それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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嘘は言ってない


サンタクロースとは

基地の掲示板、今日の業務もリハビリも終えて少し暇だったので何か目新しいことでも書いてあったりしないかと見に来た指揮官の目に入ってきたそのイラストを前に指揮官は一人悩んでいた、と言うよりこれは何だと考えていた

 

大きな角を生やした動物が引っ張るソリにしては少々大型の乗り物に乗る、赤い服のふくよかなお腹、真っ白い立派なひげを生やし頭には白い飾りをつけた赤い帽子を被りそのソリの後部座席には大きく膨らんでいる白い袋を乗せた謎の老人

 

しかも街の夜空を飛んでいるのだ、彼女が何だこれはとなるのは当然だろう

 

(新しい作戦?クリスマスって何の意味だろ、それにこのお爺ちゃん何者だろ、新たな戦術人形?いや、民間の自立人形?)

 

でも空を飛ぶソリなんて聞いたこと無いしと結構真面目に悩んでいるそこに【RO635】が現れる。彼女は腕を組み掲示板を前に考え込む指揮官を見てどうしたのかと近づき、彼女が見ている物を見てみれば

 

「クリスマスのお知らせ、ですね。それがどうかしたのですか指揮官?」

 

「クリスマス?」

 

その反応にRO635はあっと思い出す、彼女は過ごした養子時代以前の記憶はなく、その養子時代も酷い有様だったと、なれば知ってて当然であろうことでも知らなくても不思議ではない

 

となると教えてあげるべきですよねと彼女らしい思考で口を開く、がRO635と言う少女、非常に真面目であるのだが何処か抜けている面もある

 

「えっと、クリスマスとは……」

 

そこから始まったのは噛み砕くという行為を忘れたクリスマスについての徹底した解説、クリスマスの始まり、歴史、どんな行事なのか、国が存在してた時は各国がどのようにそれを行っていたのか、とにかく1から100までと言った勢いで説明をしていく、

 

別に彼女は知識を自慢したいとかそういうのではなく純粋に指揮官に知ってもらいたいが故の行為なので100%の善意、そこを指揮官も理解しているのでキチンと聞いていたのだが次第に頭が熱くなっていくのを感じ始め

 

「……(プシュ~)」

 

「と、ここまでが、指揮官!!??」

 

遂に彼女が処理できるキャパシティを超え人形である彼女ですら頭から煙が出ているのではと思わされる顔になった指揮官、慌て介抱するRO635、彼女は彼女でやってしまったと反省、というか何故一辺にそこまで説明したのだ私!と後悔すらしている

 

「あら、どうしたのかしら?」

 

「べ、Vector、すみません、クリスマスについての事を詳細まであれこれ勢いで説明してしまい……」

 

「ああ、キャパオーバーしちゃったのね。大丈夫よRO、よくあることだから」

 

フラッと現れたのはVector、慌てふためくRO635と目を回している指揮官を見て声を掛ければそう答えが返ってきてふふっと思わず笑いそう伝える

 

でも何故クリスマスと掲示板を見れば見覚えのあるイラスト、それでああと納得する。それから指揮官のおでこに手を当て優しく撫でてから

 

「大丈夫かしら指揮官」

 

「うう、Vector?あ、うん、大丈夫、クリスマスって行事あったんだね、そう言えばこの時期になるとちょっと賑わってた気がしたなぁ」

 

「ごめんなさい指揮官、もう少し噛み砕くか、手短に分かりやすくすればよかったですね……」

 

「でもお蔭でクリスマスって何なのかがよく分かったよ、ありがとRO!ならこの、えっとお爺さんは何者?」

 

なるほど、クリスマスを知らないなら彼を知らないのも当然かとVectorは頷いてから

 

「フォッフォッフォッって奴ね、そうね、簡単でいいならば私が説明してあげるわ」

 

その時、RO635はなにか確信に似た直感を感じた。だが何を確信したのかが分からず小首を傾げる、そしてVectorが非常に分かりやすく、本当に分かりやすく

 

「このお爺さんはサンタクロース、クリスマスの前夜、イブの深夜に子供のいる家に誰にも悟られずに侵入、そしてその子供が欲しいと思っている物を綺麗に包装された箱に入れた状態で枕元に置いて、また誰にも悟られずに去って行きまた別の子供のところへと行く存在よ」

 

「……え、いや、え?」

 

「更にこのサンタクロースと言う存在、こんな目立つような姿をし、このようにイラスト等にされているというのに誰も本物の姿を目撃した事がないの。話では文明崩壊前の人間がその当時最新の機器を使って追跡、捕縛しようとしてことごとく失敗したとも言われているわ」

 

嘘は言ってない、言ってないですけど!!!RO635は叫びたかった、更に言えば修正したかった、この説明では何をどう見繕ってもサンタクロースと言う夢の存在が夢も希望もないヤバイお爺さんになってしまう、だがいくら指揮官でも真に受けるなんてことはと微かな希望を胸に見れば

 

顔を青ざめ、身体を震えさせている明らかに恐れている様子の指揮官だった、

 

「は、犯罪者……!?で、でも何でバレないの、しかも欲しいものを教えてないのに知ってるって」

 

「ええ、不可思議なのよ、その日以外には影も形のないの、ああ、ごめんなさい大事なことを言い忘れてたわ」

 

怯える指揮官を見て口元を少し歪めせ、わざとらしく忘れたと言ってから恐怖を煽る顔でニコリと笑ってから

 

「サンタクロースがプレゼントを送るのはいい子だけ、悪い子は……攫われてしまうのよ、それも翌朝まで誰にもバレずに、ね」

 

「Vector!その説明はあんまりなのでは!?ああ、ほら、指揮官が」

 

「ふふっ、ごめんなさい、でも嘘は言ってないわよ?」

 

「私が言ってるのは言い方です!大丈夫、大丈夫ですよ指揮官、私達が守りますから」

 

RO635はVectorを叱りつつ、自分の背後に回り小動物のように震える指揮官を安心させるためにそう言うがそれが今の言葉が本当であることを彼女の中で確信させ、それが後にサンタクロース防衛作戦という珍作戦を引き起こすのだが今の彼女たちに知るよしはない

 

今は怯える指揮官を何とかしようとするRO635をVectorが微笑みながら眺めるそんな光景だけが広がっていた。因みにVectorはその後G36にこってりと叱られたのだが訂正はしなかったところを見るにもしかしたら彼女は本気でそう思ってサンタクロースを説明したのかもしれない




謂れのない風評被害がサンタクロースを襲う!!!

新規戦術人形の為に製造祭りを行いました、誰も来ませんでした。どうして……どうして……(現場猫
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