やはり俺がダイビングサークルに入るのはまちがっている。 作:筆ノ介
本当にごめんなさい!!!!!!!!
大変長らくお待たせ致しました!!超絶久しぶりの投稿です!!
言い訳がましいですがリアルが大忙しだったんです...本当に本当にごめんなさい!!
そして更に謝らなきゃいけないことがございまして...
今回の話、全然『ぐらんぶる』関係ないです!!!ただの『俺ガイル』小説みたいになってます!!
久しぶりすぎて超駄文になってしまったし...ただただ長いだけになってしまったし...本当すみません。
それでは久しぶりに、どうぞ!!!
荷ほどき。
それは引っ越しをした際に前の住居から新しい住居へ持ってきた荷物を箱から出して使用可能な状態にすることである。
引っ越す前にあれやこれやといるものといらないものに私物を分別し、いるものだけを持ってきていらないものは捨てるか放置か、はたまた売りに行くか。
いるかいらないか迷ったら全部いらないとよく言うが、俺も分別に迷ったものは全て捨てるかリサイクルショップに持って行く事にしている。放置してきて、変に情が湧いて取りに帰ったりするのは面倒だからだ。
だがそれをして数を減らしても、この前越してきたばかりのうちの家の中には数個の段ボールが残っていた。
「はぁ...なんか落ち着かねぇな...やっぱ今のうちに全部出しとくか」
ソファーに寝転がりながらダンボールから引っ張り出してきた本を読んでいたが、どうにも周りにダンボールがありすぎて落ち着かなかったので俺も荷ほどきを始めることにした。
取り敢えず近くにあったやけに重いダンボールをどっこらせと持ち上げて比較的ものの少ない場所まで移動して中を確認する。
「...本」
中に入っていたのは本。本以外何も入ってない。本でいっぱい。なんか本屋にある本棚の下の引き出しの中みたいに巻数通りに綺麗に並べられぎっしりと詰まっている。
親父が読書好きで俺もそれに習ってか、もしくは独りだったときの暇つぶしのためだったのか、今ではもう忘れたが、俺も読書というものが趣味になり実家の本棚にはぎっしりと本が並べてあった。一般文芸からラノベ、漫画など色々なものが俺の部屋の本棚には並んでいた。
引っ越す際にいるものといらないものに分けて、いらないものは全てブックオフに持って行ったのだがそれでもやっぱり大量にあった本はそう簡単には減らずに残った。
ふぅっと一息吐いてから、俺はダンボールの中に入っている本を新居の本棚に並べていった。
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「はぁ...おわったぁ...まじで本多すぎだろ...」
始めてから1時間ほど経っただろうか、数個のダンボールの中に入っていた本を全て部屋の本棚に並べ終えた。
部屋の一角を全て占領するほどの大きさの本棚には、ぎっしりと本が敷き詰められていた。読むときわかりやすいよう、あいうえお順にジャンルに分けて整頓するのが俺の中でのルールになっている。
本の荷ほどきに結構体力を持っていかれたので、スマホを片手にソファに寝転がった。手に持ったスマホで開いたのはとあるネット小説の投稿サイト。
そのサイトで自分のIDにログインしてお気に入り作家のページから一人の作家を探す。
「えーっと、『剣豪将軍』っと。おお、ブクマ結構増えてんじゃん」
探し出した作家、もとい『剣豪将軍』さんの処女作である『やはりぼっちの青春ラブコメはまちがっている』は、1人の自称プロのぼっちくんが高校2年のときにとある部活に放り込まれ、美少女たちと生徒たちの悩み、問題を解決していくというどこかで聞いたような話を物語を第三視点から見た小説である。
まあいちいち『剣豪将軍』なんていうのも面倒だし隠す意味もないのでいうが、この『剣豪将軍』とはもちろんあの材木座義輝だ。
卒業式の日、材木座が泣きながら俺に持ってきたのがこの作品のプロットだった。
その日の出来事を思い出しながら、更新された最新話を読みはじめた。
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卒業証書授与式が終わり、卒業生となった3年生は学校内で自由に談笑していた。
この3年間の思い出を振り返り涙するものもいれば、その思い出を笑い話にしてはしゃぐものもいる。
そのどちらにも含まれない俺は一人、いつもお世話になっていたベストプレイスでマッカンを飲んでいた。
吹き抜ける肌寒い風がとても心地よく感じ、感じる寒さには何故だか一抹の寂しさを覚える。校舎から出ていても聞こえてくる校舎内の賑やかな喧騒さえも、今ではわるくなかったと思えてしまう。
「...恐るべし、卒業テンションってか...ははっ」
ボソッと口にした一言に誰からの返事が来るわけもなく、一人で笑ってしまう。
今まで特に何も感じてこなかった学校生活も、卒業という行事の時になれば全てが懐かしく感じるようになってしまう。
マッカンを啜り、ほっと息を吐いて空を見上げる。今日はいつになく天気が良い。雲一つない青空とはこのことだ。
「あら比企谷くん、いつも通り一人でなにしてるのかしら?」
「ヒッキー!!探したんだよ!?」
「うっわ、先輩、卒業式までぼっちなんですか...」
「あはは...まぁうちの兄ですので仕方ないですよ...ってちょっ!皆さん!?」
一人で座りながら黄昏れていたところに、元奉仕部の面々と、生徒会長として卒業式に出席した一色、そして生徒会として出席した小町が哀れなものを見るような目でこちらを見ていた。
それを横目で見てからもう一度空を見上げて口を開く。
「はぁ...一人でこの空気を感じるのもなかなか良かったんだけどなぁ...」
「とうとう挨拶も、できなく、なったのかしら、非常識谷くん?」
「辛辣なんだよなぁ...」
「ヒッキー、そんなとこ、でなにしてたの?クラスで喋ろう、よ」
「いつものことなんだよなぁ...」
「せんぱい、なんかカッコつけて、ますね、キモいです」
「...それ言われるとなんだか恥ずかしいんだよなぁ...」
「あ、あはは...皆さん...」
「全く...なんのために俺がお前らの方向いてないか察しろよ...とりあえず早くその泣きっ面どうにかしろ...」
俺のことを最初に呼んだときは多分全員普通の顔だったはずなのだが、俺が横目で見た時にはもう全員の目には涙がたまっていた。
流石にレディの泣き顔をまじまじとみるのは気が引ける。というか見たところで何になるという話だ。
ひぐひぐと小さな嗚咽が聞こえてくるが、それが聞こえたのもほんの数秒で。
「あなたの顔を見ていたら、急に涙が出てきてしまったわ...不覚...恐怖でも感じてしまったのかしら?」
「最後の最後まで罵倒は忘れないあたり、ほんと尊敬」
「うわぁぁぁぁん!!みんなと離ればなれになるのやだよぉぉ!!」
「お前はもうすこし泣き止んでくれ、頼むから」
「うぅ...先輩方が居なくなると思うとすごく寂しいです...せんぱい、留年してくれませんか?」
「もう卒業式終わったから無理だし、終わってなくても嫌だし...つかなんで俺だけなんだよ」
「ほら、お兄ちゃん、学校でこの面々で話せるのもこれが最後だよ!?何か言うことは!!」
近寄ってきた小町が俺の体を立たせて、3人の方に押す。
「いや、別に誰か死ぬってわけでもないし会おうと思えばいつでも...」
「そう言う縁起も風情もないこと言わない!!ほらほら、はやくー!」
「はぁ...なにいえばいいんだよ...」
別に、特に言いたいことがあるわけじゃなかった。
本当に会おうと思えばいつだって会えるだろうし、こんなところでキザなこと言ったって後々黒歴史として話題にされてしまうのは目に見えていた。
...ってあれ?
ふと、自分の考えに違和感を覚えた。
...ああ、そうか。
そして一瞬でその違和感の正体がわかった。
俺はいつからこいつらとこれから先も一緒に居れると思っていたのだろうか。
...なら、ここで言うことは一つか。
少しだけ目を瞑り、一度深呼吸して目の前の3人を見た。
俺の珍しく真剣であろう表情に3人も真剣な顔をして見つめ返してくれる。
俺は心のうちにある気持ちを言葉にした。
「今まで他人との馴れ合いなんて嫌ってきた俺が、こんなにも周りのやつらと楽しく話せる日が来るなんて思ってもいなかった。最初の方はこんな関係もすぐ終わるだろうって思ってたんだけどな」
奉仕部として関わってきたこの2年ほどで、いつまでこいつらと普通に話していられるのだろうと思った時は何度もあった。
その度に一人で考えて、間違いを探して。
それで答えが見つからずにまたあの空間に行けば、そんな事を考えている事自体が間違いだったんだと自分を戒めて。
それを繰り返していくうちにいつの間にか、あの空間は俺にとっての当たり前になってしまっていて。
それは俺のかけがえのない場所になってしまっていて。
だから。
だからこそ、今の俺は。
今にも泣き出しそうな顔をしているであろう俺を、泣きそうな顔で見つめるこいつらに言わなきゃいけない。
大切な言葉を。
「雪ノ下、由比ヶ浜、一色...俺、俺は...!!お前らと会えて本当に良かっ...「ばぁぁぁぁぢまぁぁぁぁんんんんん!!!」...........」
「「「「....................」」」」
「ぐっっ...ゔぅぅぅぅ!!はちまぁぁぁぁん!!なんで我ってば、大した高校生活送ってないくせしてこんなに涙が止まらないんだぁぁ!?」
「............」
「「「「.............................」」」」
「えっぐっ、ひっぐぅっ....!!だがな八幡!!我はこの卒業式までにどうしても書いておきたかったプロットを書き終わらせてきた!!ので持ってきた!!それを貴様に見て欲しくここに舞い降り...ってあれ、なにこの空気」
「...............材木座。お前、まじで○ねよ」
「ヒッ...!?怖すぎて何言ってるか聞き取れなかったっ...!?」
超超超最悪のタイミングで降臨してくれた材木座に、今まで本気で言ったことのなかった『○ね』を言ってしまった。軽々しく言わないって決めてたのに。
俺の負のオーラマックスな睨みを受けて怯えている材木座だが、これよりも怖いものがまだ3つ残っていることを彼は知らない。
「あなた...最悪のタイミングで登場してくれたわね...大して重要なキャラクターでもないくせに...」
「ヒィィ...!?なんかものすごくメタいことを言ってる気がするんだがすごく怖いっ...!!」
「中二...中に...ちゅうに...ちゅうにぃぃぃぃいい!!!」
「ウヒィィ...!!怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いまじで怖いからやめてくださいっ...!!」
「中二せーんぱい!!一回○にましょうか♪...つか○ね」
「ブッヒャブラァァァァ...!!ぐはっ、もう、我ダメかもしれぬ...せめて、せめてこれだけは受け取ってくれ、八幡...」
3人の心なき罵倒でオーバーキルされた材木座は地面に倒れ、大事に握りしめていた『最高傑作!!(プロット)』と書かれた紙束を俺に押し付けて力尽きた。傑作なのにプロットなのかよ...
材木座から渡された紙束をみて深くため息を吐きながらも、少し気になったので表紙をめくろうとした。
が、その時。
「んっ、んんっ!!」
「こ、ごほんごほんっ!!」
「え、えっと...げ、げほっげほっ!!」
「結衣さんそれは咳払いじゃなくてただの咳です...」
2つの咳払いと1つの咳と1つの苦笑いの混じった言葉が俺の紙束への意識を遮った。
やべぇ、まじで向こう見たくねえ...さっきのこと忘れてくれねぇかなぁ...無理だよなぁ...
もう一度深くため息をついてからチラッと4人の方をみる。
そこにいた小町を抜いた3人は明らかにソワソワとしているのがわかってしまった。
「その、比企谷くん、余計な邪魔が入ってしまったから申し訳ないのだけれど先ほどの続きを聞かせてくれるかしら?」
「...えーっと」
「ひ、ヒッキー。中二の邪魔が入っちゃったから、も、もう一回さっきの言葉を言って欲しいなぁ...なんて」
「...あのだな」
「ほらせんぱい!えっと、あの、その、すごい気まずい雰囲気なのはわかりますけど、私たちは気にしませんので!!」
「...俺が気にします」
「ほらお兄ちゃん!!もうぱぱっと済ませちゃおう!!」
「お前なぁ...はぁ、まあどうせ言うつもりだったし腹括るか...」
さっき言いかけたしもう仕方ないと割り切って先ほど言おうとした言葉をもう一度口にする。
「えーっと、俺は、お前らに会えて本当に良かったって思ってる。なんていうか、上手く言えなくて悪いんだが...その、これから先も俺に絡んで...じゃなくて、仲良くして...でもなくて...くっ、その...その!!」
「「「...その?」」」
俺の歯切れの悪い言葉に少し赤くなりながらも真剣な顔で相槌をうってくれる3人。
そんな彼女らを見ながら俺は一番しっくりくるようなセリフを口にした。
「いっ、一緒に居てくれると...た、助かる。...ってあぁぁぁもう!こんな恥ずいのやめだやめ!!!こんなの俺じゃねぇ、マジ誰だよ!!はい黒歴史一個増えましたよぉっと!!」
だがどう考えても俺らしくない行動に恥ずかしさがピークに達してしまい、手に持っていた紙束を上に投げながら頭を抱えて悶えまくった。
綺麗に宙に浮いた紙束はヒラヒラとばらけながら地に落ちていく。
パラパラやカサカサと様々な音を立てながら落ちていく紙の音に紛れて大きなため息が4つ聞こえた。
「全く...あなたっていつもそうよね、大事なところで逃げてしまって。まぁそれも比企谷くんらしいといえば比企谷くんらしいのだけれど」
雪ノ下は目に溜めた涙を少し零しながらも、口元に手を当ててクスクスと笑っていて。
「あははっ!!でもあのヘタレなヒッキーからここまで聞けたなら満足かな!!これからもよろしくね、ヒッキー!!」
由比ヶ浜は流れた涙を自身の指で拭きながら、ケラケラと大きな声で笑っていて。
「も〜、せんぱいの根性なし、意気地なし、すけこまし!!本当にもう、仕方ないのでこれからも一緒にいてあげますよ!!感謝してくださいね!!」
一色は目に涙を溜めながらもいつも通りあざとく頬を膨らまして、一通り罵倒してから無邪気な笑顔で笑う。
「お兄ちゃんってば本当ヘタレなんだからもう...こう言う時くらいみんなをキュンとさせる一言言えないのかなぁ」
「...うるせぇ、ほっとけ。俺にしてはよくやった方なんだよ」
やれやれと言わんばかりの表情で小町が悪態を吐くが、そんな思うようにいかないのがこの世の中ってものであってだなと心の中でボヤく。
俺の言葉を聞いてか、四人はまた素敵な笑顔で笑い合った。それにつられてか俺の口角も少し上がってしまい、それをきもいだのと散々笑いながら罵倒されて俺のメンタルがゴリゴリ削られるのであった。
ようやく、このある意味ムチャクチャな場もどうやら収まったらしい。
はぁっと大きな息を吐いてから地面に散らばってしまった材木座のプロットを拾おうとしたその時。
「は...ちまん...急...げ...」
「うぉっ、急に死にかけの声で復活するな、そのまま死んどけ」
地面に転がっていたただの材木座のしかばねが急に何かを呟き始めた。
どうやらなにかを急かしているらしい。
「一枚だけある...黄色い、紙...あれだけは女組に見られてはいけない...!!あれを見られたら、お主と我、余裕で終わる...ぞ...グフッ」
「ちょっ、おいどう言うことだ。ってこいつ、気絶したふりしてやがる...」
とりあえずくたばる前にこいつが言った黄色い紙というものを探す。
白い紙が大量に散らばっている中、一つだけあった黄色い紙は嫌でも目立っていた。
「黄色の紙、ああ、これか、これがどうしたんだ」
ひょいと拾い上げたその紙に目を通して見ると、そこには登場人物設定と書かれてあった。
主人公、ヒロインと2つの項目に分かれているその文を読んでいく。
主人公 H×H(仮)は高校2年。ひねくれ者で自称プロのぼっち。顔立ちは整っているが目が死んでおりそれで全てが台無しになっている。得意科目は文系科目で国語は学年3位だが理系科目に弱い。とある作文を提出したところ、女教師アラサーHに目をつけられて、人の悩みを解決する手助けをする部活に強制入部させられる。
ここまで読んだあたりで俺はヒロインの欄に視点を変えた。
いや、これ俺じゃん、こいつ頭おかしいのかな、なんだよH×Hって。俺はハンター×ハンターじゃなくて比企谷八幡です。
てかおいおい、この無茶苦茶な主人公設定でヒロインどうするんだよまじで。俺にヒロインなんて一人もいなかったぞと思いながらとりあえずヒロインの名前を見ていくと、メインと書かれた3人がいた。どうやらメインヒロインは3人らしい。
一人目はY×Y(氷)で二人目はY×Y(アホ)、三人目はI×I(小悪魔)と書かれている。なんだか嫌な予感がしてきた。
俺はチラッと横目で談笑している4人を見た。どうやらこちらには興味がないらしい。
視線を紙に戻してその先を読んでいく。
そのヒロインたちの設定はどう見たってあそこにいる3人と同じ。黒髪ロングの美少女だのカースト最上位の巨乳JKだの生徒会長になった小悪魔後輩などのどう考えたってあいつらの事。
それになんで材木座がここまで知ってるんだよという少し細かい設定が色々と書かれていたが、どのヒロインも最後の所に...
こんなの見られたら俺が無事じゃ済まないと思いもう一度彼女らの方を見ようとした時、ひょいっと手に持っていた紙を誰かに取られた。
そこには先ほどまで向こうにいた4人の姿が。
「さっきから深刻そうな顔で眺めてましたけどこれなんですか〜?」
「ちょっ!一色、返してくれ!」
「なんだか怪しいわね...なになに、登場人物設定?」
「ま、まってくれ...それ以上は」
「あれ?この主人公、ヒッキーと設定が似てるね」
「あ、ほんとですね〜!せんぱいがモデルになってるんですか?」
「...あら?このヒロインたちの設定、私たちに似ていないかしら?...ん?」
「あー、本当だ!って巨乳JKってなんだし!!ヒッキーまじきも...ん?」
「え〜?小悪魔後輩ってなんか酷くないですかー?...ん?」
「...あー、俺は悪くないからな。先に帰らせてもらうぞ、じゃあな」
3人の言葉が急に詰まったのを感じ取ったので俺は足早にその場を去ろうとした。
だが、がしっと。俺の方に3つの重みが一気に加わった。
俺は背中に感じる殺気のような何かに体が縛られて動けなくなってしまう。
「比企谷くん?」
「ヒッキー?」
「せんぱい?」
「ひっ...!!」
底冷えするかのような冷たい3つの声に俺はギギギっと首を後ろに向ける。
...そこには顔を真っ赤にし涙目になりながらこちらを睨む3人が。
「比企谷くん、これ、見た?」
「...いや」
「ヒッキー、本当のこと言って?」
「...そ、その」
「せんぱい?見ましたよね?」
「...ち、違うんだ!!助けて小町...」
そうだ小町ならと小町の方に目を向けたが、小町は黄色い紙に目をやってからニマニマとした顔で俺の方を見ていた。どうやら助けてくれないらしい。材木座はピクピクしながら気絶したふりをしているため助けてくれる人が1人もいない。
あぁ、俺の人生もここまでか...大したことなかったな、俺の人生...
「比企谷くん」
「ヒッキー」
「せんぱい」
「...はぁ、我が生涯に一片の悔いなし...!!」
翌日、目が覚めた八幡には卒業式が終わってからの少しの間の記憶が消えていたらしい。
材木座が渡したプロットのキャラ設定のヒロインの欄、3人いたメインヒロインの最後の文はこう書かれていた。
Y×Y(氷)は、『最初から中盤までは主人公と反発し合っていたが、クリスマスの一件で、主人公のことを異性としての好意を寄せるようになる』
Y×Y(アホ)は、『入学式の日に主人公に飼い犬を助けて貰ってから主人公のことを気になってはいたが、それとは関係なしに主人公の捻くれているが優しい人間性に惹かれて好意を寄せるようになる』
I×I(小悪魔)は、『最初は冴えない一男子生徒くらいの印象しかなかったものの、主人公の『本物』という言葉に強い衝撃を受け、その後異性として気になり始める』
これを一度は読んだ八幡だが、何故だか読んだ記憶が頭から消えていた。恐ろしいこともあるものである。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「...んぁ?あ、やべ、寝ちまってたのか。懐かしい夢を見たな...」
材木座の書いた俺をモデルにした主人公の小説、『やはりぼっちの青春ラブコメはまちがっている』を読んでいる最中に眠ってしまったらしい。後で聞いた話だが、何故材木座がこの題名で俺を主人公にした話を書こうと思ったかというと、たまたま平塚先生が置いて行った作文用紙の束の先頭に俺の作文があって、それを読んで思いついたらしい。
くぁぁぁっと1つ大きな伸びをして時計を見たがあまり時間は経っていなかったようだ。
「卒業式、か。なんだか記憶が曖昧だ...まあそんな大したことはなかっただろうしいいか」
さて、ダンボールをまとめてゴミ捨て場に出してくるか。
本を出して空になったダンボールを紐で縛り上げて玄関の外まで持って行き、少し着替えてから玄関の鍵を閉めていつものゴミ捨て場までダンボールを持って行った。
ダンボールをゴミ捨て場に捨てて軽く肩を回していると、すぐ近くにあるダイビングショップ『グランブルー』から声が聞こえた。
「おーい、八幡!!」
「ちょっとこっち来てくれないかー?」
そこには色々なダイビング用具を倉庫にしまっている時田先輩と寿先輩の姿があった。
「ああ、そうか。俺はもう大学生なんだよなぁ...いつまでもあの時のままじゃいられないか...はーい、わかりましたー」
先ほど夢に見たあの高校時代に別れを告げ、俺は大学の先輩たちの方へと走り出した。
本当に最後しかぐらんぶる関係ないですよねごめんなさい...