それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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カフェでの一幕


マスターと整備士さん

穏やかな店内BGM、コーヒーメーカーの音、マフィンの甘い匂い、ここは基地の憩いの場であるカフェ、マスターであるスプリングフィールドはカフェ専用の制服に身を包み利用者を待ちながら食器を磨く。

 

開店して数分後、カランカランと扉が開かれ入ってきたのは寝起きか、はたまた徹夜で作業でもしていたのかまだ覚醒しきれていない顔のヴァニラ、彼女はそのままスプリングフィールドの前のカウンター席に腰を掛けてまた一つあくびをする。

 

「いらっしゃいませ、ヴァニラさん。どうやら夜分遅くまで作業していたようですね」

 

「おはようスプリング、夜分遅くと言うか、ほんの四時間前までちょっとね、で二時間寝て、今って訳、とりあえずコーヒー、ミルクも砂糖も増々で一つお願い」

 

「畏まりました、ですが徹夜は駄目ですよ、仕事に支障も出やすくなりますし、美容にも良くないですから」

 

前半は真面目に、後半は少し冗談めいて言えばヴァニラはそれはヤダね~、この歳じゃ一度崩れると治すの難しいんだもんと笑いながら返す。

 

彼女、ヴァニラはこの基地に来てからは休日以外は毎日のように戦術人形たちのメンテナンスに明け暮れ、問題箇所を割り出しては即座に修復、またシステム方面にも強いらしくプロテクトの強化なども行い、まだ日は浅いが既に居なくてはならない存在となっている、そんな彼女がこうして徹夜紛いまで進めている作業は

 

「ところで、副官はもう大丈夫ですか?」

 

「システム面は完璧に修復してウィルスも除去したから何時でも戦闘に出れるようにはなったよ、でもあのイントゥルーダーとまた対峙するとなるならまだもうちょっと時間が欲しいかなってのが正直な所」

 

「と、言いますと?はい、コーヒーお待たせしました」

 

「あんがと、他の子達にも施してるけど、副官のプロテクトを更に強固にしてるのよ、だけどその度合が問題でね、あまりそこを重視すると今度はシステム面が重くなっちゃう、かと言って薄くすればイントゥルーダーにまたぶち抜かれるのよ」

 

どっちかを取れば、どっちかがって奴ねとコーヒーを飲む、ミルクも砂糖もそれなりに入れたコーヒーなので勿論甘く、だがそれが今の彼女には丁度良いらしくふぅとリラックスした息を吐いていた。

 

そこまで聞いてスプリングフィールドが思ったのは彼女のその人形に対する知識の深さ、人形専門を自負するくらいだから当たり前と言われそうだが一部システム面ではペルシカくらいしか触れないんじゃないかという所まで手を加えることが出来る、つまり何というか彼女は知りすぎている感じがあるのだ。

 

「……ヴァニラさんは、戦術人形(わたしたち)のこと、かなり深くまで知ってるんですね」

 

「昔取った何とやら、よ。女は秘密があったほうがいいでしょ?」

 

「あら、これは一本取られました、ケーキはいかがですか?」

 

じゃあ頂くわと言われればスプリングフィールドは一礼してから奥の厨房へと消える、そこでヴァニラは知らぬ間に流れていた冷や汗を拭う、流石に今の質問は少々心臓に悪かったらしい

 

(別に知られても構わないって話だけど、いやぁ、流石にいきなりはちょっと心の準備が)

 

話なら指揮官と副官からじゃないっとイケないしとコーヒーを飲みつつ考えているとコトッとケーキが乗ったお皿が置かれる。

 

「お待たせしました、出してから思ったのですが当店自慢のマフィンにすればよかったでしょうか?」

 

「いえ、ケーキでいいわよ、好きだし。でもスプリングって少し抜けてる部分あったりするわよね」

 

「そうでしょうか、それは言われたことないですね」

 

顎に手を当て記憶を探るスプリングフィールドだがやはり今回言われた以外ではまるでない、となると、そこで彼女の悪戯心が働いた、ニコリと笑ってからケーキを堪能するヴァニラに対して

 

「もしかしたら、ヴァニラさんの前だから油断しちゃうのかも知れませんね」

 

「んっく、いきなり何言い出ししてるのよスプリング」

 

「そうでもなければ抜けてる、なんて事言われないと考えたのですが」

 

クスリと余裕ある笑みを浮かべるスプリングフィールド、だがヴァニラとて伊達に生きてはいない、勝ちを確信しているマスターに自然に、だが何処と無く気恥ずかしそうに

 

「でも、まぁスプリングみたいな娘なら私は歓迎かな」

 

「え、あ、へ?」

 

「だって気立て良いし、優しいし、家事万能だしまさに良妻賢母、中々居ないわよこんないい女、手が付いてないなら私が付けたくなるくらいにね」

 

まさかの反撃に滅多に見れない顔を晒すスプリングフィールド、そこにヴァニラが追い打ちを掛ければ眼を泳がせオドオドしだし、最後には照れ隠しなのか身体全体を世話しなく動かし

 

「もう、分かりました、私が悪かったのでやめて下さい」

 

「あら、かなり本気なのだけど」

 

「ヴァニラさん!」

 

顔を赤くし声を少し荒らげればヴァニラも流石にやり過ぎたと思ったのかごめんごめんと笑いながら謝りコーヒーのおかわりを要求する。

 

全くもうと思いつつコーヒーを淹れる、だが心なしか体温は先程から上がったままで下がらない、そこまで暖房は入れてない筈と自分で疑問に思ってから、ボフッと彼女の中で何かが軽く暴発した。

 

「スプリング?」

 

「な、何でもないです、どうぞ、ミルクと砂糖は先程と同じで?」

 

「同じでいいわ、ふぅ、これ飲んだらまた作業します……ああ、いや、休日は休めがこの基地だったわね」

 

「してもよろしいですが指揮官に見つかった時は凄いトーンで促されますよ?」

 

された人形曰く結構メンタルに響くらしくて二度とされたくないと口を揃えて言う程らしい、怒るでも無く悲しみが混ざった声なので物凄い罪悪感が正体とのこと。

 

人形でそれなので人間がされたらどうなるか分からずそれを聞きヴァニラは今日は適当にのんびりしてるかと考え直し

 

「スプリング、モーニングセット追加で、朝ご飯食べて適当にぶらつく」

 

「畏まりました、少々お時間頂きますね」

 

ゆっくりで良いわよ~と再度厨房に消えたスプリングフィールドに手を振り自分はカフェから見える外の景色を眺め、今日も良い天気だと呟くのであった。




スプリングフィールドの淹れたコーヒーを飲みつつのんびりしたい……

低体温症はガチャでスオミが来てくれてやったぜってなった、Kar様はよ、はよ
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