それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
騒然とする食堂、慌ただしく指示を飛ばすPPSh-41、何が起きたか本気で理解できてないリー・エンフィールド、その視線の先にはテーブルに突っ伏す指揮官、FAL、アストラの食いしん坊三人娘と震え何とか耐えようとするPPK、彼女達の前に並ぶ『推定』料理と呼ぶ代物。
「……な、何が」
「おめぇ、本気でそれを言ってるのかにゃ!?」
「ああ、指揮官……ごめんなさい、あたくしもすぐそちらに」
「衛生へーい!!」
何が起きたのか、それは少々時間を遡る、あれは本日も業務を終え夕食をどうしようかと指揮官が悩んでる時だった。
PPKの手料理、いや、G36のドイツ料理も捨てがたい、などあれこれ浮かべながら食堂に向かい調理場の方を見れば何やら騒がしい声が聴こえ彼女が近づけば
「何度言えば分かるにゃ、L85ならまだ私だって笑って許すがお前が調理場に立つのは何が何でも反対にゃ」
「何を大げさな、私だって料理はできるぞ」
「本気でそれを言ってるのかにゃ?今までを振り返ってなお、そのセリフを吐くのかにゃ?」
どうやら騒がしさの原因はIDWとリー・エンフィールドのようで内容から察するに料理をしようとするリー・エンフィールドをIDWがかなりドスの利いた声で止めているという感じだった。
ただならぬ空気の言い争いにとりあえず彼女が取った行動は、二人の間にスルッと現れ
「はいはい、何がどうしたの二人共?」
「いえ、私はただ夕食を作って振る舞おうかと」
「で、私がそれを止めてる最中にゃ」
聞けば返ってきた答えはこんな感じ、付け加えればリー・エンフィールドは不思議そうと言うか何故?という表情でIDWは鬼気迫る表情であり、一体何が彼女を此処まで追い込んでいるのかと聞いてみる。
「あ~、そう言えば指揮官はリー・エンフィールドが作ってる姿を見たことないのか、一言で言うならメシマズにゃ」
「な、いえ、そんな事ありません、ただ貴方の口に合わなかっただけです」
「……過去に何人沈黙させたにゃ」
「あれも口に合わなかっただけです」
さも当然のように表情を変えずに答えるリー・エンフィールド、彼女からしてみれば何故沈黙するのか、何故一様に口直しに他の料理を食べるのか、それが割と本気で理解できないでいる。
とりあえず二人の言い分を聞いた指揮官、正直言えばそろそろ空腹も限界でありもしかしたら本当にリー・エンフィールドの言う通り皆が口に合わなかっただけかも?と考えた彼女はじゃあと何時もの笑顔で
「リーちゃん、今日の夕食お願いできる?」
「は?え、いやいや待つにゃ!!それだけは、それだけは駄目にゃ!!」
「もう大げさだよIDW、何も死ぬわけじゃないんだからさ~」
「し、しかし、よろしいのですか私で、PPKやG36も作ってくれるのでは?」
遠慮気味にそう聞いてくるリー・エンフィールドにサムズアップして頷く指揮官、それを見た彼女は一瞬笑顔になってからすぐに顔を引き締め
「では、腕によりをかけ指揮官に喜ばれる料理を振る舞います」
「うん、よろしくね」
「こちらIDW、ペーシャ!すぐに胃薬を大量に持って食堂来るにゃ!!」
「騒々しいですわよ、一体どうしたというのですか」
一礼してから調理場に消えたリー・エンフィールド、こうなったら料理は止めることは出来ないと判断したIDWは即座にPPSh-41に通信を入れればその切羽詰った声にPPKがやって来る。
なので指揮官がPPKにこれからリー・エンフィールドの料理を食べるんだと笑顔で告げれば、今度は彼女が真顔でガッと両肩を掴んで
「何か嫌なことでもありましたか?いいえ、駄目ですわ、だからって自棄になっては、お話してくださいませ」
「え、待って何でそういう話になってるの?」
「違うにゃ、指揮官は本気でリー・エンフィールドの料理を食べれるものと考えて注文したのにゃ」
IDWの言葉に嘘ですわよねという顔をするPPK、因みにだが彼女もリー・エンフィールドの料理を食べて沈黙した一人である。
しかし、だからといって誰よりも愛する彼女を一人死地に見送るなどPPKに出来るはずがない、こと食事で指揮官が譲るとは思えない、ならば答えは一つですわと突然穏やかな笑みを浮かべ
「あたくしも、ご一緒しますわ」
「PPK、お前……くっ、他に誰か連れてくるにゃ!」
覚悟を決めたPPKの目にIDWが出来たのは少しでも多くの
「楽しみだね~」
「思えばリーちゃんの料理は食べたことなかったんですよね」
「聞いたところ、刺激的だって話ですよ、何が出てくるのか楽しみです!」
「……ええ、そうですわね」
毎度上手い具合にリー・エンフィールドが作ったタイミングで居なかったり、そもそも自分で作るのがメインだったりとこの二人も食べたことなかったようで楽しみだという雰囲気を指揮官と共に発する側でどうか少しはマトモになってますようにと切実に祈るPPK
「お待たせしました、ミートパイです」
「おぉ……おお?」
「少し、匂いが違う、調理方法が違うからかな」
「でも美味しいと思いますよ、食べましょう!」
ミートパイ、と言われたそれ、見てくれは多少失敗した程度だが匂いがなにか違うと指揮官の勘が告げ小首を傾げ、FALがそう告げるが問題ないと判断、そしてアストラが意気揚々と一口食べる。
少し遅れて二人も一口、PPKも彼女だけに行かせるわけにはと後を追うように一口食べ……すぐに異常は現れた、つまるところ冒頭に戻る。
「レシピ通りに作ったはず……」
「本当か?本当にレシピ通りかにゃ!?」
「ミートパイは、こんなに苦さと辛さが同居してしまうような、料理ではございません、わ」
その後、リー・エンフィールドが自身で食べるも特に問題なく食べ切り、全員をドン引かせた。
今回の事態を受け、指揮官とアストラ、更にG36による料理教室が急遽開かれリー・エンフィールドは何とか一般レベルは得たというフォローは入れておく
4コマ漫画のあのサラダ()を作ってるのがリー・エンフィールドだと気付くのに相当な時間がかかった指揮官が居るらしい。
それでも彼女はリー・エンフィールドが今回こそはという料理を食べてるらしいっすよ