それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
その日、M1895はふと一人で街に出たくなった、特に理由無いし買い出しが必要なものがあるというわけではなかったがこういう日もあるかと指揮官に軽く告げ、グリズリーに声を掛け、今街に着いた
「じゃあ、必要になったら連絡をくださいな副官」
「うむ、すまぬな」
「構いませんよ、でごゆっくり」
エンジン音を響かせ軽快に発進する発見してからお気に入りの相棒にしているグリズリーのヘミ・クーダを見送ってからぐっと伸びをして
「行くか、久方ぶりに一人じゃしあれこれ見てくかのう」
こうしてM1895のぶらり散策が始まる、何も考えずに、特に決めたこともせずぶらりと歩く、街を行き交う人々の喧騒、店や屋台の呼び込み、何処かの戦術人形の楽しげな声、相も変わらずこのご時世に活気に満ちている街じゃのうと思いつつ最初に寄ったのはいつもの雑貨屋
(……いや、まぁ、街によると何時も挨拶しとるしこれはもう癖みたいな奴じゃ)
誰にしているか彼女自身もわからないがついついここに足を運んでしまったことに言い訳を頭の中で並べつつ扉を開け店内に入る、いつもと変わらない様子の店内、だが今日は珍しく店主の老婆と会話をしている綺麗なマリンブルーの髪の女性の姿があった
「これになんない?」
「ならん、ほれ払えるんだろ?」
「……OK、降参。はぁこれカルに怒られるよね」
どうやら値切り交渉をしていたようだが様子を見るに敗北したようだ。それを見てM1895はあの老婆から値切りなぞ成功するわけ無いじゃろと内心で思っていると会計を終えた女性が出ていこうと来たので退くついでに顔を見た時、何かが引っ掛かった、だがジロジロ見るのも悪いのでさっさと視界を切り、店内に進む
「どうも、店主」
「おや、いらっしゃい、今日はお嬢ちゃんは一緒じゃないんだね」
「まぁな、流石に日がな一日共にいるというわけでは無いのじゃ。それよりさっきのは?値切り交渉をされてたようじゃが」
「あいつかい?まぁお得意様の一人だよ、あれでも二割は値引いてやってるからね」
それに驚くのはM1895、まさか多少なりと成功させているとは思ってなかったのだ、その顔が面白かったのか店主は呵々と笑い
「わしも押し切られることがあるってことよ、さて、何かお探しかい?」
「今日は特にという訳ではないのだがな……そうさな、少々店内を見てくるのじゃ」
あいよ、ごゆっくりと告げて店主は本を読み始める、M1895は宣言どおりに店内を軽く物色を始めるがその間でも先程の女性の顔が引っ掛かることを頭の中で考える
どこかで見たことがあるような、そんな感じだ。しかし何処かと言うよりも何かでと言ったほうが正しい気もする、がやはり何処かで見たこともあるようなと悶々と考えるが引っ掛かりが増えるだけで答えには辿り着かない
(止めじゃ、ここまで思考を巡らせて出てこないのでは時間が無意味に過ぎるだけじゃ。さて何も買わずに出るのはどうかと思うがなにか必要なものがあったかのう)
困ったと言った感じに店内を物色して足が止まったのは本の棚、そこには本だけではなく写真を保存するためのアルバムもあり、表紙のデザインも様々だ。それを見てポンっと閃いた、そう言えば指揮官があれからカメラに嵌っておったなとならば必然と写真も増えていく、その時に保存できるアルバムがあればあやつも助かるじゃろうと
そう考えれば善は急げとばかりに一冊の、花柄の表紙のアルバムを手に取りレジに向かって持っていき
「店主、これを……これで丁度じゃろ?」
「はいよ、確かに丁度、しかしアルバムねぇ、お嬢ちゃんかい?」
「そうじゃよ、あやつ最近になってカメラに嵌ってなぁ、おお、今度店主も撮ってもらったらどうじゃ?」
「あら、だったらその時はおめかししなくちゃね」
「呵々、そのままでも十二分じゃろうて、では邪魔したな」
また来ておくれと店主の言葉を背に店を出る、さて次はどうするかと思いつつまた歩を進める。大通りに出れば彼女の耳に聞き覚えのある声が届きそっちに顔を向ければ人集りの中に大きめの車と身振り手振りで客寄せを行いスチェッキン、どうやら例の移動式屋台が来てたらしい
今回は何を売ってるかは知らないが人集りとレジの客を見るにどうやら繁盛はしてる様子だ、だがM1895には関係ないので屋台とは反対方向に向かい、ふと足を止めた
(何かあれじゃ、つまらんな)
突如そんな気持ちが湧いた、以前からこういう一人で散策することはあったのだがこんな事を思うのは今回が初めてであり、自分でも不思議に思った
だがすぐに思う、最近はちょこまか危なっかしい指揮官と共にいることが多かったが故にこうも静かにのんびりは何となしに寂しく思ったのだろうと
(やれやれ、あやつのわし離れ出来ないのを問題にしていたつもりがわしがアヤツを恋しく思ってどうするのじゃ……)
ボリボリと掻きつつ、だがその手に持ったアルバムもそもそも指揮官の為に買っているものであり、途中途中の店でも何だかんだと指揮官に使えるかどうかとかであり、極めつけは買い食いをした時に普通じゃなぁと思ってしまったことだろう
指揮官と一緒に食べた時は妙に美味しく感じたはずのそれを普通、つまりそういうことである。隣でニコニコ笑顔で美味しい美味しいと食べてる存在が居ないとこうも違うのかと、そこまで考え踵を返してスチェッキンの移動式屋台に向かう
「おや、副官じゃないかい」
「繁盛しておるの、手伝うか?」
「お、どういう風の吹き回しかは聞かないけど助かるよ、二番レジ開けてトンプソン!」
「了解!」
「んじゃ、お願いするよ、ちょっとキツかったからね」
「任せよ、こっちでも会計できるから来てくれ!」
それからスチェッキンとM1895の二人でレジを捌いていき無事に完売御礼、基地に帰ってから指揮官にアルバムを渡せば
「おおお、ありがとう!へへへ、これでもっと写真を撮っても困らないね」
「……そうじゃな」
「ん?おばあちゃん、どったの、何だか不思議な感じだけど」
「何でもないのじゃ、ほれコーヒー淹れたぞ、飲むじゃろ?」
一人も悪くはないが、街に出るならこやつを連れてたほうが楽しいのじゃ。コーヒーを飲むだけで笑顔になる指揮官を見つつ静かにそう思うM1895であった
何だかんだ街に出るなら指揮官の方が楽しいと思っていたおばあちゃんの図
綺麗なマリンブルーの髪の女性
活動報告にも書いた新たな作品の主人公、あれを書く時は多分繋がってるようで微妙に違う感じに書くけど地続きなのでちょい出し、コンセプトはここの指揮官とは違うフットワークが軽く動かしやすい女性で両足義足、右手義手、左目義眼の白衣の残念美人お姉さん(おばさん)と属性増々で、更に義足義手義眼には色々やりたい放題に積んだ、多分明日か明後日には一話だけでも作れる