その名は、榛か遠く   作:Falke

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序章 孤独からの出発
プロローグ


~大本営~

 

 

コンコン

 

 

元帥「ん? 入ってくれ」

 

 

ガチャ

 

 

優「失礼します」

 

 

室内からの声に促され、扉を開け執務室の中に入る。

豪華な執務机の奥に、椅子に座った若い男と、その隣に長身の女性が立っている。

 

 

元帥「ああ、君か。待っていたよ」

 

優「本日付で東方鎮守府に着任することになりました、雨宮———」

 

元帥「堅い挨拶はいいよ。君のことは既に知っているからね」

 

優「了解しました」

 

元帥「あっさり止めるんだね。まぁ構わないけど。雨宮 優くん……冷静な性格に反してその采配は実に攻撃的、特技は剣道で趣味はなし……うん、読んでいて実につまらないデータだね」

 

優「……」

 

陸奥「提督、言い過ぎよ」

 

元帥「ああ、ごめんごめん。気に障ったかい?」

 

優「いえ、別に」

 

元帥「淡白だねぇ。まぁいいや。陸奥」

 

陸奥「はーい」

 

 

元帥殿に促され、陸奥という女性が俺に書類を差し出す。

 

 

元帥「君が付く東方鎮守府所属の艦娘のリストだよ。迎えの車を呼んであるから、鎮守府につく前に目を通すといい」

 

優「ありがとうございます」

 

元帥「詳しい仕事とかは、ここで話すよりも慣れていった方が早いだろう。何か他に質問はあるかい?」

 

優「……いえ、特には」

 

元帥「そうかい。なら、早速行きたまえ。また何かあれば報告してね」

 

優「了解しました。失礼します」

 

 

ガチャ  バタン

 

 

陸奥「……提督?」

 

元帥「……ああ、すまない。……僕は大丈夫だよ」

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

~東方鎮守府~

 

 

榛名「……」

 

金剛「榛名ー? どうしたんデスカー?」

 

榛名「いえ……なんでもありません、お姉さま。榛名は大丈夫です」

 

金剛「……不安デスカ?」

 

榛名「……いえ、そんなこと……」

 

金剛「榛名。隠し事はなしネ。不安な時はワタシの胸を借りてもいいんデスヨ?」

 

榛名「お姉さま……」

 

金剛「大丈夫。きっと。榛名は大丈夫ネ」

 

榛名「……ふふっ」

 

金剛「What? なんで笑うデスカ?」

 

榛名「だって……お姉さまが榛名みたいなことを言うので、ちょっとおかしくて」

 

金剛「むー。そんなに変デスカー」

 

榛名「いいえ。……ありがとうございます、お姉さま」

 

金剛「Yes。榛名は笑顔が一番デース!」

 

 

笑い合う金剛と榛名の元へ、一台のタクシーが向かってくる。

 

 

金剛「来たみたいデスネー」

 

 

タクシーは二人の前で止まり、一人の男を下ろしてそのまま去って行った。

 

 

優「……」

 

榛名「あの……。新しい提督の方ですか……?」

 

優「ああ。君たちは」

 

金剛「ハーイ! 英国で生まれた帰国子女、金g———」

 

優「自己紹介はいい。榛名、金剛。君たちのことは既に書類で確認済みだ。早速だが執務室に案内してくれ」

 

榛名「あ、はい……。こっちです」

 

金剛「むー。つれないデスネー」

 

 

榛名の案内に優が従い、金剛も二人を追いかける。

 

 

金剛「……」


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