これより、作戦行動を開始します。
「強硬派の実動員が動き始めたか」
「では、フォックスさん」
「ああ、これまで世話になった。求められるだけの働きはさせてもらう。……そちらの垢落としは任せたぞ、政治屋」
「任されましたよ、脳筋」
詠春が軽く会釈をすると、侍女の一人がフォックスの前に出て来た。彼女が抱えていた大型のスーツケースが幾つか差し出される。彼はそれを並べて床に置くように指示した。
「離れておけ」
「はい」
そうして彼は上着を全て脱ぎ去り、肌にぴっちりと張り付く水着の様なものだけになった。そして三つのスーツケースの内、一つを蹴り飛ばした衝撃で口が開き、中に入っていた橙色と灰色の物体がガバッ、とフォックスに襲いかかった。だが彼はそれを避けようともせずに棒立ちの態勢で構えている。次に右手を差し出し、その物体に自ら喰われるようにして左手をも差し出す。ソレは、フォックスのナノマシンに直接語りかける。
―――フィッティング開始
残りの二つを蹴り飛ばすと、彼の頭から胴にかけて同じく橙と灰色の物体が体を呑み込んだ。それらが金属の暴れる音を奏でながらフォックスの全身を隈なく覆い、最終的に彼の肉体が露出している個所は顔のみとなる。ピー、という音が響くとそ顔も鉄に覆われ、モノアイの赤が一度だけ発光する。
確認するように手を握りしめた音は、ギギギギ…と引き締まったゴムのようだった。
「強化外骨格」を身にまとった彼は、そのまま景色と文字通り同化する。
「お気をつけて」
「ああ。グレイ・フォックス、これより作戦行動を開始する」
新たな力を手にした化け狐は、深い闇の中へと消えていった。
修学旅行当日、新幹線の中では一人の少年が駆けていた。
彼は空を飛びまわる何かを追いかけており、手には土星の様な杖を持って遊んでいる。それがただの子供ならば良かったのだが、彼は魔法使い。その杖は魔法の発動媒体であり、このように新幹線と言う衆人環境で使用するようなものではない。
通常ならそう考えるのが常であるが、その日は麻帆良の修学旅行の日と言う事もあって、とある財閥のお嬢様が新幹線を貸し切りで使っていたため、彼が走っている車両には全く人がいなかった。少年的にはこれならば、ある程度の魔法使用は問題がないだろうとの判断を下していた。
そして少年―――ネギ・スプリングフィールドは、「親書」を追いかけた先である人物を発見する。必死で追いかけた先、車両と車両の連結路には親書を持った桜咲刹那を。
「…これ、落し物です」
「あ、親書! あ、ありがとうございます、助かりました!」
「それは先生の物ですか?」
どこかミステリアスな雰囲気を発しながら訪ねる声に、ネギは引き込まれるような魔性の魅力を感じた。麗しい空気を貼り付けたまま、彼女は言葉を続ける。
「気をつけた方がいいですね、先生。―――特に、向こうに着いてからはね……それでは」
「あ、どうも御親切に……」
そのまま彼女は別の車両に歩いて行ってしまったが、ネギは親友のカモミールから今回の「親書」を狙った京都の手先かもしれないと言われていた。
真相は、彼らにとってまだまだ分からないのだが。
別の車両に刹那が歩いて行くと、彼女は突如、耳の奥で何らかの違和感を感じた。されど、何故か知っているようにその先にあるものに「繋げる」と、聞き覚えのある声が聞こえて来た。これは、確か彼女の声だと記憶の隅から該当人物を引き出す。
「長谷川さん、ですか?」
≪…コール、コール。……オッケー、試運転は問題なし。さすがはRAYだな≫
「ナノマシン、でしたか。こうして繋いでみると任務中には電話よりも便利な物に思えますね」
定期的な摂取、PTSDが曲者だがな、と千雨はおどけたように笑った。その直後に、新たに回線に割り込んでくる音声が一つ。
『≪こちらコードネーム
≪
「
『≪やらかしちゃった?≫』
「おそらくは」
そう言うと、ナノマシン通信の向こう側から溜息の声が重なった。
「え、な、なんですかそれ?」
≪せっかくサプライズで大笑いさせてやったのになぁ。いい加減コミュ障なおしとけって……あ、そろそろポーカーフェイスも疲れてきたから落ちる。OVER!≫
『≪こちら
「了解。
『≪≪最重要事項だ≫≫』
通信先の気配が消えることを確認して、ふぅ、と大きく息を吐く。
このナノマシンは戦闘時にこそ真価を発揮し、冷静に戦況判断が出来ると聞いたから入れてもらったものだ。もちろん、刹那自身これに頼り切るなどと言うつもりは無いし、補助程度にしか過ぎないと思っている。
だが、通信を繋いでみて分かった。こうして何時でも情報のやり取りが出来ると言うのはかなり貴重だと言う事を。これなら逐一他の人物の動向を知る事が出来るし、ある程度の知識の共有も可能。連携なら互いが何をしたいかをすぐに理解、そして実行に移るプロセスまでに動作の全てを身体で認識する事が出来る。これなら、確かに戦闘面では役に立つ。日常では電話代わりにしか用途は思いつかないが。
「……しかし、いきなり嫌がらせをしてくるとは。英雄の息子は子供、そう甘く見ていたのか? 西の強硬派も随分と……」
次からの対処も簡単ならばいいのだが、とらしくない自分の「冷静さ」に少し身震いする刹那。だが、ナノマシンの恩恵だと言うことを分かっているからこそ、これに慣れていかないとならないな、とため息をついた。
本部から捜索のために出発したフォックスが最初にCALLを受け取ったのは、刹那からの通信だった。何時の間にナノマシンを入れられていたのかは知らないが、この作戦の要に相当する人物になったのだと情報を引き出すと、呼びかけ手に応える。
繋がり、初めに聞こえて来たのはクラスメイトが酒に酔ったと言う内容だった。
「……酒樽?」
≪はい、ですので他のお客のためにも降ろしていただきたいのですが……私達はそう怪しい動きをするわけにもいきませんので≫
「一学徒としてこれ以上の不審な行動は更なる誤解を招きかねない、か」
≪申し訳ありません、後片付けをお願いします。……行動時間を広めるためにも、早めにお風呂に入っておきたいので烏、落ちます≫
「了解した。せめて大きな動きが無いうちは楽しんで来い、オーバー……だが、存外に甘いものだな、強硬派も」
現在の報告を聞いたところ、強硬派の被害に遭った人物は同じく低評価を与えた。
そして音羽の滝の上に置いてある樽をどかすと、彼は係員の人物が後ろを向いている間にさっさと置いてしまう。別の視点から見た観光客の位置からでも、樽が転がり落ちて来たような見栄えに偽装工作をしておいたので、一般に透明人間などと呼ばれる者の噂は立たないだろう。
彼とて、伊達にフォックスハウンド時代でビッグボスの右腕と呼ばれてはいない。この様な一般教養はともかく、工作員としては優秀な実力を持つのが彼である。
一通りの作業を終えると、彼は右手に持っていた物を空高く放り投げた。だが、それは酒樽ではない。真ん中が浮遊機関の、輪っかの形をした機械だった。
「……RAYも用意が良いと言うべきか、サイファーⅡを開発していたとはな」
名前をサイファーⅡ。
タンカー事件から始まるビッグ・シェルでの疑似シャドーモセス事件の再現を行った。コードネーム「雷電」が英雄の一人として始まりを迎える事件の際、開場除染施設ビッグ・シェルの
全天候型の飛行性能を有し、とあるゲームではスネークの身体を持ちあげるまでの上昇推力も持ち合わせている。これはそれに
そんなサイファーが映した光景は、リアルタイムでRAYのナノマシンを摂取した全兵士へ情報を送られる。対人偵察機として優れた無人機械であり、仔月光をそれに乗船させる事で簡易ながらも攻撃能力を得る事も出来る優れ物。だが、それを使って送られた画像には、「あからさま」な映像は映っていなかったようだ。
「……怪しい人影は無しか?」
耳元に手を当て、コール。
「RAY、此方
『≪こちら閃光。どうしたの?≫』
「サイファーⅡの操作を要請する。情報共有レベルも其方に任せよう」
『≪分かったわ、嵐山のネギ・スプリングフィールドがいる旅館の方に上空から飛ばしておくから、貴方は街での探索を続けてちょうだい≫』
「了解。…オマエの到着は何時になる?」
『≪少なくとも明日になるわね。増援は出せない、現状の戦力で対応して。……_RAY、巡航モードに移行します≫』
彼女のザ・ボスと同じ声が機械音声になった後、ブツッと通信回線が断ち切られた。AIの機能を停止し、一時的に機械的な面に切り替えたのだろうとフォックスは予想する。
「…切れたか」
だが、それはつまり事態の急転が多く、RAYも会話の代わりに速度を取ったのと言う事だろう。最後に聞こえた機械的なシステム音声の後、通信が突如断ち切られたのが何よりの証拠である。
こうなってしまえば、あとはサイファーⅡと自分の足でしか「七夕」を探す事が出来ない。一応は関西呪術協会本部にいた強硬派、その実動部隊以外はすべて詠春が取り締まったので言わばこの作戦は残党の掃討作戦と言ったところ。
だが、もし、強硬派が「七夕」と手を組んでいたとするなら。それなら、「織姫」の能力的にも見つからないのが納得がいく。
「だが、“天ヶ崎千草”……首謀者さえ捉える事が出来れば――」
「彼女を探していると言う事は、君がグレイ・フォックスだね」
「何っ!?」
後ろを取られていた? 疑問を上げる前に振り向き、臨戦態勢を整えようとしたところで―――
ズッ……
何だか、嫌な胸騒ぎがする。
先ほどの風呂場での一件もそうだし、RAYが巡航状態になった事はナノマシンで感知した。おそらく、フォックスとの会話の際に速度を取ったのだと言う事は分かるのだが……後は、学園長と刹那か。
「学園長、こちら狐1」
≪こちら
「関西の強硬派の嫌がらせがエスカレートしてきた。まだそっちの長からは潜伏先とか聞き出せて無いのですか?」
唸るような声の後に、すまない、と近右衛門は謝った。
≪強硬派で残っている実動部隊は、既存の三人と、七夕を含めたある“助っ人”を三人ほど引き込んで以来、一切情報が途絶えたと言う事もあってな、下手に動けない現状、君達が探してくれるしかないのじゃよ。……すまぬな、これ以上の情報は……≫
「いえ、敵の数が六人と言うだけでも上々です。数も分からずに多数を想像して怯えるよりはマシですから」
≪すまぬの、助っ人の方じゃが…白い髪の少年がいた、と言う噂じゃ≫
「御助力感謝します、OVER。―――ちっ、今は情報を回しておくしかないか……」
浴衣の上にポーチだけ巻きつけると、彼女は他の人物にばれないように部屋を出た。
部屋の前には先生方の姿や気配も無く、廊下の静寂と反対に他の部屋からはクラスメイトの喧騒が聞こえてくる。同室の人も、朝倉に話を通して置いたのでこれ以上の詮索は無いだろう。
朝倉の言う情報なら例え「嘘」であってもクラスメイトの中ではそれが「真実」になる。麻帆良パパラッチを自称する情報屋の名前は伊達ではない、と言う事だろう。
彼女は廊下の気配を読みながら、足音を立てずに一気に走りぬけた。ただ、彼女の左目にはソリッドアイは装着されていない。確かに、このようなスニーキングミッションでは相手の位置を知るのに役立つが、あんなものを付けていると知られたなら、痛い子扱いか精密機器の持ち歩きで没収される可能性がある。だから、カモフラージュにも使える、このポーチだけが今の彼女が持つ「装備」だった。
「……こっちか、嫌な気配があるのは―――ッ」
「はーい、台車通りまーす」
そして、声の聞こえた場所で立ち止まった。ネギが運んでいたシーツをぶちまけ、外から侵入を許してしまった「あからさま」に怪しい職員の姿があったからだ。
この正面の扉から従業員が出入りすることは無いと言うのは、
だが、それでいて一つの疑問を生じさせるのだ。
どう見ても、彼女はこう言った工作には素人でしかない。敵対組織と言う割には慢性的に人員不足だと言うのに、何故奥の手になりうる「首謀者」か「織姫」に該当する者が直接此処まで動いているのか、と言う事だ。
「とにかく追う…って、女子トイレぇ? 手段は選ばないと言うか……狙った奴が来る可能性は低い筈だろうに……」
そう言った直後、近衛木乃香がトイレに駆け込んで行く光景を目にする。幸いにも別の角度から覗き見ているので、姿はバレはしなかったが、こうも上手く相手の策通りに動く辺りは少し驚愕を覚え、同時に都合がよすぎるだろうと呆れも感じた。
だが、そんな事を考えている暇ではないと言うのは分かっている。ナノマシン回線を開き、周波数を合わせてコール。相手は直ぐに答えてくれた。
「こちら狐1、女子トイレに駆け込んだ護衛目標が敵の罠の中に飛び込んで行った。おそらくは陽動が目的かも知れない。急ぎ旅館の外に出ろ。フォックスが送ってくれたサイファーⅡの航空映像で場所は特定した」
≪烏、了解しました! そちらに向かったであろう明日菜さん達の対処をお願いしま――お嬢様!≫
「あ、おいっ……いつもだけど、私たちは馬鹿やらかした奴の尻拭いじゃないっての」
仕方なく、刹那から教えてもらった木乃香を追ってきただろう明日菜達がトイレに入る前に便器の札を取っておく。そして入口に転がり込んできた二人に、彼女は口を開いた。
「神楽坂、奴らは外に行った」
「え、マジ!? わ、私も早くいかないと…!」
「うぅ、トイレ~」
「綾瀬、こっちあいてるからこっちでしろ」
そして同伴の夕央を誘導すると、千雨はトイレの外に出た。これで、彼女が出来る行動は此処で終了する。
其れは何故か。彼女は銃と言う現実味の高すぎる得物を扱う以上、下手に動けば味方に当ててしまうだろうし、下手をすると国家権力の目に留まって犯罪者として監獄に入れられる。それに加え、あの超人的な連中の速度を確実に目で追う事は出来ても、足で追いつくことはできないのだ。だから、超人的な連中に任せるしか手段は残されていない。
「……さて、私は寝ますかね」
少し前から動悸の激しいフォックスと、先ほどから興奮状態抑制のための分泌液を生成され始めた刹那、同じナノマシンを入れられた仲間が戦っている状態になっている事を知った上で、彼女は自分を抑えるように、そう発言した。
先ほども述べたが、任せる相手が存在するなら無理して個人が全てに手を出すべきではない。当人たちの問題は、当人たちでしか解決できない時もある。そして、いざという時は安全な場所から見張ることのできる位置で第三者の位置から指示をする事も出来るのだ。
事は荒立てるものではなく、冷静に対処していくものなのだから。
「駅か、逃げ足の速い…!」
一人、確実に敵を追跡している刹那は、おそらくは呪術の親和性を高める霊装であろう、「猿のきぐるみ」に身を包んだ強硬派の実動員を、着かず離れずの位置で追いかけていた。間合いに入る度に刀を奮うのだが、敵は閉所に逃げ込んだり、使い魔の子猿が盾になったりと、中々捉えづらいと歯がゆい思いを抱いている。
仲間であるネギや明日菜がその後方で刹那の姿を追っているものの、最大速度が同じような者同士ではその差は埋まりづらい。ほぼ並列で相手の説明をしながら、逃げ込んだ車両の中に逃げ込んだ敵を追いかけて行った。
「お札さんお札さん……」
そして、相手が札の詠唱に入っている事を確認するや否や、剣を振り払うと言う動作に入った。
ここでひとつ、語らせて貰おう。彼女が使っている呪術は「三枚のお札」という青森県で語られた、呪的逃走譚の中でも最も有名な話を基にしたものである。
寺の小僧が栗拾いに行きたいと和尚に申し出、帰りが遅くなって止めてもらった先の老婆が
話は最終的に、豆に化けれるか? と挑発した和尚の誘いに乗って豆になった山姥が和尚に食べられ退治される、めでたしめでたし。と言う話だが、今此処で語るべきはその「札」の効果である。
桜咲刹那も、幼少時代は木乃香と一緒にそのような話を聞いた事がある。そしてこの車両と言う密室で千雨から貰った情報と一致させ、出てくる「二枚目の札」の効力は「大の川」と言う結果を弾きだした。
だから、この密室で水によって身動きが取れなくなる前に斬ってしまえと言う判断を下したのである。だが、リーチはギリギリ届かない位置。
ならばどうするべきか? 彼女は神鳴流剣士。答えは決まっていた。
「神鳴流奥義、斬空閃!!」
「逃がしておくれや―――何ぃっ!?」
詠唱を中断させ、そして札は切り裂かれる。術者に傷をつけるには至らなかったが、相手の心理的な意表をつくことには成功。このまま攻めきることは可能、そう判断した彼女は次いで飛びかかったが、ネギに引っ張られる事でその動きを止めざるを得なかった。
「危ないっ!」
「先生っ、なに…ッ!」
間一髪、子猿が凶器を手に跳びかかって来た所を回避した。背後に控えていた明日菜がその子猿を術者に蹴り飛ばして難をのがれたが、刹那は功を焦っていた自分を強く叱責した。ナノマシンに頼らないと言っておいて、それによって生み出された「効率」を重視した結果が命の危機だったのだから。
「…すみません、ありがとうございます」
「いいわよ! それよりさっさと追いかけましょ。ここで木乃香逃したらどうにもならないわ」
「そうですよ。僕らはちゃんと“仲間”だって、証明してくれたじゃないですか!」
「……ふふ、そうですね」
ネギの言葉には、どこか心に響くものがある。その言葉が甘くも未熟と理解しながらも、嫌悪感は与えてこないのだ。
「さぁ……行きます!」
「「おお!」」
なら、この優しさに飲まれてみるのもいいかもしれない。
お嬢様、必ずお救い致します。
ただの岩の筈なのに、どうしてこうも硬い。どうして切れない。疑問の答えは「魔法だから」で済むのだが、それを差し置いてもこれは中々の物だとフォックスは感じていた。
――なっ
――君は厄介だ。ここで命を散らしておこう。
こんな不意打ちから戦いが始まり、この時間までずっと戦い続けている。
麻帆良でも味わう事が少なかった、命がけの戦いの高揚感が体の中を駆け巡り、刃を奮う腕が詠春と戦った時の様に何の遠慮もなくふるわれる。
だが、それでも戦いが有利なわけではない。むしろ不利と言ってもいい。振動の刃は相手の魔法を切り裂くことはできず、弾くに留めるばかり。今までの修行をあざ笑うかのようにフォックスを翻弄していたのだ。
「……存外に期待外れだね。まぁ、神鳴流に通っていても所詮は“気も魔法も使えない一般人”か。僕達魔法使いの足元にも及ばない」
「…………」
「何も言い返せない、か。僕はこれほどしゃべる余裕があるのに、君も随分落胆させてくれる」
襲撃者の白髪の少年がそう言うと、フォックスは内心で彼に対する認識を改めた。刃を交わしながら、一つ分かった事がある。それは、敵の少年に明確な「心」がこもって無いということ。敵対者はずっと無表情で、攻撃を受けて伝わる「想い」が欠如している。これも、ただ威力が高いだけの中身の籠っていない人形の様なものだからこそ
フォックスはこの世界に来てから、気を使わず、強化スーツの力だけで勝てる「人間」には出会った事がない事を恥じていた。未熟と自分を認めている刹那でさえ、「気」と言う超常的な力を使わない限りは勝利は不可能であり、学園の実力者ガンドルフィーニ、高畑に至っては強化外骨格に気、そして自分の編み出した「崩力」をも使わねば勝利を掴めない。
だが、この少年はどうだというのだ? なんの想いも込められていないからこそ、素のままで対応できると言う呆れ具合。フォックスは高揚感と同時に、失望も抱いていた。
「……詰まらん」
「なんだって? 攻められていて何―――を?」
踏み込んで一閃。
特殊な技術もなにも使っていない。
ただ、近づいて斬っただけ。
それで―――少年の両足を切り落とす。
だが、すぐさま別の位置から少年の姿は浮かび上がる。そんな驚愕の変わり身を披露されてなお、フォックスの外骨格の下に隠された表情は硬く、変わらないままだった。
「……まさか、咄嗟に影を使うはめになるなんてね。君は――」
「貴様は人形だな。何のために戦う?」
「何の、ため? 与えられた任務を果たす為に決まっているじゃないか」
「……やはり、詰まらんな」
そう言うと、彼は此処に来てようやく「気」を放出し始めた。戦闘中、体内で練りに練った気は身体の周囲に蒸気を撒き散らすほどの熱気を発しており、襲撃者の少年はそれを見ただけで、ここで初めて表情に変化をもたらした。
それほどまでに驚愕すべきだったのだ。「グレイ・フォックス」という男は。
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイ―――」
「“所詮は”魔法使いか」
「くっ」
詠唱が始まったと同時に踏み込むと、その距離は一瞬でゼロになる。そして魔法使いが張る強力な魔法障壁を刃が「すり抜ける」と、敵対者の腕もが切り裂かれた。そして鮮血が舞う。それはすなわち……襲撃者は本体だったと言う事。
「ぐっ、ぐぐ……」
「強力であればある程、俺の刃の前では無意味となる」
だから、振り払う。長々と前口上を並べたてるのは愚の骨頂だ。敵に与える弱点や情報など無く、敵に掛ける慈悲もいらない。元よりフォックスは殺し合いを常套として来た。そこに迷う姿など見受けられる筈もない。名も知らぬ少年を切り裂こうとした刃は、しかし、辿り着くことはなかった。
少年は、ギリギリのところで身を捻って逃がれていたのである。
彼は切り落された腕を回収し、転移魔法を使用。そうしてフォックスの前から忽然と消えうせる。地面に残っていた波紋の様な揺らぎだけが、彼が空間移動をしたと言う事を知らせる痕跡だった。「スカウト」の訓練も受けていたフォックスはすぐにそのような手合いの魔法だと認識、そして情報をRAYに回す。
回答と情報の共有は次の日になるだろうが、その頃にはRAY陣営改め「派遣者」が完全に揃っている事になるだろう。そんな時、RAY側から通信が開かれた。
『≪コールサイン、こちら閃光。隠密上陸に成功したわ。これよりそちらの呪術協会本部に移動を開始する≫』
「狐2了解。本部に到着した後は詠春たちの指示に従ってくれ」
『≪それから、情報確認したわ。共有に関しては情報の取捨選択と予測を付けくわえて明日に回答を出すわ。OVER≫』
「了解。OVER」
フォックスは強化外骨格にとりつけられた千雨のソリッドアイ同様に魔力を読み取れる頭部装甲の機能で周囲を調べたが、魔力反応・生命反応共に感知できず。完全に敵がいなくなった事を確認すると、刃が障壁を突破した原因、「崩力」として纏わせた気を再び体内に戻す。練り上げた気も完全に収める事で、気を持たない一般人と変わらない程に自分の存在感を薄めた。
彼が首を振ると、既に上った月が目に入る。満月と言うにはまだまだ欠けていた。
「サイファーⅡを移動させるか」
サイファーⅡの移動顕現をナノマシン経由で自分に設定すると、京都の空に向かわせる。そこでは、新たな戦闘が繰り広げられようとしていた。
フォックスが戦いを終わらせた頃、首謀者――天ヶ崎千草を追い詰めた刹那、ネギ、明日菜は駅の長い階段のある場所まで移動していた。三人を見下すように見つめる視線を不快に思いながらも、刹那はあくまで「冷静」に状況を判断する。そして、ネギが主に使う術を突如提供されたナノマシンの共有情報から引き出すと、彼に指示を出した。
「ネギ先生、あの女が使うのは三枚のお札という話が元です。次に大きな火が来るので、それを突破する程の強風を生み出せますね」
「分かりました。って、なんで僕の魔法を?」
彼が疑問を上げるが、刹那は此処はとにかく、と制する。
ちらりと相手を見れば、既に三枚目を手にとりだしていた。
「後で話します、今は―――」
「三枚目ぇ、いかせてもらいますえ」
「呪文を!」
実は、情報提供は仔月光を転がしていた千雨が流した物だった。だが、役に立つ情報は使うに限るとすぐに思考を切り替えた刹那の行動は正しいのだろう。そして、彼女も刀を構えた。
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!」
この周囲に、千雨名義で無言ながらも伏兵がいると知らされた。いつ出てくるかもわからない現状、こうして辺りを警戒することしかできない。この魔力の渦の中、相手の気配を探るのは至難の業なのだから。
「喰らいなはれ! 三枚符術、京都大文字焼き!!」
「
そして相手の呪術とネギの魔法が同時に詠唱完了し、事前に魔力を練っていたネギの馬鹿魔力が敵の術を吹き飛ばして圧勝する。並みの術者には越えられない――。自分の実力に自信を持っていたからこそ、そう言ってすぐさま逃げてしまおうと思っていた千草にとってこれは予想外の結果だったらしく、目を丸く見張っていた。
だが、その直後に風で煽られ自分に直撃する火の粉が肌を焦がし、余りの熱さに身をすくめてしまっている。これは、木乃香を取り返す好機だと、彼女たちがそう判断する余裕があるほどに隙を見せてしまっていた。
「逃がしませんよ! このかさんは僕の生徒で…大事な友達です!!」
そう言い切ったネギの姿は、正に威風堂々とした英雄の御姿が見え隠れするほど。
周囲がその子供らしからぬ貫録に圧倒される中、彼はパートナーである神楽坂明日菜に「
明日菜は刹那と並行して走り敵に向かう。大きく振りかぶり、二人が得物を振るった。
「えぇーいっ!!」
「ハァッ!」
斬撃、ハリセン撃の二閃。それらは千草に到達する前に、熊と猿の巨大なぬいぐるみのような陰陽師のパートナー的存在、善鬼護鬼に遮られる。だが、刹那の刃が止められた事に対し、明日菜のハリセンが善鬼に直撃した瞬間、猿のぬいぐるみもどきを「送り返す」。まるで、彼女が持つ退魔の能力がその武器にも宿っているかのように。
「神楽坂さん、お見事!」
「いっけぇえええ!!」
彼女の声援を受けながら、刹那は使い魔が送り返された事で呆然と突っ立っている千草へと突貫。木乃香を引きはがす為に跳躍した。
その瞬間、目の前に長短二刀を携えた影が出現。刹那を切り裂こうと気を纏わせた凶刃を向けてくる。接触し、両者ともにだが墜落させられてしまった。刹那は、影の振るった剣筋は自分と同じ神鳴流だと判断し、実動部隊のバトルメンバーだと言う事を認識した。
「どうも~、神鳴流です~~。おはつに~」
「……なんとけったいな。変わったものだな、神鳴流も」
着地時に刃に着いた土埃を払って言うと、千草は神鳴流両者に挟まれるように立っていた位置から退いた。
「ほなよろしゅう、月詠はん」
「お手柔らかに…」
途端、眼前に彼女の姿を視認し、刹那は反射的に刃を振り上げた。そして続く剣閃は、小回りのきいた速度重視の連撃。突然の事に驚きながらも崩れた体勢を直しつつ対処するが、単純に二倍以上の手数を加えてくる月詠の攻撃にたじろいでしまう。ようやく攻撃態勢に移れるかと思った矢先には、相手の刃は膨れ上がった気を纏っていた。
そして、振り上げの一撃を視認する。
「ざーんがーんけーん」
「斬岩剣!」
なんとか同じ奥義で対処したが、二か所から叩きつけられる刃に己の刀、夕凪が折れる光景を幻視仕掛ける程の衝撃が武器を握る手に伝わった。取り落としそうになった刀を握り直すと、巻き上げられた地面の瓦礫が二段目攻撃を仕掛けてくる。月詠を振り払う意味も込めて気を纏うと、彼女は広範囲に向かって放出して距離を取った。
「くそっ。だが……」
「ホホホ、なんや知らんけど、神鳴流剣士は化け物相手のでかい得物しか使わんのやろ? 小回りきく小太刀との二刀は骨やろうなぁ」
一拍の間を置いて聞こえて来たのは、千草の嘲笑の声。
後生大事に野太刀を使う、と言うのは確かに否定しない。だが、だからといって対処できないと言う訳ではないのだと、刹那は心の中で返答する。次いで、嘲笑を返すように言った。
「遅いな」
「なんやてっ!?」
「あらら?」
今度は此方の番。そう言わんばかりに月詠との距離を詰めた。本来なら長物を扱う者として謝った判断だと言うのは自明の理。敵対する彼女も、何を考えているのかと目を細めているのが見て取れた。
だが、刹那は「修行」を行っている。
これよりもずっと、ショートレンジで戦う狐の男と。
「斬」
「は、はややっ!? なんやのこれ~」
身体を回して斬り払い、刀身に込める気を洗練して行く。
そうだ、神鳴流とは言え、私は「あぶれ者」を自称していたころもあった。そして、その時にフォックスさんと戦い、修行し、新たな力を手にする事が出来た。
「鉄」
「―――違うッ?」
技の名前に、月詠が驚愕する。
だが、それでいい。これは神鳴流ではなく、流儀の皮をかぶったオリジナル。確かに二刀は慣れなかったが、ならば其方も経験した事の無い現実を思い知らせてやろう。
「剣っ!!」
「ぐ―――あら?」
斬鉄剣。
文字通り、岩をも超える鋼を切る奥義なり。
月詠の刀はその一撃で屠られ、半ばから所有者の手より零れおち、地面に突き立てられた。刀身の半分以上を失った月詠の刀はもはやナイフよりも短く、これでは刹那を切ることすらできないだろう。月詠がその戦闘不能と言う事実に驚いていると、間髪いれずに自分に向かってくるものがある。それは―――刀の峰。
げぇっ、と腹を襲った衝撃に顔を歪ませて、月詠は階段の一角に弾き飛ばされた。
これで残る戦力は千草ただ一人。それを脅すように、刹那は刀の切っ先を千草に向ける。
「ま、まさか月詠はんがやられるなんて……せやけど、忘れとりはせんか?」
最後の言葉は呟くように言って、その直後に刹那の後方で後鬼の熊もどきが送還された。
合流した明日菜は刹那の横に向かう。
「桜咲さん!」
「神楽坂さん、無事でしたか!」
「風の精霊11人、捕鎖となりて敵を捕まえろ!
走って来た明日菜の頭上を越えて、ネギの魔法が千草にせまる。
だが、彼女はニヤリと哂っていた。
「ほれ」
「あっ……ま、曲がれ!!」
千草は木乃香を盾にしていたのだ。捕縛の呪文故に攻撃能力は無いが、木乃香に当てると衝撃で目を覚ましてしまうかもしれない。そんな事が頭をよぎって、前回の茶々丸戦の時の様に。ネギは矢の方向を変えた。
千草は戦いながら、ずっと見ていた。だからこそ分かったのだろう。この西洋魔法使い陣営が攻撃魔法を絶対に木乃香には向けない程のお人よし集団であると。
「ほ~んと、甘ちゃん集団や。人質が多少怪我するぐらい、大義の前には些細なことやていうんになぁ。いやぁ、この娘はホントに役に立つわぁ! ホーホホホホ!!」
高笑いを上げる彼女に苛立ちが全員を襲うが、この場で下手に動けば彼女は人質を「有効活用」してくる可能性が高い。刹那でさえ、その事実に歯痒い思いをしながらその場に立ち尽くしていた。
「この、卑怯者め…!」
「そうよ、このかを放しなさい!」
「なにが卑怯やて? まぁ、あんた等子供には分からんほどにこれには価値があるんやで。…せやな、あんた等がそこでまごついとる内に、薬や呪符でもつこて口がきけんよーにして、操り人形として使うのもえぇかもしれへんなぁ♡ お仲間とは、感動の敵としての再会―――」
その言葉を聞いた途端、その場の全員がキレた。
顔を合わせずとも、三人は動きを合わせて行動を始める。自分の語りで悦に入っている千草に気付かれないまま、ネギの魔法が唱えられた。
「
ネギの手に従って杖が下からえぐりあげるような動作をし、その軌跡を追うように魔法が千草に直撃。彼女は木乃香を手放し、衣服を含めた呪符の数々をも風でズタズタに切り裂かれてしまった。
そして空に浮かされた彼女が身動きをとれない中、明日菜のハリセンによる追撃が決まり、首が下に下がる。そうして千草が一瞬の気絶状態から立ち直った瞬間、眼前に映し出されたのは、長大な刃を振りかぶる刹那の姿。
「お嬢様を愚弄した罪、腕の一つは覚悟しろ」
「ひっ―――」
気を纏い、本来ならば大型の鬼や化け物に向けられるべき大技を抜き放つ。
その名は―――
「秘剣、百花繚乱!!」
刀に纏わせた気で相手を吹き飛ばす奥義。だが、この際に置いては斬空閃と同じく斬撃の特性を併せ持っていた。符術による防御も何もない、ただの人間がこれを受けてしまえば……その結果は、この時をもって証明された。
「ぎ、ぁ―――」
その腹から臓腑を撒き散らす一歩直前まで、千草の腹は掻っ捌かれていた。
数秒と立たずに足元に血だまりを作ったその威力に、まさかここまでやるとは思っていなかったのか、ネギや明日菜は茫然とその光景を見つめることになる。
そして、二人は口を手に当てた。吐かないようにするために。
「………」
だが、刹那は刃物を振るったのだから傷つくのは当然だと、刀を振って血糊を払う。
そして冷たい瞳で見降ろした後に、木乃香がいる場所に向かって歩こうとした瞬間だった。
地面が、ゆらいだのは。
「「「なっ」」」
沈むように、千草の血液ごとその場から彼女の姿が消えていく。ならばと刹那が月詠を吹き飛ばした方向に視線を移せば、月詠の姿もまた、忽然と消えていたのだ。
そして、全員が息も絶え絶えにずぶずぶと沈んで行く千草を目の前にして、この場で捉えると言う行動を取る事が出来なかった。ずっと実力が上の物からプレッシャーを放たれた時の様に、足がすくんで動く事が出来なかったからである。
ようやくプレッシャーから解放された時には、敵の姿は何一つ残っていなかった。
「そうだ、このかさん!」
「っ、お嬢様っ」
ネギも先ほどの血について言及しようと思ったが、今はなによりも木乃香が無事かどうか確認しなければならない。先ほど千草が言った通り、逃げている間に呪符や薬で意識を奪われている可能性があるからだ。
近寄った刹那が彼女の肩を揺らすと、ゆっくりと瞳を開ける。
「……ん、せっちゃん…………」
「よかった…! お嬢様……」
目立った外傷も見当たらず、あどけた表情には精神汚染の心配もなさそうだ。その事を確認した刹那は、目に涙をためて木乃香を抱きしめた。
「……よかった、嫌われた訳やなかったんやねー…………」
「そりゃそうやよ、私だって、ずっとこのちゃんと……あ」
己の口調がまるで変わっている事に気付くと、ナノマシンの抑制効果ですぐさま自分の表情を硬い物に変える。
そうして仮面をかぶると、非礼を詫びながら離れてしまうのだった。彼女とて、どうにも木乃香を前にするとこうした照れ隠しと身分の狭間に揺れた態度を取ってしまう。そんなジレンマが、嫌だった。
「おーい、桜咲さん! 明日は一緒にまわろうね~!!」
「……っ」
顔を赤らめ、一礼。
長い夜は、ようやく終わりを告げる。
「……冷や冷やしたぜ。まったく、寝かせないつもりかアイツら」
その様子を録画し、繰り返し再生していた千雨は、刹那、ネギ、明日菜、千草、月詠……その場にいた
時間は既に、同じ部屋のクラスメイトが寝静まるほどの深夜。彼女は宿の窓を開け放つと、その向こう側を機械を嵌めこんだ左目で見据えていた。その目が映す空中には、ある一点に集中して行く数パーセント程度の魔力の流れがある。
フォックスの情報と照らし合わせるなら、これこそ敵が狙っている「リョウメンスクナ」の封印なのだろう。
「……バカでかい怪物か。……RAY、オマエの出番も来るかもしれねーな」
『≪こちら閃光。こっちとしては手の内を晒す事になるからご遠慮願いたいけど……まぁ、仕方ないわね≫』
「コールサイン確認。…で、今はどこにいるんだ?」
≪今はどこにいるんだ?≫
搭乗者からの銃身を確認。現在位置についての割り出しをスタート。
周囲のネットワークエリアへの接続……WEPコード認証完了、地名を表示します。
「≪三重県よ≫」
≪そっか、後少しだな≫
「≪そうね、……チサメはもう寝ていなさい。いざという時に動けなかったら笑い話にもんならないわ≫」
≪アッハッハ、そりゃそうだ。
回線切断を確認。
ステルス機能をチェックしますか? ……スキャニング完了、エネルギー残量問題無し。
隠密モードに以降。これより広範囲のハッキングを行います。ネットワーク掌握完了、予測光景込み偽装データ送信完了。これにて肉眼のみが真理となりました。
引き続き、巡航開始。目標地点への到達まで残り―――
「≪過激派、ね≫」
憂鬱に、感情の籠った声が響く。
カリスマに溢れながらも、やはりどこか空虚な感覚が溢れた声は、それでも前を向き続けた。
「≪やるしかないのなら≫」
武装チェックを始めますか? ……
魔力データ、再スキャン開始……完了。インストール終了。
今回は全編最長の18000字でした。
とりあえず一日目はほとんど原作通り。
まぁ、少しばかり変更点はありますが。