それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
「これでよしっと、まぁ足りるだろ」
何時も通りある日の司令部、作業場に【M16A1】は居た。何かを制作つもりなのだろう、木材にメジャー、トンカチ、ノコギリ、釘、ヤスリ等、必要な物のほぼ一式を広げ満足気に頷いてから、机に広げてある設計図を確認する
そこには何やら小さめの小屋のようなものが書かれており、窓に当たる部分はあるが扉はなく、動物なら自由に出入りできそうな穴が扉部分にある、彼女が今回作ろうとしてるのは『パグ助』の小屋、パグ助が住み着きそれなりになるが未だ住処となるものは無く寝る時以外は割りと好きに動き回っている、まぁそれでも良いのかもしれないがキチンとした住処を用意するのも悪くないだろうと考えた
(まぁ、そもそも基本的に屋内犬だし、運動も中庭で間に合ってるからあいつが使うかどうかは微妙なんだけどな)
だが無いよりある方が良いに決まってる、というよりここまで用意して今更、止めるなんて言える性格では無いと自分を説得し作業を開始しようとした時、気配を感じサッと視線を飛ばせばそこには真っ白い丸々とした猫の姿
何処から入ったんだと思うM16だがふと見れば窓が開いてることに気づく、そういや一々開けて換気は面倒だからって開けてたなと思い出すがそもそもこの窓に入れる足場なぞあったかと疑問が浮かび一応で覗いてみるが
(……無いよな、いや、あるがそこに行くルートなんて、まさか屋根から飛び移って入ってきたってのか!?)
この図体で!?ありえなくはない考えに至り驚愕の目でソイツを見るが見られた当の本人は呑気に欠伸をしてからだらんと寝転がり動かなくなる、まるで私の事は気にするな、だから私には構うなと言ってる気がする態度に今度は苦笑を浮かべる
「っておい、これから此処で小屋作りするから騒がしくなるぞ」
そう教えてあげるが猫は動かず、尻尾を床にぴたんと一度叩くだけの反応を示す。その反応にそういやコイツはNTW-20の射撃を聴いてもアクビして寝たって話を思い出して、だったら良いかと今度こそ作業を始める
まずは材料をと設計図を見ながら、メジャーで測り、木材に印をつけノコギリで切っていき、また設計図を確認すると言った作業を繰り返し数十分、必要な木材の切り出しが終わる。一応再確認するがどれもほぼ寸歩通りに収まっているので一安心だと笑う
チラッと例の猫の方を見れば作業前と変わらず寝息を立てる姿、結構音はしてた筈なんだがなぁと思うがまぁ寝れるなら寝てればいいさと次の工程へと移ろうとした時、猫が起き上がり扉の方を見つめる
「ん、どうした?」
「な~」
「あ、居た!ってM16、何か作ってたの?」
M16の言葉に反応するように一つ鳴いたと思ったら扉が開かれ、入ってきたのは指揮官、どうやらこの猫を探してたようで見つけると嬉しそうな反応をしてその後M16に気づきそう聴いてくる
「ああ、パグ助の小屋を作ってやろうって思ってな」
「なるほど、確かにあった方がいいかもね、さて、『大福』今日こそってああ!」
(大福……まぁ、パグ助よかいい名前、かなぁ?)
例の猫改め大福は指揮官が自分を抱こうとしたのを察知するとそのずんぐりむっくりな図体には似合わない俊敏さで指揮官には届かない高さの位置に移動して、彼女を一瞥してから背中を向けて寝転がる
小馬鹿にされたと思ったのか指揮官は大福を見つめ、この際だから昇ってでも触ってやろうかと考え行動しようとするがM16に首根っこ掴まれ止められる
「止めなさいっての、よしんば迫ってもまた逃げられるだけさ」
「ぐぬぬぬ……はぁ、仕方ない、M16なにか手伝えること無い?パグ助引き取ったの私だし、少しは手伝わないとね」
「ん?いやぁ、これは私が勝手に作り出したことなんだが、まぁそれならこれから組み立てるからそれを手伝ってくれよ」
了解!と元気な返事にM16は頼りになることだと笑い、二人はそれから小屋の組み立てに着手した、流石に指揮官に釘打ちは任せられないが彼女が支えその間に釘を打って固定するという流れで組み立てていけば次第に形が見えてきて、そして
「こいつを打ち終われば……よっし、完成だ!」
「やったね、おお、結構しっかりした小屋だね」
「だろ?まぁ、あいつが気に入るかは分からないが無駄にはならないだろ」
「気に入ってくれるよ、あっそうだ、ねぇこの余った板使っていい?」
別にいいが何するんだ?と聞けばふふふと意味深に笑いながら油性ペンを机から出してキュッキュッと何かを書いていく、そしてこうするのさ!と見せればそこには『パグ助ハウス』と別段上手ではない字で書かれていた
しかも、パグの微妙に似てるようにも見えるイラスト付き、なるほどなぁと指揮官の頭を撫でつつ
「これを入り口の上に付ければいいんだな?」
「そう、ってあれ、大福?」
指揮官の不思議そうな声にM16もその方向を見れば、先程まで寝てたはずの大福が気付けば小屋の近くまで来て、何やら鼻をヒクヒクさせて匂いを嗅いでいた
それから小屋の周りを一周して、入り口から中に入っていく、二人が後を追う形で見ればお腹を見せて眠りだす大福の姿
「寝てるな」
「大福!この小屋はパグ助のだよ!!大福、聴いてるの、大福!!」
退去指示をするが聞く耳を持たず、起きる素振りを欠片も見せない大福に指揮官が遂に強硬手段として引き摺り出そうと手を伸ばすがペシッと爪は出てないが素早い猫パンチで迎撃される
口元を引く付かせる指揮官、尻尾をペシペシと叩き動かないからなと意思表示する大福、確かにパグ助用として作ったが他が使うならばそれはそれでいいので一人と一匹の攻防戦を眺めることにして椅子に座るM16
その後、数十分にも渡る激戦の末、指揮官が折れる、というより大福からすれば子供とのじゃれ合い程度の認識であり、戦いですら無かった様子で手を出してこなくなった指揮官を見てからにゃぁと短く鳴いて寝始める
「……ぐぬぬぬ」
「クククッ、この小屋は大福の物になっちまったなぁ」
その日はそれで終わったのだが、後日見てみれば大福が寝てたり、他の猫が寝てたり、パグ助が寝てたりと結局の所、動物たちの休憩所として使われることになっていた、因みにその日から大福と指揮官の攻防戦が見られるようになるが基本的に指揮官の敗北で幕は閉じられる
大福は今日も基地内でだらけている
殆ど、大福の話になってるじゃねぇか!!因みに大福は指揮官を下と言うか子猫程度の認識です、戯れてくるからあしらってるくらいの感じ
大福
『猫とスナイパー』で登場したあの猫、ずんぐりむっくり、まんまる、色は白、だから大福、命名は勿論だが指揮官。一日中を寝て過ごし滅多なことでは慌てない、対物ライフルが側で射撃しようが涼しい顔して寝れるくらいの謎の度胸持ち、どうやらそれなりに長生きしてる模様