DFL―フロントエンドオペレーション―   作:油そば大尉

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【警告】かなりグロテスクな表現があります。苦手な方はお気をつけください。


ジャ・クポ PHASE5

20641014T0323Z+0600(0923F)

"H"+0:08:01 of OPERATION-OCTOBER

Kyrgyztani Army Fergana Logistics Depot, Republic Kyrgyz

 

 その瞬間、ヘリアントスはMP5、グリズリー、スオミを連れて地下一階の捜索にあたっていた。地下にオペレートルームがあることは想定済みであり、狙撃があった段階でそこに移動するのは当然だ。だからこそ、そこを目指して敵兵を薙ぎ倒しながら進んでいたのだ。

 

『ヘリアン! 緊急離脱(Eバック)、脱出しろ! そこはフェイクだ! ヴェルディエフの野郎はそこにいない!』

 

 その無線ががなるように飛び込んだ直後、天井が()()()

 

「ヘリアン様!」

 

 とっさに飛び込んで来たMP5の全力タックルを喰らい、肋骨が軋む音を聞いた。そのまま壁まで吹き飛ばされる。首にかけていた指揮管制装置がどこかに飛んでゆく感覚がした。片耳に差していたイヤホンが痛みを残して消え失せる。

 

「――――っ!」

 

 視界が暗くなる。ヘリアントスはそれが実際に光がみえなくなったせいなのか、意識がブラックアウトしたせいなのかわからなかった。

 そのまま崩壊音が止まるまで待つ。こうなっては指揮もなにもない。防弾ジャケットは瓦礫も防いでくれるだろうかと余計な事を考える。その間にも崩壊の騒音は少しずつ遠のいていく。

 

「……、フュンフ。無事か?」

 

 作戦中にこの名前でMP5の事を呼ぶのはどうかと思ったが、とっさに口に出てしまった。自制が効いていないと思うと同時に、生きていることを自覚した。どうやらくたばらずに済んだ。

 

「は、ヘリァンさま」

「視界が戻らない。周囲の状況を口頭で報告」

「わたもグリズリーさんもじです。スオミさんは、もくしでかくにんが、できせんが、ぶじなようです。つうしんはりーどふゅふ」

 

 頭を打ったのか、視界に未だ紗が掛かる。MP5の銀髪が朧だ。通信感度明瞭(リード5)と言う彼女のどこかたどたどしい声に違和感を覚える。

 

「フュンフ……!?」

 

 視界のピントが合い始めた。ステンドガラスのような綺麗な青い瞳が光っている。

 

「……フュンフ! MP5!」

「だいじょうぶ、です。……うごなく、なっちゃいました。あは……ごめんなさい」

 

 義体の胸に太い鉄骨が深く刺さり、その位置で義体をほぼ両断していた。肺を模した発声器官を貫通したのだろう、MP5の声は安定しない。彼女のトレードマークである赤いベレー帽は衝撃でどこかに飛んでしまっているらしい。

 

「指揮官、動ける?」

 

 明瞭な声で言ったのはグリズリーだ。そうして差し出されたのは指揮管制装置(プロンプター)。どうやら通信機は生きているらしい。

 

「ああ……」

 

 受け取った管制装置を首に掛け、イヤホンを耳に差し込む。

 

「ホテルケベックよりバックオフィス。なにがあった」

『ご無事で何より』

 

 無線に出たのはアイクだ。無事か。この惨状が無事なのか。その怒りをぶつけるのはきっと誤りだ。

 

『結論から言うとヴェルディエフ中佐はタジクの工場にいるようです。フェルガナ基地の中佐は外部操作の人形で、そのコントロールラインの通信に介入したとたんにドカンと決まった。リト曰く、ハッシュ関数の値が合致しなくなった段階でオートメーションで起爆するように仕組んでいたらしい』

「なるほど……基地の味方ごと吹き飛ばすとは、気が狂っているな」

『狂い加減で言えば我が社もどっこいどっこいでしょう。今、OTs-12(ティス)たちが救援に向かってるんで、出られるところまで出てもらえますか』

「……わかった」

 

 通信が切れる。それが意味するのはこの基地からの撤退。そして、もう一つ。

 

「これ、ぬけな、です、ね」

 

 MP5の義体一式の破棄を意味する。電脳をシャットダウンし、コアの摘出、義体の初期化、爆破処理……それらをせねばならない。

 

 覚悟はしているし、そのための戦術人形であり、そのための指揮官だ。何のために戦闘請負人(コントラクタ)を人間から人形に切り替えたのだ。今日のこの日のため、この状況のためのはずだ。その覚悟と罪を背負うと決めてヘリアントスはここに立っている。

 

「……MP5、すまない」

 

 それでも、口から流れ出たのは謝罪だった。ここでお前を切り捨てる。それを口にすることはできなかった。

 

「ほめて、くださぃ。……それに、あたまは、まもりましたから。でんう、の、かいしゅうを……また、あえます、よ……?」

「あぁ、そうだな。よくやった。お前を護衛に選んでよかった」

 

 そう言って一度彼女の頬を撫でる。その頬は瓦礫が落とした粉でざらつく。彼女の目は瞬くこともなく、ヘリアンを見続ける。

 

「悪いけど、こっちはこっちでヤバそうだよ。どうやら兵隊アリはこの基地をグリフォン社が爆撃したと勘違いしてる。急ごう」

 

 グリズリーが弾倉を交換しながら言った。ストロングハンドリロードをしているところを見ると、どうやら左肩から先に機能障害が発生しているらしい。こちらもこちらで無傷とはいかない。

 

「基地で会おう、フュンフ」

「はぃ、きちで、おあいしましょう」

 

 彼女の首の後ろにあるメンテナンスハッチを開き、その裏の緊急シャットダウンスイッチを押す。すぐにMP5の瞳から光が消える。

 揮発性メモリの保存は電脳の中に仕込まれた非常電源(UPS)により強誘電体メモリ(FeRAM)にオートメーションで行われるはずだ。それを信じて、彼女の頭にすっぽり収まっていたチタニウム合金製の脳殻を取り出し、彼女の腰に提げさせていたエマージェンシーキットから取り出した布製のキャリングバッグに仕舞う。脊椎部から弾き出されたコアをヘリアントスはポケットにしまい込む。

 

「……借りるぞ」

 

 MP5自動小銃はまだ動く。ストックを伸張し。片手で持つ。

 

「……グリズリー」

「爆破処理の用意はできてる。スオミが背中を守る。……生きて帰るよ。ヘリアン」

「わかっている。こんなところで死ねないからな」

 

 一瞬だけ後ろを振り返り、瓦礫に半分埋もれたMP5の義体を見てからヘリアントスは走り出す。

 

「一緒に帰るぞ、フュンフ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20641014T0321Z+0500(0821E)

"H"+0:06:37 of OPERATION-OCTOBER

OCC: Operation Control Center, Roshtqal'a-Khidorjiv Plant of TaLMI: Tadzhik Light Metal Industry Co., Ltd.

 

 

 工場の稼働状況を監視する工程管制室(OCC)は灰色の薄い煙で霞が掛かっていた。

 

「……全員人間? なんだかお金をかけてるね」

 

 ブレン・テンがそんなことを言って中をクリアリングしていく。非致死性の無力化ガスで全員昏倒しているのを見て肩を竦める。

 

「でもおかげで撃たずに済みましたね。殺さずにすんだのもいいことです」

 

 MP40がそう言いながら正面のコンソールにとりついた。耳の裏からコードを引き出す。

 

「ナガン」

『なんじゃ』

 

 MP40はそのまま外部機器接続用のジャックにそのコードを接続する。

 

「私の電脳が防壁代わりになるかと思いますが、警戒してくださいね」

『そんなヘマはせん。安心しとれ……それに、ここには一度()()()ことがあるので、の』

 

 そんなことをナガンが言う。それを聞きながらブレン・テンを見るMP40。

 

「ナガンが私の電脳を経由してシステムをクラック。その間、私の義体は物理的機能を停止します。ブレン・テン」

「守るよー。弾薬尽きるまでに終わらせてよね」

『大丈夫じゃ、通常の電力系統を停止させて、濃縮機の位置を確認するだけじゃからな。セキュリティに潜るわけじゃないからの』

 

 ナガンの自信ありげな声を聞き、わずかに笑みを浮かべるMP40

 

「信頼しますよ、ジャックイン」

『ジャックイン』

 

 電子的な介入が始まった。一瞬、部屋の液晶が明るく光り――――全施設の電源が落ちる。

 ブレン・テンがわずかに笑みを浮かべた。

 

「これで本当に真っ暗だよ……どうなるかな」

『主工場の地下に熱源反応を確認。電圧の変動確認じゃ……地下じゃな』

「そこまではいいんだけどねー」

 

 ブレン・テンは警備員の足音を聞きながらドアの入り口から外をのぞき見る。

 

『ルートを確認した。ソータ』

『M1911、データを転送します。バックドアに警戒』

 

 春嶺の指示が届く。地下までのルートが繋がったらしい。あっという間に仕事おわったなとブレンテンが安堵したタイミング。

 

『電子錠のロックを解除した。A1、飛び込め!』

「ちょちょちょ! セキュリティには潜らないんじゃなかったの!?」

 

 ナガンの予想外の声が飛び込んで慌てるブレン・テン。その耳の横に小銃弾が突き刺さった。一発撃ったら薬莢排出不良(ストーブパイプ)が発生したため、左手のサブに持ち替えつつ反撃。拳銃用の小口径しか飛んでこないと向こうも気がついたのか、一気に弾幕が厚くなっていく。

 

『これで秘密通路を一直線じゃ。A2撤退。もしヴェルディエフ中佐らしき人物を見たら報告』

「え? ヴェルディエフ中佐はフェルガナでしょ?」

『どうやらこっちにいるらしい。気を抜くなよ、管理棟にいる可能性が一番大きいんじゃ』

「了解」

 

 MP40が動き出す。ナガンの支援は終了したらしい。一気に廊下に飛びだしたMP40が小銃を横に薙ぐ。

 

「こんなところで倒れるなど、PPSh-41(ペーペーシャ)に聞かれたら笑われますからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20641014T0322Z+0500(0822E)

"H"+0:07:19 of OPERATION-OCTOBER

Main Plant Front Square, Roshtqal'a-Khidorjiv Plant of TaLMI: Tadzhik Light Metal Industry Co., Ltd.

 

 

 PPSh-41が走る。そのすぐ足下に25ミリ口径の弾丸が突き刺さる。その破片で外装が破れる感覚を気にしながら柱の陰に飛び込んだ。ピロティ構造になっている分、この柱に強度があることを信じる。

 

「総弾数が多すぎますね。これじゃ手も足も出せない」

 

 鉄筋コンクリート造の柱が半分以上抉れて砲撃が止まる。背中に背負っている背嚢型メカボックスからベルトで給弾しているらしい。サポートにS07基地S.O.のマハマに入ってもらい、クルグス製パワードスーツ『ザバーニャ』のデータを送って貰ったが、装弾数6,000発は何の冗談だと思いたくもなる。

 それに対してPPSh-41の換え弾倉は残り一つ、強装填弾を35発詰め込んだ箱型弾倉のみ。これでも装甲相手では傷一つ付かない。破片手榴弾はまだ三発ほどあるが、戦闘用パワードスーツに勝てるはずもない。

 人の乗っている中央部分は装甲が厚すぎて手が出せない。ザバーニャは操縦者の動きを再現することで動いている以上、そこは可動部も多く、構造上の弱点はあるはず。実際にずんぐりした胴体から不格好に人間の腕と足が装甲に包まれて飛びだしている。そこを撃ってはみたものの、装甲が固すぎてどうにもできない。

 

 ジリ貧、という言葉が浮かぶが、勝たなくてもいいのだと自分に言い聞かせながら必死に頭を動かす。3分保たせろという命令は死守しなければならない。

 

 操縦者への攻撃は難しい。装甲は抜けない。可動部も十分に補強してあるのは、ドラムマガジンを二つ使って確認した。

 

「あとは……光学機器、だけど……」

 

 確認に使った最後のダミーはとっくのとうにスクラップの仲間入りを果たしている。丸い頭部に仕込まれた一対のセンサ一アイは、おそらく可視光線と赤外線センサの複合式。それもハニカム式の金属板で拒まれ、真正面から正確に撃ち抜くか、そのハニカムごと吹き飛ばせる大火力を確保できない限り破壊できない。

 手榴弾をハニカムに正確に叩き込めれば壊せるだろうがそんな距離まで接近させてくれない。その前にPPSh-41の方が蜂の巣(ハニカム)にされる。

 

 砲弾が吐き出される音にとっさに目を瞑った。

 

「恰好つけるんじゃなかったかなぁ……」

 

 そんな泣き言が漏れる。上から撃ち下ろすような形になっているため狙いにくいだろうと踏んでここに飛び込んだが、ザバーニャはガトリング砲の威力に物を言わせ、柱ごと削り取りにかかる。首の横を衝撃波が通過した。もうこの柱は保たない。一気に横に飛ぶ。

 隣の柱に飛び込むと同時に元いた場所の柱が吹き飛んだ。天井にヒビが走る。

 

「あぁもう!」

 

 こうなったら半分やけくそである。天井が崩れるタイミングに合わせて前に、すなわち工場前の広場の方へと飛び込む。砕けたコンクリートの破片が煙幕代わりになってくれるはずだと信じて、広場で砕け散っている自分の似姿に取り付き、手榴弾を回収。安全装置を解除し適当に放り投げつつ、未使用弾倉を引き抜いてから、さらに前に飛ぶ。砲撃音が響くが衝撃波は来ない。手榴弾につられたか、はたまた別の方向を撃っているか。

 

『ペーシャ、援護を開始するわ。多分だけど、あのパワードスーツ私の動きにもおおよそだけど感づいてる』

 

 無線に入ったのはガーランドの声。同時に位置情報が電脳に叩き込まれる。ダミーで『ザバーニャ』を囲むように分散して展開している。

 

「お願いします。センサ系統を潰せますか?」

『やれるだけやってみるけど、あんまりあてにしないでくださいね』

 

 砂埃が収まる前に小銃の発砲音。

 

『ヒットしたけど、ごめん。ハニカムの防弾板のせいで真正面からじゃないと潰せない』

 

 ガトリングの発砲がPPSh-41を薙ぐように飛んでくる。なんとか管理棟の足下に飛び込んだ。ボンッ、という音が同時に響いて、どこかに向かって白線が延びていく。

 

『ダミー3がダウン。もうメチャクチャ、工場の被害なんて何も考えてない!』

 

 ガーランドの声を聞きながらPPSh-41は弾倉を交換。弾薬の量を増した強装弾に切り替えた。

 

「あと、1分保たせないと……!」

『やっほーペーシャ、マハマと交代で援護に入るよ』

「リトヴァさん? S.O.ハルミネの支援は?」

 

 無線の声はいつも通り底抜けに明るい。それに驚きながら問いかけると、笑い声で帰ってきた。

 

『そのハルミネから頼まれたの。向こうの支援はあとエンター押すだけだからカリンちゃんにぶん投げた』

 

 支援の指揮官が交代になった直後、眼を流れる情報量が急激に増した。建物の崩壊等の情報がリアルタイムで送られてくる。

 

『ガーランド、残りの義体の眼を渡して……おっけ。情報統合完了。さて、復讐劇(ストライクバック)だ。ソータにばっかりいいところ持って行かれるわけにはいかないんだよ』

 

 上を見上げるPPh-41。直後に視線が()()()()()()()()

 

(えっ……?)

 

 義体が勝手に動き出す。疑問を口に出すことができない。

 

(義体の強制外部コントロール……!)

 

 出力リミッターが解除。通常なら何重にも警告が出るが一瞬ちらついただけでねじ伏せられる。そのまま壁を蹴り、身体がグンと持ち上がる。銃を保持する左手が、トリガーガードのそばにあるセレクタを連射に向けて弾く。

 

 射角が確保できないと悟ったザバーニャが飛び降りてきた。向こうも建物の陰まではスキャニングできていなかったらしい。

 

 さぞ操縦者は驚いただろう。飛び降りたすぐ直後に壁を蹴って上下逆さになった攻撃対象(PPSh-41)とすれ違ったのだ。左のセンサーアイ、それを覆うハニカム板を横断するように弾丸を叩き込み、足を振ってザバーニャのセンサーなどが詰まっているであろう頭部ポッドを蹴りつけそのまま身体が浮くに任せた。

 

 人型をとる機械にとって、接地できない状況はとても危険だ。その状況で不測の事態に陥った際にリカバリーできないからだ。だからこそ段差を飛び越えるなどの動作をするさいには高度な計算をした上で実施し、各種情報を元に着地のタイミングを計り、安全に降下することが望ましい。

 

 

 

 その途中で情報入力装置であるセンサ一の一部を潰され、姿勢を崩されたらどうなるか……弾道飛行のような急な弧の頂点で、PPSh-41はその結果を眺めることになる。

 

 

 

 パワードスーツはわずかに左に傾いた姿勢で着地、重すぎる武装があだとなり、そのまま左に煽られる。人間やそれを模した構造を持つ戦術人形であれば誤差の範囲の傾きだ。煽られたとしても左にたたらを踏むことで解決できるほどの重心のずれに過ぎない。

 

 しかしザバーニャは対応できずに左に倒れるようにして地面に叩き付けられる。大きな土煙が立った。

 

(そうか、パワードスーツは足を左右に交差できないんだ!)

『ザバーニャはマスタースレイブ方式だからね』

 

 なんでもないかのようにそういうリトヴァ。

 

 おそらく重量制限と重心のせいだろうが、ザバーニャは中央の胴体に搭乗者のトルソーを固定し、手足は鋼鉄製の防弾の効いた筒を飛び出させる構造になっている。これなら手足の可動域を確保しつつ、登場者のバイタルゾーンを分厚い装甲で覆えるが、股下まで装甲が及ぶために両足をクロスするような動きはできない。

 そしてその構造上、完全な転倒状態から起き上がるには、両手を塞ぐ武装を一度手放し、うつ伏せにならねばならない。

 

『ガーランド、ダミー1、ファイア』

 

 指示があったのはザバーニャの後方、死角方向に陣取っていたダミーだ。直後に生きている右のセンサ一アイのそばで火花が散る。左を下に倒れている以上、右手のガトリングでしか反撃できず、それを攻撃のあった方向に向けた。それはすなわち、回復に必要なうつ伏せではなく、仰向けになるように姿勢を動かしたことになる。

 

 そこに飛び込むPPSh-41。いくら少女型の義体とはいえ、戦闘用にチューンした強化義体だ。それがビル五階分の高さから飛び込めば、その運動エネルギー自体が凶器となる。

 

 ズガンッ! と硬質な音が響いた。着地したのはザバーニャの登場者を守る装甲上――正確に言えば、その右肩関節だ。ボール状になった機械関節が大きくへこむ。破壊こそできなくとも、その関節の中には間違い無く人間の腕と肩が入っているのだ。仰向けになってしまったこともありボール関節が外れる方向に歪む。ザバーニャの中から強烈な悲鳴が聞こえた。操縦者の右腕は機械関節に噛み切られる寸前だろう。

 

『ペーシャおっけー。もうそいつは動けない。操縦者が動けなければパワードスーツはただの檻……きっかり3分、なんとかなったね』

 

 こともなげにそう言うリトヴァ。PPSh-41にやっと自分の義体の操作が戻ってきた。

 

『ソータ。ペーシャとガーランドの指揮戻すわよ』

『受け取った。ガーランド、破壊されたダミー3は破棄して戦闘を続行してください。PPSh-41は残弾も少ないためガーランドの観測手を。二人ともナガンと一〇〇式、SuperSASSの支援に入ってください。ヴェルディエフ中佐、とんでもないものを隠してましたよ』

「とんでもないもの……?」

 

 そういって共有されたのは、おそらくは春嶺のプロンプターについた小型カメラの画像。荒いがなにが映っているのかは理解できた。理解できたが「なぜ」という思いが先に出てくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「マンティコア……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地下で、地上で。戦火は広がり続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20641014T0325Z

"H"+0:10:21 OPERATION-OCTOBER is OPERATED

 




……というわけでどんどんヤバくなる戦闘回でした。

そしてこういう戦闘を文字で実施するのはかなり厳しいのを実感しました。もっと精進せねば……


そして次回から、やっと! やっと! ナガンリボルバーの戦闘が書けます!


これからもどうぞよろしくお願いします。

この小説の中で読んでみたい短編はありますか?

  • ヘリアン&グリズリーの夜のパーティー
  • アラタとナガンの過去話
  • 忠犬Gr G41とご主人ソータ
  • リトヴァとP38のアイドル活動記
  • ドキッ♂ 野郎だらけの水着回
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