その名は、榛か遠く   作:Falke

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#Ex ある秘書艦の日記①

4月25日

 

 

榛名の新しい配属先が決まりました。

 

せっかくなので、日記も新しくしようと思います。

 

今日は同じく東方鎮守府に配属となるみなさんで、新しい提督さんが来る前に、鎮守府の大掃除と稼働準備をしました。

 

榛名は金剛お姉さまと一緒です。新しい環境に不安もあったので、とても安心です。

 

比叡姉さまと霧島とは離れてしまったけれど……戦力に余裕がない以上、これは榛名のわがままです。

 

 

 

新しい提督さんはどんな方なのでしょうか?

 

どんな方だとしても、金剛お姉さまと一緒なら、榛名は大丈夫です。

 

 

 

 

 

4月26日

 

 

お世話になったみなさんに挨拶をしに、一度大本営に戻りました。

 

今の戦況もあって、一度四方に散ってしまえばそう簡単には会えなくなってしまいます。

 

なので、今日は金剛型四姉妹でティータイムです。

 

比叡姉さまと霧島が変な気を遣っていたらしく、金剛お姉さまに叱られていました。

 

二人ともとてもぎこちなかったので、バレバレでしたね。

 

久しぶりに四人揃ったのに、明日からはまた離れ離れです。

 

でも、この戦いを終わらせたら、またいつでも仲良くお喋りできるわよね。

 

だから寂しくありません。榛名は大丈夫です。

 

 

 

 

 

4月27日

 

 

提督が鎮守府に着任しました。

 

提督の名前は、雨宮 優さんというみたいです。

 

一応みなさんを集めて挨拶はしていただけましたが、資料を見ればわかるから、と、榛名たちとあまり関りを持とうとしてくれません。

 

提督は着任したばかりなのに、艦隊を編成して近海哨戒任務を発令しました。

 

帰投したばかりの艦隊をもう一度出撃させようとして、天龍さんにひどく怒られてしまっていました。

 

 

 

榛名には……提督は、何か焦っているように見えました。

 

そういえば、榛名が工廠へ案内した時、提督は艦娘の艤装に興味があるみたいでした。

 

提督は何を考えて……いえ、見ているのでしょう。

 

 

 

榛名には、よくわかりません。

 

 

 

 

 

4月28日

 

 

医務室のベッドから、榛名は日記を書いています。

 

大掃除でピカピカにしたばかりの医務室を、榛名が一番最初に使うことになるなんて思いもしませんでした。

 

昨夜、提督が深海棲艦に襲われました。

 

榛名たちと会話が成立するほどの知能。おそらく姫級、それもかなり特殊な個体だと思われます。

 

榛名はなんだか胸騒ぎがして起きたおかげで、たまたま提督をお見掛けして、なんとかお守りすることができました。

 

榛名が目を覚ますと、提督がベッドに寄りかかって眠っていました。

 

榛名のことを、ずっと心配してくれていたみたいです。

 

 

 

やっぱり提督には、何か事情があるみたいでした。

 

ずっと、我慢してきたんですね。

 

ここには、今は提督のことをよく思っていない方もいらっしゃいますが、榛名は大丈夫です。

 

提督は、優しい人でしたから。

 

 

 

いつか、提督のお話も、たくさん聞かせてくださいね。

 

 

 

 

 

4月29日

 

 

今日はいろんなことがありました。

 

 

 

とりあえず、榛名は動けるようになりました。

 

提督も、これから時間をかけて榛名たち一人一人と向き合おうとしているみたいです。榛名は安心しました。

 

 

 

大本営に報告に行く提督について行くことにしました。

 

久々にお会いした元帥殿に、なんだかまじまじと見られちゃいました。

 

元帥殿は、とても安心したような目をしていました。

 

それは提督にも、榛名にも向けられたもののような気がして、榛名は嬉しかったです。

 

 

 

報告を終えた後、提督のご友人の方とお会いしました。

 

姫宮 奈緒さん。北方鎮守府の提督をされてるみたいです。

 

彼女の秘書艦をしている木曾さんとも再会しました。

 

そういえば、榛名が勝手に提督の秘書艦だと言ってしまいましたが、ご迷惑じゃなかったでしょうか?

 

 

 

鎮守府に戻ると、大本営から新しい方が派遣されていました。

 

赤城さんと、曙ちゃん。赤城さんとは面識がありますが、曙ちゃんとは初対面です。

 

彼女も何か事情を抱えているのでしょうか。曙ちゃんの態度に提督は頭を抱えていました。

 

ふふっ、大変そうですね。でも困ったら、榛名がいつでもお手伝いいたしますよ。

 

 

 

 

 

4月30日

 

 

この鎮守府には道場があります。

 

何やら盛り上がっていたので覗いてみると、天龍さんと龍田さんが手合わせをされていました。

 

いつもは龍田さんが天龍さんをからかう姿をよく見かけますが。

 

やっぱり仲がいいというか、お互いのことを誰よりも信頼しているんですね。

 

実力は互角で、中々勝負がつきませんでしたが。

 

二人がとてもいい顔をしていたので、榛名も思わず笑顔になりました。

 

 

 

 

 

5月1日

 

 

月は変わり、皐月が始まりました。

 

提督は相変らず頭を抱えています。

 

それは作戦立案に頓挫しているわけではなく、中々曙ちゃんが心を開いてくれないからでしょう。

 

でも、おそらくそれだけじゃありません。

 

提督はずっと気にされているのでしょう。みなさんにした仕打ちのことを。

 

明日はいよいよ作戦決行の日。今の提督はきっと、榛名たちを未知の戦いに赴かせるのが怖いのでしょう。

 

大丈夫ですよ。提督は優しい人です。

 

それをわかってくれる子も、少しずつ増えてきています。

 

提督は大丈夫です。不安なら榛名たちが、ちゃんと支えていますから。

 

 

 

 

 

5月2日

 

 

本日、東方鎮守府は《破砕》調査任務に乗り出しました。

 

その過程で、《破砕》を打倒するために一人で出撃してしまった曙ちゃんを、東方のみんなで迎えに行きました。

 

《破砕》は、曙ちゃんの奮戦で討伐したようです。

 

その代わりに、曙ちゃんと響ちゃんが意識不明。

 

龍田さんと赤城さんが、偵察艦隊を逃がして、轟沈しました。

 

金剛お姉さまのあんなに苦しそうな顔を、榛名は見ていられませんでした。

 

《破砕》の脅威はひとまず去りました。

 

その代わり、榛名たちはたくさんものを失いました。

 

 

 

こんな時、榛名にできることは何なのでしょうか?

 

提督に。金剛お姉さまに。天龍さんに。加賀さんに。

 

掛ける言葉が、榛名にはわかりません。

 

 

 

だって、もし沈んだのが金剛お姉さまだったなら、きっと榛名は壊れてしまいますから。

 

 

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