それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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私の全部、あげるね


君に触れ、貴女に触れ

時間にして夕方、クリスマスの街、昨日のイブほどではないとは言えそれでも盛り上がりを見せてる街中を二人の少女が歩いていた

 

ペアルックのマフラーと手袋をし、時より会話を挟み笑い合う二人、現在クリスマスデート真っ最中の指揮官とPPKである。当初はPPKが指揮官から要望を聞いて何処かに行く流れだったのだが当の指揮官が

 

「私は、今日はPPKと一緒に歩いてるだけで……嬉しいかな」

 

と言ったのでこういう形になっている。流石に指揮官という立場上、夜遅くまで街にいることは出来ず今の時間からだと精々数時間、それでも二人は目一杯に楽しむことに決め、歩く

 

「温かい……ありがとうねPPK」

 

「いえ、あたくしは指揮官に寒くないようにと編んだだけですわ」

 

「うん、えっと、凄くその気持ち、伝わるよ」

 

読んだ物にこんな感じの展開の場面があったことを思い出しつつ何時もの笑顔で言葉を紡ぐ、上手く伝えられてるだろうかと不安になるが言葉を聞いたPPKの顔が赤くなり、それを隠すためなのか両手に頬を当て

 

(「ひ、卑怯ですわ……)そう言ってくださると嬉しいですが、どこでそういった言い回しを覚えたのですか」

 

「資料室、あそこ色々な本があって、それに57やFALも教えてくれた」

 

「(今、非常に不安な何かを感じましたわ)そうですか、ところで指揮官、本当に何処か寄らずによろしいのですか?」

 

「私は特に無いかな。PPKは何処かないの?私は、ほら、苦手だから……でもPPKが行きたい所なら私も行きたい、かな」

 

少し上目遣いでPPKを見つめる指揮官にPPKは思う、天然製の魔性とはこの事かと、恐らくどれも知識として吸収したことから適してると思われる言葉を紡ぎ仕草をしているだけだろうがそれでも指揮官はPPKに気持ちをぶつけてきている

 

更に言えばPPKはそれを受け赤くするが指揮官にはそれがない、何時もの笑顔で本心からそう告げかつ羞恥心を感じさせない。好きなのだからこう言っても恥ずかしくないと彼女は思っているからだ

 

「いいえ、あたくしも指揮官とご一緒ならば何処でも楽しいですわ……ですがそうですわね、確かこの先に大きなクリスマスツリーがあると聞きましたわ、それを見に行きましょうか」

 

「うん!」

 

何処に寄らずとも、彼女達は街の露店や大道芸、綺麗な飾りを眺め歩くだけで幸せになれる、気付けば意図したわけでもなく二人は手を繋ぎ街中を散策し、G36が迎えに来たという通信が来る頃には夜空には星が輝いていた

 

帰りの車の中、ふとPPKは気付く、まだあの時の返事をしてないと、あまりに楽しく、嬉しく、幸せで胸が一杯になりその事をすっかり忘れてしまっていたと、そう思っていると隣りに座っていた指揮官が小さな声で

 

「PPK、帰ったらさ、一緒に部屋に来て?」

 

「へっ!?あ、いいえ、はい、分かりましたわ」

 

何を意識してるのですかあたくし!思わず自分の思考の暴走具合にまた顔を赤らめ落ち着かせようとしているために気付かなかった。指揮官が(Five-seveNの入れ知恵で)そういう意図が少しだけ込めて言ったので顔を珍しく真っ赤にしていたことに

 

気付いたのは運転席のG36だけだが無論、メイドたる彼女がその事を指摘するわけもなく淡々と運転し車は無事基地へと帰還する、そしてPPKは指揮官に連れられ初めての彼女の自室のベッドに腰を掛けていた

 

(こ、ここが指揮官のお部屋……)

 

「あれ、この辺に仕舞ったはずなんだけどなぁ」

 

ガサガサと机を物色する指揮官、書類などがその度に落ちたりするが気にせずに探し、鍵付きの引き出しを開けてあっと声を漏らし彼女の隣に腰掛けてから

 

「あった、そうだった無くすとマズイからって此処にしまったんだっけ、ごめんPPK、はい!」

 

「あ、ありがとうございます。これは、髪留め?」

 

「そう、一週間前くらいにカリンちゃんに聞いてカタログを見せてもらって私が選んだんだ、どうかな?」

 

それは小さな向日葵が飾られた髪留め、PPKはそれを自分が何時もつけているのを外してからゆっくりと付けて、丁度あった鏡で見てみる

 

派手すぎない、だが確かに目立つ向日葵、指揮官がこの花のような笑顔だと言ってくれたそれを見て自然と笑みが溢れる

 

「とても、気に入りましたわ」

 

「へへ、良かった」

 

ニコッと笑う指揮官、それを見てPPKはそろそろ本題に入ろうと意を決して彼女を見据え

 

「指揮官、あの時のお返事をさせて下さい。で、ですので我儘かもしれませんがあの時の言葉をもう一度、お聞かせ下さい」

 

「いいよ。すぅ、ふぅ、私はね、PPKの事が……大好きみたい」

 

「っ!?もう、指揮官、あの時は好きでしたのに。大好きに変えてくるなんて卑怯ですわよ……あたくしもです、あの時、初めてこの瞳で見たときから心奪われ、大好きでしたわ」

 

分かっていた互いの気持ち、だがいざこうやって言葉にすると急に恥ずかしさと何か他のものも湧き出てくる。PPKにはそれが理解できたが指揮官はまた現れた未知の気持ちに戸惑い、顔を赤らめる

 

「指揮官?」

 

「なん、だろう。さっきまでキチンとPPKの顔見れたのに……うわわ、うぅ」

 

駄目だ、PPKの心の中でなにか壁のようなものに罅が入った。自分の隣で急にそんな年頃の乙女のような反応をされ何かが刺激され、そして彼女の中でスイッチが入ったのを感じた

 

「変、だよね。あれ、本当なんでだろう……」

 

「変ではございませんわ、指揮官。顔をこちらに向けてくださいまし」

 

聞いてはいるがその手は指揮官の頬に動かされゆっくりと自身に向ける、真っ赤な、トマトのような顔、潤んだ瞳。理解できてないからこそ来る恐怖、戸惑い、だからこそ安心させるためだと自身に言い訳をしながらそっと……唇を重ねた

 

あのBARでの事故のようなものではなく優しい、唇だけを重ねたキス。数秒のそれを行いそっと離して彼女を見れば

 

「あうあうあう……」

 

「ふふ、ちょっと刺激が強かったでしょうか?」

 

「う、ううん……そうか、これが57が言ってた気持ちなんだ」

 

「と、いいますと?」

 

ギリギリに保たれていたPPKの理性の壁、罅が入りまくっているが何とか耐えていたそれは、次の彼女の言葉と仕草で崩れる

 

「好きな人に全て捧げていいって気持ち、PPKになら何されてもいいかなって心……」

 

「意味、分かって言ってますの?」

 

「分かってるよ、私だってそこまで子供じゃない、から」

 

ギュッと両手を握られ指揮官がまだ顔を真っ赤にしながら笑う、PPKは遂に全てが崩れ、そして

 

「イケない人ですわね……」

 

「でも好きな人にならって普通の気持ちjん゛っ!!??」

 

言い切る前に再度唇が重ねられる、先ほどとは違うあの時のような深い、激しい口付け、そして指揮官は初めての事をもう一つ登る、何が起きたのか、それは影が重なった二人にしか知らないこと

 

こうして二人の関係は前に進む、次に進むのは何時になるかはわからない、だがきっと、そんなに掛かりはしないだろう




返事がない、唯の燃え尽きた屍のようだ

ギリギリ攻めようかなとか思ってましたが結局こういった形に落ち着くと言うね。え、指揮官が色々攻め過ぎだって?そら、漫画と小説とFive-seveNとFALの全年齢からR指定までの知識をあれこれ教わったから多少はね?

次回、考えてない。デュエルスタンバイ!!!

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