それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
一〇〇式はこの気持の高鳴りをどう抑えていいのか分からなかった、いや、寧ろ抑える必要ないんじゃないかとすら思っている
だが同時に早まってしまったとも思っていた、いや今回はそもそも指揮官達も知らず一昨日初めて知ったことなのでこればかりは仕方のないことなのだがと自信を納得させるもやはりうーんと唸ってしまう
彼女が此処まで悩んでいる理由、それは掲示板にあった、何時ものように予定を確認していた彼女の目に飛び込んできた記事は【62式7.62mm機関銃】の配属のお知らせという記事
「新たな……同胞!!」
つい最近、64式自が来て自分以外の祖国を同じにする戦術人形が来たばかりというのにまさかの二人目、それは一〇〇式からしてみればテンションうなぎ登りな話であり、あの時と同じように目をキラキラと輝かせている
新たな同胞、だからこそまた盛大に歓迎をしてあげたいのだがそこで冒頭の悩む理由になる、鍋の材料は前回のそれで使い切ってしまったのだ。今からでは時間も資金も足りない、でも何かしらしてあげたい、この気持ちの鬩ぎ合いが今の彼女だ
そもそも時間に関しては足りないどころではないのだ、62式は既に来ている、彼女が掲示板を見る数分前に指揮官とM1895が歩いて正門に向かっているのを見ているからだ、とすると今からできる準備になるのだが
(……な、何もないです)
ダラダラと熱くないはずなのに汗が流れ始める一〇〇式、どうしようという感情が頭の中を支配し冷静な思考を妨げてしまう、次第にブツブツと呪文のように言葉を唱え始めこれには周りの戦術人形たちもどうしたらいいか分からず遠巻きに見始める
そこに現れたのは64式自、掲示板に妙な人集りが出来ており何事かと見てみれば呪文を唱える一〇〇式の姿、一体何がと思い近付いて掲示板を見てから、ああと納得する
「一〇〇式、何も私にしたような歓迎会を絶対しなければならないって訳じゃないでしょうに」
「で、ですが64式自さんに彼処まで盛大にしたのに62式さんには何も出来ないのは心苦しくて……」
「はぁ、まぁ分からなくもないですけど……64式自からスプリングフィールドへ。五人席確保できますか?ええ、はい、有難う御座います、指揮官達と合流次第向かいます」
「……?」
「歓迎会、するんですよね。今カフェの席確保してもらいましたから指揮官と合流してそこでしますよ、何もあれじゃないといけないわけでもないでしょうに」
彼女からのフォローに目に見えて沈んでいた一〇〇式の顔が輝きを取り戻す、そして懐から財布を取り出して中身を確認してから……青くなりだす
「み、皆さんに振る舞うのに少し……」
「何でもかんでも自分で背負い込まなくてもいいですよ、もう私だって一員ですし出します、一〇〇式のその責任感は良い所でもあるのですが行き過ぎますよ」
「ありがとうございます!絶対に返しますね!!」
いや、良いですから、なんで借りてることになってるんですか。64式自、一〇〇式の妙にずれている思考に少し引き攣る、とにかくえ、でもと渋る一〇〇式を説得しつつ彼女は指揮官に通信を入れてカフェへと向かう
カフェに着けばそこには既に指揮官と副官、そして左目に眼帯をし一〇〇式とは少々デザインと色は違うが似た感じの服装の少女が既に席に座っていたが二人を見るや立ち上がり
「初めまして、本日入隊の62式7.62mm機関銃です!」
「64式7.62mm自動小銃よ、これまた元気そうなのが来たわね」
「ひゃ、一〇〇式機関短銃です。お会いできて嬉しいです!」
ビシッとした敬礼に二人も同じく敬礼で返す。突然行われたそれだが指揮官とM1895は特に気にする様子もなく、まぁ挨拶が済んだのならば座るのじゃと告げる
「いやぁ、私以外にも同じ国の銃が居るって聞いてちょっと嬉しかったよ」
「私もです!続々と増えていって嬉しいです!!」
「そうね、でもどうしてこんな短期間に?」
「えっと、ペルシカさんが言うには一〇〇式ちゃんのお陰なんだって」
64式自の疑問に答えた指揮官の言葉にえ?となる一〇〇式、自分としてはそんなたいそれた事はしてるつもりはなかったし、自分は自分のやれることを精一杯しただけ、と言う考えだった
一〇〇式の戸惑いを感じたのかM1895がこう続けた
「うむ、ここ以外にも先行配属されておったお主たちがそうやって精一杯に戦い、結果として集まった実働データを元に64式自や62式が新たに製造されるようになったのじゃ。胸を張れ、自信を持つのじゃ一〇〇式、お主の戦いは確かに実になっておる」
「つまり、一〇〇式は私達の原型、もっと言えば母親ってことか?」
「いや、その発想の飛躍は可笑しいでしょ。だけど一〇〇式の頑張りのお陰というのなら改めて感謝をしなくちゃいけないわよね」
「い、いいえ、そんな私は出来ることをやって、皆様の足を引っ張らないようにしていただけです」
突然、褒め殺しにあい真っ赤になった顔をマフラーで隠すようにしつつ蚊の鳴くような声でそう言う、だけど本当はかなり嬉しかった、今までの自分の戦いが無駄ではなかったことが、ガンガン前に出て仲間の盾になりつつ戦果を上げたことが決して無駄なんかじゃ無かったことが
「おお、なんだか私の歓迎会という感じじゃなくなったかな?」
「あ、い、いいえ歓迎会!歓迎会です!!マスター、デラックスパフェを4つ下さい!」
「ちょ、ああ、もう、半分は私が持つわ」
「て、テンパっちゃったね一〇〇式ちゃん……」
「なぁに、戦場ではこれ以上ない優秀な戦士なのじゃ、日常くらいはこういった欠点があっても可愛いものじゃよ」
ガヤガヤと賑わい始める席、それから始まったのは62式のノンストップトーク、それはもうガンガンと話が出てくる。気付けばM1895と64式自はそのトークの情報量の多さに思わず頭を抑えたほどだった、因みにその時のトーク力に目をつけたのか、少ししてからスチェッキンの移動式屋台で客寄せ第二号として抜擢されてる姿が目撃されたらしい
声がまだないから微妙に書きにくいんじゃい!!という訳で62式ちゃんです、メインに据えるつもりが一〇〇式に掻っ攫われました