戦術人形は電気イタチの夢を見るか   作:缶コーヒー

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 フルオート対物ライフルとか恐ロシア、な話。
 彼女ほど分類詐欺という言葉が似合う戦術人形も居ないと思います。
 AR? 自分で機関銃言うとるやんけ。

 時系列的には某事件の後で、某小隊の某ARさんも可哀想な事になっているはずですが、この作品では別の結末を迎えていたり、そのせいで今後ゲーム本編と相違点が出てきたりする可能性があるような無いような?
 またシリアス書きたい病を発症したら書くかも知れません。書かないかも知れません。



M99と6P62の見解の相違

 その戦術人形は、とても緊張しているようだった。

 ひどく小柄な……人間ならローティーンほどの身長しかない体をかすかに震わせ、深呼吸している。

 星柄の赤いスカートと、ノースリーブの白いシャツに、ウサギを模したリュックサック。短めに切り揃えられた黒髪を、大きなリボンで飾っていた。

 眼前には大きなスライドドアがあり、彼女が向かうべき部屋、執務室へと続く。

 一般職員である普通の自律人形に案内してもらい、その背中に感謝の言葉をかけて数分。もう到着している事を“彼”は知っているはずだし、これ以上時間をかけても緊張は治まりそうもない。

 意を決した彼女は、ちょっと背伸びをしてドア脇のパネルにタッチした。

 

 

「し、失礼致します、指揮官! ご挨拶に伺いました!」

 

 

 トチらないよう、できるだけハッキリ、簡潔に用件を告げると、パネルのスピーカーから「どうぞ」と女性の声が聞こえてくる。おそらく秘書か副官を務めている誰かだろう。

 同時に、パネルはロックが外された事を示す緑色に変化。

 良い勢いを殺さぬよう、本人としてはズンズンと、傍から見ればチョコチョコと脚を進めれば、部屋の奥に大きな執務机と、グリフィンの赤い制服を着る青年──この基地の指揮官が、静かに待っていた。

 視線が重なると、どこか嬉しそうに、小さく微笑んでくれる。

 その笑みに気が楽になったか、彼女は彼の前に進み出て、右手を上げて敬礼した。

 

 

「敬礼! 戦術人形M99、本日12:00をもって、当基地に着任致します!

 御指導御鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げまするっ! ……あ゛っ」

 

 

 噛んだ。

 前日から何百回とイメージトレーニングして、絶対に失敗しないよう気をつけていたのに、最後の最後で。

 それを聞いた指揮官は、一瞬ポカンとしてから小さく吹き出した。

 もう恥ずかしくて恥ずかしくて、目に涙が浮かんでしまうM99である。

 そんな彼女をフォローするためか、彼は優しく笑いかけながら挨拶を返す。

 

 

「そう緊張しないでくれ。久しぶりだな、M99。正しい礼儀作法はどこでも重要だが、この基地ではもう少し気を楽にしてくれて構わない。これからよろしく頼む」

 

「は、はい。ありがとうございます。……良かったです、配属先の指揮官様が、見知った方で」

 

「あら、二人とも知り合いだったの? アタシだけ除け者なんてヒドいじゃない?」

 

「そんなつもりはない。以前、ある作戦を共に遂行したんだ。前に話しただろう、ほら、あの……」

 

 

 今更ながら、M99は指揮官の隣に立つ女性──戦術人形に気付いた。

 ポニーテールに結った艶やかな赤毛。一般的にセーラー服として認知される学生服に身を包み、頭にも揃えのセーラー帽が乗っている。

 少し野暮ったくも感じられる黒縁のメガネが、むしろ効果的に知的な印象を引き出していた。

 一体どんな人なんだろう。M99が不思議に思っていると、指揮官は先んじてその答えを語る。

 

 

「ああ、紹介が遅れたな。彼女は6P62。うちでは持ち回りで戦術人形に副官業務を頼んでいるんだが、今日は彼女の担当なんだ」

 

「なるほどぉ。という事は、先輩なんですね。お仕事のこと、色々と教えて下さい!」

 

「ええ、もちろんよ。貴方は素直でいい子ねぇ~。先輩として頑張らなくっちゃ!」

 

 

 ぺこり。ちょっと深めに頭を下げるM99へと、6P62が拳を握りながら微笑む。

 可愛らしい後輩という存在が、純粋に嬉しいのだろう。

 それか、“貴方は”という部分を鑑みるに、可愛らしくない後輩に悩まされているのかも知れない。

 地雷を踏みそうなので、詳しくは聞かないでおこうと思うM99だった。

 

 

「それで、あの、今日わたし、仕事ありますか? お役に立てるか分かりませんが、精一杯頑張りますっ!」

 

「ありがとう。早速だが、ここに配属された戦術人形には、最初にやってもらう重要な任務がある」

 

「じゅ、重要な任務、ですか……っ」

 

 

 気を取り直し、さっそく仕事への意気込みを見せるM99。

 すると指揮官も真剣な表情を浮かべ、重々しく口を開いた。

 重要な任務。

 しかし、続けられた言葉は、意外にも口調に似つかわしくない内容だった。

 

 

「それは……挨拶回りだ」

 

「……はぇ? 挨拶回り?」

 

「うん。たかが挨拶回りかと思うだろうが、仲間をデータだけで知るんじゃなく、実際に顔合わせる事は大切だ。今後の作戦に必ず活きる」

 

「なるほど……」

 

 

 最初は「挨拶?」と驚いたものの、考えてみれば納得だった。

 様々な戦術人形が属するこの基地では、任務に応じて編成を最適化し、即席のチームアップをする事も多くなるはず。

 そんな時、単なる情報を元に連携を試みるのと、実際に対面して、言葉を交わした相手と連携を試みるのは、色んな意味で差が出てくるだろう。

 擬似感情モジュールを持つからこそ、こういった細かな気配りが大切なのだ、と指揮官は言いたいのだ。

 が、そんな彼は、不意に申し訳なさそうな表情を浮かべて。

 

 

「という訳で、これから6P62に基地を案内してもらうといい。本当はついて行きたいんだが、外せない用件があってな。すまない」

 

「そ、そんな、謝らないで下さい! お気持ちだけで嬉しいですから!」

 

「ホント、生真面目よねぇ。ま、そうじゃなきゃ、みんなからこんなに信頼されるはずもないけどね」

 

 

 頭を下げる指揮官に、M99は大慌てしてしまう。

 人形は人間の役に立つための存在。付き従うのが当たり前で、命令には絶対服従。

 以前の任務で彼の人となりは知っていたけれど、こんな風に丁重に扱われるのには、まだ慣れない。

 一方で6P62は、どこか楽しげに苦笑いをしている。これこそが、この基地での日常だと言わんばかりに。

 

 

(いつか、わたしも6P62さんみたいに、当たり前のように指揮官の優しさを受け取る日が来るのかな)

 

 

 6P62に連れられ、執務室を後にしながら、M99がふとそう考える。

 比較的幼い外見が幸いしてか、M99は他の人形や人間から辛く当たられた経験は少ない。

 だからと言って酷い扱いをされたい訳でなく、優しくされるのが嫌な訳もないけれど。

 優しさに慣れるというのは、随分と贅沢で、寂しい事なのでは?

 なんとなく、そう思ってしまうのだ。

 

 

「さて、と。どこか行きたい所とかある? 一通り回るつもりだけど、気になってる所とか」

 

「そうですね……。あ、食堂とか気になります。あと、訓練施設とか、装備品の格納庫の場所とか、あとは……」

 

「ふむふむ。じゃあ、最初に食堂へ行って、それから順繰りに、効率良く回りましょう。時は金なり! 何事も手早く終わらせれば、それだけ節約に繋がるわ! 時は金なりってね」

 

「節約、ですか?」

 

「そ、節約。アタシの使う銃弾、けっこう費用がかさんじゃうから。思う存分戦場で活躍するには、日頃から節約しなきゃダメなのよ」

 

「はぁ~。6P62さんは倹約家さんなんですね~」

 

 

 何はともあれ、M99と6P62の基地巡りは始まった。

 他愛のない世間話を交えつつ、二人は廊下を歩いて行く。

 すると、意外な所で共通点がある事が判明する。

 

 

「でも、その気持ち、少しだけ分かる気がします。わたしの使う銃はRFなんですけど、他の方と違って口径が大きいので、その分、値段が……」

 

「あら、そうなの? お互い大変ねぇー。ちなみにどんな口径の銃弾?」

 

「12.7x108mm弾です」

 

「え? アタシと同じじゃない!」

 

「え、そうなんですか? すみません、不勉強で。全然知りませんでした」

 

「あはは。謝らないで、アタシも知らなかった訳だし、お相子。ね?」

 

「……はいっ」

 

 

 先程までよりも、幾分親密さが増したような。屈託のない笑顔で二人は笑い合った。

 何か一つ共通点があるというだけで、間にあった遠慮が少し取り払われてしまう。

 感情というものは、諍いの原因になって面倒臭い他にも、こんな側面があるから侮れない。

 擬似感情モジュールの開発者は、これを見越していたのだろうか。

 ついつい物事を真面目に考え過ぎてしまうM99だったが、今は新しく知り合った同僚への興味が勝り、ついでとばかりに質問をぶつけてみる。

 

 

「そういえば、6P62さんはどんな銃を使うんです? 大口径の弾薬を発射するんですから、やっぱりRFとかMGとか。あ、大穴でHGという事も?」

 

「分類的にはAR、バトルライフルらしいわよ」

 

「え」

 

「え?」

 

 

 ……ところが、その質問がマズかった。

 想定外の返事だったのだ。

 あんなに威力の高い銃弾を発射するARがあるだなんて、全く予想もしていなかったのだ。

 M99は頬を若干引きつらせ、6P62に再び問う。

 

 

「あの、か、確認させて欲しいんですけど、使ってる弾薬、12.7x108mm弾ですよね……?」

 

「さっきそう言ったじゃない。あの弾って、固定目標とか動きの遅い相手に向けて全弾ブッパして、蜂の巣にする為に使う物でしょ?」

 

「何それ怖い」

 

 

 あっけらかんと言う6P62に、戦慄を覚えるM99。

 狙う対象は決して間違っていない。むしろ理想的な目標だ。

 が、全弾ブッパという部分には決して同意できない。

 自分がそんな事をしたらまず当たらないし、居場所がバレてカウンタースナイプされるか、迫撃砲の砲弾が降ってくる。

 そもそも、本体に衝撃吸収機構が搭載されているM99(銃の方)ですら、一発撃っただけで凄まじい反動が来るのに、連射とか意味不明である。

 

 

「は、反動とかどうするんですか!? あんなのを連射したら肩が壊れるんじゃ……」

 

「そこはほら、専用の衝撃吸収装置を使ってるの。服もそれに対応したスーツを着るわ。そうすれば普通に撃てるわよ? もちろん火力は段違いだし!」

 

(そうまでしないとまともに撃てない、の間違いでは……?)

 

 

 思わず口をつきそうになったツッコミを必死に飲み下し、M99は「そうですねあはははは」と愛想笑いするしかなかった。

 自分の使っている、半身とも言うべき銃にダメ出しされたら、誰だって不愉快に思うだろうし、何より微妙に怖かった。

 あっけらかんとしている6P62が……ではなくて、そんな銃を平然と生み出してしまった人間、ひいては某国がである。

 まぁ、M99(これも銃の方)を生み出した国も色んな意味でアレな部分はあるのだが、ひとまず彼女の精神衛生面の為に置いておこう。

 

 

「とにかく、同じ口径の仲間が出来たのは嬉しい誤算だわ。一緒に頑張っていきましょう? 色々と協力するから」

 

「は、はい……ありがとうございます……」

 

 

 内心の苦悩を知ってか知らずか、頼れる先輩感を出してニッコリ微笑む6P62。

 引きつった笑みで返しながらM99は思った。

 この先、上手くやっていけるのかな。

 ヘリアンさんから託された極秘任務、やり遂げられるのかな、と。

 彼女に輝かしい未来が待ち受けているかどうか、今はまだ、誰も知る由はない。

 




 隻狼ヤバい。かつてない程に難易度がヤバい。ルルアちゃんに癒しを求めないと辛いくらいヤバい。ルルアちゃんはルルアちゃんで可愛さMAXでヤバい。薄い本早よ。
 そしてヤバいゲームばっかで睡眠時間もヤバい。しかしそれが楽しいというね。末期っすわ。
 ちなみにDMC5は一週間くらいでDMDまでクリア出来ました。こっちは程良い難易度でした。トロコン絶対不可能だけども。HAHは除外して欲しかった……。

 えー、それはさて置き、いつの間にやら低体温症も終わり、妖精さんまで実装されましたが、楽しくドルフロ続けております。コンテンダーさんカッコ可愛い。
 第8戦役も勿論クリアしましたけど……M16姉さんの笑顔が綺麗過ぎて悲しくなりました。ネタバレ画像を踏まされたせいで“ああなる”のは知ってましたが、それでも辛い……。
 結局のところ、人形を人間扱いする方が異端なんだと、改めて突きつけられた感じです。だからこそ別の可能性が見たくなるんですが。妄想が昂ぶりますぜ!
 今回のお話は短めでしたので、次あたりで一〇〇式ちゃんにそろそろテコ入れしたいと思っております。気長にお待ち下さい。
 具体的に言うと隻狼クリアするかクリアするの諦めるまで。さ、まずゲンイチロー先生(巴)を倒さねば。
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