それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

106 / 399
少し早い舞台裏


うさぎ狩り作戦(仮) Session8

《うっ、あ゛あ゛あ゛……!!!》

 

《指揮官さま!!》

 

「何、を……」

 

通信機から今も聞こえるカリーナの指揮官を呼ぶ殆んど悲鳴に近い声、そして指揮官の叫びにやっと声を出せたのは【FAL】だったが状況は理解できてない、出来たことと言えばイントゥルーダーが基地に居るはずの指揮官に何かをしたという漠然としたことだけ

 

そしてイントゥルーダーはと言うと倒れた体勢のまま口元を弧に歪め笑っていた、勝利を確信するかのように、漸く実った成果を祝うように

 

「カリーナ、状況報告して!!」

 

《わ、分かりません、そちらの戦闘が終わって陽動部隊の方の戦闘を確認したら急に!!指揮官さま、聞こえますか指揮官さま!!》

 

《かっは……あ゛あ゛ぁぁぁ……》

 

《こちらカリーナ、医務室!!直ぐにペーシャちゃんを!指揮官さまが、指揮官さまが!!!》

 

先程までは叫びだった指揮官の声が段々と弱々しくなっていくのが通信越しでも分かり、カリーナの動転した声でPPSh-41を呼んだ所で指揮官の意識が無くなったのではと直感していよいよ頭の中が白くなり始める

 

思考が纏まらない、次に打つべき手があるはずなのにそれが浮かばない、その事に思わず苛立つ面々、こんな事態を想定できるはずもなかった彼女達は副官に命令を仰ごうと見ればそこには更に衝撃的な光景が広がっていた

 

「答えよ!!!アヤツに、指揮官に何をしたのじゃ!!!」

 

「部隊……長?」

 

倒れ笑っているイントゥルーダーに馬乗りになり、修羅のような苛烈な顔で銃を突きつけ叫ぶM1895の姿、彼女のあのような姿を見るのは初めてであり、更に言えば作戦中に彼処まで我を忘れたかのように声を荒げるのなど想像すらつかない話である

 

「はっはは、答えよ?言うと思ってるのガッハ!?」

 

「余計なお喋りはいらぬ、何をしたのかを答えろと言ってるのじゃ!!!」

 

笑みを浮かべ既に瀕死のはずの身でありながらM1895を挑発するように口を開けば、それを言い切る前に右が飛んでくる、それから今度は眉間に銃口を当てて銃爪に指をかけつつそう叫ぶ

 

見れば指が震えている、なけなしの理性が銃爪を引くのを堪えているのだ。対してイントゥルーダーは余裕の表情も態度も崩さず、軽く溜息をついてから

 

「いいわ、教えてあげる。あの娘の目、まだ完全に扱いきれてない様子だったから、100%にしただけよ」

 

「……貴様、まさか!?」

 

「あら、気付いたのね、目から脳に伝わる情報を100%にしたのよ。こうすれば敵部隊の情報は丸わかり、戦場の情報も、味方の情報も、全てが閲覧される……まぁ生身の人間の脳みそに耐えられる情報量ではないでしょうけど」

 

ガチャリと銃爪の指に力が加わる、その目はそれだけで誰かを殺せるのではないかという目であり、本当であるならば既に引かれるはずの銃爪を歯を食い縛り堪えている。がそれもそろそろ限界なのだ、いや、もっと言えばこいつを殺して早く指揮官の元に帰りたいのだ

 

「あの目のプロテクトは馬鹿みたいに強力だった筈じゃ、それは、どうした」

 

「教えるとでも?フフ、冗談よ、ちょっと遅効性が過ぎるけどかなり強力なウィルスを仕込んだのよ、一度彼女の目に介入した時に開けておいた抜け穴を使ってね」

 

嘘か本当かの判断がつかない、がもし本当だとしたら今までのセリフに意味が生まれる。手を出さないし出せないのは仕込んだ毒がバレるから、もう少し休憩が欲しかったのは自分たちが戦闘中にそのウィルスが発動する予定だったから

 

辛うじて残っている冷静な部分で何とか考えようとする、がそのなけなしの理性を目の前のイントゥルーダー(てつくず)はいとも簡単に

 

「さて次はどうするのかしら、二度も指揮官を失った副官さん?」

 

「貴様ァァァァァァ!!!」

 

叫びと共に銃爪が、引かれた、イントゥルーダーが最後に見たのは今にも泣きそうな目のM1895、子供のような表情の彼女を最後に、そこで意識が途切れ……

 

「機能停止を確認、お疲れ様でしたイントゥルーダー」

 

無機質で感情が乗っていない声で目が覚め、大型チェア型の機械から顔を上げればそこにはメイド服のハイエンドモデル【代理人】の姿、イントゥルーダーはそんな彼女に

 

「ふふ、どうだったかしら私の舞台は」

 

「さぁ?ですが良いようにかき乱し、そして成果だけを持ち帰って来たという点では大変よろしいのではないでしょうか」

 

劇、にではなく今回の作戦の評価しか貰えず思わず苦笑するイントゥルーダー、しかし代理人は何時もこんな感じなのでそこの評価を貰おうと言うのが間違いなのだが

 

さて、何故イントゥルーダーが無事なのか、その種明かしと行くとあの場に居たのは試作段階のダミーシステム、それもAIではなく自身が意識をそこに移し性能も反応もオリジナルのハイエンドモデルと変わらない人形を動かす物であり、まだ試作故に指揮能力は半減しているがそれでも十二分の性能である

 

そして今回、イントゥルーダーが丁度、やりたい目的がありその試運転に付き合い行ったのが今回の作戦、詰まる所、最初から最後までイントゥルーダーの劇であり、エルフェルトはそれに利用しただけである

 

「一つよろしいでしょうか、なぜ【ユノ】に再介入を?」

 

「覚醒を促す為よ、あれくらいじゃ死なないでしょうから。丁度いい塩梅で侵食が進む筈ですわ」

 

「……覚醒させる必要性が見いだせません、あの時点で殺したほうが良かったのでは」

 

「いいえ、必要よ。あの娘がユノを覚醒させれば間違いなくこちらの味方となるのだから、それもグリフィンの人形を全て引き連れて、ね」

 

口元を歪めせそう告げる、それから代理人に背を向け自室へと戻っていく、その背中を見て代理人は思う。なぜ彼女はあそこまでユノの適合者に構うのかと、あんなのがなくとも我々の優位は変わらないはずなのにと、が直ぐにその思考は削除し彼女は業務に戻っていった

 

自室に戻ったイントゥルーダーは机に置かれている端末を起動させる、が画面は映らず、それを見た彼女は当たり前かと思いつつ端末を切る

 

「流石に、直ぐには意識が戻るはずもありませんか」

 

仕込んだのは毒だけにあらず、侵入者はそこに無害な目も置いていっている。彼女は待ち望む、目の適合者の覚醒を、そうすれば舞台は更に賑やかになるのだからと




イントゥルーダーがこの作品の重要鉄血ハイエンドモデルになりました

イントゥルーダーがすげー強キャラ的存在になってるし、この基地のラスボスみたいな立ち位置になってるしで混乱してる作者が居るらしい

因みに最後の無害な目と言うのは言っちゃえば見える景色は指揮官のと全く同じという無駄な高性能なくせに音が拾えないとか言う欠点抱えちゃってるウィルス、ウィルスだけど無害判定されるから目の防衛に引っ掛からない、だけど指揮官のと同じだから人はマネキンだし、重要書類斜め読みで盗めないし、録画機能無いしでもっぱらイントゥルーダーの暇つぶしチャンネルみたいな扱いになってます

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。