それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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狩人の秘密、新たな仲間


最悪の再会 Session 4

撤退自体はすんなり済み、現在は基地の医療室。ベッドで未だ眠っているM1895にはコードが繋げられ、その元の機械ではFMG-9がモニターを見ながら操作している。

 

そしてそれを後ろで見ているのはVectorとグローザ、そして基地に居るということは流石に黙っている訳にはいかないということでM1895の側には

 

「おばあちゃん……」

 

心配の声で彼女の右手を両手を包むように握る指揮官の姿、その声には何時もの活気はない、何も知らない彼女からすれば突然過ぎるこの話に思考が追いつかず、ただ大好きなおばあちゃんが意識不明で寝かされているという事に受けた衝撃が大きすぎるのだ。

 

少しでも触れれば壊れてしまうのではという雰囲気の指揮官に隣に居るPPSh-41はどう声を掛けていいのか分からないでいた。

 

「どう、FMG-9」

 

「はっきり言えば、すみません自分では力不足です……」

 

VectorがFMG-9に聞くが返ってきた答えはこれ、いくら情報に特化しこの基地の誰よりもコンピューターの扱い、データの処理能力が高い彼女と言えどAIの復旧などは流石にお門違い、何とかやってみようとしたが下手に弄れば目覚めなくなる可能性すら秘めていたのでやめようとなる。

 

流れる沈黙、それを破ったのは何とか気を持ち直し立ち上がった指揮官だった、彼女は今に何をすべきかを頭の中で整理しつつ

 

「何が起きたかは、後で聞くから。ペーシャちゃん、ペルシカさんはなんて?」

 

「あ、本人は来れないようですが信頼できる整備士を送ったとのことでもうすぐ到着すると思われます」

 

「分かった、じゃあその人は私とG36で出迎えるから……皆はここで待機してて」

 

それだけを告げれば彼女は通信機で今の二人を呼び出しつつ医務室を後にする、言葉にはしてないが指揮官が無理やり気持ちを持ち直しているのは誰もが分かった。

 

「指揮官、このままだとまた倒れかねないわよ」

 

「ですが、副官が目覚める以外ではどうすることも、それより一体、何があったのですか?」

 

PPSh-41の疑問に全員の視線がVectorに向けられる、おそらく現状で説明できるとすれば彼女だけ、それは本人も分かってるので、簡単で良いわねと前を置きをしてから

 

「イントゥルーダーが行ったのは副官の洗脳、自身の傀儡にして指揮官を誘拐しようとするためよ」

 

「断言するのね、根拠があるのかしら」

 

グローザの言葉に躊躇いを見せるVector、少しの間を開けてから意を決したのかはたまたどうにでもなれと思ったのか人差し指で自身のこめかみをトントンと突きながら

 

「私、鉄血とI.O.P社の人形と思考をリンクされてるのよ、だから完璧とまでは行かなくても大体は読み解けば答えに辿り着けるの、言ったでしょグローザ、私は特別製だって」

 

「……は?」

 

「ついでに言えばコアも複合よ、お蔭で私って誰にでも銃を向けれるし殺せるのって聞いてる?」

 

何言ってるんだこいつという表情で自分を見る彼女達に面倒だなぁと思ったのかじゃあ説明の続きをするわよと放っておこうとすれば

 

「ま、待って頂戴。え、何、貴女って鉄血でもあったの?」

 

「別に鉄血側って訳じゃないわ、組織的にはどっちにも対応出来る人形が欲しかったってだけよ。まぁ私しか生産されなかった所を見ると失敗だったか、コストが高すぎたか、どうでもいいけど」

 

「普通に今会話してますけど、鉄血ともリンクされてるって飲まれたり、向こうと同じく暴走したりの危険性あるんじゃ……あったら今此処に居ないでしょうけど」

 

「あくまでリンクしてるってだけ、こっちからも向こうからも干渉も何も出来ないわよ。言うならそうね、街の雑踏、あれが常時ってだけ」

 

十二分に拷問の類では?PPSh-41は静かに思うがとりあえず黙ってることにしそろそろ続き話してくれないかなぁと思ったのが向こうにも伝わったのか

 

「まぁいいわ、で話を戻すけど、何か他に聞きたいことある?」

 

「副官がここまであっさり侵入を許された理由に心当たりは」

 

「イントゥルーダーに副官の前の指揮官、更に言えば指揮官の母親の脳が搭載され、それを利用して揺さぶられたのよ。少しでも動揺すれば後はウィルスはじわりじわりと、ね」

 

「聞くだけでも気分が悪い話ね、じゃあ私達がイントゥルーダーに発砲出来ないのは」

 

「それが理由、何故か彼女は死んでるのにも関わらずデータが残され、お蔭で通常の戦術人形には味方識別が出されてロックが掛かるってだけ」

 

つくづくムカつく話よねと彼女にしては珍しく苛立つ、だが今苛ついても仕方ないので気分を落ち着かせる。

 

今はM1895が目を覚めさ無い限りこれ以上の議論も対策も意味がないとなり、ペルシカが送ったと言う整備士を待つこと数分、誰も一言も発さない空間に三人の足音が聞こえ、医務室の扉が開けれ入ってきたのは指揮官とG36と一人の銀髪の女性

 

「皆、来てくれたよ」

 

「ペルシカからの紹介で来ました『ヴァニラ』……ってあっ」

 

「げっ」

 

整備士、ヴァニラの姿を見た瞬間、FMG-9があからさまに会いたくはなかったという顔と声を漏らす、一方ヴァニラも彼女のことを知っているようでFMG-9の姿を見るや声を漏らしていた。

 

「知り合い?」

 

「あ、えっと、い、いいえ自分の勘違いでしたはい」

 

「貴女、あの時のFMG-9よね?ああ、いや、まずは仕事ね、ちょっと失礼するわ」

 

どうぞどうぞとFMG-9が席を譲りヴァニラが機械を操作する、それから、なるほどねと呟いてから指揮官たちの方に向き直り

 

「安心して、これくらいなら私で修復可能です。とりあえず今から最低限の修復を行い起こすわ」

 

そう言ってからまた機械に向き直り操作を開始する。指揮官達は全員安堵の息を漏らしていた、特に指揮官はフラッと一瞬だけ倒れそうになるがすぐにG36が支える、どうやら気が緩んで耐えていた分が一気に来たようだ。

 

作業開始から数十分、最後の操作を終えた彼女が手を止めM1895の方を見つめれば

 

「うっ……」

 

「おばあちゃん!!」

 

「ぬわっ!?」

 

頭を抑えながら起きたM1895を迎えたのは側に居た指揮官の抱擁だった、戸惑うM1895だったが自身の何とか思い出せる最後を思い出しすまぬと一言告げ頭を撫でる。

 

場は少しの間、少女の泣く声だけが響いていた




何でVectorを更に魔改造属性を付与したんですか?お蔭でヴァニラさん初登場なのに思いっきり食われてるやん!!

ヴァニラさん
銀髪の高身長のぺったんお姉さん、え、二〇代後半でお姉さんは厳しい?しにたいようだな……ペルシカに頼まれるほどの頭脳と技術を持っているフリーの人形専門の整備士、この基地のFMG-9と何やら面識がある模様

え、もう次のイベント来るんですか?

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