それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
M1895が屋上に向かう前、まだ医務室で修復を受けていた時、指揮官は自室で眠れずに居た。
今日、M1895達に何があったのか、それは自分が思った以上に疲弊しているという理由で明日になったのだが彼女としてはそこが少々不満なところであり
(別に疲れてないから言ってくれてもいいじゃん……)
だがこの判断はPPSh-41が簡単なカウンセリングを行い出した結論、彼女曰く自分が自覚できてないだけで今日だけでも相当のストレス負荷が掛かっており、これ以上は危険とのこと。
それでも気になって眠れないのは確か、そんな彼女はベッドから降りて机に向かいデスクライトを付けてからノートを開く、そこにはペルシカから教えてもらった事や独学で勉強した戦術学等がつらつらと書かれており、先日聞いた自身の眼についても書かれてあった。
その中でも彼女が一番書き込み、更に自身の考えも書かれているのが『眼の自己拡張システム』自分が強く願ったことを眼が反応し、可能な範囲で機能として追加する、これを聞いた時真っ先に浮かんでしまったのが鉄血の制御を奪うことが可能ではないかという事だった。
(でも拡張をすればするほど脳に多大な負荷がかかってあの時みたいに脳の血管がさらに破裂するかも知れないだっけ……それにペルシカさんも私にこれをさせるために話したわけじゃないだろうし)
ああ、駄目駄目!それに変にこんな無茶して何かあったらそれこそおばあちゃん達を悲しましちゃうしと頭を振ってその考えを振り払う、これ以上は読んでるとあれこれもっと碌でもないことを思いついてしまいそうだとノートもパタンと閉じて鍵付きの引き出しへと仕舞う。
しかし、今の行動で更に眠気が遠ざかってしまった指揮官、時計を見れば22時40分、寝なければいけない時間なのは確かだが寝れないから仕方ないよねと思った彼女は寝間着の上から一枚羽織り部屋から出る、気分転換に散歩をしよう、それかおばあちゃんのお見舞いに行こうと考えたのだ、後者は間違いなく時間的に帰されそうだし怒られそうだが今の彼女にはその考えはない。
何時ものように暗闇を歩き医務室に向かう彼女だったが途中の廊下で
「指揮官?」
「うげっ……」
声を掛けられ振り向けばPPKの姿、こんな夜中に出歩いている指揮官を見ては少し険しい顔で彼女を見てから近寄り腰に手を当てながら
「駄目ですわ、もう寝ないと明日に響きますわ」
「分かってるけど、眠れなくてさ……あ、そうだPPKもおばあちゃんのお見舞いに行こうよ」
「今からですか?怒られますわよ?」
PPKの指摘で漸くその考えに至った指揮官、だが此処まで来て帰りたくないしまだ眠くない、なので彼女は何故かサムズアップをして
「問題ないでしょ、ヴァニラさんも居るだろうし」
「……余計不安なのですが、まぁ分かりましたわ、ご一緒いたします」
やったと喜ぶ指揮官とそれを見てなんだか嬉しくなるPPK、二人はあれこれと雑談をしながら医務室に向かう。
道中、すれ違う戦術人形に寝なくて大丈夫かとかお、今日は悪い子だなとか色々言われ、その都度反応をしつつ到着ノックしてから返事を聞き扉を開ければ機材を片付けているヴァニラと予想してなかった人物の来訪に目を丸くするPPSh-41の二人が居た。
「指揮官?もう、駄目ですよ寝ないと、先程も言いましたが自身が自覚していない疲れほど厄介なものはありませんからね」
「まぁまぁ、良いじゃないのペーシャ、で、どうしたの指揮官さん?」
「寝れなくて、それでおばあちゃんのお見舞いと思ったんだけど……」
「居ませんわね」
「副官さんならさっき屋上にタバコ吸いに行ったわよ」
もしかして自室に戻っちゃったかなぁと思っているとヴァニラから出てきた言葉に驚きの表情をする指揮官とPPK、その反応からどれだけ隠してたのよあの副官と苦笑を浮かべ、二人にどうするか聞こうとした瞬間、一発の銃声が医務室全員の耳に届いた。
「!?」
「え、い、今のって……銃声だよね」
(今の屋上よね、まさか……)
「屋上、ですわよね」
PPKの呟くような一言、彼女としては別に指揮官に聞かせてるつもりはなかったであろうその言葉にヤバッ!と反応したのはヴァニラ、まだ短いが指揮官の頭の回転の速さは目を見張る物があると聞いていた彼女は今の一言で指揮官が最悪の展開を想定してしまうと思ったのだ、そしてそれは当たりだった
「おばあちゃん!!」
「指揮官!?どうし、っ!!!」
顔を青ざめ医務室を飛び出した指揮官とそれを見て自分の失態に気付いたPPKもすぐに駆け出して彼女を追う
「指揮官、PPK!!」
「私が後を追うから、ペーシャは一応オペの準備を!」
りょ、了解です!PPSh-41の言葉を背にヴァニラも二人を追う、がそこは人間の少女と戦術人形、割とすぐに指揮官はPPKに捕まる、が
「離してPPK!!おばあちゃんが、おばあちゃんが!!」
「落ち着いてくださいませ指揮官!うわっとと、あ、指揮官!」
PPKとしては強く掴めないが指揮官はそれどころではなく力の限りに彼女の手を振り払い階段を駆け上がる、一方ヴァニラは息が上がり、階段途中で足を止めていた
「ゲホッ……ハァ、ハァ、若いって良いわねホント……」
驚く速度で駆け上がった指揮官は屋上の扉を勢いそのまま開け放つ、開けた先には彼女が想定してしまった場面ではなく
「なんじゃ、血相変えた顔して何か……」
驚き間の抜けた顔をしているM1895の姿、それを見た瞬間、彼女の中の何かが抑えきれずに一気に溢れ出て、気付けば
「い゛き゛て゛た゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」
「ぬおぉぉぉぉ!!???」
「い゛き゛た゛、よか゛った゛!!!」
「いっつつ、なんじゃ突然って何泣いておる?」
泣きじゃくり自分から離れようとしない指揮官を後頭部を擦りつつ状況を理解しようとするが分からず、PPKに視線を向ければ
「いえ、屋上から銃声がしまして、それで指揮官が」
「あっ……あぁ、すまぬ、それは悪いことしたな」
その後、泣きじゃくるだけ泣きじゃくり、そのまま寝てしまった指揮官、それを彼女は優しく頭を撫で
「安心せい、お主を置いては逝かぬよ、もう決めたからな」
「ふぅ、って駄目ですよ指揮官ここで寝ては、風邪引いちゃいますわ」
「ゼェ……ゼェ……あ、終わった?ああ、良かった、副官、何があったかは、ハァ、後で聞くから……ゴホッ」
「話す、話すからお主は息整えよ」
こうして、一日が終わる。翌日、何で発砲したかについてヴァニラは聞かされメンテナンスルームで検査を行ったがウィルスでもバグでも無かったので首を傾げることになる
ぶっちゃけ心臓に悪すぎる銃声だったよなあれ(他人事
とりあえず、また暫くは日常編かな、多分。次話が進む時はイベ後か、イベ中、しかももしかしたらそこが一つの区切りの可能性が微レ存