艦これ一期終了長期メンテ中の暇つぶし

ちょうどお盆で実家に帰省したプレイヤーのもとに、長期メンテが始まったせいで何時でも一緒にいられなくなった時雨ちゃんが訪問してくる話

多分続かない

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時ぐr(練習作)

 ぱたり、と小さな音を立たせつつ、型落ちのノートPCの蓋を閉じる。

 かれこれ5年間どうにか使ってきたわけだが、そろそろ買い替えか、そうでなくても修理に出す必要があるだろう。仕事に使っているわけではないが、ほぼ毎日使用してきているのだ、各所に埃がたまっているし、物理的な面以外でもエラーがたまっている可能性はある。

 ――修理に出すには、絶好のタイミングといえるかもしれない。少なくとも二日間は絶対にPCを使わなくてはいけない用事というものがなくなってしまったわけだし、さらに言えばこれはメーカー製のPCではなく友人に組んでもらったものなのだ。何時でも直せるというわけではない。俺と同じく帰省しているその友人も今は暇らしい。旧交を温めるのにも最適ではないか。

 スマホで連絡を取ってみれば、即座に「ok」という簡潔な返信。あいつ自身も都会へ出ていたというのにまだすぐ修理、交換できる部品が家にあるらしい。自分で頼んでおいてなんだがよくやるものだと思う。感謝の気持ちを込めて「謝礼は弾む」と伝えてみる。

 

「さて、行きますか」

 

 両親は地域の集まりに朝から出かけているし、あいつにPCを渡した後、一緒にどこかの食堂で話でもしながら昼食をとればいいだろう。そんなことを考えつつPCをカバンに収め、玄関へ向かう。

 すると、久しぶりに聞くアラーム音が響いた。来客が敷地に足を踏み入れた時、それをセンサーが感知して伝えるものだ。夏の夜には猪が引っかかって夜にたたき起こされたりするものだが、昼間なら人でほぼ間違いない。今は家に俺一人。親戚の誰かが仏壇を拝みに来たというのならいつものことなので、この際出かけてしまってもいいのだが、そうでなければある程度応対は必要だ。PCを入れたカバンを畳の上にそっと置き、玄関の方へ歩いていく。すると、玄関のインターホンも鳴らされた。――よく来る叔父さん叔母さんであればこんなまどろっこしいことはせずいきなり引き戸を開くし、これはいよいよ親戚以外の来客だろうか。お盆の時期に珍しい……。

 

「はいはーい、今行きます!」

 

 小走りで玄関へ向かい、引き戸を開ける。……その寸前、なぜかその向こうで待っていたはずの来客が飛び跳ねるように数メートルほど離れた事がすりガラス越しに見て取れた。

 ……なんだその身のこなし。体格も小柄だし、近所の誰か――16歳くらい上の南雲さんが子供でも連れ帰ってきて、その子がフラフラ遊びに出ているのかもしれない。毎日畑に出ていたとしても、老人にできる動きではないのだし。まあ、悪戯とかをしに来たのでもないのなら叱るような理由も無し、遊ばせておいていいだろう。

 とはいえ、チャイムを鳴らした以上は何か話したいことがあるのかもしれない。とりあえずは怖がらせないように話しかければいいだろう。そう考えて視線を向ければ、そこに立っていたのは中学生ほどの年齢に見える少女。

 

「あ…」

 

 何やら驚いたような雰囲気の声を少女が漏らすが、……正直な所こちらも相当驚いている。俊敏な身のこなしからしててっきり男の子だとばかり思っていたが、おしとやかそうな雰囲気の女の子だったとは、全く予想していなかった。

 だがまあとりあえず、インターホンを押した理由を聞いてみる。

 

「こんにちは。何か……用かな?」

「あ……その……」

 

 ひょっとして、委縮させてしまっただろうか。怖い声――あるいは顔――をしているつもりはなかったのだが、まあこちらも20代には入っているのだ、中学生くらいの女子にはおじさんと呼ばれかねないくらいの年齢だし、気のいいおばあちゃんが出てくるだろうと思っていたとすれば驚いてしまうのもおかしな話じゃない。……驚いているというだけではなく、好奇心や喜ばしさが混ざった声色にも聞こえるが、これは少女の声が単純に可愛らしいからということもあるだろう。

 などと考えていると、肩から胸側に垂らした黒の三つ編みと可愛らしいアホ毛をぴょこぴょこと揺らしながら、少女がこちらへ近づいてくる。どうやら怖がっているというわけではないらしく、接近に迷いを感じない。

 そしてそのまま、体にかかる勢いをそのまま乗せたように、彼女は開口一番俺へこう言い放った。

 

「見つけたよ、提督!」

「……は?」

 

 ――ていとく、提督?

 ああ、いや、その呼称そのものの意味は理解できている。いわゆる海軍の将官、より詳しく表せば艦隊の指揮官か。とにかく、現実の俺がそう呼ばれることはないと断言できる呼び名である。

 強いて言えば架空の、それこそゲームの中の俺であればそう呼ばれることもあるわけだが、そんなことを彼女が知っているわけはない。一体どういう趣向のおふざけなのか……。

 

「……いや、まさか、だよな」

 

 彼女の可愛らしい声、黒基調のセーラー服、透き通るような碧眼、髪飾り、三つ編みにアホ毛、犬耳のような形のくせ毛……脳内にはある名前がチラつく。

 まあ、荒唐無稽な、間違いなくあり得ない話であり、それを現実だと少しでも信じた時点で社会不適合者の烙印を押されても文句を言いづらいくらいには馬鹿げた想像なのだが……。

 

「……時、雨?」

「うん、提督……僕は、ちゃんと一緒にいるよ」

 

 安心しきったような微笑み。初対面であるはずの彼女からはこちらへの厚い信頼が、少なくとも俺が納得できるだけの理由もなく向けられている。それはとても不思議な感覚、いや、悪い言い方をするのなら不気味な感覚ですらあった。

 ――なので、この状況を最も納得できる形に解釈する。

 

「凄まじく高クオリティのロールプレイしてる時雨のコスプレイヤー……!?」

「……えっ?どういう、ことだい?」

 

 ははは、すごい人もいるものだ。まさか俺が「艦隊これくしょん」というゲームをやっていて、さらにそのゲームのキャラクターである「時雨」をケッコンカッコカリするほどに気に入っているのだと知って、まるでテレビのドッキリ企画のように訪ねてくるなんて!ああ、でもとりあえず、友達には遅れるって連絡は入れなきゃダメみたいだな……。

 「ま、まあいいよ。提督、僕は荷物を持ってくるから」と言った彼女が、一目見て尋常じゃないと分かる量の荷物を肩に軽く抱えて歩いてくるのを見ながら、俺は現実逃避的にそう思った。

 




(今のところ続か)ないです
というかプロットがないので…

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