それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙
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いや、出来そうじゃん(無根拠)


スコーピオンの挑戦

映像端末を見てスコーピオンが唸る、ここは訓練場、もはや常連と言っても過言ではないスコーピオンは今朝からその映像端末を持ってきて唸っている。

 

かれこれ数十分、唸り、巻き戻し、唸る、その繰り返しだ、しかもその顔は作戦中の真剣な眼差し、一体何を見ているのだといよいよ気になったこちらも常連の一人CZ75が

 

「なぁ、何見てんださっきから」

 

「ん~、これなんだよね」

 

ほいっと向けられた画面を見ればそこに映っていたのはいつぞやの異世界人【ノエル・ヴァーミリオン】とFMG-9の模擬戦、あの接近戦ではこの基地でも上位に食い込める実力を持つ彼女だが画面の中ではいつもの澄まし顔も笑みもなくそれどころか苦しそうな表情を浮かべる瞬間もあるほどの苦戦を強いられていた。

 

「強かったよなぁ、アタシも手合わせしてみたかったけど、あれ見せられるとちょっと勝てる光景が見えない」

 

「だね~、FMG-9が言ってたけどこの時にはスキルをフル使用しててもそれを超えてきたらしいよ」

 

その言葉にマジかよと笑うCZ75、あのバレットタイムを突破してくるとかどんな手段使ったのかと思いたいが見た感じ実力で予測を上回る事をしたとしか思えず、やっぱり勝ち目ねぇなぁこれと頭を掻く。

 

だがこれを見て何を唸っているのか、なので聞いてみれば画面がまた巻き戻され

 

「これ見て、ノエルがさ、どう見ても空中で前に加速してるの分かる?」

 

「……おお、そうだな、え、何どうやってんだこれ」

 

「でしょ、不思議でしょ?でさ、これも見て、ジャンプして、その後空中でもう一回ジャンプしてない?」

 

言われみれば、確かにとなる、画面のノエルは明らかに空中を『蹴って』いた。人知を超えたその行動になるほど確かに唸るなこれはと納得したが遂に出てきたスコーピオンの言葉で自分の納得はどうやら見当違いだったらしいと思わされることになる。

 

「これ、私達にも出来ないかな」

 

「……あ?」

 

「だってノエルが出来るってことは、戦術人形である私達にも出来たって不思議じゃないよね」

 

「そこは不思議に思えよお前、聞いたことねぇよ空中を蹴ることが出来る戦術人形なんて」

 

「私達が先駆けになるんだよ!!」

 

キラッキラな瞳でスコーピオンは宣言する、どうやら彼女はかなり本気でやれると信じているらしい、何をどう思考を巡らせればそこに至ったのか少し、いや、かなり気になるがとりあえず言えることは

 

「あ~、なぁ前々から思ってはいたんだがさ」

 

「ん、何?」

 

「おめぇ、馬鹿だろ?」

 

刹那、スコーピオンが固まる、言われたことが信じられないという顔で彼女を見るがCZ75は特に改める事もなく、さぁて今日は何すっかなぁと肩を回しながら離れようとした時、ガッと腰を掴まれ見てみれば凄い形相のスコーピオン

 

「い、いやいやいや、私馬鹿じゃないし!?」

 

「面白い冗談だなそれ、じゃあ何で出来ると思ったんだよ言ってみろよ」

 

「実際に出来る人間が居たんだから人形も出来るはずと思うじゃん!!」

 

「だから何で思うんだよ、そこが可笑しいだろ、明らかにノエルが規格外だって話じゃねぇかあれは」

 

何故此処まで食い下がってんだこいつと同時に面倒くせぇという感情を込めながら振り払おうとするが抵抗してなかなか離れようとしないスコーピオン、ああもう本当に面倒くせぇ!!と思った彼女は閃く、確か同時期に入ったエルフェルトって奴も異世界の存在だったよなと、つまり彼女が出来なければノエルが偶々特別だったからで話が終わるのではと

 

「ああ、だったらエルフェルト連れてこいよ、アイツも異世界の住人だろ?もしかしたらなにか分かるんじゃねぇの?」

 

「……おお!んじゃ呼んでくるから待っててよ!!」

 

「やめろ、あたしを天才みたいな目で見るな、お前が抜けてるだけだ」

 

この呟きは残念ながらハイテンションで訓練場を出ていったスコーピオンの耳には届かなかった、とりあえず五月蝿いのも居なくなったし軽くランニングからするかぁと準備運動をしていると慌ただしい足音、おいまさか嘘だろと入口の方を見れば

 

「連れてきたよ!!」

 

「えっと、あの、何でしょうか?私、これから街に旦那様を探しに行くつもりだったのですが」

 

「……なんか、ごめん」

 

相変わらずキラッキラな瞳のスコーピオンに恐らくロクに事情説明もされずに連行され困惑の表情を浮かべるウェディングドレスの戦術人形、エルフェルトに思わず謝るCZ75、彼女は根っこは優しい少女である。

 

とりあえず来て貰った以上は仕方がないと先程までの話をすればエルフェルトは少々考え込む、何か問題でもあるのかと聞けば

 

「問題、まぁ問題ですよね、オリジナルは出来るんですよ」

 

「え、出来るの!?」

 

「話を最後まで聞けっての、で?」

 

「でもこの身体の私ができるのかって今まで試したこともなかったので、断言できないのですよ」

 

オリジナルだったら出来ると断言されたことには驚くが今の『戦術人形』としての殻になったので出来るかは分からない、なるほど、じゃあつまり

 

「出来ないんだな?」

 

「ん~、では少し試してみますね」

 

(ワクワク)

 

グッグッと身体をほぐしてから、訓練場の中心まで行き、よいしょ!!と掛け声と共に勢い良くその場でジャンプ、頂点まで行ってから更に身体全体に力を込め

 

「はいっ!!」

 

「お、おおおおおおおお!!!!」

 

「あ~、でもやり難いですね……一応、オリジナルに近いように作られたので出来るってだけで実用的じゃないです」

 

感動の声を上げるスコーピオンと冷静に己の身体の能力の限界を分析するエルフェルト、だが今のを見てCZ75は思った、いや、何で初めにこの事に気づかなかったんだとすら思えることを

 

「そもそもだ、空中でもう一度飛んでどうすんだ?的だろ、あれ」

 

「……」

 

「言われると、そうですね」

 

どうやら飛ぶ事に執着しすぎたスコーピオン、その問題を突き付けられ絶望した目に変わりガクッと崩れ落ちた。

 

その後、彼女は二段ジャンプは諦めた、だが後日

 

「ねぇ、これ見て!」

 

「んあ?あ~、それは読んだことあんな、それがどうした?」

 

「残像って格好良く……」

 

「くだらないこと言ってる暇あったら二丁持ちの命中率上げる動き方訓練したほうが良いんじゃねぇの?」

 

訓練場では今日もスコーピオンの突拍子も無い思いつきに振り回されるCZ75が見れる。




因みにエルフェルトはランクEXPERTSクラスの戦術人形だから出来たのでスコーピオンやCZ75には出来ません、されても困ります。

残像?エルフェルトにすら無理だわそれは


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