METAL GEAR DOLLS   作:いぬもどき

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MSF戦術人形連隊

「陣地設営もずいぶん様になったものね」

 

 野外訓練場内にて、陣地設営の訓練を行っていた新参人形のIDWは、普段厳しい姿しか見ることがないWA2000の珍しい褒め言葉に目を丸くしていた。

 驚き手の動きを止めていたIDWであったが、WA2000と目が合うと慌てて陣地設営の作業に戻る。

 土嚢に土を詰める作業の他、塹壕の掘り方や有刺鉄線の張り方、簡易司令室の設営など…実際に戦場に出た際に必要な作業方法を訓練しており、体力勝負の非常に辛い内容となっている。 

 訓練を開始した当初は散々なもので、30分も過ぎればばててしまったり塹壕の意味をなさないものが出来上がったりしていたが…訓練を重ねて体力をつけたのか、IDWは体力に余力を残しつつ、素早く陣地の設営を行うことができている。

 

「最初に言ったことだけど、これは決して無駄なことじゃない。銃を握って弾を撃つだけが兵士の仕事じゃないの。覚えておきなさい、手を抜けばそれだけ死ぬ確率も上がるということをね」

 

「はい、教官!」

 

 IDWの元気の良い返事に頷き、WA2000は隣で塹壕を掘り進めるStG44に目を移す。

 彼女もまた例外にもれず、WA2000が監督した中で成長著しい戦術人形である。

 当初は身だしなみに気を遣い過ぎ、汚れ仕事を嫌っていたのだが今では塹壕の中に入ることも躊躇せず、大事な衣服が汚れることもいとわない姿勢を見せている。私生活においては相変わらず身だしなみに気を遣っているが、それでいいのだ。

 戦場と日常とでは意識を変えなければならない。

 

 一方で、404小隊から預けられたG11はというと…様子見にやって来た他のメンバーに監視され、もうG11の身体がすっぽり埋まってしまうほどの深さまで掘っている。

 何故かスコップをもってどす黒い笑みを浮かべているUMP45と416、反抗すればそのまま生き埋めにしようとしてるのかもしれない…。

 

 

「なんだー?そのへっぴり腰はーッ! スコップっていうのは、こうやって使うんだーッ!」

 

 

 何やら威勢のいいセリフが聞こえてきたため振りかえってみれば、陣地設営の補助教官としてやって来たスコーピオンがスコップ一丁で物凄い勢いで穴を掘り進めていた。

 猛烈な勢いで土を放り投げて塹壕を設営していく様は、何か不思議な機械力でも使っているのかと疑うほどだ…体力勝負を見せつけるのならスコーピオンが適任だと思ったが、これでは人形たちへの参考にならず、WA2000は連れてきたことを後悔していた。

 

「ちょ、やめてよスコーピオン! 私が掘った塹壕が埋まっちゃったじゃない!」

 

 自分が掘っていた穴を土で埋められてしまい怒っているのはウージー。

 何かとスコーピオンを意識し、ライバル視しているが、哀しいかな…スコーピオンの冗談みたいなポテンシャルの前には反抗期の小娘程度にしか映らない。

 反省しないスコーピオンに突っかかっていったウージーだが、案の定返り討ちにされ、見事なジャーマンスープレックスを決められる。

 

「こら、バカサソリ。今日はそういう訓練じゃないんだから止しなさい」

 

「いやーいい汗かいたよわーちゃん。でもみんな凄いや、MSFに入った時は頼りなかったのに今は立派な顔つきしてるね。これなら、一緒に戦場に連れてける」

 

「そうね、いつかはそうなる。さてと…」

 

 頃合いを見て、WA2000は笛を鳴らす…訓練終了の合図だ。

 笛の音が鳴り止むと人形たちは作業を止めて彼女の前に綺麗に整列する…一糸乱れぬその動きに、スコーピオンは称賛の意を込めて口笛を吹く。

 

「ちょっと早いけど今日の訓練は終了。みんな綺麗な服に着替えてマザーベースに向かうように」

 

「マザーベース? ワルサーさん、何かあるんですか?」

 

 訓練生の一人であるSAAの言葉に小さく頷く。

 

「知っての通り、この訓練課程も来週で終了よ。落伍者の一人や二人がいると思ったけど、全員無事に今日まで乗り切った…これは誇りに思っていいわ、少なくともわたしの予想は覆したんだから」

 

「あ、こんな事言ってるけどわーちゃんみんなこと心配してたから。厳しいこと言われてもツンデレなだけだから気にしないでね」

 

「余計なこと言うなバカサソリ!」

 

 鬼教官の心情を暴露するスコーピオンの脳天にげんこつを浴びせ黙らせる…。

 少し緩んだ空気をもう一度引き締め直す。

 

「ここからが本題なのだけれど、来週に訓練が終わると同時にあなたたち…G11は404小隊に戻るわけだけど…」

 

「え~、私ずっとMSFにいたいのに……って、痛いッ! 45、なにするんだよぉ…!」

 

「寝返り発言はバールで一回殴っていいのよ、404小隊の部隊規則にあるでしょ?」

 

「そんなのないよ!」

 

「そこ、いちいち騒いで話の腰を折るな! まったくもう……訓練終了後、あなたたちはMSFの実戦部隊に配備される。それで話には聞いてると思うけれど、エグゼの部隊が編成されているわ…そこにあなたたちが配属される。そして今日連隊隷下、各大隊の大隊長を決める任命式がマザーベースで行われる。経験の少ないあなたたちは選ばれないでしょうけど、世話になるかもしれない大隊長の名前を覚えるのにはいいかもしれないわね」

 

「実はまだ大隊長が誰になるかは、あたしもわーちゃんも知らないんだよね。あ、わーちゃんは最初から選ばれないんだよね?」

 

 スコーピオンの問いかけにWA2000は肯定する。

 WA2000はMSF内の特殊部隊であり、最高の名誉とされるFOXHOUNDに所属するため、新しく編成される大隊には最初から選ばれることは無い。

 正規戦闘を想定し編成されるエグゼの部隊に対し、FOXHOUNDとして行うのは破壊工作や単独潜入での諜報活動といった非正規戦闘だ。

 とは言っても、FOXHOUNDに所属するWA2000たちも時に他の部隊に合流し正規戦闘に参加することも多々あるので、ゲリラ活動ばかりしているというわけではないが。

 

「とにかく、時間に遅れないようにね。40分後にマザーベースに向かうヘリが飛び立つわ、それでは解散―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マザーベース、司令部のあるプラットフォーム…その中の作戦会議室に集まるMSF所属の戦術人形たち。

 既にそこには今回の議題の中心人物であるエグゼが前の席で座り、ぼんやりと天井を眺めていた。

 

 

「わぁ……本物だ…」

「う、こうしてハイエンドモデルと対面すると緊張するニャ…」

「きゃっほー……ちょっと、怖いかも…」

 

 

 新参の戦術人形の中には、エグゼと会ったこともない者もいるのだろう。

 元鉄血ハイエンドモデルである彼女に対し恐れをなしたり戸惑ったり、反応は様々である。

 あまり見ていて噛みつかれでもしたら危ないと思い、人形たちはあいてる席へと座っていく。

 

 

「やっほーエグゼ。いよいよだね!」

 

「ああスコーピオン、ようやっとワンマン体制から脱却できるぜ」

 

「そう言えばエグゼは大隊長の人選って知ってるの?」

 

「うん? ああ、まあな」

 

「そうなの!? ねえ教えてよ!」

 

「そりゃお前、後のお楽しみだろう」

 

「えーー」

 

 人形たちの他に集まるMSFのスタッフたち、各部門の長やマシンガン・キッドなどもこの場にやって来た。

 そのまましばらくがやがやしていたが、会議室の底から聞こえてきた足音に気付き賑やかだった会議室は静かになる。

 会議室の扉が開かれると、MSFスタッフ及びスコーピオンやWA2000といった古参の戦術人形が即座に立ち上がり直立不動の体勢をとる…遅れて新参の人形が慌てて立ち、同じように背筋を伸ばす。

 最初に入室してきたのはオセロット、次いで副司令ミラー、そして司令官のスネークが入室する。

 

「楽にしてくれ」

 

 敬礼を向ける部下たちへ一言そう伝え、起立した部下たちを着席させた。

 

「忙しい中よく集まってくれたな、それから新しい戦術人形の諸君、今日までの厳しい訓練をよく耐え抜いてくれた。お前たちの話はよく聞いている、優秀な兵士だとな」

 

 MSF司令官の褒め言葉に新参の人形たちは嬉しそうに微笑む。

 なかなか司令官のスネークと話す機会の無かった彼女たちに取って、このように直に会って話を聞けるだけでもここに来た価値があるというもの。

 

「よし、みんなここに呼ばれた理由は分かっていると思うが、改めて説明をさせてくれ。今回MSFに新たに編成される部隊…正確には、以前からエグゼが訓練・運用してくれていた部隊だが、規模が大きくなってきたことで部隊を編成することになった。連隊隷下の部隊の編成はこうだ」

 

 スネークの言葉に続き、ミラーが端末を操作すると用意されていたモニターに部隊編成を描いた図が表示される。

 約2000人ものヘイブン・トルーパー兵からなる連隊はエグゼが連隊長をつとめ、その下には二つの歩兵大隊、自走砲大隊、戦車大隊などがある。

 連隊の要となる歩兵大隊が2つ、これはすぐにでも戦術人形たちも適応することができるはずだ。

 問題なのは支援砲火を主任務とする自走砲大隊と戦車大隊だ。

 どちらともこれまで戦術人形が任されることのなかった役割であり、この部隊を率いることはとても難しいことは容易に想像出来る。

 

「戦車を超える兵器として生み出された月光だが、その数は戦局を左右するのに十分とは言えない。それに引き換え戦車は調達もしやすく、現在でも攻撃部隊の主戦力として期待できる。これを率いるのは難しいことだが、それだけ連隊の活躍に貢献できるということだ」

 

 不安げな様子の戦術人形に対し、オセロットが簡潔に説明をする。

 戦車大隊と言っても、彼女たちが直接操縦するわけではなく戦車兵として生まれたヘイブン・トルーパー兵が役割をこなすので、求められるのは戦車隊の運用方法と戦術だ。

 砲兵大隊も同じで、歩兵大隊への火力支援を主任務とし、着弾地点の計算や他部隊との連携が求められる。

 

 

「そう気負うことは無い。それに砲兵大隊を指揮するのはとても名誉なことだ、古今東西砲の活躍が戦局を左右した事例は多い。それに…砲兵とは戦場の女神とも呼ばれることがある。

 

 

 不安に思う戦術人形に対し、スネークがそのようなフォローを行うとあからさまに人形たちは目の色を変える。

 人形とはいえ、しっかりと乙女心を持つ彼女たちからしてみれば戦場の女神と呼ばれることに悪い気はしないのだろう…ひょんなことからやる気を見せる戦術人形たちには、言った張本人のスネークも苦笑する。

 

「連隊隷下の大隊長を決める前に、もう一つ決まっている部隊がある。その名も"独立降下猟兵大隊"、空からの空挺作戦と山岳戦を目的とした精鋭部隊。この部隊の指揮を執るのが、ハンターだ」

 

 ミラーの言葉に、部屋の後方に座るハイエンドモデル"ハンター"に視線が集まる。

 この任命は彼女自身既に知っていたのか落ち着いた様子で、静かに頷くのみであった。

 

「ではお待ちかね、連隊隷下の大隊長を発表する。呼ばれた人は、元気よく返事をするように! あと、他の人は盛大な拍手を送ってくれよ。あ、でもあんまり騒ぎすぎるのは…」

 

「おっさん話長いぞ、早く進めなよ!」

 

「おっさんじゃない!誰だ今おっさんて言ったのは!? スコーピオンお前か!?」

 

「あたしじゃないってば! もういいから始めてよおっさん!」

 

「やっぱりお前じゃないか! まったくもう…じゃあ発表するからな!」

 

 ミラーとスコーピオンのちょっとした漫才に笑い声が起こる…一度気を引き締め直したところで、いよいよミラーによる大隊長の発表が始まるのであった。

 

 

「第一歩兵大隊大隊長、スプリングフィールド!」

 

「は、はい!」

 

 

 呼ばれたスプリングフィールドはすぐに立ち上がり、言われた通りの元気な声で返事をする。

 しかしいきなり自分が呼ばれるとは思っていなかったのか、困惑したような表情を浮かべていた。

 

「スプリングフィールド、前に」

 

 呼ばれたスプリングフィールドはやや緊張した面持ちで席を離れ、スネークの前まで歩いていく。

 

「スプリングフィールド、君を第一歩兵大隊の大隊長へと任命する。これからもMSFのため、仲間のためにその力を十分に発揮してくれ」

 

「はい。スプリングフィールド、このような名誉ある役目に付けたことを誇りに思います!」

 

 まだ緊張はしているようだったが、このような大役に任命された名誉を受け入れ、それを誇りに思う。

 そしてオセロットから手渡される大隊長の証である徽章を授けられ、最後に握手を交わす…同時に拍手が巻き起こり、スプリングフィールドは気恥ずかしそうに笑った。

 

「よし、では第二歩兵大隊! 大隊長、MG5!」

 

 その名が呼ばれたとき、本人が反応するよりも速く、キャリコが席を立ち満面の笑みで拍手を送ってしまう。

 一人で喜んでいるキャリコに自然に視線が集まり、ハッとした彼女は恥ずかしさに顔を真っ赤にさせて着席する…。

 

「ありがとうビッグボス。だがいいのか? わたしは…」

 

「ストレンジラブから話は聞いている。その上で判断したまでだ…君が仲間達と培った統率力に是非とも期待したい」

 

「光栄だ、ビッグボス」

 

 握手をかわし、最後に大隊長の徽章を授ける。

 スプリングフィールドの時と同じように拍手が巻き起こると、MG5は誇らし気に振りかえり優雅にお辞儀する。

 そして最後に気付かれないようにキャリコへ向けてウインクするが…周りからはバレバレである、ヒューヒューと口笛を吹かれ白い肌を紅潮させ足早に元の席へと戻る。

 

 

「次は戦車大隊だな。これは非常に難しかったぞ…戦車大隊大隊長は、FALちゃーんッ!」

 

「ちょっと、なんで私だけそんなふざけた呼び方なの!? まあいいわ…」

 

 進行していくごとにノリノリになってきたミラーの様子にため息を一つこぼし、FALはスネークのもとへと歩いていく…いざ彼の前に立って思いだすのは、やはりジャンクヤードでの記憶。

 先日も自身の黒歴史を掘り起こされたばかりで、FALはなんとか唇を噛み締め羞恥心を抑え込んでいる。

 

「そう緊張するな。FAL、君はMG5の部隊のサブリーダーとして高い能力を持っていると聞いている。これまで通り、君をMG5の副官として同じ隊に配属させるという考えもあったが、君がリーダーとなり実力を発揮するところを見てみたいと思い困難な戦車大隊の大隊長に指名した」

 

「それは…ありがたいことね。別に今までの立場も悪いものじゃなかったけれど…いいわ、引き受けてあげる」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

「よ、よろしく…」

 

 最後に握手を交わし、ぼろがでないうちにFALはそそくさとその場を去っていく。

 残すは自走砲大隊、スネークも一押しの戦場の女神というポジションだ…いまだ名前が呼ばれていない人形たちはこぞって自分の名前が呼ばれることを待っているようだ。

 

「自走砲大隊を発表するぞ。大隊長…SAA!」

 

「ふぇ? あたしー?」

 

 まさか自分が呼ばれるとは思っていなかったらしい、SAAは驚き目を丸くしている。

 いまだ訓練を終了していない人形の大隊長就任というまさかのサプライズに、周囲の人形たちも驚きを隠せない…しばらくSAAは戸惑っていたが、やがて大隊長に指名された喜びが沸き立ってきたのか元気よく返事を返し小走りで前に向かう。

 

「きゃっほー! まさかあたしが大隊長になるなんて! ねえねえ司令官、どうしてあたしなのー?」

 

「ちゃんとした理由はあるぞ。君の訓練姿勢はオセロットやWA2000から聞いている、勇敢で非常に勤勉だとな。オレもたまに訓練を見させてもらったが、オセロットが君を評価していただけのことはある。これからの君の活躍に期待を込めて、砲兵大隊を任せたい」

 

「きゃっほー! やったー! オセロット、ワルサーさんありがとう!」

 

「えぇ…どういたしまして…」

 

 満面の笑みを向けてお礼を言ってくるSAAに、WA2000は一人複雑そうな表情を浮かべているが…確かにスネークに良い評価を口にしたのは事実だが、まさかオセロットも彼女を評価していたとは思わなかった。

 

「厳しい訓練をよく耐え抜いた。MSFのため、ボスのため一層の努力をするように」

 

「わぁ! オセロットがつけてくれるの!? ありがとう!」

 

 そこでWA2000は自分の目を疑うような光景を目にする…。

 それまで大隊長の徽章を授ける際はスネークが行っていたというのに、SAAにはオセロットが直接授けているではないか。

 拳を握り固め、わなわな震えるWA2000…その様子を察したスプリングフィールドがなだめようとしたが、彼女は大人げなくSAAを威嚇している、

 

「お、落ち着いてくださいよワルサー、気持ちは分かりますが…ほら、ね?」

 

「うぅ…オセロット…!あれほど特定の戦術人形を贔屓するなって言ったのに…!」

 

 今にも爆発しそうなWA2000をなんとか座らせ、あれこれフォローするがイライラはおさまらない様子…これはしばらく不機嫌だ、誰も八つ当たりされなければいいが…そう思うスプリングフィールドであった。

 

 

「以上が連隊隷下の大隊長だ。お前たちの活躍で、オレたちは、MSFはさらに拡大していく。世界中の兵士が、オレたちを必要とするだろう。これまで以上の責任や労力がかかると思うが、お前たちがこの職務を全うしてくれることを心から期待している」

 

「あのースネーク?」

 

「ん? どうしたスコーピオン?」

 

 話の最中に、スコーピオンが手を挙げる…。

 

「あのさ、なんか…忘れてるよね?」

 

「うん? あぁそうだったな。大隊長に指名された者はこの後ストレンジラブの研究室へ向かってくれ。そこで指揮モジュールが用意されている」

 

「うんうん…って、そうじゃなくてあたしは!? MSFの最古参戦術人形のあたしは大隊長じゃないの!?」

 

「さっきので大隊は全てだ」

 

「そんな…! 確かにあたしバカで喧嘩っ早くてアホでケガしてばかりのドジだけど、MSFにずっとずっと尽くしてきたんだよ!? それなのに…!」

 

 今にも泣きそうな表情で訴えかけるスコーピオンに、スネークも少しばかりたじろいだ。

 スコーピオンとしてはここにいる戦術人形の誰よりも、MSFとスネークに貢献している自負とプライドがあったため、大隊長に選任されなかったことは自尊心を大いに傷つける事態であった。

 

「落ち着けスコーピオン、実は…」

 

「落ち着いてなんかいられないよ! あたしの何がいけなかったのさ!」

 

「…ったく、ぴーぴーうるせえな。話は最後まで聞けよスコーピオン」

 

 騒ぐスコーピオンに悪態をつくのは、それまで大隊長の選任を静かに眺めていたエグゼだ。

 気だるそうに立ち上がったエグゼは軽く背伸びをし、連隊の編成図を写したモニターの前まで歩くと、ミラーから指示棒をひったくる。

 

「これ、見えるか?」

 

 エグゼが指し示したのは、連隊長であるエグゼの真下に位置する空欄だ。

 その空欄の下に、各大隊が枝分かれしている。

 

「連隊副官、つまりはオレの参謀であり、オレを連隊のトップとするなら副官はナンバー2のポジションだ。ここに、お前の名前が入るってわけだ……意味、わかる?」

 

「ほえ? つまり、あたしがエグゼの参謀で…連隊で二番目に偉いってこと?」

 

「そういうこと。おめでとう、大隊長以上の栄えあるポジションだ……おい、拍手はどうした?」

 

 

 エグゼがそう言うと、スネークを含めその場に集まる大勢の拍手が巻き起こる。

 いまだ状況が分かっていないスコーピオンだが、周りからの称賛の声を聞いているうちにだんだんと意味を理解し笑みを浮かべる。

 

 

「あは、あはははは…なんだびっくりしちゃったよ。バカばっかりやってるからほんとに見捨てられちゃったと思ったじゃん」

 

「すまなかったなスコーピオン。少し、サプライズにしておきたかったんだが…」

 

「えへへ、こっちこそ悪かったよ勘違いして。でもいいの? 親友のハンターを差し置いてあたしがエグゼの副官でさ…」

 

「知ってるだろ、ハンターにはあいつの降下猟兵大隊がある。それとこれだけは言っておくけどよ、オレは大切な仲間に優劣はつけない。お前もハンターも、オレの大事な親友だ。もちろん、引き受けてくれるだろ?」

 

「当たり前じゃん! まあ、作戦考えるのは苦手だけど…敵をぶっとばす役目はあたしに任せてよね!」

 

「よし、頼りにしてるぞサソリ」

 

「こちらこそね、処刑人さん」

 

 

 二人は拳をつき合わせ、愉快に笑うのであった。

 




連隊長エグゼ
連隊副官スコーピオン
第一大隊スプリングフィールド
第二大隊MG5
戦車大隊FAL
砲兵大隊SAA
※暫定


ほんとはもっと部隊増やしたかったけど、読み返したらそんなにMSFに戦術人形いないことに気付くw
渾身のミスやな(笑)
構想段階では他に歩兵大隊と砲兵大隊がもう一つと、工兵大隊があったんやで(人手不足)(FOXHOUND縛りが原因)



次話は404小隊のほっといたUSA!分隊でも書こうかな。
たぶん416がストレスで死ぬ。
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