それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
その日、指揮官は司令部、ではなくグリフィン本部にM1895と共に来ていた。つい先日の作戦時に鉄血についての重要な情報を持って逃亡中だったAR小隊の隊長【M4A1】を救助、それについての報告書を上司たる【ヘリアントス】に渡しに来たのだ。今は既にヘリアンの執務室にて報告書を渡し終え今はヘリアンが不備などがないかの確認している
本部となればそこかしこに他司令部の指揮官やグリフィンの社員も居る訳で彼ら彼女らは特筆する才能もなく17という若さで激戦区たるS09地区司令部の指揮官になった少女にこの執務室に来るまでにも様々な視線が、または感情が集まる
そして決してそれが良い感情や視線だけではない、なぜこんな少女がと言う嫉妬もあれば言葉にするのも憚れる汚い欲望、そういった物が小さな少女にぶつけられていた。だが少女自身は特に気にする素振りが無ければそもそも感じていないという風にも捉えられる
(いや、事実感じてないのだろうな)
書類を見ながらヘリアンは静かにそう考える。思い出すのは最初に会ったとき、ペルシカが少女を連れてきて指揮官に仕立て上げると言った時、ヘリアンは当たり前ながら反対しようとした。軍人でもなければそこらの一般人にさせるわけ無いだろうと
だが少女の瞳を見た瞬間、軍人の筈の彼女が怖気に襲われた、特に殺気をぶつけられた訳でも敵意をぶつけられた訳でもない、寧ろその程度で怖気など走らないと彼女は自負できる。ではなぜか、少女の瞳には『何も写ってなかったのだ』盲目とかではなく瞳自体は正常なのだが目の前に居るはずのヘリアンを写してなかった、そこに誰も存在していない、そんな風に
その後、まぁとりあえず基礎を教えこんで試験受けさせてあげてよと言うペルシカに折れて少女に指揮官としての基礎を教えることになった、当初は言葉を交わしても表情が動かず、理解できたのかどうかは随時聞くしか無かったが数日もすれば普通の年相応の少女と同じように表情を変えてくれるのを見て、ヘリアンは思わず安堵したものだった
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「ペルシカ、彼女は一体、戦術人形には初対面だろうと普通に接する、だと言うのに人となると接しないどころか表情一つ動かさず、もっと言えばまるで存在なんてしてないかの如く瞳に写してないんだ?」
彼女を迎え数日たったある日、ヘリアンは執務室にてペルシカに彼女のことについて聞いてみた。そろそろちゃんと知るべきだと考えたのだ
「簡単に言ってしまえばあの娘にとっては人形が人なのさ、そして人は、最初こそは人だったのだろうけど今じゃ曖昧、だから写らない。まぁギリギリ人として見れてるから私やヘリアンとは話して笑ってくれるだろ?」
「まぁ確かに話すが、それより人形が人?パット見では分からないほど巧妙に作られているが」
「ああ、違う違う。そうだね、私達だってとても美しい存在を『人形みたいだ』なんて言うだろ?それさ、彼女に人形と言うフィルターがない。人形も人なのさ」
一旦区切りコーヒーを飲んで喉を潤す、だがヘリアンにはもう理解できた。少し前彼女が話していた、自分は人と変わってて良く変だと言われ続けていたとまさかそういうことだったのかと
「他の人間には人形の破損は『壊れた』だけだが、あの娘には『重傷を負った』であり彼女の目にはその際に飛び散るのは生体パーツではなく人間の神経、肉、内臓、血液、そう見えてるのさ、それも恐らく生まれたときからね」
「だがメディカルチェックでは」
「うん、何一つ異常は出なかったよ、脳も精神もね、いや精神はまぁ異常かもしれない人に対してかなり心を閉ざしてるからね、それでもまぁ不思議だよ、普通になら廃人に……」
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「ヘリアンさん?」
少女の心配そうな声に我に返るヘリアン、時計を見ればそこそこな時間が経って書類の方は同じページで止まっていた。ほんの少しのつもりが深くまで考え込んでしまってたと気付く
「いや、すまない少し考え事をしていた。報告書は後で目を通しておく、不備が有った場合はまぁカリーナにでも聞いて修正する。それと今回の救助、感謝する」
「いえ、私は敵に気づいて指示を出しただけで。ですが私の司令部でいいのですか?ペルシカさんの小隊ならそちらに戻したほうが」
「構わない、それにそっちに居たほうがペルシカの指令の際も動きやすいだろうからな、さてあまり引き止めても悪いだろう、もう下がっていいぞ。ご苦労だった」
えっと失礼します。少女が一礼して部屋から出ていったのを確認したところでふぅと息を吐く、もし、もしもだ、とifの考えが過る
(ペルシカが彼女を見つけず、彼女はそのまま過ごしていたら人が人形に、人形が人になって壊れたかもしれないな)
そう考えると指揮官に仕立て上げると言うのはある意味で彼女を壊れないようにするための処置だったのかもな、そんな事を思いながら改めて報告書に目を通し始めた。余談だが一部ミミズが走ったみたいな解読不能の文字がありカリーナに連絡が行きそこからM1895へ、居眠り文字をそのままにするな、そもそも書類書いてる時に居眠りするなと説教された指揮官が居たとか
指揮官の症状は戦術人形だけに作用してる沙耶の唄状態
真面目な話書くともっとグチャグチャじゃねぇかてめぇの文才!!!
あと人形ですら口調怪しいってやつがヘリアンとかペルシカに手を出すなってそれいち