それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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まぁ、この基地なら居そうだよねって話


ゴースト?パニック

基地と言えば本当かどうか怪しい噂話というものがよく出回るものである、指揮官の姉を自称する12人の集まりがあるとか実はそこら中にトラップが仕掛けられており悪意ある第三者が来ると人知れず影も形も無く消してしまうとか、千差万別、様々な噂が流れては消えていく。

 

その中に一つ『深夜に子供の霊が出て基地中を駆け回っている』というこれもよく見るありきたりな噂があった……そう、あの日、UMP姉妹が目撃するまでは噂だったのだ。

 

「ねぇ、知ってる9?この基地、実はおばけが出るんだって」

 

「あ~、聞いたことあるかも、確か深夜になると子供の霊が出るだっけ?」

 

その日、UMP姉妹は夜間の室内警邏を担当していたが暇ということで歩きながらUMP45がそう聞けばUMP9は前に聞いたことを思い出すように目を閉じそう返す。

 

無論だが二人にそれに対する恐怖はない、寧ろ興味のほうが強く、居るのならばぜひとも一目見たいとすら思っていた。

 

「まっ、そもそも幽霊なんて居るかもわからないけどね~」

 

「でも副官さんはそれ聞いて微妙な顔してたよ?」

 

「そうだっけ?」

 

M1895はその話を聞いた時、丁度屋上の一幕を思い出して居ないとも居るとも断言できなかった模様、因みに我らが指揮官はその話を聞いたがそもそも幽霊が何なのかを知らなかったのでUMP45が説明したら目を輝かせて

 

【なにそれ見てみたい!!】

 

とそれはもう下手したら意地でも会いたいが為に夜中に基地を巡るんじゃなかろうかという気迫があった、勿論それは近くに居たM1895とG36にそっと窘められたがもしかしたら部屋で起きてるかもしれない。

 

UMP姉妹の警備はそんな感じに会話を盛り上げながら続き、そろそろ1時になろうかという時間、交代は2時なので後一時間はあるが此処まで来てしまえばもう殆んど終わったも同然なので自然と張り詰めていた気が緩む、のだがこの日はそうはいかなかった。

 

気を緩ます直前、UMP45の耳が足音を拾った、しかもそれは歩いているではなく駆けている音でありバッと音の方向に振り向くがあるのは闇のみ

 

「っ?」

 

「45姉?どうかしたの?」

 

「今、足音が聴こえなかった?」

 

「え……ううん、何もっ待って聴こえた」

 

その言葉に二人のスイッチが切り替わる、雑談をしていた空気ではなく任務中のそれに。外からは何も通信は入っていない、となれば基地の誰かなのかという話になるがUMP45は冷静に先程聴こえた足音を分析する、だが出た結論は

 

「ヴァニラでもカリーナでも無い。他の警備はこのエリアに居るわけがない、指揮官のにしては歩幅が小さい)9、どう考える」

 

「45姉が思ってることとほぼ同じだと思うよ、少なくてもこの基地の誰かじゃない」

 

「こちらグループC、基地内に侵入者らしい足音、なにか見てないの?」

 

《こちらBエリア担当、WA2000、冗談でしょ、こっちは何も見てないわよ》

 

《Cエリア、モシンナガンだけど私もそれらしい影も見てないわ》

 

《グループB、Micro Uzi、基地内って、こっちは何も聴こえないわよ》

 

続々と入る外組と他の警備からの通信、だがどれもそれらしい存在を目視したものは居らず、どういうことだとUMP45は思う、誰にもバレずに此処まで来るなんてどんな手慣れだと思わず悪態をつきたくなるがそれよりも今は足音の正体を見るべきだと考えを切り替える。

 

「9、行くわよ」

 

「うん、こちらグループC、足音に対して接近します、アウト」

 

静かに、だが迅速に銃を構え警戒しながら未だ聴こえる足音の方に向かっていく、もし侵入者となればこの足音の先は指揮官の自室付近であり最悪の事態になりかねない。

 

それを考え思わず焦りそうになる電脳を落ち着かせ、残り数m、と言う所で異変が起こる、足音が突如消えたのだ。

 

「え、45姉、足音が」

 

「消えた……?扉が開いた音もない、私達に気付いて隠れた、いや、此処らへんに隠れる場所はないはず」

 

一応で手持ちのライトを向けるが光の先には何も居ない、そして付近には部屋も隠れる場所もない唯の廊下、だと言うのに足音は忽然と消え、音の主は影も形もない、そこでふと9が呟いた

 

「まさか、あの噂の?」

 

「子供の霊って言いたいの9?流石にそれはどうかと思うわよ?」

 

「あはは、だよね~」

 

そうUMP45は言ったが実際の所、それを考えてはいた、と言うのも先程の足音は分析すればするほど子供の足音と酷似していたからだ、いや、だからこそありえないとも言える、あそこまではっきり聴こえる足音が幽霊だとしたら実体を持ってるレベルよそれと自身が出した推測に苦笑する。

 

いけない、どうにも思考がブレていると頭を振り再度、音を探れば、また聴こえたしかもそれは

 

「後ろ!?いつの間に?」

 

「え、ええ、だって入れ違ってもないし、いや、それにここ一本道だよね?」

 

「今度こそ、その顔を拝んであげる……!」

 

「あ、ま、待ってよ45姉!?」

 

今度は速度を上げ足音に接近する、逃さないという気持ちで起こしたその行動、更に近づいた所でライトと銃を向け、固まる。

 

それは隣りにいたUMP9も同じだった、彼女達の視線の先に居たのはこの基地の誰でもない一人の少女、服装から学生、それも年齢は小学生の低学年辺りという感じの少女が二人に気づく素振りも見せずに楽しげな笑顔で『壁に消えた』

 

「……い、今の見た45姉」

 

「ええ、バグ、じゃないわね、嘘でしょ……」

 

《ひょああああああああ!!!??あ、アンタどっから、え、あ、あれ、嘘、消えた?え、何で?》

 

「噂、本当だったんだね」

 

「まぁ、この基地何が起きても不思議じゃないからね、うん、そう考えましょ9」

 

WA2000の悲鳴じみた通信を聞き流し、二人は静かにそう結論づけた、その後は(WA2000が錯乱し救援要請を出した以外は)特に何もなく自分たちの警備の時間は過ぎた。

 

翌日、指揮官とM1895に一応その報告をすれば

 

「ふむ、子供の霊か、まぁ悪さしてるわけじゃないのじゃろ?だったらそっとしておけば良い」

 

「え、じゃあ、私会えるチャンスある?」

 

「寝ろ」

 

また一つ、この基地に変な名物が出来た、因みにだが深夜に抜け出した大福が何かと遊んでいる様子が見れる時があるがその時は決まって少女の楽しげな笑い声が聴こえるとか何とか




速報 少女の霊が名物に加わる(加えないで)

出現率は週に二回程度、基本的に屋内、たまに屋外にも出る。基本的に走り回ってるだけ、大福とは何故か遊ぶ、マジなんだお前。

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