いきなりですが、更識簪に転生しました。   作:こよみ

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 毎日投稿レッツゴーですじゃあ。手元で完結しましたからね。投稿終わるまでに13巻出ても知らんです。

 アンチ色が強くなってきましたが、原作キャラが嫌いなわけではありません。

 が、オルコッ党のみなさんはここで多分お別れです。だってこの話、ガッツリセシリアがアンチされてるようなものですしね!


持てる者の義務? 何それ美味しいの?

 グリフィンとサラ、そしてロランツィーネと乱音に四方を固められたセシリアと鈴音はIS学園へと護送されることとなった。簪はそれを呆れた目で見ていることしかできない。いくら原作の展開だったとはいえ、まさか本当に公共の場で兵器を展開しやりあうとは思ってもみなかったのだ。

 迎えに来た車の中でサラがセシリアに説教を始めようとして彼女に呼び掛ける。

「で、オルコット」

 しかし、サラの機嫌の悪そうな声は、セシリアの冷ややかな言葉によって遮られた。

「無礼ですわよミス・ウェルキン。Working Class(労働者階級)の分際でUpper Class(上流階級)の名門オルコット家の次期当主たるわたくしに敬称をつけないなんて。流石卑しい育ちですわね? 礼儀(マナー)がなっていませんわよ」

(え、ちょっ……セシリア!?)

 流れるような挑発に鈴音と乱音はギョッとした顔になる。先程まで蹂躙されていた奴が何をいっているのかとでも言わんばかりだ。鈴音は乱音に怒られて冷静にはなった。何故セシリアを止められなかったかという自身への問いの答えは既に出ている。あまりに鈴音が大人げなかっただけだ。

 一方のサラもセシリアの言葉にカチンと来ないわけがないのだが、そこはグッとこらえる。サラは諭す側であってセシリアに常識を理解させるための人間なのだ。今そこでイラついても何の意味もないのである。そこをこそ分からせなければならないのだから。

(あーはいはい、これだから貴族階級の人間は)

 故にサラは内心で呆れながら言葉を続けた。

「ではロード。先程のIS無断展開について深謀遠慮があったというのならば私めにご教授いただけないでしょうか」

「それをわざわざあなたごときに教えろと?」

 セシリアの見下したような言葉に、サラは苛立ちを隠して返答する。

「ええ。私は貴女に恐れ多くも操縦を指南させていただきました。その件を本国は高く買ってくださっております。貴女の指南をIS学園入学後も依頼されるほどには」

 淡々とサラはセシリアに告げるが、セシリアもそれには負けていない。サラが激高すればまた別だったのだが、怒りと苛立ちを淡々とぶつけるだけではセシリアには意味がないと分かっていなかったのだ。セシリアにとって、サラが食い下がってくるのは負け犬の遠吠えにしか見えていないのだから。

 貴族と労働者階級との差は、絶望的なまでに広い。そこまでのしあがったとだとしても、生まれも育ちも隠せない。もっとも、サラは貴族に憧れは抱いていないので気にすることもなければ隠しもしないが。敬うべき人たちであったとしても、それはそれ。サラは労働者階級であることを恥じてはいないし、誇りに思っている。

 そしてそれは、ある意味ではセシリアも同じなのだ。代々続く名門貴族たるオルコット家次期当主の座は、簡単に軽んじられて良いものではない。西暦2022年にもなればそこまで残っている古い貴族などというものはほとんど存在しないのだから。古いから良いというわけでは勿論ないわけだが、イギリス国内でセシリアを重んじないものはどこにもいなかった。それゆえの傲慢。それゆえの、軽蔑。

 端的にセシリアはサラに返答した。

「踏んだからですわ」

「貴女の顔を、凰鈴音が、ですね。ですが、それだけのことでISを展開するなんて、観客達一般の皆さま方を危険にさらすとは思いませんでしたか?」

 そのサラの問いは、とんでもない答えを呼んだ。一見普通の意見だ。至極真っ当な意見だろう。それは傍観者にしかなれていないグリフィンや鈴音、乱音でも分かることだ。当然簪もそれが真っ当だと思っている。しかし、セシリアにとってそれは普通ではなかったのである。

 セシリアはその問いにこう答えた。

 

「は? 何故わたくしが自国民でもない有象無象を気にかけなければならないのです? 彼らに対して持てる者の義務(Noblesse Oblige)を果たす必要がどこにあって、サラ・ウェルキン?」

 

 その場に痛いほどの沈黙が流れた。その中で動いていたのは簪とグリフィンだ。セシリアの発言を録音し、すぐさまそれぞれの国へと送信する。イギリスの失態はこれからも広がり続けるだろう。それも、主にセシリアとセシリアを取り巻く環境のせいで。

(なんかもう死んでくれない? オルコット)

 サラはあまりの発言に頭を抱えたくなった。どこの国に他国の人間だから傷つけても問題ないと言ってしまう代表候補生がいるというのか。そもそも適性検査――任意ではあるが性格の適性検査を受けることも代表候補生としての評価に繋がる――に引っ掛からなかったのか、受けなかったのか。恐らくは後者なのだろう。

 しかし、サラは一応は内心で毒舌を吐くだけでとどめて先輩として諭さねばならないと別の言葉を吐き出す。

「まずロードが先程いらした場所は日本です。IS学園の保護があろうがなかろうが治外法権はありません。そして彼らが自国民でもないからこそ大きな国際問題になるのですよ」

 国際問題に、といった辺りからセシリアが言葉を挟んできた。

「ウェルキン。ここは日本なのでしょう? ならば観客を守るべきは日本代表候補生の更識簪であってわたくしではありませんわ。そこを間違えない方がよろしくてよ。今詰問すべきはわたくしではなく更識簪です。Do You understand?」

 勝ち誇ったようにセシリアはそう言うが、残念ながら簪はそれを聞き流すことはできなかった。

(何が分かりまして? ですか。分かるわけないじゃないですかやだー)

 そもそも道理が通っていないと思われる言葉に簪が突っ込みをいれる。

「済みませんその回答は流石に聞き捨てなりません」

「あら、責任を押し付ける気ですの? 日本代表候補生」

 簪の言葉にセシリアはそう返して冷笑した。このまま言い負かせるだけの自信があるのだろうが、残念ながら簪はそれを赦さない。それ以前の問題だと分かってもらえない限りこの監視は解けないのだから。

(というかそもそもこいつ分かってないでしょう……)

 故に簪はセシリアを睨み付けて返した。

「そもそも誇りを傷つけられたからといってISを展開するのが間違っています。兵器を突然取り出すようなものですよ? 一般市民を傷つけるような事態になれば、守れる守れないは別として責任はほぼあなたにあります」

 しかし、セシリアはそれにこう返した。

「日本人の貴女には分かりませんわ。貴族の誇りというものは時に命よりも重くてよ」

 バカにしたように笑うセシリアに、簪は冷たくいい放った。

「ならばあなたは今すぐ死ぬべきですね。オルコット家どころかイギリスに対して泥を塗ったんですから」

「何ですって?」

 簪の言葉の意味が理解できないセシリアは疑問を顔に浮かべる。それと同時に『死ね』と言われたことに対して怒りを覚えていた。

 淡々と簪は返す。

「誇りを守るためだけに無差別攻撃を繰り出すような気違いは死ねばいいです。誇りを守って大量殺人鬼になった貴族など貴族として認められるとは思いませんし、もしそれで貴族として認められる国があるのならば滅べばいいですね」

 実際、簪のいうような人間が貴族として認められないということはない。それが誇りを守るためであったのだとしても祖国に貢献していれば貴族として認められるだろう。ただし今回のように国に泥を塗るような真似をした場合は別だ。

(この女、何をトチ狂ってるんですの!?)

 セシリアは目を見開き、わなわなと震えて怒りを顕にする。

「なっ……あなた、わたくしと祖国を侮辱しますの!?」

「あなたが侮辱されていると感じるのなら、金輪際ISの無断展開などしないでいただきたいですね。いい迷惑ですよ全く……」

 やれやれとばかりに肩をすくめる簪に、セシリアはなお言葉をぶつけた。

「ふざけないでくださいまし、更識簪。いつあなたにわたくしが迷惑をかけたと?」

「今現在この状態がですよ。あなた達一年生の代表候補生達が無断展開ばかりするからわたしも同じような目で見られるんですよ。何なんですか、わたしも無断展開するかもしれないから監視付きって。無断展開なんてしたことないですよ。それに何より先輩方に迷惑じゃないですか」

 そこじゃない。全員がそう思ったが、簪にしてみればそれが普通だ。自分が迷惑することよりも他人が迷惑を被る方を嫌がるのである。確かに自身の待遇について不満がないわけではないが、それ以上にサラやグリフィンの時間を割かせてしまっていることに対して申し訳ないと思っている。その元凶を恨まないことなどないのである。

 ただ、その元凶の一部たるセシリアにはその言葉は通じなかった。

「そ、それはわたくしのせいではありません! あれは一夏さんが悪いのですわ!」

「人のせいにしないでいただきたいですね。例え織斑一夏さんが悪いのだとしても、何故言葉を使わないんです。何故武力を行使しちゃうんですか。そのまま同じようなことを続けてたら、あなた達が織斑一夏さんを殺してしまいます。それに、周りの生徒達に一切被害が出ていないとでも思っているんですか?」

「なっ……」

 絶句するセシリアを、更に簪は責め立てる。

「一組の生徒からの被害報告はかなりあるそうですよ? それなのにそれに目を向けず織斑一夏さんを制裁するためだけに兵器を展開するんですよね、あなたは。貴族が聞いて呆れます」

「あ、あ、貴女に何がわかるというのですかッ! わたくしは、わたくしは――ッ!」

 そこで無情にも車はIS学園へと到着する。そのセシリアの絶叫は。

 

「一夏さんを、愛していましてよ!」

 

「……ほう、そうかそうか、オルコット。貴様が自殺希望者だとは知らなかった」

 千冬にバッチリ聞かれていた。ついでにセシリアの手は真横に伸ばされており、唐突に開けられていた扉の外の千冬の腹に触れていた。何と言うまでもない。この後起こるのは間違いなく千冬からの制裁である。

 それに気付いたセシリアはがくがくと震え始めたが時すでに遅し。セシリアと、プールでやらかした鈴音も首根っこを掴まれてドナドナされていったのだった。




 ちなみにこの件の過失の割合は

 セシリア:鈴音:簪:その他=6:2:1:1

 です。
 セシリアはISの無断展開(多少は情状酌量の余地あり)及び中国代表候補生に対する威嚇と攻撃。更にそれに付随する施設の破壊と日本国民に対する傷害未遂。無断展開については鈴音からの傷害があったため。
 鈴音はISの無断展開(多少は情状酌量の余地あり)及びイギリス代表候補生に対する傷害。更にそれに付随する施設の破壊と日本国民に対する傷害未遂。無断展開については、自分から挑発行為をしたが命を守るための緊急避難。セシリアと比べれば情状酌量の余地あり。
 簪は日本国民の保護の遅れと施設の破壊の防止への遅れ(多少は情状酌量の余地あり)。監視中の身であり、許可を取ってからのIS展開は評価されるところではあるが動きが遅かった。
 その他も簪と同じ。唯一サラだけがセシリアに対する監督責任を問われる可能性がある。

 誰が一番可哀想かって? 施設の人ですね分かります。
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