それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
「なんか、おばあちゃんとこうして二人で出掛けるのって久しぶりだね」
始まりは執務室のインスタントコーヒーが無くなったからM1895がならば買いに出るかと言い、便乗する形で指揮官が偶には外に出ようかなと呟いたことだった
それを偶々聞いてた【G36】が送迎をかって出て、今はこうして二人のんびりと歩いている。因みにG36は勝手についてきて指揮官と一緒に買物行くと駄々をこねる【P7】を引き摺り別の買い物に消えていった
「そうじゃのう、わしとしては一人のんびり買い物するつもりじゃったがまぁ、こういうのも良いか」
「一人って、街までどうやって来るつもりだったのさ」
「その時だけは無論送ってもらうのじゃ、わしの身長でも運転できる車があれば楽なのだが……」
グリズリーに言えば何か出てきそうだけどね、と思った指揮官だがそれを教えて本当に出てきて乗り回されるとこうして出かける機会が減るのではと心配が生まれ黙っていることにする
一方、M1895はもしそんな車があったら一々誰かに頼まずとも自分のさじ加減でこやつを外に出せるので是非とも欲しいと思ってたりする、M1895は基本的に少しスパルタである、まぁストレスが見られれば直ぐに中断してしまう甘さもあるが
その後も本当になんてこと無い雑談を交えながら目的のいつもの雑貨屋に辿り着き店内に入れば、何時ものように穏やかな笑みを浮かべた店主の老婆が見た目通りの優しい声で
「いらっしゃい、あら、二人が揃ってるところを見るのは久しぶりだねぇ」
「呵々、ちょいとバタバタしててな、そちも変わりないようで何よりじゃ」
「こんにちは……すんなり言えた」
「ほう、やはりあれから少しは軽減されたか?」
言葉が詰まることも噛むこともなくスラッと出てきた普通の挨拶、それに一番最初に驚いたのは言った本人だった、それからM1895が驚きの声を上げ、店主に至っては目を見開き驚いていた
「あらあら、嬉しいねぇ、今日は少しサービスしちゃいましょうか」
「別に良いのじゃ、店主、いつものインスタントコーヒーあるか?」
あいよ、少し待ってておくれと店主は店の奥に消える、それを見送ってからやれやれ大げさじゃのうと思いつつ指揮官を見れば、未だ驚いたように店主が居た方向を見ている姿があった
何をそこまで驚いている、そう思い聞いてみれば少し戸惑いながら
「い、いや、彼処まで喜ばれるなんて思ってなくて」
「ああ、まぁ、指揮官成り立ての頃から知っておるしからのう、それが成長したと感じれば嬉しくもなるじゃろ」
「そういうものなのか……あ、ちょっとお店見てていい?」
「む、良いが、商品を壊すなよ」
だから子供じゃないんだからさと呆れつつなにか興味が惹かれるものがあったのかその方向に一直線に向かう指揮官、それを見てそういう所じゃぞと誰にでもなく呟けば丁度、インスタントコーヒーを取りに行った店主が戻ってくる
その手には角砂糖が詰まった瓶もあり、そういえばそっちも無くなりかけておったなと思い出すM1895はありがたいとその分の料金を出そうとして
「ああ、こっちはサービスよ」
「いや、だからそういうのはよいと」
「良いのよ、受け取りなさい、人生の先輩からのありがたいお裾分けなのだから」
声色は先程と変わらない優しいものなのだが貫禄を感じさせるその言葉に、M1895は頭を軽く掻き、それから降参ですという感じの態度をとってから
「……はぁ、分かった角砂糖だけ受け取ろう、インスタントコーヒーは、これで丁度か?」
「確かに、それにしても本当に人が変わったねぇあの娘は」
「苦労したがな、それにまだ人間不信は治っとらんよ、あれはカリーナ達以外の『個人』を信頼することを漸く覚え始めただけじゃ」
それでも快挙じゃないと店主が嬉しそうにまた言えば、まぁそうじゃなと未だ何かを興味深く眺めている指揮官を見て微笑みを零す、が同時に指揮官はさっきから何を眺めているのだと言う疑問も生まれ近付いてみればそこにあったのはコマ、その中でもひねりゴマをどうやら先程から遊んでいたらしい
「ほう、コマとは珍しいものを見た」
「コマ?コマっていうんだ、回転すると柄が綺麗だから楽しいよ、これ」
「知らんかったのか……お主微妙な所で知識が欠けておるのう」
一回その辺の知識も教えてみるかと同時に考えつつ、ひねりゴマで遊んでいる指揮官に買うかと聞いてみれば即決で買うとなり、その光景を見て店主がまた優しく笑う
こうして雑貨屋での買い物を終えて二人はまたのんびりと町を散策する、途中M1895は今日は珍しく平和じゃのうと零せば
「良いんじゃない、のんびり出来ないと疲れちゃうし」
「その通りではあるが、のんびりすぎるのもちと疲れるのじゃ」
「そうかな~、私はそんなこと無いんだけど」
指揮官が小首をかしげそう告げると、M1895は苦笑を浮かべつつ何かを言おうとしてむっと気配を察知し、後ろを振り向けば輝いた笑顔でこちらに向け疾走する猫耳シスターとその後ろを追うメイドの姿、二人共器用に人の隙間を縫いそして
「指揮官!!」
「うわっとと、P7?危ないよ、人混みを走ってきたら」
「ああ、申し訳ございませんお嬢様……P7がもう我慢出来ないと言って駆け出してしまいまして」
「呵々、やはり後を付けておったか。まぁ丁度よい、もう帰ろうかと言った頃じゃ」
やはりバレてましたかと呟くG36、勿論だが気付いてない指揮官はえ、そうだったのと聞けばP7が悪い奴らに絡まれないか心配だからねと胸を張って告げる
「悪い奴ら?やっぱりこの辺りはまだ物騒なのかな?」
「そうですね、かなり治安はよろしいですがそれでも完璧はありませんから」
「特にお主は鈍臭いからのう……あっさり攫われそうじゃ」
「大丈夫よ、私が守るもの!」
「ふふ、ありがとP7、それにG36もね。じゃあ、帰ろうか、お腹空いちゃったよ」
楽しげに笑い、そして一日はこうして何事もなく終わりを迎える、そして翌日
「この工場跡地ですか?確かに鉄血の反応はありますが」
《ああ、その地区の調査を頼みたい》
その日、不思議な出会いが始まる
なんか偶に凄く書きたくなるナガンおばあちゃんと指揮官の一日、そして忘れた頃に登場する雑貨屋の店主、特に設定とかはないけど結構芯はしっかりしてるおばあちゃん
あ、次回、悩んだけどやっぱり書きたいから(自分が苦労するけど)コラボイベ編はっじまっるよー