それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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人形が本気で羽根つきしたら多分凄いことになるよね


羽根つきは負けず嫌いがやると退き際が分からなくなる

「く……これがMGとSMGの差だっていうのかよ!」

 

「先輩として、負けるわけにはいかないんです」

 

膝をついて悔しがる声を出す62式に冷徹にそう告げゆっくりと彼女に歩いていく一〇〇式、その手には筆と墨が入って瓶があり62式に近付いて、その頬にバツ印を描く

 

「といい風に、勝った方が負けた方の顔に落書きをするというルールもあります」

 

「それはまた面白いルールじゃな」

 

「でもそれって負け続けると顔が真っ黒になっちゃいそうだね」

 

流石にその前には勝負は終えますけどねと笑う一〇〇式にそれもそうかと同じく笑っていると復活した62式が立ち上がり羽子板を一〇〇式に突きつけてから

 

「もう一回だ、次は負けねぇからな!」

 

「いいですよ、何度来ても私が勝ちます!!」

 

言ったな!から始まる第二戦目、一戦目はお手本であり、説明もあったのでそれなりにセーブされていただろうが二戦目となれば最初っからフルスロットルで羽根つきが行われる。

 

もはや自分にはできない領域の羽根つきを見つつ、先程の二人のやり取りからふと思った

 

「さっきさ、一〇〇式ちゃんは真っ黒になる前には止めるって言ってたけど、基本負けず嫌いだよね、二人共」

 

「うむ、となると負ければもう一回が繰り返されるから……」

 

「濡れタオルなど用意したほうが良いでしょうかね」

 

いや、終われば自分で顔洗にでも行くからいいじゃろとM1895は近くのベンチに座り観戦を決め込む。

 

一方、指揮官はどうしようかと悩む、羽根つきをしてみたい気もあるが流石にあの二人は白熱しているし、他の戦術人形も気付けば他の一〇〇式達が持ってきた物で遊んでいたりと声を中々に掛けづらい

 

G36に頼もうかなと思い振り返ったとき、IDWとPPKの二人が歩いてきていた。

 

「お、指揮官が着飾ってるにゃ、中々似合ってるが、PPKはどう思うにゃ?」

 

「ええ、とてもお似合いですわ」

 

もはや赤面の一つもなくサラッと言葉にできるPPKにつまらんにゃと一つ言ってから白熱している一〇〇式と62式の羽根つきを見て

 

「何がどうしてああなってるにゃ」

 

「単に負けず嫌い同士が競り合ってるだけじゃ、ほれ、お主もやってみたらどうじゃ」

 

投げ渡された羽子板を受け取り、それから今居るメンバーを見てから相手を決めたようでもう一つの羽子板をその相手に投げる。

 

その相手とはG36、彼女も静観を決めていたのだが突然の指名に怪訝な顔をしてから

 

「私はやるつもりはございませんよ」

 

「む、それは残念にゃ。まぁ私とやれば数分としないで顔が真っ黒にされるメイドが出来るからにゃ~、指揮官の前ではなりたくないのも分かるにゃ」

 

この猫、基本的に乗らなければ煽って乗せようとするのが常套手段の畜生猫である、しかも声はこれ以上になく憎ったらしい感じでまぁそれなら仕方ないにゃとあからさまに言うものだから耐性があっても流すのは難しいものがあり、更に言えばG36、意外と耐性は低い、つまり

 

「……るわ」

 

「にゃ?(ニヤァ)」

 

「やると言ったのよ、手は抜きませんのでお覚悟を」

 

「はんっ、覚悟するのはそっちにゃ。その澄まし顔を真っ黒に染め上げてやるにゃ」

 

まんまと乗せられIDWとの仁義なき戦いを開始するのであった。それを見ていたM1895はやれやれと言った感じに肩を竦める

 

「思いっきり乗せられてどうするのじゃ……」

 

「いえ、あれはIDWも悪いかと思うのですが」

 

「おお、何かもう何やってるのか見えないよ」

 

聞こえるのは二人の地面を蹴る音と静かな掛け声と羽根が羽子板に当たる音だけ、二人の姿は影としか見えずハイレベルな攻防戦が繰り広げられているんだなとしか指揮官には見えない。

 

しかしと思う、G36を誘おうとしたら始めてしまったので誰と羽根つきをすればと、そこで気を利かせたのはM1895、彼女はPPKにまだ余っている羽子板を投げ渡してから

 

「指揮官、こやつとすればよいじゃろ。程よく手加減もされるじゃろうしな」

 

「あ、じゃあお願いできるかな?」

 

「えっと、あたくしは構いませんが副官はやらないのですか?」

 

「わしか?いやいや、見てるだけで満足じゃよ」

 

手を振り笑いながらそう伝えればPPKも納得し指揮官と羽根つきをしようと彼女と対峙するがそこで思うのは指揮官がどこまで出来るのかと言う疑問。

 

前に運動場でバドミントンをしてるのを見たが散々だった、なので最初のサーブは指揮官からにしてそれで判断しようと決める。

 

「うし、じゃあ行くよ!」

 

「はい、どうぞ」

 

バドミントンのように羽根を摘み羽子板をその下に構えて、気合の掛け声と共にコーンと気持ちのいい音が鳴り響く。

 

が、羽根は確かに羽子板に当たりはしたが飛んだ方向は真上、山なりに前とかではなく真上、羽根は頂点まで飛んでから重力に従い落ちてくる。

 

「……ん?」

 

「指揮官、真上ですわ」

 

へ?と上を向いたタイミングでコツンとおでこに直撃する羽根、何が起きたのかそれで理解した指揮官はおでこを擦りながら羽根を拾い上げ、それから近くに用意してあった筆と墨が入った小瓶を持ちそれをPPKに差し出す

 

「指揮官、それは」

 

「さっきのは私の負けだからね、罰ゲームを受けなきゃ」

 

あれは負けというより自爆、と思ったが本人がそういうのならばと受け取り彼女の頬に丸を書く、満足した指揮官はまた離れ構える。

 

二戦目、先程と違いサーブは上手く行く、羽根は綺麗な放物線を描きPPKへと飛んでいき彼女もコーンと丁寧に打ち返す、それも綺麗な放物線であり指揮官はそれを好機と見て羽子板を上に構えタイミングを見計らい

 

「(此処だ!)おりゃ!」

 

「……はい」

 

PPKの予定調和でしたという声が示すように羽根は無情にも指揮官の羽子板に当たらずポテンと地面に落下する、これにはM1895も苦笑いを浮かべ指揮官はむぅと羽根を睨む

 

だが負けは負けだとまた先程の二つを持っていき、今度は逆の頬にバツ印が付けられる。

 

「あの、指揮官、楽しいでしょうか?」

 

「え、楽しいよ?うん、だけど次は勝つよ!!」

 

「こやつの無駄なポジティブ思考は偶に羨ましいと思うのじゃ……」

 

尚、きっちり負けた模様。他の二組も終わる頃には両者とも顔が墨だらけになっており唯一無傷だったのはPPKだけだった、こうして新年の時間は過ぎていき昼は雑煮を楽しんで夜はお酒も入った大宴会、そして翌日、早朝

 

「……え?」

 

PPK、新年早々に混乱顔を晒す




一〇〇式と62式の羽根つきは比較的まだ普通

G36とIDWは既に異次元

指揮官とPPKは和気藹々と言った感じ

次回 ヤッチャッタね~PPKさ~ん(フェネック並感

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