抑止兵器マギア   作:マルペレ

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戦闘入れたい。でも、本編で大きな戦いがエヴァ編以降……
日常系は、書いててネタがつきやすい。(陰謀話が多くなる→小説が暗くなる)





星よ、いざ詠え。
…我らを裂かんとした天の帝へと


☮蚊帳避ける

 一人の少年が、目の輝きが死んでいる複数の人に追いかけられている。その少年はどうして追いかけられてしまうのか、その原因を知ってはいるのだが、今の彼に出来ることはただ逃げるのみだ。それだけを実行して全速力でこの場から離脱していった様は、まるで風の様。そして、彼を追う者もまた、その方向へ極の違う磁石のように吸い寄せられていく。そんな追跡者は全員が女子。そして、口を揃えてこう言っていた。

 

「「「待って、ネギせんせー!!」」」

 

 魔法界の条約で禁止されている「惚れ薬」。にもかかわらず、正に魔法薬と言えるそれを活用しようとした者の、哀れな逃走劇であった。

 

 

 

「まったく、何をやっとるんだアレは……」

「……ちょっと待ってくれ、寝起きが悪くて頭痛い」

「それだけではなかろう?」

「まぁ……」

 

 惚れ薬の効果に陥り、ある程度の対魔力や関係者だけが残ったこの教室で、もうこの世の終わりだと言わんばかりの表情をしているのは、我らが「元」常識人・長谷川千雨。今となってはファンタジーこそできないものの、現実で起こりうる側面においては圧倒的なほどに技術を磨き上げた少女は、そんな弱音を吐いていた。

 大げさな、と思って隣を見たエヴァンジェリンは彼女の余りの形相に頬がひきつらせる。日常浸食はこれほどまでにショックなのか、と言えるほどの酷さだったからだ。

 

「ちゃ、茶々丸。何か良い薬でも付けてやれ」

「では…こちらを。どうぞ、千雨さん」

「恩に着る………」

 

 そう言って手渡したのは、かの有名な「青汁」。それを唇の先に一口つけると、一気に全てを飲み下した。あまりの不味さに眠気は飛び、含まれる栄養はナノマシンが即時吸収することで頭痛も引いて行く。栄養が体中に回るころには、彼女の容体はかなり和らいでいた。

 

「不味い、もう一杯……って言いたいが、この位がちょうどいいな。ありがとな」

「恐縮です」

 

 その青汁どこから出して、いつ作った? という点においてのエヴァンジェリンからの突っ込みは無いらしい。その事に少しの残念さを覚えながらも、茶々丸は一礼をし、再びエヴァンジェリンの傍に控える。よくあんなものを飲めるな、という点で再び主様の方は顔が引きつっていたのだが。

 

「それで、スプリングフィールド先生は……あれ、レッドカード。いやまぁ、授業はしっかりしてるし、教え方も悪くは無いが……ちょいと、こうしたミスがでかすぎる点で」

「まぁ、あの“鬼の新田”や一般教員の前ではしっかりしているらしいが、どうにも魔法が絡んでくるとああいった失敗が目立ってくるようだな」

「目立っちゃダメだろ、秘匿義務…! というか、じゃあ魔法つかうなよ」

「諦めろ、あれが魔法漬けで生来から過ごしてきた“子供”の姿だ。いざという時は選択肢の最優先に“魔法”の字が浮かんでくるのだろう。まぁ、あの年で暴発に攻撃魔法が含まれないだけマシなほうだ」

「うへぇ……魔法使いの子供って、ある意味危険だなオイ」

「むしろ、あの年齢でああまで自制していると何時か大爆発するのではなかろうか」

 

 出た杭は打たれると言うが、才能が突出しすぎているというか、マセガキと言うか……など、意外とエヴァンジェリンの評価は±0辺りが妥当らしい。吸血鬼的には血液の評価は最高クラスと言っていたが。そこまで考えて、千雨は窓の外の様子に気づく。

 

「お、やっとあいつら効果切れたか。“お守り”ありがとな、エヴァンジェリン」

「……む、それは良いが」

「どうした?」

「貴様、最近は随分と男らしくなってないか?」

「…………」

 

 閉口するのも無理はない。どこの女が男らしいと言われて喜ぶのだろうか。一部でそう言う言葉をほめ言葉として受け取る人物も居るには居るだろうが、生憎と千雨にそんな趣味は無い。とはいっても、彼女が「女らしさ」を発揮できるのはどちらかと言うと「少女趣味」な方法しかない。

 

(帰ったら思いっきりコスプレしよう。とくに女神系)

≪チサメ、そう自分を卑下しないで。貴方は十分女らしいわ≫

(RAY、ありが―――って、RAY!?)

 

 彼女は深く、そう心に決めたのだが、ナノマシンの通信で心底おかしそうなRAYの声に思考が中断させられる。そうなのだ。RAYは常にフォックスと千雨の精神状態から身体情報に至るすべてを管理しているので、何を思い悩んでいるかも常時モニタリングされている。余談であるが、学園長との契約で、近衛木乃香の監視にナノマシンが用いられることはなかったが。

 

「? どうした」

「い、いや……ウチのおませな機械が、少し」

「RAYか…オマエの人をからかう癖、もしや移していないだろうな? この前なんぞ注射されかけたぞ」

「あ~。その辺は、主にアイツのデータ収集じゃないか? ほとんどが私らのナノマシン技術へ応用、もしくは強化外骨格の調整に使われてるけどな。吸血鬼だし、その回復力でも狙ったんだろ」

「ほう……それであの狐も度々外観が変わっているのか」

 

 面白い事を聞いたな、と通い詰めている間は一切の作業を中止させるRAYの用心深さで作業工程を一度も見たことは無いエヴァンジェリンはぼそっと呟く。一応千雨の耳に入っているのだが、どうせ何かあっても先手を打たれてエヴァンジェリンが潰されるだろうと思った千雨は、その言葉を呆気なくスルーした。というか、面倒な話はほとんどスルーアウェイである。

 

「そんじゃ、私はそろそろ帰るぞ。今日は寄ってくのか?」

「いや、私も家でやることがある。精々腕が鈍らぬよう、RAYのところで射撃訓練でもしていろ」

「はいはい」

 

 それじゃ、また明日。そうして二人は教室を去る。残っていた裏の関係者の一人は、その会話に薄く笑っていたとか、いないとか。

 

 

 

 いつもひいきにしている居酒屋で、今度はガンドルフィーニ、フォックスの他に高畑の姿もあった。三人が囲んで飯を喰らう中、相も変わらずフォックスだけがマテ茶。気力回復には良いのだが、この様な談笑の場で好んで飲むものでもない。よって、やはり彼は少しだけ空気から浮いているようだ。

 

「フォックス、せめて形だけでも酒を飲んでみたらどうだ?」

「要らん。万が一酔いが回ってしまうことも視野に入れれば、即時戦闘が出来なくなるだろう」

「そんな、今は夕方だし今日も侵入者が出るとは限らないよ? もっと肩の力を抜いてみたらどうかな」

「……先月の月光共の襲来、忘れているわけではないだろう」

「「む………」」

 

 フォックスは仕事の話になると積極的で比較的取り入れやすい意見を言うのだが、こうした談笑の場では少し空気の読めないところがある。一度も心から笑った姿を見た者もおらず、ぶっきらぼう、と言った風に振舞っているのも一つの要因だろう。本人は意に介さず、野狐のままにあるので、個人の意思を尊重して二人もそう強くは言えないのであるが。

 無駄だと判断した二人は、当初の「フォックスを柔らかくしよう」という目的から仕事の話を持ち出す準備を始める。「周りから見ればただの雑談」に見えるようにする秘匿用魔法をガンドルフィーニが使う。こうなると魔法関係者以外にはフォックスも楽しく話す姿が見えるらしいのだが……その辺りは関係者なことに残念さを覚えるのであった。

 

「では、噺を戻すぞ。……この前の襲撃、学園長が一ヶ月かけて結論を出したのだが、元教え子だった人のようだ。それも、二百年前の」

「二百年前だって? それじゃ……」

「そう、少なくとも二百年分の“何か”を保有しているとみて間違いない。…あの時の資格だけど、フォックスはどう見る?」

「奴か。一見は牛のなめし皮で作られた襤褸を羽織った筋力(パワー)系だったが…」

 

 コップを机に置く。絞り出すように、彼は口を開いた。

 

「……自分の意思がなかったようにもみえる。狂っていたのではなく、操られている。だからこそ単調な動きしかできないフォローとしての大質量の武器、術的効果を施した防具を使っていたのだろうな。一貫して言えることは、それらが全て“牛”が関連づけられているということだが」

「フォックスの言うとおり。学園長のその弟子は“夏の大三角形”を自分の術構成(ベース)にした星詠みのようだ。実質的な戦闘力は無く、その昔にある戦いに巻き込まれて死んだ、と言われているんだがね」

 

 おそらく、死んだ事をかくして何処かに潜伏していたのだろう。そう言ってガンドルフィーニは、やっていられないとばかりにジョッキを煽った。

 詳しく聞けば、その星詠みには愛する女房がいたとのこと。その辺りは「七夕伝説」を再現するためのものかと思ったが、普通に愛する相棒としてそれなりに幸せだったようだ。

 

「それ以上は詳しく知らない。ただ言えることは“彦星のように牛を追い”、“織姫のように絹を織る”事が出来る独自の魔法を編み出していた。と……それっきり、学園長は黙ってしまわれた」

「七夕伝説か。聞かんな」

「ああ、フォックスは経歴が経歴だからね…後で、あのRAY君に聞いておけばいいと思うよ」

「そうしよう。……それで、その牛を追って絹を織るのは一体何につながるんだ? ガンドルフィーニ」

「…おそらく、君の言った通り牛飼いらしく“牛”の概念を持つ者を操り、“絹”の概念を持ったものを織る事が出来るんだろう。言い忘れていたが、その弟子は“概念”に特化した魔法を使役するからね」

「……厄介だな」

 

 そう言ったのは、概念と言うそれが広義的なものであり、付属的なものであることから。概念など、人が勝手に意味を込めて作ったものであるので、それこそ無限に意味を持たせることが出来るからだ。まして、この世界の魔法は「精霊」が魔力の仲介をして現象を引き起こすらしい。もし、絹を布地へ、布地を魔法の基盤へ、そしてその基盤――精霊そのものが使役出来るとなれば、その戦力は圧倒的だろうからだ。

 しかし、彼らは一つ、共通して腑に落ちない事を考えていた。それは、何故その星詠みという戦闘に関わらない弟子が、このように魔法を昇華させ、この魔法学園を狙うかという事。そして、どこからフォックスの居た世界の無人兵器を調達してきたかだ。

 

「あれほどの数となれば流れ込んだだけではない。生産施設(プラント)そのものがあるとみて良いだろう」

「となると、その人が攻めてきた場合には本拠地を見つけないと駄目な訳か……前途多難だね」

「そう言わないでください、高畑先生。それだけ大規模なら日本国内、魔法が通じているのなら、有数の龍脈を辿ればたどり着くかも知れないのですから」

「それもそうだか。上手く行けば、万々歳なんだけど」

「龍脈、か」

 

 大地に流れる地球の血液。と言い換えるべき存在。この麻帆良も、龍脈が世界樹の根っこのように広がっている最高峰の土地らしい。狙われる理由の一つにも、この龍脈が詰まっているという事実が加えられる。

 

「それらを守りきらないと、生徒たちの未来は無いか」

「やっぱり、最終的にはそうなりますね、ガンドルフィーニ先生」

「……余り乱戦は好みではないが、俺も協力せざるを得んのだろうな。RAYも出撃する事態にならなければ良いが」

「彼女か……そう言えば、本気を出したら彼女の周りってどうなるのかな?」

「そうだな……事前に武装を積み込んでいけば、麻帆良位は焦土になるだろう。下手をすればチサメを守るのに“核”を使いかねない」

「「……それは」」

 

 核爆弾。メタルギアが普及する世界で、最も大きく取り上げられた題材であり、その全てに蛇と狐が絡み合っていたワードでもある。全てがID登録されていたことで、愛国者(らりるれろ)を支えた物でもあり、逆に乗っ取られた際は危機に陥れた物。最悪の汚染兵器だ。

 そこで一端会話が途切れ、何とも言えない雰囲気が流れる。そんな中で注文したものを食べきったフォックスが立ちあがって大きめの竹刀袋を担いだ。無論、高周波ブレードが中に入っている。

 

「そろそろ鍛錬を開始したい。料金は置いていく」

 

 二人の教師がいるテーブルに、これまで働いた成果の一部を置いて彼は個室を去った。払いは部屋の二人に任せると言って、居酒屋を出て行く。見れば、夕焼けも姿を消している暗い空が広がっているようだ。

 そんなフォックスの置いて行った代金を見て、高畑は一言つぶやいた。

 

「フォックス、足りてないよ……」

 

 話している間に追加注文、そして次々と運ばれる教師二人のアルコールによって総額は二万を超えていた。フォックスが置いて行ったのは諭吉と樋口。後五千円は二人の自腹である。狙っていたのか、はたまた三人で五千円と考えていたのか、彼の真意を知る者は誰も居なかった。

 

 

 

「邪魔するぞ」

『≪お帰りなさい≫』

「お帰り、今日は早いな」

「“仕事”だ。比較的早い時間にテーブルが回ってきた」

 

 フォックスが訪れたのは、いつものRAYの格納庫……ではなく、女子寮にある千雨の部屋だった。女子寮のそれなりに広い部屋は大の大人が一人入ってもスペースは十分にあり、二人暮らし用のスペースも難なく確保できるほど。そして、そこには件の三人以外にももう一人の人物がいる。

 

「あ、この人が例のフォックスさん? うっわ良い男じゃん!」

「……チサメ、奴は誰だ?」

「ああ。クラスメイトの…朝倉だ」

「はいはーい、私は報道部突撃班の朝倉和美です。後でちょっと質問良いかな?」

 

 小首をかしげる彼女は、千雨のクラスメイトにして部屋が隣の「朝倉和美」。性格は所謂パパラッチ、報道陣の鑑とでも言うべき根性をしていて、どこからか知らない情報も取り入れてくることもある比較的濃いキャラの一人である。流石に裏事情にまで精通はしていないが。

 

『≪カメラを隠れて撮るにはどうしたらいいかを聞いていたの≫』

「いや~、しかし凄いね。ちうちゃんがこんな高性能なロボット持ってたなんて初めて知ったよ。こりゃクラスメイト失格かな」

「ちうちゃん言うな。……つうかRAY。コイツに正体晒していいのか? 明日には麻帆良中に知れ渡っちまうぞ」

『≪良いわ。その方が動きやすくもなるもの≫』

「あれ、もしかして事情持ち? そこんとこ詳しく―――」

『≪無理≫』

「うひぃっ!?」

 

 Mk.Ⅱがそう言うと、カメラの横から銃口が顔をのぞかせていた。フォックスも容赦は無いという意思表示のためか、いつの間にか首にナイフを当てている。命の危機も最大限。そう感じ取ったのか、和美は頬をひきつらせながら冗談だと乾いた声で告げた。

 

「……」

 

 一縷の容赦も無く行動した二体に和美はやばすぎると判断を下し、それでも隙あらば千雨が言うだろうと話題を振るのをやめる。

 

「まぁ、こいつらに冗談を期待するのはもう止めろ。私もそうだけど、簡単に消えるぞ?」

『≪まあ、会話程度なら私たちも動かないわ。情報規制はインターネット側から一応制限させては貰うけど≫』

「これは、ある意味大事件だね。……名残惜しいけど手は出さないよ。死にたくないし」

 

 さっきまでの緊張感も、記者として動くうちに何度も責められるような空気を掻い潜って来たからだろう、慣れ切った和美はあーあとベッドに身を預けた。

 

「それじゃ、フォックスさん。疲れてるなら冷蔵庫はそっち。あとの取材は私生活程度で聞かせてもらいますよ」

「まぁ、いいだろう」

 

 どうにも、冷静になるのが速い。フォックスはそう思いながら部屋の壁の先に消えて行った。RAYも一通りの何かをしたのだろう。端末のMk.Ⅱをステルス化して通信を遮断。部屋には、千雨と和美だけが残される。

 

「ねぇ、最近軍人系のコスが多かったのって、これが原因?」

「まぁな……随分落ち着いてるけど、怖くないのか?」

「本当に死ぬのは嫌だけど、私だって記者のはしくれ。修羅場もちょっとはくぐってるよ」

「ふ~ん……」

 

 そうかよ、と千雨は振り返ってパソコンをいじり始める。いつもの自分のホームページと一緒に移されるのは、膨大な量の画像データ。だが、それはコスプレ用の写真ではなく、何かの設計図のようだった。ほら、と和美に見せれば、ばらしても良い範囲ならばと一気に喰いつく彼女。

 その図面は、球形をしていた。

 

「この図面、もしかして…!」

「そ、私の義眼だ。つっても、あいつらのおかげで目が戻った位にしか言えないけどな」

「…それで、この間はあんなに必死になって作ってたんだね~」

「今も見えないけど、これつけたら見えるようにもなる」

「おお、本格的な機械! どんだけ隠し事もってんの?」

 

 先ほどまでの空気と違って、和気藹々とはしゃぐ二人。それをRAYはMk.Ⅱを使って遠目に観察していた。

 

 さて、朝倉和美がこの部屋にいる理由は先ほどのRAYが呼んでいたからということと、彼女が持っている情報の中に件の“星詠み”がいないかどうかを確かめるためでもあった。流石に麻帆良全ての人物を把握しているという訳ではないものの、和美はそれなりに目立つ人物なら、この麻帆良内のほとんどをマークしている。学校のデータベースにもない範囲でRAYは情報を引き出そうとしたのだが、学園長から提示された特徴の人物はいなかったようだ。

 この件を境に、和美は麻帆良の不思議に気付いて後に例の子供先生と裏の事情で出会うのだが……それは、また今度のお話。

 

(まぁ、仕方ないよね)

 

 弁えどころ、引きどころはちゃんと知っておく。それがウケる記者の秘訣。

 ソレをせずに消えて行った知識の探究者は数知れず。なのだから。

 

 

 

 翌日。千雨のクラスがバレーボールを行うために屋上に来たのだが、運悪く、というか明らかに狙って高校生のクラスが屋上を占領していた。そのためにドッヂボール(バレボールはやらないらしい)で成り行き戦うことになったのだが、桜咲刹那や長瀬楓など、比較的身体能力が高すぎる人物は辞退し、千雨は左目のハンデがあると同じく隅に座った。

 よく見てみると、そこの壁にはこの前撃ったモシンナガンの薬莢が転がっており、急ぎ千雨はそれを回収する。周りには気づかれないように回収したのつもりだったが、彼女の近くには二つの影が重なった。

 

「……桜咲と、龍宮か。どうした?」

「いや、ちょっと隣いいかな?」

「好きにしろ」

 

 それじゃ、と龍宮は近くの壁に寄りかかる。千雨を挟むように桜咲は龍宮の反対側に座り、同じく壁に背を預けた。

 

「ドッヂボール。明らかにこっちが人数多くて不利だけど……それで、どう見る?」

「見てるこっちがハラハラ。朝倉に誘われた時は焦ったよ」

「ふーん……ところで長谷川さん」

「なんだよ」

 

 龍宮の視線は先ほどの薬莢を持っていた手へ移る。同じく裏の事情を知る者同士、この前の集まりで顔を合わせたが故の行動らしい。

 

「ここ数カ月で随分硝煙臭いじゃないか。何かあったのかい?」

「……まぁ、色々とな。―――そういや桜咲、フォックスの修行、どうだ?」

「……ある意味で危険ですね」

「だろうな」

「エヴァンジェリンとつるんでるのは見たけど、長谷川さんは“あの”フォックスの関係者なのかい」

 

 それにしてもいい手だ。と、真名は千雨をほめた。ナノマシンによって、銃を扱う者として作りかえられた手は、大体の物には馴染みやすい最良の形になっている。だが、それがあれど撃っているのは千雨自身。素直に彼女をほめたのである。

 

「いきなりなんだよ?」

「いや、ね。結構フランクじゃないか、と」

「龍宮、そう言うことはこの場で言う者でもないだろう?」

「それもそうか。すまない、刹那」

 

 それからドッヂボールが進むのを静かに見入る体勢に入った三人。それを眺めていたエヴァンジェリンは、くくっと声を漏らす。

 

「マスター、笑みが漏れています」

「言わんでも分かるわ、ボケロボ」

「これは失礼しました」

「しかし、長谷川め。随分と社交的になって来ているな」

 

 その後のドッヂ勝負は高校生側が「ロスタイムよ!」と理由をかこつけ、神楽坂明日菜を背後から狙ったが、間に入ったネギの魔法使用で収集(魔法関係者的には色々アウト)がついた。これを見た魔法関係者は、親身になる先生なのは良いが、と学園長にいろんなものを(物理的に)当たらせに行ったとか。

 




どうにも、詰め込みになる。
誤字のほうは一応見ましたが、またある可能性が大。感想の大半が誤字報告で埋まってるのって、ここだけなんじゃないでしょうか。

それと、総合評価500越えありがとうございます。……と思ったら、10Pつけてくれた人がポイントシステム変更で消えてる件について。こうして目に見える評価を気にするあたり、がめついといわれている私ですが……
これからもがんばっていきたいです(´奏`)(´元`)(´栄`)

お疲れさまでした。長時間のインターネットは最近の遠隔操作(ハッキング)にも気をつけましょう。
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