萌え声クソザコ装者の話【and after】   作:青川トーン

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砂上の真実

 強い日差し、潮の匂い、白い砂浜、青い海。

 

 今、私達は筑波の政府所有地に来ている。

 

 目的は当然「特訓」……ではなく「レクリエーション」である。

 

 

 ……ええ、分かっていましたよ、まだ体が万全ではない私が呼ばれた事に加えて、「水着」の用意、そしてエルフナインちゃんの参加、つまりは「息抜き」の為の行事である。

 

 当然ながら、日焼け止めにパーカー水着、パラソルの準備も万端、ついでに言えば私は特に日光に弱いのでサングラスも持参。

 重い荷物にさらに「スイカ」も加えられる事となり当初、車で迎えに来てくれたマリアさんに「貴女ウキウキすぎよ」と言われた。

 

 

 ………とはいえマリアさんもサングラスかけてるし、復活した「アガートラーム」の力を使いこなしたいと張り切っているので、ウキウキしすぎなのはお互い様である。

 

 

 で、実際に着いてからなんですが。

 

 これは……暑い。

 

「大丈夫か詩織?」

「あんまり」

「やはり体調が万全では……」

「いえ、夏の日差しの下に出る機会がこれまで全くといってなかったので……」

「もっと外に出た方がいい」

 

 拝啓 視聴者様、萌え声クソザコ装者と名付けられた生き物は、早くもパラソルの下でくたばっていて翼さんに心配されている始末です。

 仕方ないでしょう、私はガチガチのインドア派、夏はクーラー、冬は暖房、適温と適度な湿度の中でしか快適に生きられない生き物なんですよ。

 

 というかそれよりも翼さんの肉体美が半端無いです、マリアさんの恵まれた体形もいいですがやっぱり翼さんの鍛えられた剣の様なスリムな体がとても美しいと思います、ええ……本当に美しい。

 

「というか、私はまだ足のヒビがあるので一部しか参加できないので翼さんはしっかり楽しんできてくださいよ」

「楽しむって、これは特訓」

「特訓なワケないですよ、レクリエーション……息抜きです。最近ずっと皆気を張りっぱなしだったから司令が気を利かせてくれたんですよ」

「そ……そうだな!」

 さっき小日向さんとクリスさんが翼さんだけ気迫が違うみたいな事をこっそり耳打ちしてくれたおかげで気付きましたが、翼さんはガチで特訓だと思って来てたらしいです、指摘したら少し恥ずかしそうにしてて……これは……尊死……しますね、やっぱり翼さんの恥じらい顔もいいと思います、ええ。

 

 ただ、でも事前連絡では一応キチンと特訓もやると言ってたので、その時は私も覚悟を決めねばなりません。

 というか特訓本当にキツいですよねぇ、特に体力の無い私は司令が付けてくれた特訓メニュー大体ノルマこなせてませんし。

 緒川さんが稽古付けてくれたりする時は少し遠慮というか、手加減してくれるのでそっちの方がいいですが生憎今日の緒川さんはお仕事で研究所の方に行ってるんですよねぇ。

 

 パラソルの下、ビーチチェアに背を預け、クーラーボックスからコーラを取り出す。

 

 そういえば……皆、お昼ご飯とかどうするつもりなんだろう……確かこの辺りって政府の所有する土地だから海の家だとか売店なんかもありませんし………。

 

 ………。

 

 マズイですね、これは多分買出しのジャンケンだとかに巻き込まれるパターンです……覚悟しておきましょう。

 

 

 

 はぁ……。

 

 

 平和です、穏やかです。

 

 こうやってパラソルの日陰から元気に遊ぶ皆さんを見ていると本当に平和って感じがします。

 これが、私達が欲しかったもの。

 

 本当に。

 

 

「あて」

「ごめんなさいデェェス!!」

 

 ぼーっとしてたせいで飛んできたビーチバレーのボールが顔面に直撃しましたが、まぁよしとしましょう、今のは回避できなかった私が悪い。

 

 とりあえず、向こうにサーブで打ち返すとしまsy……

 

 落とした………。

 

「詩織ィ!なぁにやってんだぁ!」

「うるさいですね!クリスさん!もう一回です!」

 

 意識を集中させ、もう一度上へと投げ、下から打ち上げるようn……

 

 失敗した……。

 

「詩織ぃ……」

 

 かわいそうなものを見る目でクリスさんから見られてますね、これ。

 

「ええい!哀れむな!私を哀れむなァッ!!」

 

 仕方ないので普通に投げた。

 

 

 運動に関してはゴミですからね、私。

 イキれません。

 

 

 と、私の方も準備を始めるとしましょうか――。

 

 ビニールシート、スイカ、棒、目隠し用のアイマスク。

 

 やる事はただ一つ、スイカ割りだ、予備のスイカは3つ、滅茶苦茶重かったけれど楽しみだったんですよねぇ。

 

 

「皆さーん、ちょっとこちらへー」

「おお!詩織さん!それはまさか!

「まさかのスイカ割りデス!?」

 

「やけに荷物が多いと思ったら、三つもスイカを持ってきてたの!?」

 マリアさんに呆れられましたが、とりあえず概ね好評そうなので、この辺りで発表しておきましょう。

 

「このスイカ割りのルールは少し変わってましてね、15メートル先から「目を回して」貰ってからのスタートなんですが、それに追加して、方向を指示する人はくじ引きで選ばれた方にやって貰います」

 

 こういうのは皆でワイワイ指示を出すのもいいですけど、あえて一人だけにした理由、それは。

 

「で、もう一人、今度はウソの指示を出す人をくじで決めます。ウソか真実か、どっちを信ずるかは貴女次第!という事です」

 

 つまりは一人が指示を出し、もう一人がウソの指示を出す、目隠しされた人はどっちを信じるか選ばなければならない。

 

「ちなみにですね、やる順番はエルフナインちゃん、切歌ちゃん、調ちゃん、立花さんに小日向さん……まあつまりは誕生日順で、私は最後です」

 

「ボクもやるんですか!?」

「せっかくなんで楽しんでください」

 

「たのしみデス!」

 

 ……実はこのルール、ネットで見つけたモノなのですが結構奥が深いらしいです、互いに信じあってる仲である程「ウソ」をついてもバレるだとか、信じて騙されるだとか。

 ………いや性格悪いと自分でも思いますけど、これくらいやらないと装者の感覚じゃきっと一瞬でスイカ割られちゃいますからね。

 

 そしてエルフナインちゃんには目隠しをしてもらい、スイカから離れてもらう。

 

「まあ最初は年長者と企画者でやり方を見せるという感じで」

「……少し気が引けるわ」

「あ、ちなみにきちんとウソの人が騙し通せずスイカを割られた場合、罰ゲームがあるので……」

 こうして釘を刺しておかないと、つい情に負けて手を抜いてしまうのでね……って私本当に性格悪いですね!いやこのルール作った人の性格が悪いのですか!

 

「偽りを……貫き通せ!」

 

 

 あっ、マリアさんが覚悟を決めましたね、Are you ready?

 

 

 …………。

 第一回は練習もかねて私が真実の指示で、マリアさんがウソの指示、ですが後少しの所でエルフナインちゃんが転んでダメでした。

 

 第二回の結果は調ちゃんのウソとクリスさんの真実、結果は切歌ちゃんが海にドボンしたので調ちゃんの勝利。

 

 第三回は調ちゃんが打者で立花さんがウソ指示でマリアさんが真実指示、これはなんというか結果が分かりきっていたというか……立花さんのウソがヘタクソな上にマリアさんの「うろたえないで!」で完璧に勝負が決まりました、スイカが一個破壊され、立花さんの罰ゲームが決定しました。

 

 第四回は立花さん、切歌ちゃんの真実指示と翼さんのウソ指示……これも翼さんがウソをつけなくてダメでしたけど、立花さんの渾身の振り下ろしがハズれたのでセーフでした。

 

 第五回は小日向さん、エルフナインちゃんの真実とクリスさんのウソ、これはなかなかいい勝負でした、途中「ボクを信じてください」「アタシを信じろ」と煽り合いが発生して中々見ごたえ抜群でした、スイカこそ破壊できませんがいい所まで行きました。

 

 第六回はクリスさん、翼さんの真実とマリアさんのウソ、またもや言葉での戦いが発生し、騙されたクリスさんが浮き輪を叩いたのでマリアさんの勝利でした。

 

 第七回は翼さん……エルフナインちゃんが真実、私がウソ……。

 

「詩織」

「なんですか」

「信じてる」

 

 あああああ!!!

 やめてくださいよ!そういう情に訴えかけるヤツ!

 

 

 

 

 ……結果、割られて私も罰ゲームが確定しました。

 

 第八回はマリアさん、切歌ちゃんが真実で、私がまたウソです、ええ……容赦なく騙してボールを叩かせてあげましたよ。

 

 

 最終的に二周目のクリスさんでスイカが全部破壊されゲーム終了。

 

 

 罰ゲームが私、立花さん、翼さんの3人に決まりました。

 

 意外とクリスさんとマリアさんがこういう所で強いとは思いませんでした…。

 ですがとても楽しかった、それはそれとして用意してきた罰ゲームのジンギスカンキャラメルは最悪の味でした。

 

「うげぇーなんてもの用意するんですか詩織さん!」

「詩織、こんなものを……」

「皆さんが食べて驚くのを見たかっただけなのに……」

 

 

 まだ今日のお楽しみはこれからです。

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