつものクールさはどうしたの?』
カードをよーく見てみると…。
イラストの中のうららが、やっほー、と手を振っている。
これって…。
軽くホラーな光景に、思わずドン引き。
『うーん、なんかね、あの黄色いのを倒したことで、少しだけ自由になったっぽい』
「…あ…ほ、ほんとに、うらら…?」
『うん、私。春崎うらら、その人だよ』
えっへん、と。
イラストの中で胸を張る彼女は。
やっぱり…私の知ってる、うららだ。
「うらら…!!うらら!生きてて、よ、よが…っっ!!」
『んもう、泣かないのー。レイちゃんが泣くなんて、可愛いなぁ、もう』
安堵。
この戦いを制してよかった。
うららとまた会えた。
生きててよかった……!
「うらら、うらら…!」
『うんうん、いいこいいこー』
しばらくして。
「…うぅぅ…」
『お、急に恥ずかしくなった?』
「うるさい!」
ある程度泣いた私は、少し冷静に。
よくよく考えたら、カード見て号泣してる私って…。
傍から見たらただの変質者じゃない…。
『……レイちゃん』
「…なによ」
『ごめんね。私があの時、迂闊に外に出なければ…』
「……ふふ。確かにね」
『あ、笑わないでよ~。真剣なんだよ?』
だって。
いつもとは違った、浴衣みたいな装束のうららが。
見たことないくらいシュンとした顔で謝ってくるから。
安心した。
「いいの。あそこで飛び出さなくても、どうせ時間の問題だったしね」
『………?』
「それに、ラッキーだったわ。結果だけ見れば、私は…」
立ち上がる。
そして、見据える。
今や暗雲を立ち込め、闇の居城と化した。
山の上の、巨大な大穴を。
「この力があれば、皆を救える。地球だって、救えるわ」
『ひゅー、レイちゃんかっくいー!』
「こら、茶化さない」
うららと軽く漫才しながら。
私は、心に決めていた。
やってやろうじゃない。
やれるところまで。
この世界の、ヒーローってやつを――!
読了、ありがとうございました!
完全に趣味全開のこんな小説を最後までお読みいただき、本当に感謝感激です。。
さて、作中の補足を少しだけ。
・やたらガチカードが多い
→少しでもデュエルを緊迫したものにできたらいいなぁ、と思いました。
特にキング側はガチ要素多いです。
なお閃刀魔法のウルトラハイスペックに屈した模様。
閃刀姫には…勝てなかったよ…!
・レイのプレイングが雑
→わざとです。
初めてのデュエルだから、多少はね?
本当はフル回転した閃刀姫なんて暴力は書きたくなかったからです。
現環境デッキの一つだからね、仕方ないね。
でも私は閃刀姫の戦い方大好きです。
・うららの扱い
→親友ポジ、兼やっちまった子。
あんまり深くキャラクターを考えていなかったので…。
補助兼牽制カードの灰流うららがデュエルの明確な勝敗を決定づけたらカッコいいかも、と思っただけです。
実際はプレミ拾っただけ。
…以上です!
改めて、読了ありがとうございました!
誤字脱字・ルール及びプレイミス、その他ミスがございましたらご指摘いただけると嬉しいです!