それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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人も動物も人形も彼女の担当


基地専属軍医ペーシャちゃん

この基地には人間はカリーナと指揮官の二人しか居ない。それはつまり乗り物の整備、銃の整備、清掃、倉庫管理等など人がやるような事は全て人形で賄っていると言えるのがこの基地、そう全て……それは勿論、医者という立場も人形が担当しているということである

 

「捕まえた、姉さん」

 

「はい、大人しくしててくださいね~」

 

「グゥ~」

 

「よしよし、いい子だから大人しくしてて」

 

基地唯一の医者、【PPSh-41】彼女の仕事はこの基地の医療全般、人である指揮官とカリーナは勿論、基地の戦術人形、保護や飼われている動物の治療なども入っている。現在は救護室にて動物たちの週一度の健康診断、これには気付けば救護室担当になっていたWA2000とPPSh-43も手伝いに入ってくれている

 

お蔭でそこまで苦労も時間も掛からずに診断は終わり、必要な動物への治療も完了する、彼女は本来は人間のみなのだが一応の知識としては動物も見れる、がここに来てからは人より動物の方が多くなってる

 

「(まぁ、指揮官やカリーナに何かあっては困るのでよろしいのですがね)これでよし、WA、他に気になる子とか居ますか?」

 

「問題ないわ、強いて言うなら今日は見れなかった大福だけど」

 

「大福なら、捕まえようとしたら救護室から逃げたわ、あの図体で速いのよアイツ」

 

「彼女は……自由すぎて捕まりませんから、一応見かけたら診てみますっと、では何かありましたら通信をください」

 

テキパキと片付けをしてから、二人に頭を下げて救護室を後にする、出てから腕時計で時間を確認、次の用事まで時間があるので一旦一息付きますかと食堂で早めの昼食を取ることにする。その後は医務室に戻りコーヒーを飲みながら、少し物思いに耽る事にした

 

元々、彼女はこの基地の所属でもグリフィン本部に居たわけでもなくグリフィン系列の病院で警備及び業務の手伝いとして配属されていた戦術人形、だがそこで腕も人もいい医者に色々と教わり、自身も勉強を重ね、時よりオペの手伝いや診療も担当するほどの性能の高さを見せ貢献していたのだがある日グリフィン本部から通達が来て、この基地へと異動し今に至る、なので彼女は戦闘に出ることは殆ど無い、あっても基地が万が一襲撃された際の指揮官の護衛くらいだろう

 

当初は人が二人しか居ないという話を聞き大丈夫なのかその基地と思っていたし気に入っていた病院を異動させられたことにムッと来ていたのだが此処の指揮官を見て、更に過去の事情を全て聞き、気持ちが決まった。彼女のことは自分が担当すると、此処で断り元の病院に戻ればそれこそ後悔するだろうと思ったのだ

 

それから時が経ち、今では余計に目が離せない患者の一人になった、この間の脳血管の破裂は彼女の医療時に携わってた中で一番の出来事であり流石にこの時ばかりはオペを五体満足で終えることは厳しいかもしれないと思ってしまった、そして結果が右手の軽度の麻痺、そして

 

(人工眼が血管を作り直し脳内に……ペルシカさん曰く今後は侵食と呼ぶことにしましたが、あれが進めばどうなるか)

 

更に言えば雨の日にG36が聞いた指揮官の頭の中で蠢く感覚と言う証言、その後、急にぼんやりし出してM1895が声を強く掛けたことで戻るもその直前の記憶が多少改変されてたと。それを聞いたPPSh-41は今まで聞いたこと無いような事が起こっている指揮官に本気で心配になり指揮官を医務室に呼び検査を一通り行うが

 

(数値は異常なし、写真の黒い線も動きはない、指揮官とのカウンセリングも隠し事をしている様子もなく本気でそう思っている)

 

となると目がやはり何か関与を?そこまで行ってしまうと管轄外になるのですがと思いつつ情報をまとめたカルテを眺めていると扉がノックされる。彼女の仕事は身体的治療は勿論そうなのだが他にはメンタルケアやカウンセリングも仕事に入っている、どうぞと返事をすれば入ってきたのは

 

「こんにちは、先生」

 

「いらっしゃい、P7」

 

この基地では一番、メンタルケアが必要であろうP7、よいしょっと椅子に座った彼女は今日のことを話し始める。その殆どが指揮官のことだがPPSh-41からすれば実はこれは結構ありがたい、自分では見落としている可能性があることもP7からポロっと出てくることが多々あるからだ、なので真剣に耳を傾け、気になる事柄があれば聞いてみたり、メモを取ったりしていく

 

「それでね、指揮官ってば倉庫から出てきた自転車に興味持って大変だったよ」

 

「あ~、まだ右手が完治してませんからね、流石にそれは私も許可できませんよ」

 

「でしょ?まぁその後で副官に怒られてたけど、ねぇ先生、指揮官の右手って後どのくらいかかるの?」

 

「昨日の時点を見ればもう殆んどって感じですから今週もきっちりリハビリをすればって所ですね、驚くくらいの回復力です」

 

なので安心してくださいと伝えると良かったわと笑顔になるP7、本当に母親のように慕ってますねと微笑ましいものを覚えつつ、ダミーからの医療品の在庫の報告を纏めて、どうやらまだ足りなくなりそうなものは無さそうだと思いつつ一応補充しておきたいものを書き出していく

 

それから一時間ほどP7は話をしていき、医務室を出ていく、これからステアーと遊ぶらしい、元気良いですねと感心しつつふと窓から空を見ればどんよりとした雲、そう言えば今夜はまたかなり冷え込みが厳しくなるらしいですね、なんて思ってから

 

「……今夜は降るかもしれませんね、指揮官って見たことあるのでしょうかって噂をすれば影、ですね。どうぞ指揮官」

 

「ごめん、ちょっと仕事立て込んじゃって」

 

リハビリの時間を少々遅れてやってきた指揮官になら仕方ないですねと笑いかけ、今日の分のリハビリを開始する。動きも当初よりスムーズになりこれならP7に言った通り今週のリハビリで問題無さそうですねと安堵の表情を浮かべる。その事を指揮官に教えれば大層喜ばれた、聞けば、よほど自転車に挑戦したかったらしい、クリスマス前に怪我されたら洒落にならないので92式に連絡して補助輪の発掘を急いでもらおうと思うPPSh-41だった




この基地のアキレス腱の一つPPSh-41、彼女やられるとちょっと洒落にならない。まぁそのための人員は割いてるので守りは固くなってる。因みに常にダミーはフル動員、オペもダミーと行う高スペック

それより合法軍服ロリが補助輪自転車漕いでる姿を想像したらあ、指揮官だこれってなった、可愛い(親馬鹿

荒ぶる神様もぐもぐしたりクッキー集めたりサンバクリスマスしたり時間が足りねぇ!!

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