それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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カリーナちゃんは報告書を纏めてるよ


本編
こんなやり取りしてるけど激戦区の司令部です


ここは複数あるグリフィン司令部の一つ、その執務室で書類整理をしていた軍服を身に纏ってはいるがそれ相応の雰囲気はなく幼さが残る顔立ちに逆に不安すら覚える少女、【指揮官】と同じく右隣でその手伝いをしていた白の軍服に同じく白のコートを羽織り、茶のミニスカート、頭には白のロシア帽を被った少女【M1895】はふと疑問を思い浮かべた

 

今こそ同一戦術人形を使いコアの節約しながら編成拡大を行っているが彼女が着任した時は高ランクの人形ならまだしも自分のような比較的加入しやすい、在るいは任務の際に救出する低ランクの戦術人形でさえコアによる編成拡大をしていたのだ。彼女も最初こそは戦力を早く揃えたいがゆえの行動だと思っていたのだが何故か同一戦術人形がいるにも関わらずコアを使って行うので首を傾げることも多々あった

 

それが在る日突然、思い出したかのように編成拡大に同一戦術人形を使い始めたのだ、これは疑問に思うなという方が難しいだろう、更に言えば任務でスコーピオンを救出し、その後本部からスコーピオンが送られてきた時があったのだがその際、指揮官がボソッと「なんで同じ戦術人形を……?」と呟いていたことも彼女の疑問を加速させる要因になっている。そこで少しだけカマをかけてみようと思い立つ

 

「のう、指揮官」

 

「ん?なに、おばあちゃん」

 

「職務中はそう呼ぶなと何度も言っておろう」

 

M1895に呼ばれた指揮官は何が嬉しいのかその顔をにへらと緩ませ返事をする、が職務中にもかかわらずオフの呼び方をするのでそこを注意されるとしゅんと縮こまりながら

 

「ご、ごめんなさい。それでどうかしたの?」

 

「いや、お主が最近コア不足に嘆いておったからな、年長者、もとい副官らしくアドバイスをと思っただけじゃ」

 

「え、なになに?」

 

「ランク3以上のを回収分解するとコアが手に入るぞ」

 

それを聞いた瞬間、指揮官の少女の目が光った、そしてその反応を見たM1895の目が逆に光を失った。今の反応で彼女は全てとは言わなくとも殆どを悟った、この指揮官はどうやら就任時の秘書的な存在【カリーナ】からの話を聞き流したか忘れたかしているらしいと

 

「やった、これでまた部隊の強化が捗るよ!」

 

「そうかそうか。指揮官、少し話がある」

 

両手離しに喜ぶ姿にM1895はほんの一瞬笑みを浮かべた後、真顔になってからドスの利いた声で少女に告げる。冷房をつけたわけでもないのに急激に低くなる体感気温に少女は先程までの喜びの顔は鳴りを潜め冷や汗を流し始める、如何に能天気ポンコツガールと呼ばれている彼女でも副官が怒っていることくらいは理解できる

 

「あ、あれ、ナガン。怒ってる?」

 

「ああ、着任の際にあれほどキチンと聞いておけよと言った事柄を尽く聞き流したお主にかなり」

 

マズイ、第六感が告げる警鐘に少女は目の前の副官が思ったより怒ってることに気づき、しかし反論の言葉など浮かぶわけもなく涙目に、だがその程度で彼女の怒りが収まるわけもなく

 

「丁度よい、ここらで小休憩としようか、のう指揮官?」

 

「わ、ワーイ……うぅ」

 

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さて今更ながらここは激戦区とも呼ばれる『S09地区』の数ある司令部の内の一つに配属されたのは今まさに説教を食らっている彼女だ。彼女ははっきり言ってしまえば突飛つして頭が良いとかはない平均的な少女、だが彼女の中では戦術人形は道具ではなく一人の個人となっている。それが指揮官としていまここにいる理由、大多数(無論、中には彼女と似た考えの持ち主もいる)が戦術人形は道具であり兵器という考えで戦場では使い捨てにされることも多々あるし人形側もそれを是としている

 

それが世界の常識だ、しかし彼女は生まれ物心が付いたときからそうと思えずどの戦術人形も人と同じように見えており、戦闘で破壊され投棄される彼女らを見て心を痛めていた、だからだろう、周囲の人達からは不思議なものを見る目で見られることも多く、面と向かって変だと言われたこともあった。無論、メンタルは一般的少女は凹んだ、凹みはしたが不思議とその考えだけは変わらなかった、不変を貫き指摘されてはまた凹み、気づけば人から何を言われても気にならなくなっていた少女の心を動かしたのは彼女を指揮官に仕立て上げた第二世代戦術人形の開発者【ペルシカリア】と今の副官であるM1895

 

「ふぅん、彼女達をそこまで思えるのか。君、ちょっと指揮官してみないかい?」

 

「ん、どうしたここはグリフィン司令部じゃぞ、迷子か?え、指揮官!?この情けなさそうな少女がか!?」

 

それぞれのファーストコンタクト、ペルシカの時はそんなことを突然言われ戸惑い、M1895の時は久しぶりに酷く凹んだ。それからあれよあれよと指揮官に就任されるタイミングで彼女の新たな才能が発覚した。それは試験の際のホログラム表示された戦場マップを見た時だった

 

「……?あの、これって敵が何処のエリアに居るか分かるように設定されてますか?」

 

「何を言っている?」

 

曰く、彼女の目には敵がいるエリアには赤い靄が映るのだと、無論それだけではどんな編成なのか、どのくらいの規模なのかはわからないが敵が何処にいるが分かるだけでも有利に働けるのは言わずもがな、試験はほぼ文句無しで受かりその能力この場合は所為でと書くべきか、激戦区のS09地区の司令部へと配属された。とここまでが簡単な彼女のあらすじになっている

 

それから数週間は経って今更な説教を受けている姿に威厳なんてものは欠片も存在しない、ここから彼女は15分休憩の内、10分を正座にて説教を受けることになる。この司令部での力関係がよく分かる光景、だがここではそれでいい、これはそんなポンコツガールと成長するように厳しく接しながらもそんな指揮官に何だかんだ甘いM1895と戦術人形たちのお話




ぐだぐだがスランプしたのと生存報告と息抜きとフロントライン楽しいよって理由で書き始めました!!

それと編成拡大とコア云々のやり取りは作者の実体験です、チュートリアル聞き流してましたはい

あ、回収分解でコアの話はもしかしたらチュートリアルじゃ出なかったかもしれないけどこの世界ではカリーナちゃんが一通りキチンと説明してくれたって体で行きます

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