前線日記   作:へか帝

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次に更新するときはG11を建造できたときと決めていました。
だというのに私はアプデ前に九冊目を更新している。
なぜか? 答えはとってもシンプル。


先に前線日記を更新することで、G11を出したという前提を確定させる……!
これこそ、因果逆転の秘儀!

いやあこれでアプデ明けの建造連打も安泰ですね(慢心)


九冊目

ζ月Θ日

 

 焦るわ本当に。404小隊が俺の過ごす高架の上を歩いていた。なんでバレなかったのかわからんぞ。奇跡だ奇跡。

 なんか誰か橋の上歩いてるなぁーと思いながら息を潜めていると、聞き覚えのある声がしたのだ。まあずばりナインの声だった。

 一瞬身構えたが、時間や距離的にあの電波の効果も切れているのかもしれないと思い、会話から情報を集めようと耳を澄ましてみると、聞こえてきたのは「はやく指揮官と本当の家族になりたいなぁ」という言葉。

 俺の生存を確信していないと出てこない言葉である。やはりあの偽装は多少の時間稼ぎくらいにしかならなかったのだろう。まあ、あれは単に注意をそらしてあの場を脱出するためのものだしそんなもんだよな。しかしこの段階ではまだ洗脳が解けているかどうかわからなかったので、彼女たちが雑談しているのをいいことに俺は更なる情報を求めてみた。

そして聞こえたセリフがこちら。

 

「やっぱり血が欲しいなー」

 

 不穏だった。

 移動中の雑談でどうして血が欲しいという言葉が。なんかそういうのに目覚めてしまったのか。お父さんそんな風に育てた覚えはありませんよ。それとも俺の似姿を殺したことで何か新しい世界への扉を開いてしまったのか。じゃあ俺のせいじゃん。

 しばらく聞き続けてみると、他のメンツから「手錠これだけで足りるかしら」とか「絶対に脱走できない場所に監禁すべき」やら「薬を盛れば一日中一緒に寝れるのでは」etcetc...

 

 これは正気に戻ってませんね(確信)

 

 

×月^日

 

 参ったことに404小隊は俺が近くにいることを察しているらしく、この市街地で本格的に捜索を始めるつもりのようだ。

 見つかったら何されるか分かったものではないので、急いで荷物をまとめ高架下から離れた。きっと次からはUMPサンド程度では済まされないだろう。もっと、こう、俺の想像力では思いもよらないようなすごくてえぐいやつが待ち受けているに違いない。

 せっかくこの高架下ぐらしにも慣れ始めてきたのになぁ。痕跡は消したつもり。 しかし、これは予感なんだが俺がここに居たことはバレる気がしてきた。臭いとかで。不安になったので水とか撒いておいた。貴重な水だが、背に腹は代えられまい。

 次の拠点はボロ家。前にグリフィンとしれっと共闘したときに見つけたのだ。状態もなかなか悪くはない。良いとも言えないけど。

 ただ、困ったことに先客がいた。はぐれ人形ってやつだ。名前はM249。メモしておいたから覚えていたぞ。

 指揮官がいなくて戦闘行動ができないというのに、ほぼ弾切れ同然だそうだ。世間一般ではそういう状況を詰みっていうんですよ? 当人はフーセンガム膨らませながらソファで横になってたけどそんな場合じゃないと思いました。

 いや、むしろそこまで何もできないとそうするのが正解なのか?

 ちなみに俺が来たところで状況はなんら好転しないことは伝えておいた。弾がないんなら俺が指揮したところで意味ないし。

 その日はとりあえずシェアハウスして夜を過ごした。

 

 

×月´日

 

 俺は感動した。昨日の晩、俺の寝具・オブ・エレガンスを目ざとく見つけたM249の私も布団に入らせろという主張が激しかったのでしぶしぶ入れてやったのだが、奴と一緒の夜はそれはもうふかふかのもふもふであった。寝ぼけてサブミッションしてこないし、UMP姉妹よりも柔らかいので(どこが、とか何が、については明記しないことにする)至福のひとときであった。流石にぐでぐで感はG11に劣るものの、申し分ないレベル。

 我が理想郷はここにあったのだ。

 当人の性格もぐんにゃりした無気力っぷりで、付かず離れずの距離感が心地いい。こういうのでいいんだよこういうので。

 俺の大切な寝具・オブ・チェリーブロッサムのありがたみを理解しているというのも加点ポイント。以来しきりに一緒に寝たがっていたからな、話の分かる奴だ。

 気分がよかったので貴重な食糧もふんだんにわけてやった。なによりかけがえのないルームメイトでもあるからな。円滑な関係を築きたい。

 ただよろしくないのはこいつと一緒にいるとなんだか俺までぐでぐでしてくることか。今日は何もせずM249と一日ごろごろして終わってしまった。なんて贅沢な時間の使い道。ぶっちゃけよろしくない。あいつ何かついぐだぐだしてしまう特殊な力場とか発生させてるんじゃなかろうか。

 そんなことをしていたのでM249とは昨日の今日で猛スピードで親密になった。ただ、懐き方が404小隊を彷彿とさせるのだけが気になる。たぶん気のせい。

 

 

 

 

 

 

追跡ログ{筆記者:UMP45}

 

 彼を追うにあたって、まずは記録をつけることにした。彼が日記をつけるのに習ってみた。その日に得た情報をこうして媒体に出力することで、何か見落としていたものに気づけるのではないかという試みでもある。

 私たちはまず、彼の持つUMP40が見つからないことに気づいた。彼は自分の持ち物は大切にする人だ。それは私たちに託されたこの銃が物語っている。

 同時に私のコードネームであるこのUMP45というサブマシンガンのかつての持ち主は、他でもない彼だ。この銃もボロボロのゴツゴツで、傷だらけ。『汚い』というより、『酷い』という表現が ふさわしい域まできている。けれど、手に取ってみればよく手入れされ、使い込まれているのがわかる。新しいものを用意せずに最低限の範囲でパーツを交換しつつ使い続けているのもそうだ。

 

 ……彼はUMP45を大切にしていた──と書くとちょっと口元がにやける。でもこれは事実だから。何もおかしなことはない。ないったら。

 

 閑話休題。

 自分の死を偽装するための人形にUMP40を持たせなかったのはすぐにバレるとわかっていたからだろう。死の説得力を増すことをせずUMP40をどこかいい加減な場所に捨てたというのは考えにくい。恐らくまだ自身で持っているはず。ということは、彼は武器が必要な場所ないしなければ危険な場所に向かったと思われる。

 彼も何か蓄えのある様子ではなかったから、一度にそれほど遠くまではいけないはず。

 やはりというべきか、通りがかった高架下から指揮官の痕跡は見つかった。

 とはいえ、ただ指揮官の匂いがするというだけなんだけれど。最初に気づいたのはナインだった。普段から指揮官に飛び込んでいたので、嗅ぎなれていたのかもしれない。

 そして指揮官の匂いで間違いないと証言したのは416だった。

 一部とはいえ常日頃から指揮官の衣服を着用している416の言葉だから、信頼に足る。

 そうだ、ダミーに着せられていた指揮官の服も早く洗いたいわね。あんなに血塗れじゃあ使用できないし。

 

 そういえば、指揮官の捜索は順調に進んでいるけれど、G11は胸騒ぎがする、今だけは寝ている場合ではないと言って奮起していた。とても珍しい。

 ひょっとしたらG11にとって何か良くないことがあるかもしれない。

 

 例えば──指揮官がお気に入りの抱き枕を見つけた……とか?

 




突然のM249。作者の趣味です。
M249を登場させられて私は幸せになれるし添い寝ポジを取られたG11が嫉妬に燃えるしでいいことずくめですね(白目)




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