METAL GEAR DOLLS   作:いぬもどき

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コラボを最新話に置いときたいから変な場所で更新してるけど、堪忍な!


これからの私…

 アフリカと聞いて、当初鉄血ハイエンドモデルたちは、熱くじめじめした場所で大雨が絶えないか、極度に乾燥していて小さな砂がどこにでも入ってくるような熱く過酷な環境だと思い込んでいた。

 実際、アフリカのジャングル地帯やサハラ砂漠といった地域は人間にとっても人形にとっても過酷すぎる地域はあるにはある。しかし、アフリカに居を構えるウロボロス邸周辺は温暖な気候で厳しい環境下にもなく、汚染のない川が流れるすぐそばにあるリゾート地であった。

 まあ、そこから少し離れれば、ウロボロスが接収した大量の光化学スモッグや廃棄物を垂れ流す工場群があり、劣悪な環境下で働かされている労働者たちがいるわけであるが…。

 

 歴史を感じさせる屋敷の庭は老齢ながらも、庭師としてキャリアを積み重ねた男性の手によってきれいに整備されている。どこから持ってきたのか、中央の噴水には抱えた水瓶から滝のように水を流す女神のブロンズ像が置かれている。

 さらに屋敷に停められている車はいずれも高級車ばかり。

 さらにさらに、庭に飾られたアンティークの装飾品なども良く見れば高価なものだ。

 ウロボロスの虚栄心の自己顕示欲の強さに彼女の財力は惜しみなく使われており、彼女の拠点としている町の広場には大きなウロボロスのブロンズ像が立っており、あちこちに尾を喰らう蛇を描いた旗がなびく。

 

 元々この辺を統治していた国の法律はもはや適用されず、ウロボロスのウロボロスによるウロボロスのための国家と化していた。

 もちろんそんなことをして元々の統治者が黙っていなかったが、ウロボロス本人の強さとグレイ・フォックスという最強の兵士、そして大量の装甲兵器によって返り討ちにしむしろ領土をぶんどってさらに支配地域を拡大させたのであった。相手を交渉のテーブルにつかせ、一方的な条約を結ばせて紛争を終わらせたのである。

 

 その後のウロボロスは、自分の思うようにこの地域を統治する。

 

 使用人に対し人使いが荒いとはいえ衣食住を保証され金払いも悪くない、保護した子どもたちは争いごとから隔絶された平穏な暮らしを約束されている。今も戦争が絶えない地域では見ることが出来ない、平和な風景がここにはある。

 だがこの平和をいかにしてなしえたのか、そうウロボロスに尋ねようものなら、彼女は迷わず"暴力"によって勝ち得たものだと言うことだろう。

 武器を持った連中を追い返すのにも、地元民を従える際にも、秩序ある統治を続けるにも暴力が最も適しているとウロボロスは理解していた。

 

 

 そんな血にまみれた歴史はもう昔のことで、今はウロボロス自身も暴力からある程度距離を置き、日々金儲けと己の私腹を肥やすことだけを考えていた。

 あちこち金になりそうな話にくいついて、隙あらば紛争地帯を巡って孤児たちを連れて帰る。

 そんなことをしているおかげで、屋敷のあちこちに幼い子どもたちがいる。

 

「――――それでは次のところ、ヤオ君に読んでもらおうかしら」

 

 屋敷の庭の広い場所にて行われているのは、ハイエンドモデルであるイントゥルーダーによる子どもたちへの青空教室だ。イントゥルーダーはその知的さから割と早期にウロボロスから仕事を任され、境遇からまともな授業を受けられなかった子どもたちの教師となった。

 屋敷の近くに学校が建設されているが、建設が間に合わないため芝生の上にシートを広げて簡単な机を用意されたところで授業は行われる。

 戦いのために生み出されたイントゥルーダーであるが、無垢な子どもたちに知識を教えるこの仕事をすっかり気に入ったようだ。

 

「おーいイントゥルーダー、授業を受けないサボり不良少年を連れてきたぞ~」

 

「あらウロボロス、それにイーライくん。こんにちは」

 

 最初の授業から遅れて、サボっていたところをウロボロスに見つかったイーライが無理矢理連れてこられる。

 ギャーギャー喚き散らして反抗するイーライだが、耳を引っ張られたまま席に無理矢理つかされる。そのままでいても逃げるのは明らかなため、ロープでぐるぐる巻きにされる徹底ぶりだ。

 

「離せババア!!」

 

「なにがババアだたわけが。この私がババアなら世の女すべてが老衰で死んでおるわ。後は頼んだぞイントゥルーダー」

 

「はいはーい。さ、みんなと一緒にお勉強いたしましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦うためだけに生まれてきた鉄血の人形たちが、戦うことを放棄することを許された理想郷のようなこの場所。

 護衛するべき主人のため、ジャッジのように歴戦の強者であるグレイ・フォックスを師として鍛錬に励む者もいるが、スケアクロウはウロボロスの業務を手伝うようになったりデストロイヤーはのんびり気ままに暮らしていたりする。

 ウロボロスと滅茶苦茶仲が悪い代理人は、一応主人であるエリザの侍女としての立場をキープしているが…。

 ウロボロス邸に隣接する広大な農場があるが、ここにやって来たハイエンドモデルの一人アルケミストは農場で働くことを選び、雇われた地元民と一緒に土を耕し農耕に励んでいた。

 以前の彼女を知る者はあり得ないと思うだろう。

 アルケミストは今は亡き恩師が残した想いを胸に秘め、この地で平穏な暮らしというものを見届けようと決めたのだ。時々、自分がかつて犯した血なまぐさい罪を思いだすが、この農場でひたすら働くことでそれを振りはらうことが出来た…。

 

 だがこの日、ウロボロスはアルケミストを屋敷の地下に招くと、痛めつけられた様子の男性を二人彼女に紹介した。

 

「こいつらはなんだい?」

 

「頭の悪い愚か者だよ。私の工場で破壊工作を目論んでな…使ったのは軍事用の爆薬、こいつら二人だけが動いているとも思えんのだ」

 

「そうか。それで、それがあたしをここに呼んだ理由とどう関係があるんだい?」

 

「分かっておろう? 私が知るなかで、おぬし以上に拷問と尋問を得意とする者はおらん。うちの部下が尋問をしたが口が堅くてな、おぬしならこやつらの口を割らせることもできると思うのだが?」

 

「期待してくれるのはありがたいが、辞退するよ」

 

「ほう?何故?」

 

 わざとらしく驚いてみせるウロボロス。

 含みのある笑みを浮かべるウロボロスを一瞥し、アルケミストはもう今までのように他の誰かを痛めつけたり、拷問にかけて快楽を見出すつもりはないと説明をした。

 

「なるほど、理解した。だが広く世界を見てみるがいいアルケミスト…おぬしは愚か者ではないはずだ。故に、この平和が暴力によって成り立っていることが分かるはずだぞ? 私はこの尊い平和を、血にまみれた手で勝ち取った。おぬしはどうだ? 犠牲の果てに存在する平和を勝ち取る度胸はあるか?」

 

「ふん……お前は本当に嫌な奴だね。だからいつまでもボッチなんだよ」

 

「ボッチ言うな。それで、協力してくれるのか?」

 

「さあね…協力したとしても、だいぶブランクがある。上手く尋問できるか保証しないよ」

 

「構わぬさ。お手並み拝見だよ」

 

「ならいいが……とりあえず尋問には道具がいるな………コレ、持ってきてくれないか?」

 

「どれどれ…って、なんだコレ……何に使うのこんなの?」

 

「いいから持ってきなよ」

 

 手帳に書いた道具のリスト内容を見て思わずウロボロスは二度見してしまう。

 鉄血で最も残忍な人形だというのはとっくの昔に知っていて、ここ最近の様子からすっかり丸くなったと思っていたが…どうもそうではないらしい。

 ウロボロスが用意した道具を見て、妙にはしゃいでいる様子の彼女を見て、やはりこの人は本性隠せないなと察するのであった。

 

「ちょっとウロボロス、あんた本気なの? アルケミストも、嫌なら引き受けなきゃいいのに」

 

「デストロイヤーよ…あれが嫌そうな様子に見えるか?」

 

「………前言撤回するわ」

 

 道具を一つ一つ、楽しそうに調べるアルケミストを見てデストロイヤーはすっかり意気消沈してしまった。

 この場には他にも、代理人が様子を見に来ていた。

 ウロボロスに攻撃を仕掛けるということは、主人であるエリザにも危害が及ぶと判断し、捕まえてきた犯罪者の考えを見抜こうと考えている。

 

「さてと、準備完了だよ。始めようか」

 

 道具の確認を終えたアルケミストは、椅子に拘束された犯罪者二人に被せられたズタ袋をとりさった。

 顔にあざがあるのを見ても彼女は少しも眉を動かさず、冷たい目に残忍な笑みを浮かべて二人の虜囚を見下ろした。それに対し、二人はアルケミストを含め地下室内にいるハイエンドモデルたちを見てあざ笑う。

 

「今度は人形のお嬢さんたちが尋問かい? へへ、丁寧にご奉仕してくれるんだろうね?」

「おい女ども。後で痛い目見たくなかったら、さっさとこのロープをほどきな!」

 

 目の前のアルケミストをいやらしい目で見つめ、汚い言葉で罵倒する二人。

 二人の嘲笑に対し、アルケミストは一人の顔面へ強烈な蹴りを叩き込むと、倒れたところを何度も蹴りつける。手を抜いているとはいえ、人形の力で何度も蹴られた男は肋骨が折れ、血を辺りに巻き散らす。

 

「ルールその一、あたしが質問しお前らが答える。それ以外で口を開くんじゃないよ…分かったか?」

 

 椅子の背もたれを掴み、痛めつけた男を元の姿勢に戻す。

 それからもう一人の男を一瞥すると、テーブルからナイフを取ってその男の手の甲におもいきり突き刺した。手を貫かれた男は激痛から叫び声をあげる。叫ぶ男に対しアルケミストは、人差し指を口に当てて静かにするよう促すが、男の叫び声は止まらない。

 いつまでも叫ぶ男の口を無理矢理閉じさせ、ゾッとするような笑顔を浮かべたまま語りかける…。

 

「シーッ……静かに静かに、人の話はちゃんと聞こうな? ルールその二、質問には必ず答えること。お前たちに黙秘権はないよ」

 

 何度も頷く男ににこりと笑い、アルケミストは尋問器具を並べたテーブルのそばに立つ。

 明らかに農作業しているよりも生き生きしている姿に、すっかりスイッチが入ってしまったなとデストロイヤーは思う。

 

「さてと尋問を始める前に、お前らのうちのどっちが上の立場にあるかはっきりさせようか。どっちが偉いんだい?」

 

 その問いかけに、最初に痛めつけた男の方がチラリと視線を隣の男にやった。

 その仕草でどちらが上か理解したアルケミストは満足げに微笑むと、テーブルに置かれた箱から釘を一掴みした。一体何をやろうというのか…アルケミストは最初に痛めつけた男に歩み寄ると、強引に彼の口を開かせたうえで大量の釘を口内に入れ、吐きだせないようすぐにテープで口を塞ぐ。

 釘を口いっぱいに詰めこまれた男は必死にもがくが、両手はひじかけに固定され、テープで口を塞がれているため吐きだすこともできない。だからといって釘をのみ込むこともできず、彼は酷く恐怖しながらアルケミストを見つめる。

 

「ウロボロス、なにを聞けばいいんだ?」

 

「え? あ、あぁ……えっと、とりあえずなんで工場を壊そうとか聞いてみてくれないか?」

 

「ああ。聞こえたね、なんで工場を爆破しようとしたんだい?」

 

 口を塞がれていない方の男性に優し気な声で問いかけると、彼は何度も相方の方を見てから、震える声で自白する。

 

「あ、あの工場を破壊すれば…人形製造が止まる、そうすれば…ここの軍事力が下がる…!」

 

「へえ、素直じゃないか。いいよ、その調子だ。お前も良かったな、上司が協力的ならこれ以上痛い目みずに帰れるさ」

 

 笑いながら、アルケミストは釘を口に含んだ男の肩を叩いて見せる。

 優しく語りかけていると本人は思っているのだろうが、こんな惨たらしいことを楽しそうにやれる姿に二人は恐れおののいている。

 

「次の質問は、そうだな…裏に一体誰がいるのか聞いてくれ」

 

「分かった。今のも聞こえたね、お前らの破壊工作を手引きした奴を明かしな」

 

「それは、いや、オレたちの独断だ…」

 

「んん? なんだって?」

 

「オレたちの独断だって! だれもいやしねえよ!」

 

「そうか? 調査じゃ爆薬は軍事用らしいじゃないか。そんなものお前らがどうして手に入れられたんだい? その入手経路を教えてもらいたいね」

 

「そいつは…拾ったんだ。ほら、ここらじゃさほど珍しくもないだろう? 軍隊や警察なんてまともに機能しない」

 

「ここらってどこだい? 警察がまともに機能してない町はここからどのくらいの距離にあるんだ?」

 

「そこまで手に入れに行ったんだ、本当だ!」

 

「お前…自分が何を言おうとしているか分かってないみたいだな。もういいよ、分かった」

 

「ちょっと待て、一体何を…!」

 

 アルケミストは何も言わず、尋問器具を並べたテーブルを見下ろす。

 ナイフ、ハンマー、角材、ペンチ、ロープ、チェーンなどの身近な道具が揃えられている。その中からアルケミストはバールを手に取ってみたがなにか納得がいかず、次に角材を手に取った。何を思ったのかアルケミストは、角材の先端にチェーンを巻きつけていき、握る箇所にもロープを巻いて補強する。

 陽気な鼻歌をうたいながらアルケミストは、チェーンを巻きつけた角材を肩に担いで口を塞がれた男に歩み寄る。

 

「待て、おい…何をする気だ…止めろ…!」

 

 身動きをとることも、言葉も発することのできない男の前でアルケミストは角材を握りしめ、男の頬に狙いをつけ始める。必死で逃れようとする男の前でアルケミストは楽しそうに笑い、角材を構えた。

 

「やめろ! やめてくれ!!」

 

「これがお前の選択肢だ。よく見ときな」

 

「やめろーー!!」

 

 男の制止は虚しく響き、アルケミストはチェーンを巻いた角材でおもいきり拘束された男の顔を殴りつけた。

 口いっぱいに釘を含まされた状態で頬をフルスイングされれば果たしてどうなるか……代理人も、ウロボロスでさえも思わず目を背けるような惨状となり、デストロイヤーは青ざめた表情で地下室を出ていった。

 床に倒れ、顔からおびただしい血を流しながら男は痙攣していた。

 

「これくらいで死にはしないさ。ほら、生きてるだろう?」

 

 倒れた男の髪を掴み、もう一人の男に見せつける。

 頬をフルスイングで殴られ、釘でズタズタにされた口内…何本かの釘が頬を貫いて外に飛び出ている。

 ふと、地下室にアンモニア臭が漂う…尋問が行われていた男の足元が濡れており、そこから湯気が立っていた…。

 

「さ、尋問の続きと行く前に…次の道具はこれだ。プロパンガスに酸素ボンベ、それから溶接器だ……どう使うか教えてやろうか?」

 

「勘弁してくれ…助けてくれ……!」

 

「いいから話を聞きなよ。普通は鉄板とか溶接するんだが、こいつで人体を焼き切ることもできてな…すごく熱くて痛いんだよ。こいつの利点としては、焼き切っても傷口が焼け焦げて出血がないから、出血ですぐに死なないことなんだ。どうだい、わくわくするだろう?」

 

 溶接器に火を灯し、青白い火を男に見せつけて笑う。

 既に男は恐怖に支配され切ってしまいまともな受け答えをすることもできない様子…これ以上の尋問は無意味だと判断し、ウロボロスはこの尋問を中止させるのであった。

 

 先に外に出たアルケミストと代理人、地下の出来事から代理人も顔色が悪い様子…一方のアルケミストはというと、妙に晴れ晴れとした表情をしているではないか。

 

「アルケミストさ…もうあんなこと止めようね? ウロボロスに言われてもやだって言うんだよ?」

 

「分かってるよデストロイヤー。あたしは平穏な世界に生きるんだから……まあ、たまには拷問を手伝ってもいいと思うけど」

 

「アルケミスト!!」

 

「分かった分かった…やらないよ、たぶん…」

 

「約束しなさい! じゃないと、マスターのお墓に報告しに行くからね!?」

 

「はいはい、分かりましたよ」

 

 

 デストロイヤーに約束を誓わされ、少しつまらなそうにアルケミストは農場に戻っていくのであった…。




アルケミスト「平均的な居間にはあたしが拷問に使える物が1242個ある。部屋そのものを含む」

守護霊サクヤさん「アルケミストが暗黒面に堕ちてるよ!?誰か何とかして?」
代理人「ダメみたいですね…」

どうやらアルケミストは平和(暴力)を求めているようですね。
これこそ平和の執行、積極的平和主義者ってやつですね(白目)
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