それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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少女は知らない自分の感情に戸惑う、好きは一つじゃないことを知る


アンノウンエモーション

指揮官は戸惑っていた、これが何なのかを理解できなかった。どうにか自分で解決しようと考えるも日に日に疲れていく様子に周りも指揮官の様子がおかしいと噂になっていた

 

そんな彼女がいよいよ切羽詰まり聞くしかないと思って次に向かったのはデータベース、M1895やG36に頼るのも考えたのだがなぜか知らないがこれを彼女達に聞きたくなかった、だからカリーナを頼ることにしたのだ

 

データベースの扉をノックすればカリーナの声が聞こえ、入ってもいいですよと許可をもらってから扉を開ける

 

「あら、指揮官さま……えっと、如何なされましたか?お疲れの様子ですが」

 

「カリン……ちゃん」

 

声が震えていた、それほどまでに彼女は追い込まれていた。無論、誰が悪いとかではない、彼女自身がこのあの日生まれた感情が理解できずに振り回され限界が近づいてきているだけ

 

これは簡単な話では無いなと判断したカリーナは優しく微笑みかけ、椅子に座ってもらってから自分は扉を開けて【現在取り込み中、要件の時は副官を通してください】という張り紙を貼ってから鍵を掛け、ココアを出して飲んでもらってから

 

「落ち着きましたか?」

 

「うん……突然、ごめんね」

 

「いいえ、私は大丈夫ですわ。今は指揮官さまの方が心配ですわ、何か悩み事でしょうか」

 

「PPKがね、私の事が好きだって、だから頑張るんだって、それを聞いたら心臓が早くなって、自分が思ってた好きってもしかして何かが違うんじゃないかって……」

 

指揮官はポツリと呟くように尋ねる、彼女にとって『好き』とはM1895やG36、この基地に居る戦術人形に向ける家族に向けるようなものだけしか知らない。だがあの時、休憩室から断片的に聞こえてしまったPPKとドラグノフとの会話を聞いてから自分の好きが分からなくなってしまった

 

「……ねぇ、好きに、種類ってあるのかな?」

 

「ええ、ございますわ。指揮官が今までそれだけだと思っていた好きは家族愛のような友人とかに向けるもの。でもPPKさんに向けていたのは彼女を特別に想う好き、なのではないでしょうか」

 

「特別……?」

 

「そうですわね、例えばPPKさんとお食事している、その時はどうでした?」

 

聞かれ思い出す、PPKが笑顔で会話しているのを見ていると自然と笑顔で楽しく食事をしていた、太陽だって言われた笑顔で居れば彼女も向日葵のような笑顔で答えてくれるのが嬉しいと思っていた

 

答えれば、カリーナはふむふむと状況を整理する、そうすれば出てきたのはああ、という納得。彼女は始めからその感情があったのだがそれを一括りにしていて知らなかっただけなのだと

 

「指揮官さま、それは『恋』ですわ」

 

「恋?好きとは違うの?」

 

「色々解釈はありますが私が言うならば、先程も言ったその人を特別好きになること、それが恋。だから指揮官さまはPPKさんと一緒に何かしている時に自然と笑顔でそれを相手も返してくれることが嬉しく思えたり、もしかしたら彼女の行動にドキッとしたことありませんか?」

 

「あ……それ、ある」

 

思い出すのは初めてPPKの料理を食べた時、一生懸命作った料理が焦げて落ち込んでいるのを元気づけようと食べて美味しいと言ってから一緒に食べようと誘った時に見せた今まで見たことのない綺麗な笑顔に顔が急に赤くなったことを、それはもしかしたら同性でも赤くなるくらいに綺麗なだけだったかもしれないが、何時だったかのお風呂を一緒に入った時もあの一生懸命に誘ってくれた時の顔に何故か鼓動がトクンと跳ねた事を

 

「それ、それですわ指揮官さま」

 

「これが、そうだったんだ……でも、どうすればいいんだろ」

 

指揮官にとっては初めての恋という感情、それも実は随分前からPPKに持っていたはずだが一括りにしていて気付かなかったその感情を前にして不安と恐怖と戸惑いが声に同居していた。見れば表情も戸惑いの色が濃く見える、それを見たカリーナは拳で自分の胸を叩いてから

 

「ご安心を指揮官さま、不肖カリーナ、全力でサポート致しますわ!」

 

「ありがと、へへ、心強いよ」

 

(まぁ、私も恋愛はしたこと無いのですが、しかし可愛い可愛い指揮官さま(いもうと)が困っているのを見過ごせる訳ありませんわ!!)

 

要は見栄である、だがそこは秀才カリーナ、書物や本部の人との会話、ヘリアンと言う実りはしないが経験値はある彼女の愚痴から情報を取り出して頭の中で組み立てていく、そして情報を下に指揮官とPPKの現状の距離感、今感情を知ったことによる修正を加え、打てそうな手札を作り出していき

 

「(となると、これしかありませんかね)恋は駆け引き、恐らくPPKさんからは指揮官さまが自分に恋という感情を持っているとは気付いていないはずですわ、ならばやることは一つ」

 

「……」

 

「何時も通り、笑顔で接してあげてくださいな。それが今一番の手段ですので」

 

「え、それで良いの?」

 

はい、寧ろそれ以外の選択はありませんと断言すれば、指揮官も納得し何処か安心した感じにココアを一口飲む、一方カリーナはこれで納得してくれて助かったという感じに息を吐いた、これで納得されなかったら白状すれば手札がもう無かったからだ

 

指揮官はその日のアドバイスを今も忠実に従ってPPKとの食事や買物を自然体で楽しんでいる、もうその顔に、胸に不安も恐怖も無い。その様子に心配がっていた周りも安心したのだがカリーナここで痛恨のミスをしていた

 

それは二人が夕食を食べて、今日も美味しい料理に舌鼓を打って食後の雑談中に起きた。何気ない会話、いつもと変わらない声で、まるで何とも無い事のように

 

「私ね、PPKの事が好きみたい」

 

「……へ!!!???」

 

近くに偶々居たM16が口笛を吹き、IDWが驚愕に目を見開き、FMG-9が静かにメモに凄まじい速度で何かを書いていき、カリーナが何かを思い出したかのように食堂に来るが状況を確認してやっちまったという顔になり、最後にPPKが返事もできずに倒れた

 

「あれ?」

 

指揮官は小首を傾げた、そしてカリーナから改めて恋について説明を受けそこで自分がした事の重大さを理解し顔を赤くし慌てふためいていた。カリーナは今度があるのならば指揮官にはキチンと教えてあげよう、そう心に誓いつつこの混沌とした現場をどう収めようかと乾いた笑いをするのであった




Q カリーナの痛恨のミスって?
A 待ちを教えなかった、好きだって告白するのは特別なことだってことも教えなかった。

駆け引き得意じゃない&そもそも恋がどのくらい特別かを理解切れてなかった指揮官、まさかのどストレート登板。これがどうなるかはまた別の機会に、え、つまりどういうことかって、クリスマスまで待て(予告

前回のPPKの決意をフルスイングでピッチャー返しで答えるのが指揮官スタイル、この娘も最近自由に動き回りから困る、でも楽しそうだから良いや

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