戦術人形は電気イタチの夢を見るか   作:缶コーヒー

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例えちょっとズレていたとしても、美少女が努力している姿は良いものです。
みんな大好きメイドさんARと、キューブ作戦において活躍したであろう某夜戦ARさんも登場します。


M4A1の間違った努力

「あ、指揮官様。丁度良かった。新しく配属された戦術人形さんをお連れしてますよ」

 

「カリーナか。おはよう、今日は遅刻しなかったんだな」

 

「むっ。それじゃあ毎日のように遅刻してるみたいじゃないですかっ。最近は三日に一回くらいですわ!」

 

「30%の遅刻率は普通に駄目だと思うんだが」

 

 

 早朝。その日の業務を確認しようと戦術司令室を訪れた指揮官に、先んじて入室していたカリーナが声を掛ける。

 いつもは指揮官が先に来ているか、ギリギリ同着になるか……といった具合いなので、待たれているというのは珍しかった。

 そこから始まる軽口も普段通りだけれど、新入隊員が待っているとの事だから程々にし、カリーナの促す方向へ向き直る。

 すると、確かに見覚えのない人影が立っていたが……。

 

 

「グーテンターク、ご主人様」

 

「……は?」

 

 

 思わず、指揮官は我が眼を疑う。

 恭しくこうべを垂れたのは、いわゆるメイドさんだった。

 白と紺を基調とし、袖は短く、膝上丈のスカートとヘッドドレス。赤いリボンが首元を彩っている。

 落ち着いた色合いの金髪から、三つ編みが一房、ふくらはぎ程度まで伸びていた。

 PMCの業務には不向きだと感じさせる、美しい戦術人形だった。

 ただ一つ。

 ギロリ、という擬音が聞こえてきそうな、鋭く細められる青い瞳を除いては。

 

 

「Gr G36と申します。今日からはご主人様の専属メイドとなり、ご奉仕致します。どうぞよしなに」

 

「あ、ああ。宜しく頼む」

 

 

 彼女──G36の声色は優しく丁寧で、本能的に傅かれる喜びを感じさせる。

 しかし、目付きは果てしなく厳しい。

 アテレコするならば、「貴様が我が主人だと? 片腹痛いぞ」(指揮官の想像です)的なセリフが似合うだろうか。端的に言えば、怖かった。

 それをどう勘違いしたのか、カリーナはニヤニヤしながら指揮官の脇腹をつつく。

 

 

「もう、指揮官様ったらぁ。生メイドさんが目の前に居るからって、挙動不審になり過ぎですよー?」

 

「違う! そうじゃなくて……」

 

 

 割と強めに否定する指揮官だったが、その間もG36の厳しい眼が向けられており、萎縮してしまう。

 基本、彼の部隊に配属される戦術人形は、民生用自律人形を戦闘用に調整したもので、害意を向けられる事はない。人形はあくまで人間に仕える存在なのだ。

 だというのに、この「おどれ何イチャついとんのじゃ」(指揮官の妄想です)的な目線。

 これは確かめておかねばと、指揮官は勇気を振り絞る。

 

 

「G36。何か、気を悪くさせたんだろうか。それとも、望んでいたのとは違う配属先だったとか……」

 

「はい……? あ、いいえ。違うんです」

 

 

 問われたG36は、「自分の胸に手ぇ当てて考えんかい」(指揮官の以下略)という風に眉を寄せ、ゆっくりと首を振る。

 次の瞬間にはもう、表情が柔和な物に変わっていた。

 

 

「私は、視力に少しばかり問題がありまして。

 部品交換をする程でもないのですが、どうしても眼を細めないと見え辛く……。

 無用な勘違いをさせてしまい、申し訳ありません」

 

「そ、そうだったのか。安心した」

 

 

 目付きさえ悪くなければ、完璧なメイドを体現する彼女だ。

 誤解が解けた事もあり、指揮官は晴れやかな表情で右手を差し出す。

 

 

「視力の話だが、戦闘に支障はないと考えていいんだな?」

 

「勿論ですわ。でなくちゃ、そもそも配属されたりしませんもの」

 

「はい。ご主人様の敵は、私が全て排除して御覧に入れます。汚物は消毒、です」

 

「ん……? まぁ、それなら安心か。改めて、宜しく頼むよ」

 

 

 右手で感じる柔らかい手の感触と、耳で聞く物騒なセリフのギャップに若干困惑しつつ、しっかりと握手が交わされる。

 後の「ご主人様勢」筆頭であるG36は、こうして部隊へと加わったのである。

 

 そして、彼等はまだ気付いていなかった。

 G36と指揮官のやり取りを、影から覗き見る存在があった事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 G36の参入から数日後。

 普段は使われる事の少ない、物置と化している予備宿舎へと足を運ぶ戦術人形が居た。

 小ぶりなアタッシェケースを提げた、M4A1である。

 

 

(誰も居ない……。誰にも見られてない、わよね)

 

 

 基地内でありながら、曲がり角などを確実にクリアリングして進む様は、まるで戦場にでも立っているようだった。

 目星をつけていた予備宿舎の前に来ると、尾行を警戒しつつ、隠れるように認証コードを入力。自動ドアをくぐる。

 シーツを被った未使用の家具の間をすり抜け、少し奥の開けた場所──壁際には姿見が立てかけられている──に辿り着いた彼女は、床へアタッシェケースを置いて、中身の確認を始める。

 

 

「か、買ってしまった。メイド服……」

 

 

 M4A1が取り出したのは、黒と白からなるメイド服であった。

 もちろん、食に関する風評被害が根深かった、西欧某国の作業着としてのメイド服ではなく、萌え文化発祥の地として色んな意味で名高い、東洋某国で魔改造された可愛い系のメイド服だ。

 スカート丈は膝下と長めだが、フリルは随所に満天で、クラシカルでありながら少女らしさをアピールするデザインである。

 一つ気になるのは、背中側がかなり大胆に開いているから、下手にブラジャーを着けられない仕様となっている事か。

 

 

「私に似合う、かな」

 

 

 メイド服一式を改め、M4A1は呟く。

 普段着……。開発元である16LABから支給された戦闘服以外では、初めて私費で購入した衣服である。

 生まれて初めてのお洒落着がメイド服という時点で少し……大分おかしいが、それを実行に移せてしまうのは、乙女心を正確にトレースした技術感情モジュールの為せる技か。

 

 

「な、何事も、やってみなくちゃ分からないわ。せっかく用意したんだし、き、着るだけでも……」

 

 

 やはり、慣れない事をするには勇気が必要らしく、メイド服を抱えて気合いを入れている。

 深呼吸を五回ほど。ついでに、意味もなく姿見の前をグルグルと行ったり来たりしてから、彼女はようやく服に手をかけた。

 衣擦れの音が予備宿舎に響くこと数分。

 着替え終えたM4A1が姿見の前に立つと、そこには見慣れぬ格好をした自分自身の姿が映っていた。

 

 

「なんだか、色んな部分が心許ないような気がする……」

 

 

 背中を向けて肩越しに鏡を見たり、スカートの端を摘んで持ち上げてみたり。

 どこか不安げな面持ちなのは、いつもの普段着がアラミド繊維で織り上げられているのに対し、このメイド服はごく普通の布地で作られており、一切の防御力を期待できないからであろう。

 こんな時でも判断基準は戦術人形らしい物だが、傍目から見れば初々しいコスプレ少女にしか見えず、その筋の人間なら大喜び間違いなしだった。

 加えてノーブラだと知れば鼻血物である。

 

 

「ええと確か……。古い資料によれば、メイドには定番のセリフがあるのよね」

 

 

 極め付けに、M4A1は懐からPDAを取り出し、とある情報を読み込む。

 数十年前に考案され、今なおその系譜は逞しく続いているという色モノ……もとい、趣味人喫茶の先駆け「メイドカフェ」の接客マニュアルだ。

 何故こんな物が現代に残っていて、しかもM4A1が入手可能だったのか。

 その答えは彼女の生みの親である研究者による所が大きいが、今回の主題ではないので語らないでおこう。

 何はともあれ、然るべきメイドの立ち振る舞いを実践するため、再び姿見の前へ。

 そして、躊躇うような沈黙を置き。

 

 

「ぉ、おお、お帰りなさいませ、ご主人様っ」

 

 

 ド定番な出迎えのセリフと共に、彼女は頬を引きつらせた。

 本人としては笑顔を浮かべたつもりだったのだろう。

 が、どう見ても強張っている。良くて苦笑いがせいぜいのレベルだ。

 流石のM4A1でもそれ位は理解できたのか、姿見からそっと眼を逸らす。

 

 

「私、何やってるんだろ……。こんな事したって、指揮官が喜んでくれるとは限らないのに」

 

 

 なんだか、急に虚しさが襲って来た。

 世の男性は着飾った女性を好む……という基本知識がM4A1にはあり、そこへG36という強敵(?)が現れた事で、こんな気の迷いを起こしてしまった訳だが、そもそも指揮官がメイド服を好きだという確証はない。

 あの朝、たまたま様子を覗き見してしまった時の印象は、なんだか鼻の下が伸びてるなぁ、と感じた程度である。

 慣れない服で可愛い子ぶるなんて向いてないし、任務で結果を出した方が彼の覚えも良いのでは?

 そう思ったM4A1は、「無駄遣いしちゃった」と反省しつつ、メイド服を脱ごうとする。

 ……のだが。

 

 

「ふふん。所詮、貴方の指揮官への想いは、その程度だったという事ですね」

 

「っ! 誰っ!?」

 

 

 不意に頭上から呼び掛けられ、予想外の方向に驚きながらも警戒態勢へ。

 見上げてみれば、宿舎の天井の一部がパカッと開き、一つの影が近くに降り立つ。

 

 

こんにちは(ドーヴルイ ディエン)、M4A1さん」

 

「……9A-91さん? その格好は……」

 

「ええ。メイド服です。指揮官に喜んでもらおうと思って、用意しました」

 

 

 流暢なロシア語での挨拶をしたのは、銀髪の戦術人形だった。

 名は9A-91。ロシア製のアサルトライフルを使う彼女だが、その出で立ちは普段と大きく違っていた。

 後ろで括っていたはずの長い髪をポニーテールにしている上、M4A1と同じくメイド服を着ているのだ。彼女も指揮官とG36のやり取りを見ていたのかも知れない。

 こちらも基本はG36と似ているが、色は白と赤茶色を基調とし、袖丈が長く、胸元が開いているのが特徴だった。

 よくもまぁそんな格好で天井裏を移動したものだと感心するけれど、M4A1にとって重要なのはそこではなく……。

 

 

「さっきの言葉、どういう意味ですか。私の指揮官への……ぉ、想いが、どうとか……」

 

 

 まるで、M4A1が彼を軽んじているというような、そんな口振りが許せなかった。

 許せないのは確かなのだが、そう言われて反論するのも、妙に恥ずかしい。

 そして、9A-91は容赦なくそれを指摘する。

 

 

「だからM4さんはダメなんです」

 

「えっ」

 

「照れてしまってキチンと言いたい事も言えないとか、ダメダメです。

 ましてや、メイドとしてのお出迎えすら言い淀んでいては、指揮官を喜ばせるなんて二の次ですよ?」

 

「うっ……。じ、じゃあ貴方は、照れずに言えるんですかっ」

 

「勿論です。見ていて下さい」

 

 

 M4A1と打って変わり、9A-91が自信満々で姿見の前に立つ。

 精神統一するような間を置いて、彼女は輝く笑顔を浮かべ、口を開く。

 

 

「お帰りなさいませ、ご主人様。お風呂の間も、お食事中も、ベッドの上でも、いつでも私をご堪能下さい」

 

「ちょっと!? 露骨に性的なアピール入ってますよね!?」

 

「当然です。それもメイドの嗜みだと、妙に薄い紙の本に書かれていましたから」

 

「それは参考資料として適切なんですか……?」

 

 

 お辞儀の角度も表情も完璧だったが、あまりに直接的な「私を食べて」アピールに、M4A1は突っ込まざるを得ない。

 おそらく、薄くて高くて成年指定な同じ趣味人向けの印刷物を情報源にしているのだろう。とても不健全である。

 まぁ、メイドカフェの接客マニュアルが健全かと問われれば、ちょっと首を傾げてしまうが。

 

 

「とにかく、私の方がメイドとしての実力はある、という事に間違いはありませんよね? 私の方が指揮官のメイドに相応しいんです」

 

「……そ、そんな事、ありません。私だって、ちゃんと言えますっ!」

 

「本当ですか? なら、実際にやってみて下さい」

 

「もも、勿論ですっ」

 

 

 売り言葉に買い言葉。いや、単に意地を張りたいだけか。

 9A-91のメイド力(ぢから)に対抗すべく、M4A1が自分を奮い立たせる。

 擬似感情モジュールが唸りを上げ、作り物の心臓が激しく鼓動するけれど、もはや引き返せない。

 何度も何度も、繰り返し深呼吸をした後、彼女は。

 

 

「ぉ、おっ、お帰りなさいませ、ご主人様! お風呂になさいますか? お食事になさいますか? それとも……ごっ、ご奉仕致しましょうかっ!?」

 

 

 やや前のめりに、こう叫んだ。

 目線は上目遣いで、しかも頬まで上気していて、9A-91とは違った意味で如何わしい。

 世の男性達は歓喜するであろうが。

 

 

「なるほど……。ただ私の真似をするだけでなく、自分なりに変えてきましたか。やりますね、M4さん」

 

「そ、それはどうも……」

 

 

 M4A1の発揮した新人的メイド力(ぢから)に、9A-91も潜在能力の高さを認めざるを得なかったようだ。

 本人は恥ずかしさに耐え切れず俯いているものの、それがまた初々しさを演出してしまっている。

 

 

「こうなったら、どちらがより指揮官の……いいえ、ご主人様の好きなメイドなのか、本人に判断してもらうしかありませんね」

 

「えぇっ!? な、なんでそうなるんですかっ?」

 

「だって、他に判定する人なんて居ませんし。

 今はちょうど休憩時間のはずですから、来てもらいましょう。

《……指揮官、緊急事態ですっ! 予備宿舎C-5eに来て下さい! 早くっ!!》」

 

「んなっ、ま、待って、駄目、こ、心の準備がっ」

 

「ダメですよM4さん。大人しくここで待って、ご主人様をお出迎えしましょう」

 

「ぃ、イヤですっ、離して、スカートを離してぇ!」

 

 

 9A-91の中では実力が拮抗しているようで、M4A1が止める間もなく、PDAの緊急回線で指揮官へと呼び掛けた。

 戦闘状態を示すようなレベルではないが、重要度の高い案件を報告する際にだけ使われる回線だ。

 つまり、よっぽどの事がない限り、指揮官は飛んで来る。きっと、彼の補佐をしているだろう、別の戦術人形を伴って。

 まだ指揮官にこの姿を、メイド服を見られる覚悟なんてM4A1にはなく、反射的に逃げ出そうとするも、ガッシとスカートを掴まれて逃げられない。

 そうこうしている内に、予備宿舎のドアの前が騒がしくなり……。

 

 

「どうしたっ、何があった9A-91──え?」

 

「お帰りなさいませ、ご主人様。お風呂も食事も睡眠も、ぜーんぶ私と一緒にしましょうね♪」

 

「違うんです、違うんです指揮官……。これには訳がぁ……」

 

 

 ドアを開けて入って来た指揮官は、二人を見て目を丸くした。

 出会い頭にメイド服な9A-91からヤバい台詞をぶつけられ、オマケに傍らにはもう一人、身を縮めて咽び泣くメイド服なM4A1が。誰だって混乱するだろう。

 彼はしばらく能面になって考え、沈黙が耳に痛くなった頃。

 おもむろに片手を上げ、爽やかな笑顔で立ち去る事にした。

 

 

「お邪魔しました──ぐぇ!?」

 

「いけませんよ、ご主人様。無視してお帰りになるなんて」

 

「ぢょ、離してくれ、G36……っ!」

 

 

 しかし回り込まれてしまった。というか、背後で控えていたG36に阻まれた。

 首根っこを戦闘出力で掴まれ、無理やり宿舎の中へ連れ込まれる。

 予想外の人物だったか、9A-91は訝しむ目を。

 

 

「……どうして、G36さんが?」

 

「ご主人様が血相を変えて走っていらしたので、ここはメイドである私がお助けせねばと思いまして。

 ですがまさか、お二人までメイドの道を行こうとなさっているとは……予想外でした」

 

(メイドの道って何? 冥土への道? 私のAIはとっくに昇天しそうですけども?)

 

 

 おっとりとした口調と厳しい眼差しという、両極端な仕草で呟くG36。

 何やら誤解しているようだが、もうM4A1のHPないしMPはゼロに近く、寒いダジャレを思いついてしまう程だ。

 が、そんな二人を他所に、9A-91は指揮官へのアピールを始める。

 

 

「どうですか? 指揮官がメイド服に興味があるみたいだったので、用意してみました。似合ってますか?」

 

「それは……えっと……ううむ……」

 

 

 クルリとその場で一回転。スカートを蠱惑的にはためかせる9A-91だったが、指揮官の顔は渋い。

 こういった反応は予測していなかったらしく、9A-91の表情が暗くなっていく。

 

 

「……もしかして、似合いません、か……?」

 

「いや、いやいや、そうじゃないんだ。そうじゃないんだけど、まずメイド服に特別な興味がある訳ではないし……」

 

「そう、なんですか? じゃあ、指揮官はいつもの服の方が?」

 

 

 慌てたように弁明する指揮官に、9A-91が問う。

 すると、彼は9A-91のメイド姿を少し観察してから答える。

 

 

「どっちかを選ぶとしたら、メイド服、かなぁ」

 

「……っ! 聞きましたかM4さん? やりました!」

 

「それじゃあ、やっぱり指揮官はメイドさんが……」

 

「いやいやいやいや待ってくれM4!

 だって普段の9A-91の格好は、その、アレが、こう……なってるだろう?

 こっちの方が見ていて安心というか、いや別の意味で不安ではあるけど、とにかく違うんだっ!!」

 

 

 今度はM4A1に対し、必死の形相で言い訳する指揮官。

 彼が言う普段の9A-91の格好だが、赤いベレー帽とマフラーに、水色のミニワンピースを合わせている。

 ここまでなら普通なのだけれど、何故かそのワンピースは体の前にファスナーがあり、彼女はそれを殆ど閉めない。

 ズバリ言うと、パンツが丸見えなのだった。

 露骨なアピールもここまで来れば見事なものだが、やられる側としては非常に対応に困るのだろう。

 そんな訳で、露出が減る分は一安心だけれど、戦術人形にメイド服を着せているなんて、他のグリフィン指揮官に知られたら顰蹙を買うかも知れないし、もうとにかく大変なのだ。

 羨まし過ぎる悩みである。

 

 

「今更だけど、M4もメイド服なんだな……。9A-91と同じ理由で?」

 

「え゛。ち、違……わないです、ごめんなさい……」

 

 

 上記の大変さから目を逸らしたかったのか、指揮官はM4A1に注目する。

 9A-91と一緒くたにされ、咄嗟に否定しようとしたものの、結局は変わらない事に気付き、彼女は項垂れる。

 さながら、ご主人様に叱られて落ち込む、新人メイドであった。

 そんな姿に思う所があったのだろう。沈黙を守っていたG36が、M4A1に助け舟らしきものを出す。

 

 

「ご主人様」

 

「ん、なんだ?」

 

「M4さんのメイド服姿、どう思われますか?」

 

「どうって……い、いつもと雰囲気が違って、新鮮かな」

 

「それだけですか?」

 

「……G36」

 

「言ってあげて下さい。それがご主人様の……殿方の務めです」

 

 

 無視する訳にもいかず、無難な返答でお茶を濁そうとした指揮官だったけれど、殿方の務めとまで言われては、誤魔化しようがない。

 逃げてはいけないのだと悟った指揮官は、照れ臭さを我慢しつつ、M4A1を見つめる。

 

 

「か、可愛いと、思う。メイド服に興味はないって言ったけど、訂正したくなる位に」

 

 

 どくん。

 M4A1の心臓が脈打つ。

 9A-91に意地を張った時とは違う、苦しさを伴う高鳴り。

 

 

(可愛い? 指揮官が私を、可愛いって……嘘……)

 

 

 しかし、その高鳴りは決して不快ではなく、どこか甘い痛みすらを感じさせる。

 自分が壊れてしまったのかとも思うM4A1だったが、それよりも、指揮官に可愛いと思ってもらえた事の方が信じられず、頬を押さえてしゃがみ込んでしまう。

 顔を赤らめるその姿は、まさしく花も恥じらう乙女であった。

 

 が、そうなると9A-91は面白くなく。

 

 

「むぅ……っ」

 

「痛っ、9A-91? なんで腕を抓るんだっ」

 

「私には可愛いって言ってくれませんでした」

 

「え? か、可愛いよ勿論っ、順序が逆になっただけで!」

 

「なんだか取って付けたみたいな言い方です……。やっぱり、私なんか……っ」

 

「痛い痛い、痛いって!」

 

 

 不貞腐れるだけでなく、涙目になっていく9A-91。

 もちろん抓るのは加減しているが、それでも痛みに指揮官が悲鳴を上げる。

 すると、またG36が助け舟を、今度は指揮官に向けて出した。

 

 

「そこまでです。これ以上の無理強いは目に余りますよ、9A-91さん」

 

「……ちっ。もう少しだったのに」

 

「ん? 舌打ちしなかったか今?」

 

「なんの事ですか指揮官。私、舌打ちなんてしません」

 

 

 涙目になっていた事など都合良く忘れ、9A-91は微笑む。

 少女らしからぬ強かさを目の当たりにし、人知れず戦々恐々とする指揮官だった。

 しかし、即席メイド娘達が主導権を握ったのはここまで。

 話が一段落したのを見計らい、G36が手を鳴らす。

 

 

「さて。ご主人様を想い、着慣れぬメイド服に袖を通したお二人に、私は感服致しました。

 ……が。まさか着るだけでメイドになれるとは、考えていらっしゃいませんよね?」

 

『えっ』

 

 

 たおやかな笑みから一転、ギロッと鋭い眼光を向けられ、即席メイド'sが怯む。

 

 

「しっかりとご主人様の御心を察し、お役に立てるようになるには、厳しい修練が必要です。

 そこで、僭越ながら私が、お二人をメイドとして指導させて頂こうかと。ご主人様、宜しいですか?」

 

「……そうだな。特に9A-91は、緊急回線を無駄に使った件を咎めなければならないし、念入りに頼む」

 

「え。あの、確かにいけない事ですけど、それは指揮官に……ご主人様に喜んで欲しくて……」

 

「無駄ですよ、9A-91さん。なんとなくこうなる予感はしてました。こうなったらメイドの道を極めましょう……!」

 

「乗り気になってる!?」

 

 

 既にメイド指導確定路線で話を進める指揮官達と、ささやかな抵抗をする9A-91。そして、褒められてその気になったらしいM4A1。

 混沌とした予備宿舎の中、ご主人様の許可を得たG36は、新人メイド達の前へ進み出て。

 

 

「さぁ、準備は宜しいですね。教育のお時間です」

 

 

 なんとも楽しそうに、鷹のような眼で笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれー? なんか疲れた顔してるね、M4。何かあったのー?」

 

「……メイドの道は、果てしなく長くて、険しい……がくっ」

「え? 一体何を言って……M4? しっかりしてM4!」

 

「はぁ……。やれやれだねぇ」




 G36さんは目が悪いらしいですけど、公式なんですかね? そういうのがあるなら準拠したいし、サントラ付き設定資料集を早よう。
 それはともかく戦果報告!
 作者(缶コーヒー)部隊、15日を待ち切れずキューブ作戦に特攻し、無事攻略してしまった模様!
 
 いやー面倒臭かった。E1-4とかファインダーの加護が無かったら絶対にクリア出来ないでしょアレ……。
 さんざん脅かされてましたが、戦力的には四拡部隊一つでも十分でしたね。限定泥目当ての周回は無理っす。後々の恒常化を待ちますわ。兵舎にも余裕がないし。
 まぁ、E1-2でZ-62ちゃんと6P62ちゃんが連続泥した時点で、運は使い果たしました。
 特に6P62ちゃんは日数が足りなくて貰えてなかったから、とても嬉しかったです。スキン引けたし。むっちむち。

 ……G11? 知らない子ですね。
 新しく来たのは秘密兵器ちゃんくらいっす。VALちゃんと9A-91ちゃんは五拡できる分を確保したんですけどね! ☆5なんて416ちゃん一人だよ! ピックアップってなんだっ!!
 いや、まだだ……。まだ契約は150枚あるし、資源もたんまり残ってるんだ……。
 そうさ。あと150回も回せば、ひ、一人くらいお迎え出来るはず……。ふひ、ふひひひ……。(白目)
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