いきなりですが、更識簪に転生しました。 作:こよみ
そうして おうじさまは おひめさまたちと すえながく しあわせに くらしたのです。
(要約:一夏サイドは終了です)
ルクーゼンブルク公国、黄昏宮殿。そこで、乱交パーティーが行われていた。奉仕されるのは勿論一夏だ。彼がここに連れ込まれてからずっと、彼の息子が乾くことはなかった。
公女アイリス付きの侍女と、公女。いつの間にか混ざっていたクーリェに、突然現れたセシリア、それに習熟訓練を終えたシャルロット。それらに奉仕されて、一夏は一匹の猿と化していた。あるいは種馬か。どちらであれ、獣のような交わりを続けているのは間違いなかった。
アイリスが一夏の欲望を受け入れる。クーリェが一夏の右腕に抱かれ、愛される。シャルロットが背中から抱きつき、奉仕する。セシリアはそんな一夏達の椅子となっていた。そんな彼らをかいがいしく世話する侍女たち。そこには、堕ちたジブリルも、楯無と簪も混ざっていた。
そしてまた、その狂乱の宴にもう一人増える。
「一夏君っ! ……ふぇ? じぶ、ちゃん?」
いつの間にか自らのまとう『
ISスーツというエロティックな服装のまま、ふらふらと一夏に近付いていく。それをみて一夏は真耶の胸を掴み、逆らえないよう優しく拘束する。そして真耶も絡めとられた。それはさながら食虫植物に捕らえられる蝶のようで。
代わる代わる抱かれ、少女達の腹がまるで妊婦のように膨らむまで抱いて。彼女らが満足してその腹が元の形に戻った頃にまた抱かれる。そこに避妊などという思考は一切ない。彼女らは鈴という先駆者のように孕みたいのだ。
一人、また一人と『一夏に会いたい』という願望が叶えられてここに連れてこられ、性欲に狂った一夏に美味しく召し上がられていく。少女達も快楽に狂い、ただ奉仕するための人形と化していく。最早そこに言語はなく、ただ嬌声だけが響いていた。
そこに、残された雌がまた一人転移させられてくる。その身にまとうはずの、世界最強の名をほしいままにしたIS『暮桜』はない。一夏を求めるあまり、その全てを賭けて『暮桜』が願いを叶えたからだ。一夏のために、全てを捧げても彼を助けると誓ってしまったから。
その淫靡な肉の宴に、千冬は愕然としてしまった。
「何だこれは……何なんだこれはっ!」
その声が呼び声となり、一夏の正気を失った瞳が千冬を射ぬいた。その視線をたどり、周囲にいた少女達がゆらりと立ち上がる。その少女たちも最早正気を保ってはいない。
思わず後ずさる千冬に向けて、一夏はするりと間を詰める。
「あ……あ、ああ……」
一夏から漏れ聞こえる声も、最早言語にすらなっていなかった。それでも周囲の少女達は意を得たように千冬にまとわりついた。千冬は少女達を引き剥がそうとするが、出来ない。
(くっ……今の状態では、殺してしまう!)
先程まで激しい戦いをしていたため、まだ加減ができない状態の千冬は、下手に彼女らを引き剥がすと殺してしまう。しかもその中に近接戦闘に長けた楯無が入っているという事態。一歩間違わなくても殺してしまいかねない状況だ。それだけは避けたくて、故に彼女は弟に絡めとられた。
腰を抱かれ、顔を近づけられて。
(あ――)
言葉を失った千冬は、されるがままに一夏の瞳を見つめる。
「……ち、ふゆ……」
「一夏っ……あ」
そうして世界最強の女は一夏に屈服した。残る箒もほどなくここに来て、一夏にからめとられるだろう。その予想は容易に当たり、やって来た箒は激昂して一夏に飛びかかる。
「一夏、お前という奴は……っ、んむっ……あ」
しかし、容易く押さえられて口づけを交わせばすぐに堕ちた。思春期の少女には早すぎるディープキス。そうやって箒までもが絡めとられ、背徳の宴は続くのである。
この場にいる人間である種の正気を保っているのは、しれっと紛れ込んでいた束だけだった。
もっとも、彼女は最初から狂っているのだが。
「あとはこれでいっくんが捕まったままだって情報を流せば完璧だね。どんな専用機持ちでもここに吸い寄せられるし……」
ちらりと横目で見れば、そこにはかつて凛とした雰囲気を醸し出していた千冬が跪いて一夏に奉仕していた。もっとも、今の彼女は闇市場で流行っている『逆らえないブリュンヒルデ』というラブドールだと言われても否定できないだろう。それほどまでに快楽に狂っていた。
そこにまた、二人増える。IS学園にいたはずのコメット姉妹だ。その二人もまた一夏に抱かれ、墜ちていく。そうやってまた戦力が消えていくことに、束は満足した。
束の目的は、IS学園に攻めこんで自分のオリジナルを殺すこと。そして、自分こそが束なのだと認めさせることだ。そうすれば、出来損ないだと言われ続けた過去から逃れられる気がした。
その考えから逃避するために再びかつての友人を見る。
「にしても、ちょっと期待しすぎたのかなぁ? ここまでちーちゃんがダメダメだなんて思ってなかったよ?」
その呆れるような声も、最早千冬には届かなかった。そもそも彼女は『最強の人外として、最強の人外の子を孕む』ことが条件付けられていたのだ。なればこそ、一夏に抱かれ続けている状況ではその条件付けから抜け出すことはできない。
そして、一夏も生み出されたときから『女を孕ませるために全てを捧げる』よう条件付けられているのだ。一度女を抱いてしまえば、与えられた女の全てが死ぬまで止まらない。止めたくなっても止まらないのだ。
「それに箒ちゃんも……私のヒーローになってくれるって思ってたのに。残念だなぁ」
そこには一切身内の情など残されていなかった。もっとも、最初から束は身内に認めてもらうことなど想定していないが。今更認めてもらいたくもないのだ。発明したものに対してことごとく拒否反応を起こす家族になど。
と、そこで束は顔を輝かせた。良いことを思いついたのだ。
(そうだよ。みーんなみーんな死んじゃえば良いんだ。そうやって普通の人間がいなくなったら、束さんも、いっくんの子も普通になるんだ)
束が普通でないのは最早確定的だ。しかし、一夏の子もまた普通ではないだろう。それは手に取るようにわかった。彼の子もまた、迫害されるだろうと。
ならば、いっそ彼の子達が普通になる世界を作れば良いのだ。そうすれば束も普通になれるのだから。普通になれれば、誰かに認めてもらえる。しかし束にはその普通が理解できない。ならばその普通の基準を引き上げてやれば良いのだ。束が普通になれるレベルにまで。
その思い付きを娘に話すためにぐるりと周囲を見回して。
「あれ? くーちゃん? どこかにゃー?」
束が娘と呼ぶクロエ・クロニクルがそこにいないことにようやく気がついた。とはいえ一夏の魔の手に捕まっているというわけでもない。ならば一体どこにいったのか。
少し考え、束は結論を出す。
「ま、いっか! どうせどこに行ったって束ママの言うことには逆らえないんだしね!」
(だから探さなくったっていつか帰ってくるよね!)
そう無邪気に言い切って、束はその場から姿を消した。そこに残された背徳の光景は、彼女らが老いて死ぬまで延々と続けられる。そこから新たな人類が生まれ、背徳の宴に巻き込まれ、更なる繁栄を続けていくことになろうとは、誰も思ってはいなかった。
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黄昏宮殿から逃げ出したクロエは、ある人物のもとへと向かっていた。その人物とは、クロエの母に当たる存在である。その人物こそ、当時誘拐されて監禁された『更識簪』であることに間違いない。そして、その人物は一夏と享楽に耽っていない方の『更識簪』――つまりはセレストのことであった。
その途中、クロエは真横から殺気を感じる。
(――っ!)
間一髪避けたが、何本か髪の毛が切り裂かれてしまった。その相手はクロエにとって伯母ともいうべき人物で。
「織斑、マドカ……!」
瞠目してそう呟くと、彼女は警戒を研ぎ澄ませながらこう返答した。
「違う。今はただの万十夏だ。……そういう貴様は遺伝子強化実験体だな?」
その返答に、クロエも警戒を研ぎ澄ませる。その事を知るのはごく少数であるはずで、囚われていた頃の万十夏には知りようのない事実だ。
だからこそクロエは万十夏を挑発しにかかる。
「……クロエ・クロニクルと申します、万十夏伯母様」
「頼むから伯母呼ばわりはやめろ、クロエ・クロニクル」
頭痛を抑えるようにそう返答する万十夏に、クロエは更に挑発をかました。
「では万十夏ババア様と」
「……死にたいか、ん?」
両者の間で火花が散る。しかし、どちらともなく視線をはずした。今はそれどころではないのだ。万十夏も探し続けているのに見つからない『簪』が、今どこで何をしているのか分からないのだから。
万十夏は、出来ることなら今すぐ会って、問いただしたいことがあるのだ。だからこそセレストを探している。もっとも、セレストの側にはそれを語る意思はないようなのだが。
それはともかく、このまま目当てもなく探し続けるのは無理だった。いくら武装がないとはいえ、いつまでも飛び続けられるわけではないのだ。とにかく一度補給を入れなくてはならない。そしてそれはクロエも同じだった。
どちらともなく休戦を申し入れ、二人は噛み合わないながらも共に行動をするようになった。二人の目的は同じなのだ。ならば、一人よりも二人の方が効率が上がるのは当然のこと。二人でどんな痕跡をも見逃さないよう探しているのに、『簪』は見つからない。
その理由は簡単で。『簪』――セレストは万十夏達が捜索を始めた最初から、とある施設内から出ていないからだ。コア・ネットワークを切断している以上、お互いに位置は知れることはない。しかし、それは同時にセレストを発見するためのすべがほぼないことを示していた。
新人類一族『織斑』爆誕。彼らに理性が戻ってきた頃には全てが終わっていたりする。要するに、色狂いのまま死んでいく。あれ、まさかバッドエンド? とは思ったものの、皆幸せに抱かれてるからオッケーということにしておこう、うん。
まだもうちっと続くんじゃ。