それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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だからこそ情報を集めてそれを武器に彼女の平穏を維持する


心配性な情報網

時間は夕方、カタカタとキーボードを叩く音が響くこの部屋は広報室、今は室長たる【FMG-9】が記事作成の作業を進めていた、と言うのも

 

(締め切り明日だった……)

 

締め切りは厳守しましょう、それが印刷担当のカリーナのありがたいお言葉だった、と言う風に彼女は今ちょっと追い込まれている、一応ネタも揃ってるので間に合うのだが並行して色んなことしすぎたなぁと作業の手を止めずに反省していると扉がノックされた

 

「開いてますよー、今ちょっと修羅場なので勝手に入ってー」

 

「失礼します、貴女が時間にギリギリなんて珍しいですね」

 

「ん~?ああ、ウェルロッドか、まぁちょっと並行してやってたことにのめり込んじゃって」

 

並行してたこと?FMG-9から見て右側の椅子に座りながら【ウェルロッドMkⅡ】が聞けば、少し待っててくださいと言ってから作業の手を早め、切りが良い所まで進めたのか、これで良しと呟き、これですよとパソコンのモニターを見せられる。そこに表示されてあったのは彼女専用の通信画面、そこには様々な情報が入り乱れ、表示されては消えていく様子が映し出されていた

 

情報処理はウェルロッドも得意のはずなのだが画面を見せられたその一瞬で頭が熱くなったのが分かり目を逸らす、その様子を見てへへへっと得意げに笑い画面を自分の方に戻す

 

「っつ、そんなの見て良く無事でいられますね」

 

「それが私の取り柄ですので、こんな風に記事作成と並行して情報を整理してたら、記事そっちのけで時間経っちゃいまして」

 

「なるほど、しかしそんなに熱心に集めてどうするのですか……もしかして」

 

「ああ、違う違う、逆ですよウェルロッド、最近『大掃除』したから平和なものだよ」

 

大掃除、あの時代を間違えた男と犯罪組織の幹部と頭を処理した依頼の時を指しているのだろうがそれとあの情報の波が何の関係がと考え、思い付く、そう言えば大掃除と作戦名にしたのは目の前の彼女だがあれは大掃除と言えるほどの処理だっただろうかと、どっちかと言うとただの掃除レベルだったなと。それから作戦前にFMG-9が行っていた作業を思い出して、頭の中で全てが結び付いた

 

「……なるほど、派手にやりましたね」

 

「ええ、いやぁ、本当にボロいお仕事でしたよ~」

 

「だから態々変装してまであの基地のデータベースに潜り込む必要があったのですか」

 

思えば、何時もは後方で情報支援しかしない彼女が前線まで出張ってあのデータベースに潜り込むこと自体がおかしな話だったと今にして思うウェルロッド、FMG-9が当時やってたのはその基地の違法行為のデータをグリフィン暗部に送る……だけではなくあの基地の指揮官が繋がっていた犯罪組織全てのデータもその時に送っていたのだ、実を言うとあのターゲットかなりの大物であり、繋がっていた犯罪組織も大小様々なものがあり彼女が送ったデータによってこの地区は清浄化された

 

それに伴って彼女たち裏側は最近、出撃は殆どなくなっていたのだ、まぁそれでも偶に出撃はあるがそれでもかなり減っている、更に言えばですねとFMG-9は続ける

 

「グリフィンの一部で面白い噂が流行っててその御蔭でボスにちょっかいを出そうって奴が減ったのもあるね」

 

「面白い噂?」

 

ウェルロッドがオウム返しをすれば両手を下げブラブラさせながら、にっひっひと笑みを浮かべ

 

「この基地の指揮官は『呪われた人形のお姫様』手を出せば消されるって噂ですよ。後もう一つとしてこの基地に人間が殆ど居ないのは人間は人形に変えられたからだってのがありましたね」

 

「呪われたってお伽噺じゃあるまいし……」

 

ホントホント、寧ろボスからすればあいつら(にんげん)の方が呪われた人形なのにね~と記事作成を再開してキーボードを叩きながらそう告げる

 

「ですが、最近は少し歩み寄ろうとしてますよ指揮官は」

 

「……それは分かってます、ですがそうすればボスが再度悪意に晒される危険性が高くなります」

 

スゥッと眼鏡の奥の瞳が鋭くなる、彼女は指揮官の全てを知っている、偶々集めてしまったとも言える、彼女が指揮官になる前に人形(にんげん)共から受けた仕打ちの数々を知ってしまっている、だからこそ指揮官にはもう人形(にんげん)に近づいてほしくないとすら思っている

 

だが、だからといって指揮官の意思を無視することはしてはならない、彼女が人形(にんげん)を少しでも信頼して一歩でも歩み寄るというのならFMG-9は止めないだろう、だけどその決意を、覚悟を人形(にんげん)がまた裏切ったらと考えてしまう

 

「駄目、ですね。やれやれ何時から私はこんなに心配性になったのでしょうか」

 

「心配性は裏側の皆も一緒ですよ、無論、私だってそうです」

 

「それもそうでしたね、それにしても最初は副官含めた三人だけだった私たち(暗部)も気付けばそこそこの人数になりましたね」

 

あまり増えるとリスクが増えるので両手離しには喜べませんがと言いつつも彼女は味方が増えてる現状を良しとしている、ウェルロッドもそれを知っているので素直じゃないですねと彼女にしては珍しいからかい気味に呟くと、記事にしますよと脅しが飛んでくる

 

「何をするというのですか」

 

「指揮官に押し切られてメイド服試着の写真のデータが此処に」

 

「分かりました、謝りますからそれは止めてください」

 

少し顔を赤くしながらウェルロッドが降参の意を見せれば残念ですと微塵も思ってない声でFMG-9は呟きながら、最終確認を終えて出来上がった記事のデータをカリーナのデータベースに送る

 

「終わった~、そろそろ人手を増やそうかな此処」

 

「そもそも何故一人で作ってるのですか、紅茶飲みますか?」

 

「飲みます、別に一人が良くてって訳じゃないんですがね……」

 

ぐで~と突っ伏しながらウェルロッドの言葉にそう言い返していると画面が突如、先程ウェルロッドに見せた通信画面に切り替わり一匹の黒猫が口に手紙を加えて画面内に現れニャーとデジタル音を響かす

 

それを聞いたFMG-9とウェルロッドの眼が仕事に切り替わる、つまりそういうことだ

 

「紅茶は、後ですね」

 

「やれやれ、最近暇だって言ったらこれですよ」

 

今夜、彼女たちは久しぶりにツーマンセルで闇を駆けた、全ては指揮官の為にと




手を出せば消されるは割と合ってない君たち?あ、この基地のFMG-9は情報処理方面にブーストが掛かってます、戦闘方面は並ですが情報を扱わせると異常に強くなり感じ

ウサギのスキルの火力ヤバすぎぃ!?陣形を弄れば回避簡単だとわかったけど初見のインパクトでかすぎて笑うわあんなん

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