それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
その日、カリーナと指揮官は二人で街に出ていた、年の瀬と言うことで年を越す為のパーティーを開きたいという要望があり、ならばと二人で出てきたのだ
大体の買い物を終え、荷物も配送の手配も済んで後は少しお店を見て回ってから帰りだけだった。指揮官がそれを視てしまうまでは
「え?」
「如何なされました、指揮官さま?」
彼女の目に写ったのは赤い靄、それもハイエンドクラスのそれ、しかもそれは彼女達の目の前に映っていた、だが年の瀬というのもあり人が多くどれなのかがハッキリしない。
とにかくカリーナに伝えよう、そう決めた指揮官が隣の彼女に声をかけようとした時、二人に声が聞こえた、それは聞いたことがある、だが決して良い印象なんて一つもない
「良かったわ、予測が外れてたらどうしようかと思ってたのよ」
「っ?!」
カリーナは即座に周囲を警戒しながら銃を抜こうとする、当たり前だ、敵が居るのが分かっているのに抜かずに警戒だけなんて言える状況ではないからだ、街中と言うのが唯一の不安点だが指揮官になにかあるよりは遥かにマシだと手をホルスターに触れた瞬間、その手が第三者の手で抑えられる。
驚愕に染まるカリーナがその手の主を見れば、穏やかな笑みを浮かべた一人の女性、変装した【イントゥルーダー】ともう片方の手で抱かれている指揮官、この時点でどちらが優勢かなんて言うまでもないだろう、カリーナもそれが分かっているのでギリッと歯を食いしばる音をさせゆっくりとホルスターから手を退ける。
「ありがとう、私も騒ぎを起こすのは本望じゃないのよ」
「何が目的ですか、イントゥルーダー……!」
「目的、そうね、そこのカフェでお茶しません?」
は?と思わず声に出しそうになるが堪える、向こうはその反応が面白かったのかクスッと笑い、指揮官を抱いたままそのカフェへ徒歩を進めたので慌てて後を追う。
店内に入り奥の方のテーブルを選ぶイントゥルーダー、それぞれが座り、イントゥルーダーが適当に三人分の飲み物と軽食を注文、それが届いてから
「突然、ごめんなさいね。ほら、年末ですし少し挨拶でもと……それと」
スッとイントゥルーダーがケーキに備え付けられていたフォークを指揮官の眉間に向けながらニコリと笑い
「分かるわね?」
「……」
「カリンちゃん、大丈夫、もし殺す気ならもう私達は死んでるよ」
分かり、ました。と服の袖から出していた小型の投げナイフを戻す、声は震えても居らず、怯えている様子もない指揮官にイントゥルーダーは予想外だという顔をしながら
「あら、この状況で冷静ね。流石その歳でグリフィンの指揮官を務めてるだけのことはあるのね」
「ありがとう、ございます?」
「指揮官さま、敵に褒められてお礼を言うのはどうなのかと」
「素直でいいじゃない、あら怖い」
口ではそう言っているが雰囲気は余裕そのもの、まぁ自分はハイエンド、相手は最重要人物を敵に抑えられている人間、どうあがいても勝てないだろうという推測の元なのだが
なのでカリーナがそれだけで人を殺せるのではと言う殺気と顔をしようが彼女はコーヒーとケーキを楽しむ、それから先程から食が進んでいない指揮官を見て何故か『心底心配そう』な声で
「具合でも悪い?それとも嫌いなものだったかしら?」
「貴女とこうして対面して、マトモに食べれるとでも?」
「私はこの娘に聞いてるのよ……子犬は少し黙ってて下さいませんか?」
「えっと、食べてよかったのですか?」
ん?と今度はイントゥルーダーが間の抜けた声をだす、もしかして自分がこれら全部を食べるために注文したと本気で思っていたのだろうか、だがそう考えれば彼女が一切口にしないのも頷けると一人納得してから、そっとケーキが乗った皿を指揮官の前に持っていき
「ええ、そのために頼んだのよ。勿論、私の奢りでね?」
「じゃあ、いただきます」
皿を受け取ってからケーキを一口食べ、頬を緩ます指揮官、それを見てイントゥルーダーは『心底嬉しそうに』微笑む、だがカリーナからしてみれば敵からのを食べるなんてとんでもない事でありつい声を荒げながら
「指揮官さま!?そんな、無警戒な!」
「毒なんてつまらない真似しないわよ。そんなに心配なら、貴女も食べたらどうかしら?」
なんだったら私が一口食べてみましょうかと言い適当な場所を削って食べる、だがそこでカリーナがツッコミを入れる
「そもそも人形が毒を受けないですよね?ならばその毒味も意味ないのでは?」
「カリンちゃん、これお店が出したのだから大丈夫だよ」
「あ、そ、そうですわね?」
「クックク、この娘の方が余裕じゃない、見習ったらどうかしら?」
口を開けば煽ることしか出来ないのかと思いつつカリーナもケーキに手を付ける、何故敵と和気藹々とお茶してるのだろうかとまだ思っているが指揮官がイントゥルーダーの側に置かれている限り彼女からは手が出せないので大人しくしていることにする、まぁチャンスが訪れれば容赦なく殺す算段ではある
(勝てるかは別ですが……)
「それで、えっと、本当にお茶だけですか?」
「ええ、そのつもりですわ。本当は貴女とPPKでしたっけ?の祝いの品を持ってくるつもりでしたが、流石に物品はマズイと思いましてね」
「なんで知ってるのですか?」
カリーナがドスの利いた声で聞くも笑って流される、それから本当に何事もなくこの奇妙な茶会は進み、別れ際に
「では私は帰りますわ、良いお年を」
「良いお年を?あ、えっと、さようなら?」
「日本と言う国でのその年最後の別れの言葉、と聞いてますわ……出来れば来年は無くこの場で始末したいのですが」
「出来ないわよね?この人混み、貴女と言えど当てれるわけ無いわ」
それだけを言ってイントゥルーダーの姿は人混みへと消える、そのタイミングで溜め込んでいた緊張を吐き出すように息を吐くカリーナ、だが隣の指揮官は特にそういった素振りが見えず、心配になり聞いてみれば
「なんだろう、安心できたんだよね。まるで、えっと、おばあちゃんと居るみたいな感じ」
「副官と?それは家族と居るみたいなでしょうか」
「そう、それだ!え、でもなんで?」
疑問だけが残り二人は帰還、それから帰ってから初めて知ったのだがイントゥルーダーと接触していた時間、二人の信号、通信と言ったものが全てダウンしており、また街に鉄血の反応があったという報告もなかったらしい
「ああ、全く……ちょっと演技が過ぎましたわ」
鉄血の拠点、その一室でイントゥルーダーが頭を抑え何かに堪えるように呟く、暫くそのままだったが収まったようでふぅと溜息、それから
「流石にまだ『ユノ』との接触はこの脳が反応しますか」
イントゥルーダー、本来のハイエンドとは何かが違う彼女は今日も暗躍を続ける
マジでただお茶会をしたいがために街の機器を騙して侵入してからハイエンドモデルが居るらしい
カリーナちゃんの主武装
ハガレンのヒューズさんみたいなナイフ、袖口からとか腰のポーチとから出して投げて殺す、銃はブラフ
だからなんで、年の終わりに回収するのか分からない風呂敷広げてんだテメェ