それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
色とりどりな液体が入ったフラスコやビーカー、試験管などが並び、まるで科学室のようだが見れば他には普通にキッチンがあったり、何故か酒樽があったりする謎極まる部屋。
ここは最近また増設された基地の一室、通称『PKのアトリエ』部屋主は通称の通り【PK】であり、この基地ではPPSh-41にとっては助けになる薬剤師の一人でもある。
彼女的には薬剤師と言うよりはとある趣味から派生して、中途半端は嫌だと研究を続けていただけ、なので薬剤師と呼ばれると少しムムッとなるらしい、そのとある趣味とは
「……やはり、あの人のようには出来ないか、難しいな『錬金術』は」
先に言っておくが彼女は別にバグっても無ければ怪しい薬をやってる訳でもそういう宗教に嵌っているわけでもない、そしてこれが彼女の趣味、しかし彼女の言う錬金術は少々違うようで、現に彼女は今、大きな鍋の前で今のセリフを吐いているのだ。
というのもこの錬金術は彼女がまだ他の司令部に居た頃、街に居た一人の錬金術師と名乗る少女から教わった物であり彼女には当たり前のように出来ていた方法なのだがPKには出来ないでいた、それから彼女は仕方ないかと鍋から離れ机に並べられたフラスコを一つ手に取り、観察、紙に様子を記していく。
このように鍋を使うなにか別の錬金術の他にも所謂一般的な錬金術、科学的研究もその派生から趣味にしている、普通に役立つ風邪薬や傷薬と言ったPPSh-41から太鼓判を押されるほどの物から独自に作り出した少々怪しい薬も作ったりしている、その一つをご覧いただこう、静かなその部屋に来客が訪れたのだ
「PK、居るかしら」
「何か用、416」
来たのは416、その背中には未だ惰眠をむさぼるG11の姿、確か二人の部隊は今日は仕事ではと思っていると416は背中の彼女を適当なソファに寝かせ、用件を話す。
「こいつが一発で起きるような薬無い?」
「そういう事、そこの棚開けて」
「これ?」
「そう、で下から二段目の右から三番目の、そうそれ、まだ試作……ああ、いや、何でもない、眠気覚ましよ」
試作、ポロッと出てきた言葉に416の顔が引き攣る、つまり彼女は仲間を実験体にするつもりだと気付いてしまったのだ、だが聞こうにもPKは調合の実験中であり、更に背中からは聞くなと言うオーラが目に見えそうなくらいにあり出した結論は、まぁ自分が飲むわけじゃないしと寝ているG11を抱き起こして小瓶の蓋を開き
「はい、口開けて」
「んあ~、ガッ!!???」
この少女、仲間であろうと仕事のときに惰眠をむさぼる相手には容赦がなく少しだけ開いた口に薬を流し込めば反応はすぐに出て寝ぼけ眼が一気に開かれ更にごくんと飲んだ瞬間
「ごぼっえ、おえええ、なじのばじだのぉぉぉぉ!!!!????」
「……ごめん」
「ああ、やっぱり強すぎるか、次は全体的に抑えて作ってみよう、ありがとうG11」
「ぜっだいゆるざないぃぃぃ」
「もう何言ってるか分からないわよ、ほら後でアイスでも何でも奢るから仕事行くわよ」
呪詛を唱え続けるG11を今度は引き摺って416はアトリエを出ていく、それを見送るわけでもなくPKはさっきの結果を紙に纏め、ファイルに閉じる。
それからまた静かな時間が過ぎ、丁度食べたくなって焼いたアップルパイが出来たタイミングで今度は
「お、いい匂いはやっぱり此処だった」
「(まるで犬)いらっしゃい、指揮官」
恐らく匂いにつられて来たのだろう指揮官に挨拶をしつつ、客人用のテーブルにアップルパイと紅茶を広げどうぞと言えば指揮官は笑顔で席に着く、自身も座りアップルパイを切り分け互いに一口
「ん~」
「美味しいかしら」
「すっごく、PKって色々出来るよね」
「色々ではないわ、出来ることだけ。それに全部本来の目的の派生よ」
「錬金術だっけ?でも出来ないんだよね」
ええ、と紅茶を一口飲みつつ当時を思い出す、あれはまだ彼女がこの基地じゃない別の司令部に居た頃、街の警邏の時、偶々目に入った一軒のお店が始まりだった、見てくれは普通の家、だがなぜか惹かれた彼女が扉を開ければ広がっていたのは見たことない本の山、並ぶフラスコなどの実験器具、大きな鍋、そしてその鍋をかき混ぜている一人の少女
作業に集中しているようで入ってきた彼女に気付かないその少女に不用心と思いつつ眺めていれば、出来た!という一言と共に鍋から取り出されたのは
「きのこのパイが出てきた時は今でも衝撃的だったわ」
「普通じゃ考えられないよねぇ」
驚いているPKに気付いた少女に今のはと聞けば返ってきたのは錬金術という答え、それから何故か少女に気に入られたPKは自身も気になったのであれこれと教わるも全く成功の兆しが見えず、更に数ヶ月経ったある日、お店ごと少女の姿は消えていた。
「じゃあ、結局その女の子が誰かはわからないんだ」
「ええ、でも、何となくだけど普通じゃない、いえ、そうね、別の世界から来たって感じ」
「ノエルさんみたいな感じかな」
「そうね、それが近いわね」
それからPKは暇さえあれば少女の教えを復習して、錬金術に繋がりそうな様々なことに手を伸ばしていき、そして今、この基地にて今日も彼女は手を加えれば変わるものを作り出している、が肝心の鍋からの錬金は未だ成功しない。
思えば少女も偶に鍋の前で唸っている時があったなと思い出す、つまり自分が成功するのは更に時間と勉強と修行が必要なんだろうなと思いつつアップルパイを齧る。
「ごちそうさま、いつか成功してその先生にまた会えると良いね」
「……難しいでしょうけど、やるだけやってみるわ」
食べ終えて紅茶を飲み切り指揮官はじゃあ、そろそろ仕事に戻るねと部屋を出ていこうとした時、ふと目に入った酒樽を見つめ
「た~る♪」
「指揮官?」
「いや、なんか言わなきゃいけない気がして」
今度こそじゃあねとアトリエを後にした指揮官を見送ってからPKは先程、指揮官が見つめていた酒樽を見る、そこでふと思い出した、少女は自分の声が弟子に似ていると言ってたことを、そして明るい感じでこう言って欲しいともせがまれたなと。
一つ咳払いをして、周囲を確認してからあのときと同じように
「た~る♪」
【やっぱり、___ちゃんと同じ声だ!】
ふむ、なんて名前だったか、そんなことを思いながら彼女は今日も何かを作っている。
鍋からパイを作り出せる錬金術師……一体どこのロロなんとか・フリクセルさんなんだ!!
PKの中の人がトトリちゃんだと知った時の衝撃、声違いすぎて声優凄いわってなる。
という訳ではい、全力中の人ネタです、困ったときにこういう事してるとあとで困るから止めような私?