職員は直ちに回収に向かってください
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突然だが俺は死んだらしい。
らしいというのは死んだ時の記憶がないのと、それを説明してきたやつが神なんて名乗る変な奴だったからだ。
まあ確かに、今いるこの場所……遠目で見ても果てが見えない真っ暗な世界とか、突然現れた結構分厚い本とか、意味不明なことが盛りだくさんで、死んだ後の世界も存在するのかもしれない。
「ねぇ、まだ決まらないの~?」
「うるさいなもうちょっと待ってくれよ!」
あ、ちなみにここにいるのは俺と神一人だけではない。
俺と同じく死んだらしい少年もいる。
死因はトラクターに轢かれたことらしい……トラクターって轢かれるものか? 。
まあ、神が大笑いしていたから余程変なことになったんだろう。
「そっちのはすぐに決めたのに、あんた優柔不断すぎよー!」
「優柔不断とはなんだ! 新しい人生を少しでも有利にするためにこだわって何が悪い!」
「私の仕事時間が延びるのよー!」
「お前の勝手な理由じゃねぇえか!」
何やらヒートアップしているが、決めるというのは特典と呼ばれるチートのことである。
自称神曰く、死んだ魂は天国か地獄に行くのだがそのほかにももう一つ、転生というものが選べるらしい。
転生とは読んで字のごとく、生まれ変え割るということらしい、しかも何らかの道具や力を持って。
俺は天国行きでもよかったのだが、自称神が駄々をこねうっとうしかったので転生にすることにした。
で、特典は何にしたのかといえば……
「そっちのは
「そっちが変なだけだっての!」
変とはなんだ変とは。
火があれば大体のことは何とかなると思うんだがなぁ。
俺は戦うとかする気は全然ないし。
これも特典が書いてる本の中にあったんだぞ! 燃料切れ無しってすごくないか!?
「ねぇ……あの人ってひょっとしなくても」
「本人が幸せならいいんだよ、指さすな!」
ただ……
あっちもそろそろ終わりそうだし
「じゃあ、あんた」
「はあ!? そんなことできるわけ」
確かに、なんかダメそうなやつでも神は神、そんな存在連れて行けるのか?
そんなこと思ってたら突然天使が出てきた。
俺と神と少年を光の筒が包み込む。
神がなんだか悪あがきしているようだが、天使の方はいい笑顔でいってらっしゃいませとか言ってるから、どうあがいても特典を無効にはできないみたいだ。
少年の方はとてもいい笑顔をしている、いやあれはゲス顔か?
実際に見ると結構イラっとくるな……NDKなんて初めて見た。
こうして俺たちは転生したのであった。
皆さんお元気でしょうかカズマ君とともに転生した俺だよ。
転生してからしばらく経ちました。
カズマ君が冒険者になって盗賊みたいになったり、人生をロマンに極ぶりにしたような紅魔族って種族の女の子めぐみんとドMのクルセイダー、ダクネスが仲間になったりと割と元気に過ごしています。
一時期大工になってしまうのもいいかと思いましたが、カズマ君とアクアが冒険者をするというのでついていきました。
え、しっかりと考えたのかって? HAHAHAそんなの考えてませんごめんなさい!!
さて、俺はタバコもどきに火をつける。
特典にもらったライターは一日一回は使用している。
いや、一日一回しか使ったらダメなんだけどさ。
生前、喫煙化だった俺は異世界でもタバコが吸いたかったのだが、もちろん異世界にタバコ屋はない。
だが、代わりのものはあった。
それがいま吸っているタバコもどきだ。
もどきというのは、見た目は地球にあったタバコにそっくりなのだが、中身は体に優しい薬草で作られている。
地球のたばことは違い、体に一切の害を及ばさない上に、においもいいときた。
この世界では、タバコもどきは一種の薬らしい。
薬だからとはいえ、五歳くらいの小さな子供が吸っている光景を見たときは、地球じゃないんだなって実感したものだ。
なんでも、50年くらい前の人物が独自に生み出し、世界中に広めたらしい。
そのことをカズマ君に話したら
「俺たちよりも先に転生してきたやつが作ったんじゃないか?」
といっていた、そうだとしたらその人にはしゅわしゅわを奢ってやりたい。
そんなことを考えながら、俺は吸い終わった物を巾着袋にしまう。
薬とはいえポイ捨て、禁止!。
さて、タバコもどきも吸い終わったし、行こう。
――キャベツ狩りだ
「一玉でも多く狩るんだ!」
「これ、レタスじゃねぇか!!」
「おーお、やってるやってる」
キャベツ。
俺たちの世界ではただの食べ物であった野菜は。
この世界ではなんと、空を飛び、自由に動き回るのだという。
野菜が動き回るか……さすが異世界、意味が分からない。
カズマ君たちの方はというと、ダクネスはキャベツからの攻撃を受け、カズマ君とアクアは口げんか中。
めぐみんは先ほど爆裂魔法を打ち終えダウン中。
つまり、現在動けるのは俺だけという。
安く手に入れた剣を片手に挑むが全く当たらない。
まずいな……これでは俺だけ遊んでいたみたいじゃないか。
ダクネスも遊んでるんじゃないかって? あれはまた別だ。
そんなことより今はキャベツ、だがまず話落ち着こう。
落ち着かなければ当たるものも当たらない。
タバコもどきを吸って落ち着くんだ。
俺はタバコを銜え、ライターで火を……ん?
そういえばさっきライター使ったんだった……まっまあ大丈夫だろ。
おれはライターつけた……!?
「なんだ!?」
「魔法が暴発でもしたのか?」
ライターをつけると顔の目の前を火柱が通った。
「あっぶな……」
もう少し顔を近づけてたら顔が黒こげだった。
これこんなに危ないものだったのか。
ん? 待てよこれを
そうと決まれば話は早い、キャベツが近づいてくるのを待って‥‥今だ!。
俺は、ライターをもう一度付けた。
その瞬間、プラズマを伴った爆発が俺を中心に発生した。
キャベツたちは消し炭になった‥‥俺周辺も含めて。
「またさっきのやつがやったのか!?」
「いやさっきのやつはそこに伸びてるぞ!」
「じゃあだれが?」
「ハッハハハ」
あんな爆発が起こったのに俺は
プラズマと火炎は俺を襲うことは一切なく、ライターも傷一つなかった。
俺は、爆発点の中心で笑うしかなかった。
彼から少し離れた場所で口げんかしていたアクアとカズマは先ほど光景に驚きを隠せなかった。
「なっなんだよあれ、あのライターあんなにやばいやつだったのか!?」
「おっかしいわねぇ、あれはただのライターだったはずなんだけど」
「ただのライターがあんな爆発なんて起こすか!? あれはどんな特典だったんだよ!」
「ええと確か名前は……」
――SCP-403だったかしら?
こうして一つのライターは異世界へとたどり着いた。
神々が特典として送ったものの中に、あるいはこの世界にこれと似たものがあるかもしれない。
それはいとも簡単に世界を滅ぼすものもあれば、よくわからないものまで存在する。
そう……あなたのいる世界にも。