それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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考えるより頭の中でキャラ動かすほうが書きやすい


動物から見る指揮官の印象~WA2000編~

司令部には人形たちが寝泊まりする宿舎、作戦時のデータ収集をしそれを報告書として纏める主にカリーナが働いているデータルーム、そして今回の話の発端、時より迷い込んで来たり戦場で救助した犬猫を一時的に保護する救護室、他にもいろいろとあるが基本的に指揮官がふらっと遊びに行くのはこの三箇所になる

 

今日の出撃と業務を終えて指揮官は救護室に向かっていた。最近の日課であり動物こそ癒やしではと思い始めバッテリーの余裕さえあればぜひとも引き取りたいとまで考えている、バッテリーを何に使ってるのは知らないが

 

救護室の扉まで付きいざ癒やし空間へとドアノブに手をかけた時、中から誰かの声が聞こえピタッと止まった

 

(先客だ、誰だろ)

 

別段そんな慎重になる必要はないはずなのこの指揮官はなぜかそっと扉を少し開き覗き込む、扉の先、彼女の目に入ってきた光景は第一部隊のスナイパー【WA2000】が今日彼女の部隊が保護してきた柴犬と戯れている光景

 

「ふふ、気持ちよさそうな顔ねぇ」

 

(WAちゃんだ、すっごく楽しそうだけど、うーん入りにくい)

 

しかも何時もは仏頂面に近い表情で言葉も少し厳しい感じなのだがこの時ばかりは本当に同一人物かと疑うほどの笑顔と優しい口調で柴犬を撫でており、入室に二の足を踏んでしまう

 

「指揮官、何をしてるにゃ?」

 

「あ、IDWちゃん、ちょっとね、多分見てもらったほうが早いかも」

 

どうしようかと悩んでいると同じく動物と戯れに来たのだろう【IDW】がやってきて扉前から動かない指揮官に声を掛ける、そして指揮官に言われた通り少しだけ開かれた扉から部屋の中を見て

 

「おぉ~、これは珍しい光景、あの厳しく笑わないで有名なWAがあんな緩んだ顔をするとはにゃ」

 

「そこまで言われるほどなんだ、私とお茶してる時は割りと優しい感じなんだけど」

 

「それは仕方ないにゃ、指揮官は自立自走式和み空間発生装置と呼ばれてるから当たり前にゃ」

 

「え、なにそれ、初めて聴いたよ」

 

「そりゃ初めて指揮官には言ったから当然にゃ、それより静かにしないとバレるにゃ、流石に指揮官と言えどこの光景を黙って見てたとなればどうなるか分かったもんじゃないにゃ」

 

和み空間発生装置って思いながらもIDWの言葉は正しいのでWAの観察に戻る、気付けば柴犬はお腹を見せて転がりWA2000がお腹を撫で回していた

 

「それにしても、何となく指揮官と似てる感じねあんた」

 

「!?」

 

「おっとこれは面白いことになったにゃ」

 

突如、柴犬が自分に似てると言われ驚愕と困惑が同時に襲われる指揮官を尻目にニヤリと笑みを浮かべるIDW、そんな二人に平時であれば気付けても今は完全に油断している彼女は気付く訳も無く更に続ける

 

「こう、そう『ぐにゃっ』とした感じの笑顔、能天気感増々な感じがまんま指揮官ね、全くあんた、さっきまで戦場で怪我してたって……分かってないんでしょうねこのこの」

 

「え、『ぐにゃっ』とした感じの笑顔ってなに?」

 

「あ~何となく分かるにゃそれ」

 

「え?」

 

何が何だけ分からなく混乱しだす指揮官、言いたいことは分かると頷くIDW、広がる混沌、扉先では癒やしが広がっているというのに指揮官の精神的疲労は何故か加速している

 

「でも、それだけここが安心な場所だって分かってるのか。指揮官も私達が出撃が無ければ能天気に笑ってお茶したりしてくれるし正直嬉しいのよね誘ってくれるって、平和な世界に成ればもっと笑ってお茶に誘ったりしてくれるのかな。だとしたらその為に鉄血人形(やつら)を倒し尽くさないとね」

 

「WAちゃん……」

 

「この指揮官ちょっとチョロ過ぎるにゃ」

 

WA2000の言葉に感動したさっきまでの精神的疲労が消えていく指揮官のあまりにもチョロさに呆れ顔のIDW、だがここで悲劇が起こる。救護室にはWA2000が構っているだけではなく他にも猫と犬が居る訳でその内の一匹が扉先の二人に気づき近付いてくる、当然慌てる二人、何とか追い払おうとするが

 

「ちょ、待て。ほら向こう行くにゃ」

 

「そうそう、私達じゃなくてあっちのお姉さんに……」

 

「ワン!」

 

「終わったにゃ」

 

「は、ははは」

 

「……」

 

犬が吠える、WA2000がそれを聞き顔をそっちに向ければ、扉先で諦め顔のIDWと誤魔化すように笑う指揮官、突然訪れた静寂に不思議そうな顔をする柴犬、先に口を開いたのはWA2000

 

「何時から?」

 

「えっと」

 

「え、何時からそこに居たの?」

 

「わ、割りと最初からかな~って、だ、大丈夫!ここだけの話にするから、じゃ、じゃあね!!」

 

誤魔化すことを諦め素直に白状し言い訳を捲し立て逃亡を始める指揮官、既に逃げ出していたIDW、さっきまでの独り言を聞かれたことを絶句するWA2000、がすぐに復活し逃げた二人を追う、無論出る際に扉を閉めることは忘れない彼女は真面目なのだ

 

「待ちなさい!!」

 

「走れ指揮官、捕まれば最後にゃ!」

 

「わ、分かってるけどは、早いよ~!」

 

IDWは猫の如く駆け距離を保つがそもそも人間である指揮官は徐々に徐々に距離を詰められていく、指揮官には悪いが自分は逃げ切るにゃと確信した瞬間、WA2000が叫んだ

 

「一〇〇式!!その猫をとっ捕まえて!!!」

 

「にゃ?」

 

「え、あ、はい!」

 

偶々前を通り掛かった【一〇〇式】はすぐに状況を理解してIDWを捕まえようと構えを取る、が伊達に猫っぽい格好をしてるわけではない彼女は

 

「あっまいにゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

「抜けられた!?」

 

「へぶっ!!」

 

体を捻り、そこから更に捻ると言う荒技で一〇〇式を回避、得意げに笑いながら勝利を確信し前に視線を向けるとそこには修羅が居た

 

因みに指揮官は転けた、噛った程度の受け身で転がるも起き上がれる訳もなくそれ以前に修羅の気配を感じ顔面蒼白になる

 

「お主ら、廊下を走るなと言ったじゃろうが!」

 

「ぎにゃぁぁぁぁぁ!!??」

 

直ぐ様反転するが首根っこを捕まれ少し抵抗しようとしたが銃床で頭を叩かれ大人しくなる

 

「お主もじゃぞWA2000、指揮官もさっさと起きて正座じゃ」

 

「は、はい……」

 

「ごめんなさい……」

 

三人はそれから一時間、みっちりと副官もといこの司令部の影の支配者M1895に説教されることになった




M1895おばあちゃん何時も説教してんな

そろそろネタが本格的に無いよぉ……

あ、今日M1895と誓約しました


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