榛名「あの……提督」
優「なんだ?」
榛名「榛名に何か御用でしょうか……?」
優「ああ。君には鎮守府の案内を頼みたい」
榛名「案内……ですか?」
優「一応資料で確認はしたが、実際に自分の目で見た方が確実だからな」
榛名「……でも」
優「まだ何かあるのか?」
榛名「……いえ、榛名は大丈夫です」
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~東方鎮守府近海・海上~
偵察部隊SIDE
天龍「チッ、思い出しても腹が立つな」
龍田「あらあら、天龍ちゃんってばあんなに出撃したがってたのにご機嫌ナナメなの~?」
天龍「いや、それとこれとは別で……物事には順序ってのがあんだろ」
響「いつも細かいことをすっ飛ばしたがる天龍さんのセリフとは思えないな」
天龍「やかましいわ」
金剛「でも確かに、ちょっとはテートクのこと知っておきたかったネ。テートクは気難しそうな人デスネ」
天龍「気難しいとか以前に、そもそも俺たちとあんまり話したくなさそうにも見えたぞ」
龍田「無駄なことはしたくないんじゃないかしら~?」
夕立「な、なんだか龍田さんも怖いっぽい……」
天龍「……お前、怒ってんのか?」
龍田「ふふふ~、どうかしら~」
加賀「……」
天龍「あー、加賀さん? もしかして機嫌悪い?」
加賀「……いいえ。少し……気に入らないだけよ」
天龍「気持ちはわからんでもねぇよ。ま、俺たちは与えられた任務を遂行してればいいみたいだしな」
金剛「Yes。それにしても、見た目は何も変わらないデスネ。beautifulな海デース」
響「ああ。まるで第一次深海大戦での敗北が悪い夢のようだね」
天龍「そのまま夢であってくれれば良かったんだけどなぁ……」
加賀「———!」
天龍「どうやらそうはいかねぇらしいな、加賀さん」
加賀「そのようね。索敵機より報告。10時の方向に敵艦隊を発見。駆逐2、軽巡1、軽空母1、戦艦2」
金剛「ワァオ、いきなり戦艦が二隻デスカー」
夕立「敵さん、結構ガチっぽい」
天龍「そもそもこんな近海に戦艦が湧くってのがなぁ……」
響「どうしても、現実は危機的状況から目を背けさせてくれないみたいだね」
龍田「焦る必要はないわよ~。私たちも伊達に戦闘経験積んでないじゃない~」
加賀「金剛、どうするの? 目的はあくまで偵察だから、無理に好戦する必要はないわ」
金剛「Yes。でもみんなもうやる気満々デスネー。だったら、このまま突っ込むデース!」
5人「「「了解!」」」
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~東方鎮守府~
榛名「ここが工廠です」
優「ふむ……」
榛名「ここでは主に艦娘の改装、装備の開発や整備、補給を行っています。残念ですが建造はできません。以前はそうでもなかったのですが……大戦で敗北してからは資材に余裕がなくなってしまったので、建造は必要な場合のみ、大本営だけが執り行うことができます」
優「やはり資材の枯渇がネックか……。なぁ、榛名」
榛名「はい」
優「もし……資材があれば、人間用の装備を開発することは可能か?」
榛名「……? 工廠の妖精さんでは難しいかもしれません。大本営にいる明石さん、もしくは北方の夕張さんならもしかしたら……」
優「そうか」
榛名「あの……一応言っておきますけど、艤装は艦娘専用ですよ? 提督が装備することはできませんからね」
優「わかっている」
榛名「……」
優「ここは?」
榛名「甘味処"間宮"です。私たち艦娘の憩いの場でもあります。間宮さんはいつもここでお店を営業されてます」
と、店の暖簾ををくぐって奥から間宮が出てくる。
間宮「あら? 提督に榛名さん。何か御用ですか?」
優「いや、榛名に鎮守府の要所を案内してもらっただけだ。榛名、次だ」
優は素っ気なく次の場所へ向かう。
榛名「あ、提督……!」
間宮「あらあら、相変わらずね」
榛名「すみません、間宮さん」
間宮「気にしてないわよ。それより、榛名さん」
榛名「?」
間宮「提督のこと、よく見ておいてあげてね」
榛名「え?」
間宮「ふふ。さて、私はまだ準備が残ってるから。早く追いかけないと、提督が行っちゃうわよ?」
榛名「え、あの」
そう言って、間宮は店の奥へ入っていった。
榛名「……どういう意味なんでしょう……」
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~東方鎮守府近海・海上~
偵察部隊SIDE
加賀「敵艦隊捕捉。航空戦を開始するわ」
加賀が艦載機を発艦させ、敵艦隊と交戦する。
敵の軽空母もほぼ同時に艦載機を放つ。
金剛「夕立と響は駆逐艦の相手をお願いしマース!」
響「了解」
夕立「任せるっぽい!」
金剛「天龍と龍田は片方の戦艦をお願いしマース! できれば軽巡の注意も引いておいてほしいネ!」
天龍「おう!」
龍田「了解~♪」
金剛「ワタシはもう片方の戦艦の相手ネ! 全砲門! ファイヤー!」
轟音と共に放たれた金剛の砲撃が艦隊戦の近くに着水する。
着水地点から立った大きな水柱が、砲撃戦が始まったことを告げる。
金剛「ンー、もうちょっと上デスネー。次は……」
金剛は落ち着いて照準を調整し、
金剛「外さないワ!」
次弾を発射する。放たれた砲撃は、今度は敵軽巡洋艦を見事に貫いた。
金剛「Yes! perfect!」
天龍「金剛のヤツ、結局自分で軽巡沈めてるじゃねぇか」
龍田「いいんじゃない~? 正直、軽巡と戦艦を同時に相手取るのは厳しかったし~」
天龍「ま、確かに感謝しねぇとな。俺たちは俺たちで、こいつの相手をしねぇとな!」
天龍と龍田は敵戦艦ル級と対峙する。天龍たちの接近を阻止するべく、ル級は天龍たちの射程外から砲撃を浴びせてきた。
天龍「おっと、いきなり激しいな」
龍田「突っ込みすぎて被弾したらダメよ~?」
天龍「ンなヘマしねぇよ。にしても近づきにくいな……」
龍田「私たちは近距離戦闘が得意だものね~」
天龍「しゃあねぇ。だったら!」
二人はル級めがけて牽制魚雷を発射する。魚雷を察知したル級は二人への砲撃を一旦中止し、回避行動に専念する。
天龍「攻撃を止めたのがお前の敗因だぜ。行くぞ龍田!」
龍田「は~い♪」
二人はル級との間合いを一気に詰める。それを防ぐため、回避を終えたル級はすぐさま砲弾を放つ。
天龍「龍田!」
龍田「甘いわよ~?」
向かってきた砲弾を、龍田は愛用の薙刀で真っ二つに斬り裂いた。
ル級「!?」
天龍「ナイス龍田!」
龍田の後ろから天龍が飛び出し、ル級の懐に潜り込む。
天龍「懐に入りさえすればこっちのモンだぜ!」
天龍はがら空きのル級の胴に鋭い斬撃を浴びせる。
ル級「!!」
龍田「こっちもいるわよ~?」
すかさず龍田が薙刀で追撃。
ル級「……ッァ!」
天龍「ッラァ!!」
龍田「ハァッ!!」
天龍の刀と龍田の薙刀が同時にル級を貫き、身体から力が抜ける。
天龍と龍田が自分の獲物を抜きはらうと同時にル級の身体が爆発しながら沈んでいく。
天龍「天龍様のお通りだぁ!」
龍田「死にたい船はどこかしら~?」
響「夕立、油断は禁物だ」
夕立「わかってるっぽい!」
夕立と響はそれぞれ、敵駆逐艦イ級、ロ級と交戦中。
夕立「さぁ、素敵なパーティー始めましょう!」
夕立は俊敏な動きで敵の砲撃を躱し、回避しては砲撃を繰り返す。
その青い瞳の奥には、どこか楽しそうな、狂気じみたものを感じなくもない。
夕立「隙ありっぽい!」
攪乱を続けられ照準が狂ったイ級の無防備な側面に、痛烈な一撃が叩き込まれる。
イ級はたまらず体勢を崩し、黒煙を上げて倒れこむ。
夕立「もう終わりっぽい? つまんないっぽーい」
夕立は響の方へ振り返る。
夕立「響ー、こっちは終わったっぽ———」
響「ああ、こっちも片付いた———」
と、倒したと思い込んでいたイ級とロ級が二人の背後から奇襲を仕掛けてくる。
それに素早く反応した二人は目にもとまらぬ速さで、お互いの背後に迫る敵艦を交差するように撃墜した。
響「夕立、油断は禁物だって言っただろう」
夕立「響も人のこと言えないっぽーい」
二人はお互いの戦いを讃え、ほほ笑む。
響「さあ、次だ」
夕立「夕立、もっと活躍するっぽい!」
金剛「ンー、このままだと埒が明かないネ」
一方、金剛ともう一隻のル級の戦闘は拮抗状態にあった。
ル級「ッ!」
ル級の主砲から一斉に砲弾が放たれ、金剛のすぐ隣の水面を捉える。
金剛「shit、このままじゃマズイネ。なんとかシナイと……」
怯む金剛に追い打ちを浴びせようと、ル級が照準を合わせようとしたその時。
ル級の身体を、空からの無数の銃弾が包み込んだ。
ル級「!?」
金剛「艦載機……! サンキューネ加賀!」
振り返ると、既に敵軽空母を倒していた加賀がクールな表情で佇んでいる。
ル級は金剛から注意を外し、対空射撃に専念している。
金剛「一気に決めマース! 戦艦ならやっぱり———」
ル級「!!」
金剛「———infightデショウ!」
金剛の重い拳がル級の頬を殴り抜ける。
同時に、豪快な破砕音と共にル級の艤装の一部が砕け散った。
金剛「これで! finish!」
すかさずル級の腹に渾身のボディーブローをお見舞いする。
ル級の艤装が崩壊し、激しい爆発を起こしながら沈んでいった。
金剛「フー、なんとかなったデース」
響「結局殴って倒すんだね」
天龍「相変わらず無茶しやがるぜ」
金剛「むー、天龍に言われたくないデース」
龍田「でも~、みんな無事だし、いいんじゃない~?」
加賀「慢心はダメよ。索敵を続行するわ」
夕立「加賀さんお堅いっぽい~……」
響「加賀さんの言う通りだよ。まだ作戦は続いてるんだから」
天龍「しっかし、偵察つってもどこまで行くんだ?」
金剛「テートクはできる限りって言ってたネー」
天龍「いっそのこと、艦隊3つ分ぐらい一気に来ねぇかなぁ。もっとこう、バッサバッサと蹴散らしてやりてぇぜ」
龍田「天龍ちゃんたら~、そういうのフラグっていうのよ~?」
天龍「ンだよ、その"フラグ"って?」
龍田「天龍ちゃんがなすすべなく負けるフラグかしら~」
天龍「ハッ、ンなことあるわけ———」
響「———!!」
談笑していた天龍の視界に、銀色の何かが高速で横切った。
天龍がその正体を認識するよりも先に、
ドオン!!!
響「ぅぐっ……!?」
天龍を庇った響が爆風に包まれた。
天龍「何っ!?」
金剛「響!!」