それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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ROちゃんの受難


データベースの一幕

カタカタとキーボードを叩く音が響くデータベース、音の発生源の主は勿論この部屋の主たるカリーナ、そして今回は彼女の手伝いとして配置されたのはRO635、どうやら元々情報処理能力は高いようでこの部屋での仕事は割と合ってるかもしれないと本人は思っている。

 

暫く無言の時間が過ぎ、一段落着いたのかキーボードを叩く手を止めてグッと背もたれにもたれながら伸びをし首や肩を動かす、そのタイミングでRO635が丁度淹れたばかりのコーヒーを差し出せば

 

「どうぞ、あ、砂糖とミルクはこちらにありますので」

 

「ありがとうございます、くっん~、少し一気にやりすぎましたわ……設備が高性能になってついつい止め時が分からなくなってしまいますね」

 

「確かにどれも高そうな、と言うより本部にありそうな機械ですが、これはカリーナが、いや、スチェッキン?」

 

RO635の言う通り、今このデータベースにある機械はそれだけでこの基地の予算が消し飛びそうな高級品の数々、そこで思いついたのは彼女と現在、多方面に繋がりを作ったり何だと忙しいスチェッキン、この二人ならばかなり抑えた値段で導入することも容易いことだろうと思ったのだがカリーナはそれを聞き、いえいえと手を降ってから、懐かしむように

 

「これら全ては、指揮官さまが頑張って設備投資をし、揃えてくださったものですわ」

 

「指揮官が、ですか?」

 

「はい、驚くと思いますがこの基地が設立した当初なんて作戦報告書とか全てを手作業で書いてたんですよ、ここ」

 

手作業で、それを聞き電脳でその光景を想像すれば苦い顔になる、間違いなくそれは苦行だ、確かに出来なくはないがやりたくはない作業になることは間違いない。

 

それを考えれば指揮官がデータベースの設備を真っ先に整えるようにしたのも頷ける。

 

「なるほど、しかしそれだと指揮官の負担が大きかったのでは?」

 

「本人が言うのはそんなに負担じゃなかったとのことですが、後で資料を見て少し怒っちゃいました」

 

「と、言うことはやはり……」

 

「殆どは任務や作戦を受け、その際の報酬からでしたが残りの部分、それでも高額なのですがそれを自身の給料の大半が注ぎ込まれてましたわ」

 

話を聞いた彼女の脳内で私は使わないし平気だよ!と胸を張って言う指揮官の姿がありありと浮かんだRO635、言う、彼女なら絶対にそう言いかねない、そしてどうやら予想は当たってた様で、カリーナは一口コーヒーを飲んでから当時を思い出すように目を閉じ

 

「それを問い詰めた時、指揮官さまはなんて言ったと思います?今のままじゃカリンちゃんが大変なだけだし、私は殆ど使わないから良いんだよ!って、流石に無言で拳骨落としました」

 

「うわぁ、はっきりとその光景が浮かぶのが何とも言えませんね、でも彼女、どうしてそこまで自身より他人を」

 

「指揮官さまの言葉を借りれば皆の幸せが自分の幸せ、らしいです。らしいと言っちゃえばそこまでですが、まぁその分、私や他の皆さんが指揮官さまに色々買い与えたりしてるのですがね」

 

それに関してはRO635も最近は関与している一人である、AR小隊で街に出た時に何となしで入る店でこれ彼女に良いのではというものを見かけるとついつい買ってしまうのだ、あれは不思議な物で自分だけかと思ったが他の面々もよく買っているのでこの基地の存在はほぼそうなのだろうというのが彼女の見解だ。

 

だがそうでもしないと指揮官の私物は増えない、彼女の自室だけで見ても自分から自発的に買った物は全体の3割あるかないか、それも最低限必要なものだけであり趣味の品に至っては基地の倉庫にあった物が大半である、こうしてみれば分かるように彼女は正直自分のことには無頓着な部分が大きい、唯一食事という点には多大な興味が働くが

 

(やはりペルシカから聞いた通り、本来そういった精神面が形成される時期にあのような扱いをされたから……ん?)

 

考え事をしていた彼女の視線に一台のタイプライターが映る、よく見ればそれだけじゃない、現在の機械から見れば型落ちの物が棚に綺麗に鎮座されていた。

 

何故?それが最初に浮かんだ言葉だった、使ってるわけではない、そもそも高性能のパソコンがある現場で使う理由がない、ドローンもサーバーも全てが時よりP38がメンテナンスしてるので故障も不具合もなく可動しているのにまるでコレクションをされているように並んでいるのかと考えた時、彼女に電流走る。

 

「(コレクション……ま、まさか)あのカリーナ、あそこのタイプライター等は一体、もしかして故障時の代用品でしょうか?」

 

「え、ああ、あれですか、コレクションですよ?」

 

当たってたかぁと苦笑するRO635、まさか彼女は機械好きだったかとその時は思っていた、だが忘れないで欲しい、カリーナという少女も例に漏れず少々拗らせている少女であるということを

 

コレクションとは言った、だがそれは決して彼女が機械がそこまで好きだからという事ではない、では何のコレクションなのか、答えはすぐに出てくる、RO635はそれを聴き感心するようにパンドラを突付いた

 

「へぇ、カリーナってこういう機械が好きなのですか?」

 

「へ?いえ、そんなに好きじゃないですよ?」

 

「え、じゃあ何のコレクションですかこれ」

 

「そりゃ勿論、『指揮官さま』から頂いた大事な物のコレクションですけど?」

 

あ、やっべAR-15と同じ空気を感じるぞこの秘書官と今更気づいたRO635、カリーナの言葉から逃げるように棚に再度目をやれば、確かにそこにあるのは機械だけじゃなかった。

 

小物、写真、扇風機、独楽等々etc見る人が見れば狂気すら感じれそうなコレクションの数々が綺麗に、本当に埃一つなく並べられていることに気付けばRO635は心の中で一番頼りになる我らが隊長の名を叫ぶ

 

(助けてM4!!!)

 

それが届いたのかそうじゃないのか分からないが、任務に出ていたM4A1はふと司令部の方に視線をやる、だが特に何もない光景に思わず小首を傾げる。

 

「どうした、M4?」

 

「今、誰かから呼ばれたような」

 

気のせいじゃないか?とM16が言えば、そうですねと彼女達は任務を続ける、帰ってきてからRO635が何故か疲れた顔でデータベースから出てきて抱き着かれ困惑するがそれはまた別の話である。




たとえ上司でもダメなものはダメと怒れる姉の鏡

データベース全施設レベル10記念話、いやぁ長かった、まぁそこまで効率よく経験値稼ぐのか言われると微妙だけど良いんだよカリーナちゃんが楽できるんだから。

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